平成30年7月25日
証券取引等監視委員会
証券取引等監視委員会の活動状況の公表について
証券取引等監視委員会(以下「証券監視委」という。)は、金融庁設置法第22条の規定に基づき、毎年、活動状況等を公表しています。今回は、その26回目として、平成29年度(平成29年4月1日~同30年3月31日)の「証券取引等監視委員会の活動状況」を公表します。
公表内容の主な記載内容
1.平成29年度の活動概要
マクロ的アプローチによる分析を通じ、フォワード・ルッキングに内外のリスクや環境変化に着目する市場監視を実施 法令違反の再発防止のため、問題の根本原因を把握
課徴金納付命令勧告を行い、迅速な実態解明・処理により問題を早期是正
2.不公正取引の勧告・告発件数
不公正取引の勧告件数は計26件(インサイダー取引21件、相場操縦5件) 不公正取引の告発件数は計4件(インサイダー取引2件、相場操縦2件)
取引審査の実施件数は、5年連続で1,000件超
公開買付けや業務提携を重要事実とする事案が昨年同様多数
過去に適用例のなかった重要事実による事案を初めて勧告
相場操縦の手法は複雑化・巧妙化
・引け条件付きの成行注文を見せ玉として利用
・売りポジションと引け後のブロックトレードを背景とした上値抑え(大引け)
・売りポジションと引け後のブロックトレードを背景とした上値抑え(大引け)
3.開示規制違反
開示規制違反の再発防止の観点から、課徴金納付命令勧告等を行うとともに、会社の経営陣とその背景・原因について議論 開示規制違反の未然防止の観点から以下の取組み等を実施
・フォワード・ルッキングなマクロ的視点に立った大規模上場会社に対する継続的な監視
・開示情報についての特定のテーマに着目した深度ある分析
・内部統制状況等(海外子会社を含む)の実態把握
・開示情報についての特定のテーマに着目した深度ある分析
・内部統制状況等(海外子会社を含む)の実態把握
4.金融商品取引業者等に対するモニタリング
規模・業態に応じたリスクアセスメントを実施
(規模業態別の業務運営上の問題及びリスクを取りまとめ)
リスク評価業者等にに応じてオンサイト・モニタリングを25件実施
(うち10件には行政処分勧告を実施)
実効性ある内部管理体制の構築等を促す取組みを実施
(「留意すべき事項(顕在化していないものの改善が必要な問題)」を検査終了通知書に記載し問題意識をモニタリング先と共有)
5.証券監視委の新たな課題(RegTechへの取組み)
国内外の金融技術の動向や国内外の規制当局等におけるITの活用状況等について情報を収集 市場監視における技術的課題の分析及びAI導入の事前検証を行い、新たな市場監視システムの導入に向け検討を進めていく
6.関係機関との連携、情報発信等の充実
自主規制機関との間では
・売買審査などで日頃から連携
・定期的な意見交換により、相互の問題意識をタイムリーに共有
・定期的な意見交換により、相互の問題意識をタイムリーに共有
(マクロ経済の動向を踏まえたリスクの所在など)
事案の意義や問題点等をウェブサイト等を通して情報発信
・個別の勧告事案等の公表(イメージ図を利用)
・課徴金事例集等について積極的に寄稿や講演を実施
・課徴金事例集等について積極的に寄稿や講演を実施
7.グローバルな市場監視への貢献
世界217機関が加盟する証券監督者国際機構(IOSCO)において、証券規制の国際的調和や規制当局間の相互協力を目指す議論に積極的に参加 海外当局との連携(情報交換等)により、クロスボーダー取引による違反行為に対して適切な法執行を実施
海外当局への職員派遣、短期研修への参加、セミナーの実施等により、当局間ネットワークの強化や知見・問題意識を共有