情報管理態勢について

証券監視委は、市場の公正性・透明性を確保するため、幅広い情報収集と個別取引の分析等を行い、その結果に基づいて必要な調査を行っています。しかし、内部者取引を防止していくためには、法令による規制やエンフォースメントのみではなく、関係者がそれぞれの立場において求められる役割を適切に果たし、内部者取引を未然に防止するような市場環境を醸成していくことが必要です。

ところで、勧告事案における違反行為者の属性の傾向を見ますと、課徴金制度導入当初は、上場会社の役職員(会社関係者)による内部者取引が多かったのですが、近年は、会社関係者からインサイダー情報の伝達を受けた外部の者(第一次情報受領者)による内部者取引が多くなっている状況が認められます。これらの中には、上場会社の内部管理態勢が不十分なことに起因して、合併や業績予想の修正等の情報が外部に漏れたことなどによる事例が散見されるところです。内部者取引は、まずもって行為者が処断されますが、情報の漏えいを防止できなかった上場会社においても、その情報管理態勢が問われ、ひいては会社の信用に関わることにもなりかねません。

したがいまして、上場会社の情報管理に関して、内部者取引が行われないようにするためには、役職員のみならず、契約締結者等による内部者取引を未然に防止する観点から、内部管理態勢の構築が必要不可欠です。そのための上場会社の取組みとしては次のものが考えられます。

  • インサイダー取引に対する未然防止に向けての上場会社の取組み

    • (1) 自社の役職員による自社株のインサイダー取引

      • 社内での研修・周知
        特に、ルールの理解とともに、内部者取引規制の基本的理念の理解が必要
      • 自社株取引の管理体制の整備、J-IRISSへの役員情報の登録
      • 情報管理の徹底
        情報管理を徹底するためには、重要事実は正式な機関決定よりも相当早い時期に実質的な決定がなされたと認定されるのが通常であることから、これを前提とした社内体制の整備を行う必要がある
      • 重要事実の公表の迅速化(タイムリー・ディスクロージャー態勢)

      <J-IRISSに関する詳細はこちら新しいウィンドウで開きますへ>

    • (2) 社外への情報伝達/漏えいによるインサイダー取引

      • 情報管理の徹底・重要事実の公表の迅速化
        (安易な情報伝達の防止、情報伝達範囲・内容の限定 等)
      • 守秘義務契約の奨励
    • (3) 自社の役職員による他者株のインサイダー取引

      • 社内での職業倫理教育
      • 自社の業務特性から生じるリスクの管理(情報管理、取引管理 等)
  • 株式公開買付けに関しては、証券監視委が過去にまとめた「PDF株式公開買付けに係る実務とインサイダー取引のリスク」をご参照下さい。

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