アクセスFSA 第98号(2011年8月)

アクセスFSA 第97号(2011年7月)

写真1 写真2
財務局長会議で挨拶を行う自見大臣(中央)
(7月29日)
「預保納付金の具体的使途に関するプロジェクトチーム案」について記者会見を行う
和田政務官(7月14日)

目次


「東日本大震災関連情報」について

東日本大震災の発生から、半年が経過しようとしております。

改めて、東日本大震災によりお亡くなりになられた方々に対し衷心よりお悔やみを申し上げますとともに、被害を受けられた被災者の皆様に対して心よりのお見舞いを申し上げます。

金融庁では、引き続き、以下を窓口として「東日本大震災関連情報」を提供しています。

1.東日本大震災関連情報 金融面の対策に全力を挙げています!

金融庁では、ウェブサイト上の「東日本大震災関連情報」ページにおいて、以下の項目別に情報提供をしています。

  • (1)預金者の皆さまへ

    • ○預金通帳や印鑑を紛失した場合でも、本人であることが確認できる書類の提示により、金融機関は預金の払戻しに応じています。

    • ○本人であることが確認できる書類を紛失してしまった場合についても、住所・氏名等をお伺いし、登録内容との一致を確認したうえで払戻しを行うなど、柔軟な対応に努めています。

    • ○預金者本人の死亡時や行方不明時に、親・子ども・配偶者等の方から預金の払出しの求めがあった場合には、必要な要件を満たすことを確認したうえで一定の金額の払出しに応じるなど、柔軟な対応に努めています。

    • ○今般の震災で亡くなられた方や行方不明の方の預金について、ご遺族やご親族がどの銀行に口座があったか分からない場合には、全国銀行協会にご照会下さい。

    • ○他の地域に避難されている場合、お取引金融機関以外の店舗でも預金の払戻しを取り扱っている金融機関があります。

    • ○なお、多くの方々の災害義援金により被災者の皆様方を支援することや、生活の建て直しを図ろうとする被災者の方々が銀行口座等を円滑に開設できるようにすることが極めて重要であることから、本人確認手続きについて必要な施策を講じています。

      詳しくは、こちらをご参照ください。また、義援金等を装った詐欺にご注意ください。

  • (2)お金を借りておられる皆さまへ

    当面の措置について

    • ○金融機関は、災害の影響を直接、間接に受けておられる方から、借入金の返済猶予等や、つなぎ資金の供与等の申込みがあった場合には、できる限りこれに応じるよう努めています。

    • ○災害のために支払いができない手形・小切手の不渡処分(銀行等の取引停止処分等)は猶予されます。

    • ○融資の申込みに対しても、被災された方の実情を踏まえ、融資審査に際しての提出書類等を必要最小限のものとするなど、弾力的・迅速な対応に努めています。

    復興に向けて再スタートを切るにあたり、既往債務が負担となる方々へ

    • ○金融庁は、いわゆる「二重債務問題」に関し、関係省庁と力を合わせて対応しています。政府が平成23年6月17日に策定・公表した「二重債務問題への対応方針」(内閣官房ウェブサイトへリンク)新しいウィンドウで開きますでは、金融庁に関連する施策として、「個人向けの私的整理ガイドラインの策定」、「金融検査マニュアルの運用明確化」といった施策が盛り込まれています。

    • ○「個人向けの私的整理ガイドラインの策定」については、金融庁が参加した「個人債務者の私的整理に関するガイドライン研究会」が、「個人債務者の私的整理に関するガイドライン(Q&A含む)」(「個人債務者の私的整理に関するガイドライン研究会」ウェブサイトへリンク ガイドライン新しいウィンドウで開きますQ&A新しいウィンドウで開きます)をとりまとめ、平成23年8月22日から適用が開始されました。震災の影響により、既往債務を弁済することができない、又は、近い将来に弁済できないことが確実と見込まれる個人の方々が、本ガイドラインに則して弁済計画案の作成等を行い、債権者との間で私的に合意(私的整理)することにより、法的倒産手続による不利益や信用情報機関への登録を回避しつつ、債務免除等を受けることができるようになります。この過程で、第三者機関である「個人版私的整理ガイドライン運営委員会」を利用する際の弁護士費用等を補助するため、平成23年8月19日に「平成23年度東日本大震災復旧・復興予備費」10.7億円の使用が閣議決定されました。

    • ○また、「金融検査マニュアルの運用明確化」については、「十分な資本的性質が認められる借入金」は、金融機関が債務者の財務状況等を判断(債務者区分)するにあたって、負債ではなく資本としてみなすことができる旨、「金融検査マニュアル」において記載されていますが、具体的にどのようなものが「十分な資本的性質が認められる借入金」に該当するのかについてより明確化してほしいとの要望がありますので、今後、その運用の明確化や周知の徹底を図る予定です。これにより、例えば震災の影響から債務超過に陥っている企業であっても、「十分な資本的性質が認められる借入金」を有する企業は、当該借入金を資本とみなすことにより、債務者区分が上昇し、新たな融資が受けやすくなるなどの効果が期待されます。

  • (3)保険に加入されている皆さまへ

    • ○生命保険・損害保険各社は、保険金の簡易・迅速な支払いに努めています。

    • ○保険証券や本人であることが確認できる書類を紛失してしまった場合でも、それぞれの状況に応じた柔軟な対応を行っています。どの保険会社と契約していたか分からない場合については、保険協会や保険会社にご照会ください。

    • ○被災された方については、申し出があれば、保険料の支払い等を猶予しています。

  • (4)上場企業等の皆さまへ

    • ○震災に伴う有価証券報告書等の提出期限については、特例措置を延長するための政令を制定し、本年9月末までに提出すればよいこととしました。

    • ○さらに、各証券取引所では、被災した会社の上場管理や、新規上場に係る審査等について、各種の取組みを行い、柔軟に対応することとしています。

  • (5)金融機関の皆さまへ

    • ○震災による直接・間接の影響により、債務者の実態把握が困難な場合等を踏まえ、資産査定に係る特例措置及び運用の明確化を行っています。

    • ○被災された金融機関が期限どおりに必要な報告書類を当局に提出できない場合、弾力的に対応することとしています。

    • ○また、被災地域等の金融機関が、中小企業金融円滑化法に基づく開示・報告を被災地域の実情に応じた形で行うことができるよう、開示・報告義務を弾力化することとし、内閣府令等を改正しました。

    • ○さらに、震災により、金融機関に様々な影響が生じうることを踏まえ、(1)地域における面的な金融機能を維持・強化するとともに、(2)預金者に安心していただける、万全の枠組みを設けるための、改正金融機能強化法が、平成23年6月22日に成立し、7月27日に施行されました。

    • ○「個人債務者の私的整理に関するガイドライン」(平成23年8月22日適用開始)に基づく債権放棄について、「個人債務者の私的整理に関するガイドライン研究会」からの国税庁への照会を通じ、原則として債権者及び債務者に課税関係が生じないことを確認しました(国税庁ウェブサイトへリンク新しいウィンドウで開きます)。

    • ○貸金業者から借入れを行おうとする被災者の方が、法令に定める手続き等が問題となって、資金を借りられないという不都合が生じないよう、貸金業法施行規則の一部の改正を行いました。

  • (6)金融機関等の相談窓口一覧

  • (7)プレスリリース一覧

  • (8)関連リンク

その他、当ページでは、金融機関等の対応状況として、被災地域の金融機関の状況、金融庁及び財務局の震災対応に関する諸施策並びに金融業界の対応についての情報をご覧になることができます。当該情報は、随時更新しています。

※ 詳しくは、金融庁のウェブサイトのトップページから「被災された皆さまへ金融庁からの重要な情報です」にアクセスして下さい。

2.東日本大震災関連情報 金融庁携帯サイトについて

金融庁では、大震災関連情報を掲載した金融庁携帯サイトを開設しております。

※ 詳しくは、金融庁ウェブサイトのトップページから「金融庁携帯用サイト」及びQRコード(以下) からアクセスしてください。

3.金融庁ツイッターについて

金融庁では、ツイッターを活用して、東日本大震災関連の金融に関する情報を含め、金融に関する様々な取り組み等について、タイムリーな情報提供をしております。

※ 詳しくは、金融庁ウェブサイトのトップページから「金融庁Twitter」新しいウィンドウで開きますにアクセスしてください。


【震災関連トピックス】

東日本大震災に係る保険金・共済金の支払い実績等について

1.保険金・共済金の支払い実績等

金融庁では、東日本大震災に係る、保険金・共済金の支払い見込み額と、支払い実績額を取りまとめ、7月19日、金融庁のウェブサイトで公表しました。

生命保険金、損害保険金(地震保険)については、生命保険協会、日本損害保険協会から、毎週、支払い実績額が公表されておりましたが、これに加えて、損害保険金のうち企業向けのものや、農林水産省が所管するJA共済の共済金や、厚生労働省が所管する全労済の共済金など、東日本大震災によって支払われる可能性があるものについても、各省庁や損害保険会社から情報を集めて取りまとめ、初めて、対外的に公表したものであります。

これによると、支払い総額の「見込み額」は「約2兆7,000億円」となっており、支払い「実績額」は、7月時点において「約1兆8,000億円」となっております。

東日本大震災に係る保険金・共済金の支払い見込み額、支払い実績

保険、共済 支払見込額 備考 実績 備考
●生命保険 2,000億円 4/15公表 900億円 7/7時点
●損害保険
家計向け地震保険
(全社計)
9,700億円 損保業界
試算
1兆500億円 7/7時点
●損害保険(地震保険以外
(損保大手5社)
うち、再保険会社から回収できる額を除いた実質的負担額
6,000億円
(2,000億円)
5/19
決算発表
700億円 7月上旬
時点
●主な共済組合(※2) 9,000億円 4月~5月
公表
6,000億円 7月時点
  • (※)地震・津波等に関する共済金支払いがある、主な共済組合:

     

    JA共済(全国共済農業協同組合連合会)、JF共済(全国共済水産業協同組合連合会)、全労済(全国労働者共済生活協同組合連合会)、都道府県民共済(全国生活協同組合連合会)、コープ共済連(日本コープ共済生活協同組合連合会)(※地震・津波等による建物等の被害を補償する共済金や、生命共済金が支払われる共済組合)

見込み合計 約2兆7,000億円

実績合計約1兆8,000億円

2.地震保険への加入件数

同時に、2011年1月から5月までの、地震保険への加入件数、その伸び率についても公表しました。

地震保険については、これまでは、対前年度比3%前後の伸び率で、加入件数が伸びておりましたが、震災発生後の2011年3月は、+9.4%と伸び率が大幅に増加。その後も4月+19.9%、5月+23.2%となっており、地震を契機に、地震保険に加入された方が大幅に増えた実態が明らかになっております。

地震保険への加入件数

※ 詳しくは、金融庁ウェブサイトの「報道発表資料」から「東日本大震災に係る保険金・共済金の支払い見込み額、支払い実績等について」(平成23年7月19日)にアクセスしてください。


【その他のトピックス】

システム上重要な金融機関(SIFIs)に関する市中協議文書
「G-SIFIsの特定とより高い損失吸収力」・「SIFIsの実効的な破綻処理」の公表について

7月19日、金融安定理事会(FSB)・バーゼル銀行監督委員会(BCBS)において、システム上重要な金融機関(SIFIs)に関する施策の市中協議文書として、(1)「グローバなSIFIs(G-SIFIs)の特定とより高い損失吸収力」、(2)「SIFIs の実効的な破綻処理」の2つが公表されました。

  • 1.背景・経緯

    国際的に活動する銀行に適用されるバーゼルIIIについては、2010年12月、それまでの中央銀行総裁・銀行監督当局長官グループ(GHOS)会合で合意され、G20サミットで了承された内容がテキスト化されたところです。2010年11月のソウル・サミットでは、システム上重要な金融機関(SIFIs)の規制・監督強化に向けた検討の枠組みが合意され、グローバルなSIFIs(G-SIFIs)の特定方法や自己資本の上乗せ規制、破綻処理制度の整備、適正な検査・監督のあり方などの施策について検討が進められました。2011年6月末には、GHOS会合でG-SIFIsの特定手法と自己資本上乗せ規制について大枠で合意がなされ、破綻処理制度の整備についてもFSBで検討が行なわれてきました。

  • 2.市中協議文書のポイント

    • (1) G-SIFIsの特定とより高い損失吸収力

      システム上の重要性は、定量的な「指標ベースアプローチ」に基づいて、「規模」、「相互連関性」、「代替可能性」、「グローバルな活動」、及び「複雑性」の5つのリスク要因に対応した12種類の指標で判定されます。G-SIFIsの個別名や国籍は公表されていませんが、世界の大手行全73行のサンプル中から28 行が選定され、システム上の重要性に応じて、普通株資本で1~2.5%の上乗せが課せれることになっています。この規制は2016年から2019年にかけて段階的に実施され、2019年1月1日に完全実施される予定です。

      システム上重要な金融機関
    • (2) SIFIsの実効的な破綻処理

      公表された市中協議文書では、金融機関の破綻処理に関して、納税者に損失を負わせることなく、システミックな損害を防ぐ枠組みとして以下の仕組みが提示されています。

      • 破綻処理制度の改善(当局が有すべき破綻処理の権限を国際基準として整理)
      • 破綻処理コストの負担方式(破綻時に債権者に負担を負わせる方式(ベイル・イン)を選択肢の一つとして提唱)
      • 当局間の協力取極め(G-SIFI毎に締結。取極めの内容を整理)
      • 再建・破綻処理計画(G-SIFIs毎に危機対応計画の策定を義務付け)
      • 破綻処理のしやすさの評価(一定の基準に基づきSIFI毎に評価)
    • (3) 当庁の評価

      当庁としては、資本の上乗せ規制のみに焦点を絞ることなく、包括的な政策パッケージの策定を目

      指すべきであり、また、各G-SIFIsのリスクの程度を反映したバランスのとれた規制内容とすべきである、との主張を従来から行ってきました。今回の市中協議文書の内容は、こうした我が国の主張も反映されており、評価できる内容と考えています。また、破綻処理制度について、わが国は自国の金融危機の経験を踏まえ、充実した制度を実際に運用しております。今後、必要があれば、FSB の議論を参考にしていきたいと考えています。

       

  • 3.今後の予定

    今回の市中協議文書に対するコメントと回答は、実効的な破綻処理・GIFIsの特定とより高い損失吸収力の各々につき約1ヶ月半の期間が設けられていましたが、この結果を踏まえて、最終的な提言が本年11月のカンヌ・サミットまでに出される予定となっています。


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