アクセスFSA 第106号(2012年4月)

アクセスFSA 第106号(2012年4月)

写真1
企業会計審議会総会・企画調整部会合同会議
で挨拶をする自見大臣(3月29日)

目次

【トピックス】

【お知らせ】

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【3月の報道発表】

【3月のアクセス数の多いページ】

【トピックス】

改正中小企業者等に対する金融の円滑化を図るための臨時措置に関する法律の成立・施行等について

金融庁では、「中小企業者等に対する金融の円滑化を図るための臨時措置に関する法律」の期限を今回に限り平成25年3月末まで1年間延長するための改正法案を、本年1月27 日、第180 回国会(常会)に提出し、同法案は、3月30日に国会で可決・成立、同月31日に公布・施行されました。

(注)中小企業金融円滑化法は、金融機関に対し、中小企業者や住宅ローンの借り手の申込みがあった場合に、できる限り貸付条件の変更等を行う努力義務を課すこと等を内容とする。同法は、23年3月末をもって失効するものとされていたが、同法の期限を1年間延長する中小企業金融円滑化法一部改正法案が昨年3月31日に成立・公布・施行されていました。

これは、昨年12 月27日に決定・公表した「中小企業金融円滑化法の期限の最終延長等について」を踏まえたものです。その中で、中小企業金融円滑化法については、金融規律の確保(健全性の確保・モラルハザード防止)のための施策を講じる一方、中小企業者等の経営改善支援を含む総合的な「出口戦略」を推進するとともに、事業再生等の支援に軸足を円滑に移していく「ソフトランディング」を図る必要があることから、その期限を今回に限り平成25年3月末まで再延長することとしていました。

金融庁としては、このような施策を推進することにより、金融機関の業務の健全かつ適切な運営の確保に配意しつつ、金融の円滑化を図るとともに、中小企業者等の経営改善を積極的に支援していきます。

なお、金融庁は、中小企業金融円滑化法の期限の最終延長等について、幅広く周知するため、PDFパンフレットを作成していますので、御参照下さい。

※ 詳しくは、金融庁ウェブサイトの「広報報道」の中の「報道発表資料」から「改正中小企業金融円滑化法の成立・施行等について」(4月2日)にアクセスして下さい。


犯罪利用預金口座等に係る資金による被害回復分配金の支払等に関する法律第二十条第一項に規定する割合を定める命令の一部を改正する命令(案)に対するパブリックコメントの結果等について

金融庁では、平成24年1月27日(金)から平成24年2月27日(月)にかけて、「犯罪利用預金口座等に係る資金による被害回復分配金の支払等に関する法律第二十条第一項に規定する割合を定める命令の一部を改正する命令(案)」を公表し、広く意見の募集を行い、その結果等を平成24年3月21日(水)に公表しました。

本件の命令は、平成24年3月21日(水)に公布され、平成24年4月1日(日)より施行されています。(下記1.の「留保割合」の変更については平成24年3月21日付で施行されています。)

本件の命令の概要は以下のとおりです。

  • 1.口座名義人の事後的な救済のために金銭を留保する割合の変更[第一条]

    「犯罪利用預金口座等に係る資金による被害回復分配金の支払等に関する法律」(いわゆる「振り込め詐欺救済法」)第20条第1項の規定により、預金保険機構に納付された金銭(預保納付金)については、誤って失権された口座名義人の事後的な救済に備えるため、その一定割合を留保しておくこととされていますが、預保納付金の納付状況等を踏まえると、大幅に引き下げても制度の円滑な運用に支障はなく、必要額を確保可能であることから、当該金銭を留保する割合について、現行の100%から10%へ変更しました。

  • 2.預保納付金の具体的使途及び担い手団体の要件の規定[第二条]

    振り込め詐欺救済法第20条第1項の規定により、留保されなかった預保納付金については、「犯罪被害者等の支援の充実のために支出する」こととされており、1.の留保割合の変更に伴い預保納付金の具体的な使途を規定する必要が生じるところ、PDF「振り込め詐欺救済法に定める預保納付金を巡る諸課題に関するプロジェクトチーム」の最終取りまとめの提言内容を踏まえ、預保納付金の具体的使途として「犯罪被害者等の子供に対する奨学金貸与」及び「犯罪被害者等支援団体に対する助成」両事業に支出すること、並びに、これらの事業の担い手となる団体の要件を規定しました。

  • 3.団体と預金保険機構が締結する協定の要件の規定[第三条]

    2.の要件を満たす団体と預金保険機構が締結する協定の要件を規定しました。

今後は、預保納付金を用いた「犯罪被害者等の子供に対する奨学金貸与」及び「犯罪被害者等支援団体に対する助成」両事業の担い手として決定された団体において、両事業が速やかに開始され、広く犯罪被害者等の支援が展開されるよう、適切な対応に努めていきます。


「銀行窓販に関する保険法令解釈事例集」の改定について

銀行等による保険販売規制に関しては、平成23年9月に改正が行われ、平成24年4月から施行されています。このため、今般、改正された内容等に関する法令の解釈について、整理・補充を行いました。


有価証券報告書の作成・提出に際しての留意事項と有価証券報告書レビューの実施について

金融庁では、平成24年3月30日に、有価証券報告書等の適切性確保のための検査・モニタリングの強化策の一つとして、「有価証券報告書の作成・提出に際しての留意事項と有価証券報告書レビューの実施について」を公表しました。

本件の概要は以下のとおりです。

  • 1.有価証券報告書の作成・提出に際しての留意事項

    平成24年3月期以降の有価証券報告書の作成に当たり留意すべき事項等について、以下のとおり、集約・整理しました。

    • (1)開示制度・会計基準の改正等

      平成24年3月期以降に適用される開示制度・会計基準のうち、特に留意していただきたい点は、以下の2点です。

      • ○「会計上の変更及び誤謬の訂正に関する会計基準」公表に伴う連結財務諸表規則等の改正

      • ○「経済社会の構造の変化に対応した税制の構築を図るための所得税法等の一部を改正する法律」等の公布に伴う税効果会計への影響

    • (2)最近の課徴金事案、自主訂正事案等を踏まえた留意事項

      近年、多く見られるようになってきた不適切な会計処理の類型のうち、特に留意していただきた い点は、以下の3点です。

      • ○無形固定資産の減損について

      • ○貸倒引当金等の引当金の適切な計上について

      • ○連結子会社等における会計処理について

    各提出者におかれましては、PDF「有価証券報告書の作成・提出に際しての留意事項について(平成24年3月期版)」の内容をご参照のうえ有価証券報告書を作成し、各財務局及び福岡財務支局並びに沖縄総合事務局(以下「財務局等」といいます。)へ提出願います。

  • 2.有価証券報告書レビューの実施について

    • (1)法令改正関係審査について

      3月決算企業については、所管の財務局等より、PDF「有価証券報告書レビュー法令改正関係質問事項(平成24年3月期版)」の質問を送付しますので、各提出者におかれましては、自社の状況を正確にご回答下さい。

    • (2)重点テーマ審査について

      提出された有価証券報告書のうちから、特定の事項に着目して審査対象を抽出し、提出者に対する質問・ヒアリングを含めた審査を実施します。

      審査に当たっては、所管の財務局等より該当提出者に対し、具体的な質問事項を送付させていただきますので、ご協力のほどよろしくお願いします。

      本年度の重点テーマは

      • ○無形固定資産(のれんの計上額を含む)の評価

      • ○投資有価証券(ファンドに対する投資を含む)の評価

      • ○関連当事者取引(役員に対する貸付を含む)

      とさせていただきます。

    • (3)情報等活用審査について

      上記の重点テーマに該当しない場合であっても、適時開示や報道、提供された情報等を勘案し、所管の財務局等より、具体的な質問事項を送付させていただくことがありますので、ご協力のほどよろしくお願いします。

※ 詳しくは、金融庁ウェブサイトの「広報報道」の中の「報道発表資料」から「有価証券報告書の作成・提出に際しての留意事項と有価証券報告書レビューの実施について」(3月30日)にアクセスして下さい。


「中小企業の会計に関する検討会報告書」の公表について

金融庁では、中小企業関係者等が主体となって設置された「中小企業の会計に関する検討会」は、平成24年2月1日に公表した「中小企業の会計に関する基本要領」(以下「中小会計要領」という。)を広く普及させ、その活用を促進するための方策について検討を行い、3月27日、普及・活用策を含めた最終報告書を取りまとめ、公表しました(中小企業庁及び金融庁は共同事務局)。

中小企業関係者、金融機関関係者、会計専門家等(以下「各機関・団体」という。)が一丸となって「中小会計要領」の普及・活用に取組むことで、中小企業が「中小会計要領」に従った会計処理を行い、その結果、中小企業の経営力の強化や資金調達力の強化等に繋がることが期待されます。

この報告書の主な内容は以下のとおりです。

  • 1.「中小会計要領」の意義

    「中小会計要領」に従った会計処理を行うことにより、経営者が必要な財務情報を入手し、それに基づき自社の経営状況を的確に把握することは、新規投資や経営改善の際の適切な経営判断の前提であり、また、金融機関等の利害関係者に対して、正確に自社の財務情報や経営状況を説明するために必要です。中小企業の経営者が、会計の重要性を認識し、財務情報に基づき経営判断を行うことにより、企業の経営力や資金調達力の強化や取引拡大に繋がることが期待されます。

  • 2.主な普及・活用策

    • (1)広報・普及

      各機関・団体の1万4千箇所を超える拠点を通じてパンフレット等を中小企業に配布します。

    • (2)研修・セミナー

      各機関・団体がそれぞれ中小企業、会計専門家、指導員等向けに、「会計啓発・普及セミナー」等の研修・セミナーを全国各地で開催します。

    • (3)計算書類等の作成支援

      会計専門家による信頼性ある計算書類作成の相談、指導を行うとともに、中小企業関係団体による記帳指導・窓口相談において、適切な助言を行います。

    • (4)活用

      各機関・団体は、中小企業が中小会計要領により会計処理を行い、それによる財務情報を活用することを促進するために、例えば以下の取組みを行います。

      • ○日本政策金融公庫は、「中小会計要領」適用・活用企業に対する金利優遇制度を創設・拡充します。

      • ○金融庁は、監督指針・金融検査マニュアルにおいて、金融機関が顧客企業に対して助言するにあたり「中小会計要領」等の活用を促していくことも有効であること等を記載します。

      • ○中小企業庁は、法律に基づく経営革新計画等の認定にあたり、「中小会計要領」に従った計算書類の提出を慫慂するとともに、補助金採択にあたっては、「中小会計要領」に従った計算書類の提出があった場合には一定の評価を行います。

    (参考)「中小会計要領」は、中小企業の実態に即して、税制との調和や事務負担の軽減を図る観点から、多くの中小企業の実務で必要と考えられる項目に絞って、簡潔な会計処理等を示しています。

※ 詳しくは、金融庁ウェブサイトの「広報報道」の中の「報道発表資料」から「中小企業の会計に関する検討会報告書」の公表について~「中小企業の会計に関する基本要領」の普及・活用策について~(3月27日)にアクセスして下さい。

また、「中小企業の会計に関する基本要領」については、上記同様に「中小企業の会計に関する基本要領」の策定について~「中小企業の会計に関する検討会報告書(中間報告)」公表~(平成24年2月1日)にアクセスして下さい。


「中小・地域金融機関向けの総合的な監督指針」、「中小企業者等に対する金融の円滑化を図るための臨時措置に関する法律に基づく金融監督に関する指針(コンサルティング機能の発揮にあたり金融機関が果たすべき具体的な役割)」及び「金融検査マニュアル」の一部改正(案)の公表について

金融庁では、平成24年3月27日(火)から平成24年4月26日(木)にかけて、「中小・地域金融機関向けの総合的な監督指針」、「中小企業者等に対する金融の円滑化を図るための臨時措置に関する法律に基づく金融監督に関する指針(コンサルティング機能の発揮にあたり金融機関が果たすべき具体的な役割)」及び「金融検査マニュアル」の一部改正(案)を公表し、広く意見の募集を行っております。

今般の改正は、金融機関が、顧客企業に対して、顧客企業自らの経営の目標や課題を正確かつ十分に認識できるよう助言するに当たっては、「中小会計要領」等の活用を促していくことも有効であること等を記載するものです。


中小企業の業況等に関するアンケート調査結果の概要について

金融庁では、中小企業金融の実態把握の一環として、平成24年2月中に、全国の財務局等を通じて、各都道府県の商工会議所47先を対象に、会員企業の業況や資金繰りの現状と先行き等について聴き取り調査を実施したところ、その調査結果の概要は以下の通りとなりました。

  • 1.中小企業の業況感は、厳しい状況が続いています。なお、現状D.I.のマイナス幅は前回調査に比べ僅かながら縮小しています。

    悪化の要因としては、「売上げの低迷」の割合が最も大きく、次いで、「販売価格の下落」となっています。

    中小企業の業況感(クリックすると拡大画像が表示されます)
  • 2.中小企業の資金繰りも、厳しい状況が続いています。なお、現状D.I.のマイナス幅は前回調査に比べ僅かながら縮小しています。

    悪化の要因としては、「中小企業の営業要因」の割合が最も大きく、次いで「その他震災等の影響」となっています。

    中小企業の資金繰り(クリックすると拡大画像が表示されます)

(参考1)東日本大震災に関連した業況感に関する主なコメントについては以下のとおりとなっています。

  • ≪製造業≫

    • 震災直後よりは持ち直してきており、水準としては前年レベルに近づいている(岩手県)

    • 震災復興キャンペーンにより一部飲食料品の出荷は上向いているが、総じて売上げは現状維持もしくは減少している。需要停滞や製品単価の低下は依然として続いている(秋田県)

    • 自動車付属品等の製造業では、震災により東北地方で製造できなくなった製品の大量受注があり売上げが増加している(新潟県)

    • 円高により受注単価の低下は見られるが、震災やタイの洪水による影響で製造できなくなった部品等の代替受注があり、業況に特段の問題は見られない(三重県)

    • 工作機械や自動車部品を製造する大手メーカーの下請企業は、震災の影響により年度上期の売上げが減少し厳しい業況であったが、現状はメーカーの生産量の回復から震災前の水準に戻りつつあるとの声もある(大阪府)

    • 震災後、原材料費が依然として高止まりの状況にあるため、受注単価はさらに厳しくなっており、利益確保が困難である(佐賀県)

    • 震災やタイの洪水の影響は薄れており、生産の遅れを取り戻すためフル稼働している状況だが、震災前の水準にまで回復していない(大分県)

  • ≪小売業≫

    • 他県への人口の流出に歯止めがきかず、空洞化・長引く風評被害の影響で売上げが減少している(福島県)

    • 節電などの特需はなくなり家電製品は引続き減少傾向となっており、小売業全体としても個人消費の低迷などにより業況は悪化傾向である(栃木県)

    • 震災の影響は和らいでいるが、消費マインドが回復しておらず消費は全般に低調である。小売業界全体では、量販店の値引き競争の影響が経営を圧迫していることもあり、総じて厳しい状況が続いている(愛媛県)

    • 節電等の影響から節約志向が進み、消費行動の減少が業況悪化に繋がっている(宮崎県)

  • ≪卸売業≫

    • 企業の物流が滞っている状況はなく、ほぼ震災前に戻っている。特に大きな懸念材料もない(山形県)

    • 震災の影響による営業エリアの縮小や県産品の風評被害により、需要の停滞が続いていている (福島県)

    • 原発事故による米穀類の風評被害がまだ続いており、売上げにも影響している。他県産品のものが流入してきていることもあり価格を上げられない(茨城県)

    • 従来からの不況に加え、震災の影響により国内市場の縮小が進む中、一部の企業では海外との取引を開始して打開を図る動きも見られる(東京都)

    • 震災の復興需要等により、建設資材など建設関連が堅調な動きを見せている(神奈川県)

    • 建設資材の多くが東北地方の復興に回されているためか、建設資材の仕入価格が高止まりしている。それを販売価格に転嫁できず利益は圧迫されているが、以前にも増して業況が悪くなったとの声も聞かれず、現状維持の状況だと思われる(福岡県)

  • ≪建設業≫

    • 復興関連工事の影響から総じて堅調である一方、原材料費や人件費の値上りから利幅は減少している(岩手県)

    • 住宅建設、道路工事など民間・公共工事とも復興需要により業界全体が好調である一方で、職人不足が顕在化しており、「仕事はあるが受注できない」状況がみられる(宮城県)

    • 除染作業等の受注も増えてきているが、技術者の確保が難しい(福島県)

    • 復旧・復興関連工事や年度末の公共事業の受注などでかなり繁忙であったが、公共事業については受注単価の低下により収益の回復にはつながっていない(栃木県)

    • 東北地方における震災特需の影響で資材価格が高騰しているものの、価格転嫁ができていない(宮崎県)

  • ≪サービス業≫

    • 盛岡市では震災の影響が比較的軽微であったためコンベンションが好調であるが、全体的には前年並みである(岩手県)

    • ホテル・旅館等は、復旧人員の利用が少なくなってきているものの、客室稼働率は高い(宮城県)

    • 他県への人口流出や、長引く風評被害のほか、県外からの団体客を中心に観光客が減少している影響から売上げが減少している(福島県)

    • 震災による自粛ムードはなくなってきているが、震災前の状況には戻っていない(茨城県)

    • 震災により減少した海外からの観光客が戻りつつあるなど、回復傾向である(福岡県)

  • ≪不動産業≫

    • 住宅建設等の復興需要が本格化しているが、被災地の復旧工事が優先され、住宅建設に遅れが生じていることから、需要に供給が追いつかず、不動産賃貸料も上昇している(宮城県)

    • 賃貸物件については、県による被災者向けの住宅支援策の影響などから地元の人が希望する物件に住めないなど、供給不足の状態が続いている(山形県)

    • 被災者の避難に伴う賃貸物件の新規需要はなくなっており、新規の土地売買についても原発事故による放射線量の問題などから動きはない(福島県)

    • 震災後における雇用の不安感や自然災害への不安感から、住宅取得者が減少する等、需要の低迷により業況は悪い(和歌山県)

  • ≪運輸業≫

    • 震災の影響は見られなくなっており、業績は回復基調にある(岩手県)

    • 仙台港の代替によるコンテナ貨物量の増加や冬の電力需要による化石燃料の取扱量の増加から、売上げが増加している(秋田県)

    • 物流は、震災による影響はほぼ無くなり比較的順調である。高速道路無料化の効果も大きい(山形県)

    • 建築資材の運搬など一部に復興関連の需要が続いているが、原発事故による風評被害の影響から県産品の物資運搬が低迷している(福島県)

    • 震災特需の効果が次第に薄れ、輸送貨物量が前年割れをするようになった(新潟県)

    • 震災時の物流・輸送面の影響は回復しているが、同業者間の競争激化から受注価格の維持が難しくなっており、業況は厳しい状況が続いている(愛媛県)

(参考2)円高に関連した業況感に関する主なコメントについては以下のとおりとなっています。

  • ≪製造業≫

    • 円高に伴う大手電子部品メーカーによる工場再編の影響は見られないが、影響がすぐには現れない孫請けなどの零細事業者への今後の影響を懸念している(秋田県)

    • メーカーの下請けや孫請けが多く、従前からの値下げ要請はあるものの、円高やタイの洪水が影響しているという企業は少ない(山形県)

    • 円高により自動車部品製造の利幅は減少しているが、受注は安定している(群馬県)

    • 円高により取引先の慎重姿勢が強まっており、極端な小ロットや短い納期の発注が相次ぐなど、受注環境が悪化している(東京都)

    • 円高や欧州経済、中東情勢不安などにより、発注の見合わせや受注価格の引下げの要求などから、売上げが減少している(石川県)

    • 円高による影響は多少あるものの、業況判断はマイナス幅が縮小し景気は緩やかながら回復基調にある(香川県)

    • これまで小規模零細企業は円高の影響をあまり受けていなかったが、円高が続いているため大手企業からの受注単価引下げなどにより利益率が圧迫されており、総じて厳しい状況が続いている(愛媛県)

    • 円高による悪影響は聞かれないが、需要は低迷している(山口県)

    • 円高の影響により、中国や韓国の企業との受注競争から造船関連は依然として厳しいほか、一部商品では安価な輸入品の増加に伴い競争が激化している(長崎県)

  • ≪小売業≫

    • 業況は、悪化幅が縮小傾向にあるが、売上げ・採算は依然として厳しい状況にある。小売業からは円高を歓迎する声があっても良いと思うが、円高の恩恵を受けているといった話は聞かない(滋賀県)

  • ≪卸売業≫

    • 食品加工用の原材料高は、円高のおかげで相殺できているが、売上げが上がらない(新潟県)

    • 年々価格競争が激しくなり販売価格が低下しているが、仕入等にかかる円高メリットは聞かれず、仕入価格は逆に少しずつ上がっており収益は悪化している(広島県)

  • ≪サービス業≫

    • 震災と円高により海外からの観光は壊滅状態であったが、欧米を中心に少しずつ戻りつつある(長野県)

    • 震災の影響は少なくなっているが、円高に伴い海外からの観光客が減少しており、総じて見ると悪い状況は変わらない(長崎県)

※ 詳しくは、金融庁ウェブサイトの「広報報道」の中の「報道発表資料」から「中小企業の業況等に関するアンケート調査結果の概要」について(3月30日)にアクセスして下さい。


平成23年度 地域密着型金融に関する取組みへの顕彰について

金融庁では、平成23年5月に「中小・地域金融機関向けの総合的な監督指針」を改正し、地域金融機関(地域銀行、信用金庫、信用組合)の規模・特性を踏まえた自主性・創造性を発揮した地域密着型金融の取組みを促進してきたところです。

そのような地域密着型金融への取組みの動機付けや環境整備を図るとともに、金融機関間の知見やノウハウの共有に資する観点から、「特に先進的な取組み」や「広く実践されることが望ましい取組み」に対し顕彰を実施することとしています。

各財務(支)局・沖縄総合事務局においては、顕彰にあたって「顧客企業に対するコンサルティング機能の発揮」や「地域の面的再生への積極的な参画」などの取組みについて中長期的な視点に立ち組織全体として継続的に推進している地域金融機関を中心に選定しています。

※ 詳しくは、金融庁ウェブサイトの「広報報道」の中の「報道発表資料」から「平成23年度 地域密着型金融に関する取組みへの顕彰について」(3月23日)にアクセスして下さい。


保険会社に係る検査評定制度(保険検査評定制度)(案)に対するパブリックコメントの結果等について

金融庁では、平成24年2月23日(木)から平成24年3月23日(金)にかけて、「保険会社に係る検査評定制度(保険検査評定制度)(案)」を公表し、広く意見の募集を行い、その結果等を平成24年3月30日(金)に公表しました。

本制度は、平成24年4月1日以降予告する(無予告の場合は、同日以降立入を開始する)検査より、「試行」を開始しています。

「検査評定制度」は、

  • 1.検査マニュアルに基づき検証した検査結果を段階評価(A~Dの4段階)することより、金融機関の自主的・持続的な経営改善に向けての取組みや検査官と金融機関との双方向の議論を促すこと、

  • 2.評定結果を選択的な行政対応(注1)に結びつけ、検査の効率化等を図るとともに、金融行政の透明性等を向上させること

を目的に、平成17年7月に創設し、銀行等を対象に導入しています。

一方、保険検査評定制度の導入については、銀行等の「検査評定制度」の運用状況等を踏まえて検討することとしていましたが、銀行等の「検査評定制度」が相当程度定着してきたと考えられること等を踏まえ、本年2月23日から3月23日までの間、保険検査評定制度(案)についてパブリックコメントを実施しました。

その結果等も踏まえ、保険検査評定制度について、平成24年4月1日以降予告する(無予告の場合は、同日以降立入を開始する)検査から「試行」(注2)を開始することとしたものです。

(注1)検査結果をその後の検査の濃淡(検査頻度、範囲、深度)に反映させること。

(注2)試行期間中の評定結果は、選択的な行政対応には反映させないこととしています。

保険検査評定制度の概要は、以下のとおりです。

  • ○評定項目

    保険検査マニュアルのカテゴリーに沿って、「経営管理( ガバナンス) 態勢 - 基本的要素 -」「法令等遵守態勢」「保険募集管理態勢」「顧客保護等管理態勢」「統合的リスク管理態勢」「保険引受リスク管理態勢」「資産運用リスク管理態勢」「オペレーショナル・リスク等管理態勢」の8項目

  • ○評定段階

    A、B、C、Dの4段階評価。

    • A:強固な管理態勢が経営陣等により構築

    • B:十分な管理態勢が経営陣等により構築

    • C:管理態勢が不十分で改善が必要

    • D:管理態勢に欠陥又は重大な欠陥

  • ○対象保険会社

    生命保険会社、損害保険会社、外国生命保険会社等(特定法人を含む)、外国損害保険会社等(特定法人を含む)。

※ 詳しくは、金融庁ウェブサイトの「広報報道」の中の「報道発表資料」から『「保険会社に係る検査評定制度(保険検査評定制度)(案)」に対するパブリックコメントの結果等について』(3月30日)にアクセスして下さい。


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