政府によるインセンティブ

世界に開かれた国際金融センターとしての日本の地位を確立していくために、金融行政の英語対応といった金融当局の対応だけでなく、税制や在留資格など、政府が一丸となって諸施策に取り組んでいます。2022年5月には、岸田首相がロンドンでのスピーチで以下述べたように、引き続き、人材・企業・資金を呼び込む国際金融センターを目指していきます。

Mr.Kishida

画像出所: 首相官邸ホームページ(https://www.kantei.go.jp/jp/101_kishida/actions/202205/05uk.html
画像はトリミングされています。

「私からのメッセージは一つです。『日本経済は、これからも、力強く成長を続ける。安心して、日本に投資して欲しい。』、Invest in Kishidaです。もちろん、日本には多くの課題があります。私は、この解決のため、先頭に立って真正面から改革を進める覚悟です。 」

拠点開設サポートオフィス

2021年1月に、英語でのワンストップ窓口として「拠点開設サポートオフィス」が設立されました。当オフィスにより、英語による事前相談から業登録、その後の監督に至るまで、すべて英語で行うことができます。

詳細は拠点開設サポートオフィスをご参照ください。

現在、英語プロセスの対象となっているライセンスは以下のとおりです。

登録

  • 投資運用業(金融商品取引法(以下、「法」)第 28 条第 4 項)
  • 投資助言・代理業(法第 28 条第 3 項)
  • 運用業務に関連する第二種金融商品取引業
    1. 運用業者が自社設定した投資信託やファンドの販売業務を行う場合(法第 28 条第 2 項第 1 号)
    2. 特定投資家を相手方として、グループ会社が運用する組合型ファンド(集団投資スキーム持分)の販売業務を行う場合(法 28 条第 2 項第 2 号)
    3. 投資法人の資産運用会社及び適格投資家向け投資運用業者のみなし第二種金融商品取引業に係る業務を行う場合(投資信託及び投資法人に関する法律第 196 条第 2 項、法第 29 条の 5 第 2 項)
  • 特定投資家を相手方とし、外国投資証券等の一定の有価証券のみを取り扱う第一種金融商品取引業

届出

  • 主として海外のプロ投資家(外国法人や一定の資産を有する外国居住の個人)を顧客とするファンドの投資運用業者(法第 63 条の 9)
  • 海外において当局による許認可等を受け、海外の顧客資金の運用実績がある投資運用業者(海外の資金のみ運用)(法附則第 3 条の 3)

「金融創業支援ネットワーク」モデル事業

国外から新規に日本に来る資産運用業者や金融プロフェッショナルが、新たに日本で拠点を開設する際、最大で2000 万円のうち70%を目安として、実際に掛かった費用を支援します

詳細は金融創業支援ネットワーク(モデル事業)をご参照ください。

※本事業の実施期間は2024年3月31日までです。

税制優遇措置

税については、相続税・所得税・法人税で取組がありました。

現状

Corporate tax

法人税

運用会社に課税

Inheritance tax

相続税

ファンドマネージャー等の相続人に課税

Income tax

所得税

ファンドマネージャー等の個人に課税

30%

役員の業績連動報酬
上場会社:損金算入可能
非上場会社:損金算入不可

0-55%

10年超居住…全世界財産
10年以下居住…国内財産のみ

0-55%

ファンドマネージャーのファンド持分に対して運用成果を反映して分配される利益

金融所得にあたるかが不明確

対応

2021年11月22日施行

2021年4月1日施行

2021年4月1日公表

投資運用業を主業とする非上場の非同族会社等について、業績連動給与の算定方法等を金融庁のウェブサイトへ掲載する等の場合には、損金算入を認める

勤労等のために日本に居住する外国人について、居住期間にかかわらず、国外財産を相続税の課税対象外とする

利益の配分に経済的合理性がある場合等においては、総合課税(累進税率、最高55%)の対象ではなく、「株式譲渡益等」として分離課税(一律20%)の対象となることを明確化する。

在留資格の利便性向上

在留資格についても、「高度外国人材」の資格の取得が容易になると同時に、優遇措置が拡大されています。


2020年12月8日に閣議決定された「国民の命と暮らしを守る安心と希望のための総合経済対策」において、海外事業者が安心して日本でのビジネスを検討できる環境を整備する一環として、在留資格関連の利便性向上のための諸施策を行っていくこととなりました。これを受けて、資産運用ビジネスの関係者などに向けて、下記の特例措置等が利用可能となっております。

(注)○はいずれも資産運用業者等に対する特例

高度人材について

  • 様々な優遇措置を受けられる「高度専門職」の在留資格を得るために必要なポイントに、資産運用業者等向けのポイント項目(10点加算)を追加
  • 上記「高度専門職」の在留資格を得る場合、優先処理(10日以内を目処)の対象となる

家事使用人について

  • 資産運用業等に従事する高度人材について、
    • 13歳未満の子供がいる等の家庭事情がなくても家事使用人を雇用することが可能に
    • 世帯年収が3,000万円以上である場合に雇用可能な家事使用人の人数を1名→2名に増加

「短期滞在」の在留資格に係る特例措置について

  • 起業準備のため在留資格「短期滞在」で入国した場合でも、一定の要件を満たせば(注1)、事業開始前に日本から出国することなく「短期滞在」の在留資格から直接「高度専門職」、「経営・管理」等への変更が可能に

    (注1)「短期滞在」で在留中に投資運用業等の登録を受けたこと 等

配偶者について

  • 高度人材の配偶者は一定の要件(注2)を満たせば就労資格を取得することなくフルタイムでの就労が可能
  • 上記についても、優先処理(10日以内を目処)の対象となる

    (注2)高度人材本人と同居し、日本人と同等額以上の報酬を受けて「技術・人文知識・国際業務」等に該当する活動を行うこと