(記者)態勢整備方針でございますが、人員の増強というのはどの程度お考えなのでしょうか。 (高橋)なかなか難しい話ではございます。予算等の中で考えていかなければなりません。また、当然、社会の流れというものも考えていかなければなりません。少なくとも、例えば、違法事犯の摘発を行っている調査関係の部署、現在40名でやっておりますが、これを倍増していただければ相当程度の仕事ができるであろうと考えております。 (記者)監視委員会と金融庁の関係部局を一本化するですとか、準司法的な機能を持たせてはどうだろうか、さらには民間から職員を採用しやすい組織にしてはどうか、という米国のSECを目指す考えがあると思いますが、このような考えについて、どのようにお考えですか。 (高橋)紋切り型の答えをするならば、組織運営の問題は監視委員会の権限外であるといえば済むことであります。しかしながら、皆さんそれでは満足されないと思いますので、私の個人的な見解としてお聞きいただきたいと思います。いろいろと論議されているものの中心は、権限を拡大することと人員を増やすということであります。このような考えについて、監視委員会の委員長である私が「それはおかしい」というのは、それこそおかしい話で、大変ありがたい話であると思います。しかしながら、組織というものは、それぞれ一長一短があります。したがいまして、組織論を論ずるならば、それぞれの組織のメリット、デメリットはどこにあるかということを十分に考え、しかも1つの組織論がまとまった段階であっても、その組織をどこに所属させるかということも十分に考えなければなりません。結論を申し上げますと、組織論をその時々の流れの中で十分に議論していくというのは望ましいことではありますが、その中で考えていかなければならない問題は山ほどあるということでございます。証券資本市場に対する権限は主として、私どもの委員会と金融庁のいくつかの部局が行使していますが、現段階では、それぞれの権限を前提にしながら、どうすれば個人投資家の信頼を得ることのできるような市場にできるか、そのための効果的な働きをする方法とは何かということを考えていくことが先決だと思っております。 (記者)先日の国際証券の事案では、執行役員自らが検査忌避を行っており、証券市場の一方の主人公である証券会社があまりにも旧態依然としているのではないかと思いますが、今後、このような問題に対して委員長はどのように対処していくのか、お話しいただきたい。 (高橋)監視委員会の権限としては、1つ目は証券市場を審査、すなわち、証券市場を眺め回して問題点はないか点検するというやり方、2つ目は検査で証券会社に赴いて、その会社の取引、その他を見させていただいて、その中に公正性を害するような行為、法違反的な行為がないかどうかということを調査していくやり方、そして、3つ目は特別調査課が行う違法事犯を摘発し、それを告発して刑事裁判として処理をするというやり方でございます。皆さんご承知の通り、検査においても、調査においても、問題点が多く指摘されております。したがいまして、ご指摘のように、まだまだ証券会社をはじめとして問題点は解消されてはいないということでございます。国際証券の場合は、やや特異な事例で、これがすべての証券会社であるということではありません。しかも、証券会社の中で、役員の方もそうでございますし、一般の職員の方々も、だんだんと顧客のために適正な行為を行うことの重要性について認識を持ち始めているところでございます。それで、私は決して証券会社のあり方に絶望しているわけではございません。しかしながら、問題があることも間違いございません。この問題への対策で1番重要なことは、証券会社の皆さんに、仮に利益に結びつかなくても、あるいは多少利益に響いたとしても、投資家の利益のために働くことがひいては自社の利益になるということを理解していただくことであります。ここをきっちりと理解していただけば、このような問題は起きないであろうと思います。また、先ほど申し上げましたが、監視委員会は、法令違反があれば指摘し、あるいは調査し、けりをつけていくという姿勢を続けていくということでございます。この2つを重視したいと思います。 (記者)なぜ個人投資家の保護なのか、また、インターネットについてですが、他の国々に比べて日本の法体系でインターネット取引を規制していく上で難しい面、情報収集活動で具体的にはどのようなものが足りないか、どのように強化していくか、ということをお願い致します。 (高橋)まず、なぜ個人投資家かということでございますが、日本の経済は、これまで銀行を中心とした間接金融により発展してきたわけであります。しかし、今日、そこにいろいろな問題が出て来たということでございます。さらに、金利が下がってきたということも影響しておりますが、個人が証券市場に目を向け始めています。今、このような状況で個人投資家が火傷をしたならば、証券市場から手を引いていく可能性が強いと思います。個人投資家の保護は、日本の経済が健全に発展していくために極めて重要なことだと思います。 (記者)アナリストの監視の強化という問題もあり、その中で、アナリストの株価のプライス・ターゲットが違法であるとの一部報道がなされているが、このことについては、どのようにお考えでしょうか。 (高橋)監視委員会に与えられているのは、市場の公正性の確保についての権限でございます。アナリストの行動に対応する権限は私どもには与えられておりません。ですから、アナリストが何かをしているようだから、調査をするということはできません。ただ、仮に、アナリストの中に意識的に虚偽の情報を流して株価を操縦するというようなことがあれば、風説の流布ということになり、そういう形でのアクセスであれば私どもでもできます。その他のことにつきましては、権限外でございますので、コメントを控えさせていただきます。 (記者)どうもありがとうございました。 (高橋)どうもありがとうございました。 |