高橋委員長記者会見の概要

(平成16年7月20日(火)14時30分~14時45分)


(高橋

監視委員会の委員長に再任されました高橋でございます。どうぞご支援のほどよろしくお願いします。再任でございますから特別感慨というものはございません。平成13年に委員長になりました際に、私の基本方針として委員長談話を発表させて頂きました。これからの基本方針もほぼこれに尽きるものでございます。新たに付け加えるべきものもそう多くはございません。ご承知の通りだと思いますけれどその際に私はこの委員会の活動の方針として、一つは、証券取引の仲介者、すなわち証券会社の法違反行為に対して厳しく検査をしていくということを申し上げました。もう一つは、証券市場での犯罪行為、例えばインサイダーや相場操縦の問題、風説の流布等に対して厳しく調査をし且つ必要に応じて告発をしていくということでございます。これからもこの基本方針は堅持していきたいと思っております。ただ、その後、証券市場も色々変化がございます。例えば、発行会社の情報開示、これが適正になされているかどうかということは、証券市場の発展のために欠くことができないものでございます。これは、例のエンロン問題を出すまでもなく当然のことでございます。今後、このような情報の開示問題につきましても我々は厳しい目で検査をしていきたいと考えております。メモにしてお渡ししてあります重点事項ということでありますが、我々は今かなり大きな問題に直面しております。一つは、来年の四月から課徴金制度が導入されます。これをいかに運営していくかということが当面の問題として挙げられるわけでございまして、この適正な運営に努力をしていきたいと考えております。二つ目でございますが、来年の七月からこの委員会の職務権限が大幅に拡大されると思われます。これまで、この委員会は証券市場における行為の適法性というものを検査し調査してきたわけですが、今後は現在金融庁が行っている、例えば財務の健全性の検査等を行わなければならないことになるだろうと考えております。その他、職種につきましても多くこの委員会に託せられるだろうという問題がございます。これらの問題についても抜かりのない職務遂行をしていきたいと考えております。それから、もう一つは、新商品に対する対応であります。多くの新商品が出され、証券市場で流通して参ります。しかし、このような新商品につきましては複雑な構造やあるいは性格を持っているものが多く、その内容について十分な説明をしなければ、投資家にとって不明な点がかなり多く、不測の損害を与えることもありうるというように考えるものであります。このような新しい形態の取引について証券会社その他が、どれほど適正に説明をしているかという面についても見逃すことができないと考えております。四つ目は、クロスボーダー取引への対応であります。外国の色々な組織、あるいは外国における行為を前提とした証券の取引が日本で行われ、それが日本の証券市場の適正性を害しているというような事案も無いではないのでありまして、これらの問題についても適切な形で対応していきたいと考えております。最後は、このように新しい制度ができ、新しい権限が付加されて参りますと、組織を根本的に考えなければいけないという問題が出て参ります。当然、その中には人員の増加ということもあります。現在の公務員の置かれている立場、あるいは国全体の財政の問題等を考えますと、人員の増加は大変厳しいものがございますけれども、この委員会の適正な職務遂行のために関係各方面のご理解を得てできるだけ人員の増加を実現して頂きたいと考えているわけでございます。それでは、ご質問がございましたら、私が申し上げられる範囲でお答えしたいと考えております。


(記者


再任ということですが、この3年間の証券市場の変化、SESCの活動と共に日本の証券市場の公正性についてどのような局面になってきたか、そのご認識を頂けますか。


(高橋


証券仲介者すなわち証券会社の法令遵守の態度ということでございますけれど、これは必ずしも極めて良好に推移しているということではないだろうと私は思っております。ただ、この3年間行ってきた証券検査の場面では、問題点を指摘する割合が、やや減ってきております。これは、やはり証券仲介者の中で適法性の確保ということの重要性がだんだんと浸透してきているという結果であろうと私は判断しております。特にそれぞれの証券会社等の上層部の方々のコンプライアンスについてのお考え、これは、年々向上しているといいますか、重視されている傾向が顕著であります。ただ、そのお考えが、必ずしも現実の取引の中できちんと実現されているかどうかということになって参りますと、私はなお、疑問を持っているわけでございます。コンプライアンスの必要性をお考えになり、色々な制度をお作りになり、それに向かって努力していることは、よく分かるわけでございますけれど、そのような法違反行為が発生する原因についてのご理解、それからそのような発生をいかにして防止するかという問題、このような問題については、まだまだという感じを持っております。それから、証券市場における犯罪ですけれど、これは正直に申し上げまして、どれだけの犯罪が起こっているかということを確認することは非常に難しい問題でございます。しかしながら、我々は、例えば相場操縦については、不審な取引はないかという面からあらゆる取引についての審査を行っております。ですから、この審査の結果、取引についての大きな不審点というものは把握しているであろう、その中で我々は相場操縦その他を摘発していっているということでございます。それから、インサイダー取引も同様でございますけれども重要事項は、全て把握されております。その重要事項を前提に致しまして取引の審査を行いインサイダー取引の気配はないかというものを徹底的に洗ってきております。もちろん、これが、完全に十分であるということは、申し上げませんが、これからも適正に証券市場が運営されるための努力を続けて行きたいと考えています。


(記者


二点目、体制なんですけれども今後、課徴金制度の導入、いわゆる財務検査の金融庁からの移管ということで、新たに外から採ってくる人も必要でしょうし、金融庁から移られる方もいると思いますが、合わせてどれくらいの規模が必要であると委員長はお考えでしょうか。


(高橋


16年度末の定員は、委員会237名、出先機関である財務局が203名であります。合わせて440名になります。今後必要な規模についてですが、いくら人間がいたらいいのか、これはなかなか難しい問題です。現実に対応しながらやっていって、この部分が足りない、だから、これだけの人が必要だということで次第に増やしていくというのがベストだろうと思います。今、何百人必要だということは出しようのない数字だろうと私は思っております。


(記者


3年前に高橋さんは3つの不信とおっしゃられたが、今は3つの不信はどの程度のレベルで、これからそれぞれどのように対応されるのか教えて下さい。


(高橋


レベルの問題をおっしゃいましたけれど、7割だとか8割だとかなかなか難しくていえることではありません。しかし、3つの不信がなお、存在しているということは事実だろうと私は思っております。ただ、解消に向かって3年間努力して参りました。それが、どれだけ進んできているかということは、マスコミの皆さんや証券会社の皆さんに評価して頂くより他に方法が無いわけでございまして、我々は3年間できるだけのことをしてきたというように自負はしております。しかし、それが完全だったとは、私は決して申しません。これからも完全な結果を求めてやっていくという以外にはないと思います。


(記者


クロスボーダー取引への対応ですけれど、非居住者の法令違反の疑いのある取引とはどのような取引ですか。


(高橋


例えば、海外でCBの発行がなされるときに、それに先立ち、いわゆるプレマーケティングという作業が行われることがあります。つまり、どれくらいの需要があるのか調査されるわけです。このプレマーケティングの中に含まれている情報によって取引がなされる可能性、実際にそういうものが発生していると言っているわけではございませんが、そういう可能性があるとするならば、外国発のいわば、インサイダー取引が行われる可能性もあるわけで、そういうものも十分に警戒しておこうということでございます。


(記者


どうもありがとうございます。


(高橋


どうもありがとうございます。


(以上)

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