証券取引等監視委員会メ-ルマガジン(第26号)平成24年12月28日
証券監視委ホームページ http://www.fsa.go.jp/sesc/index.htm

<目次>

1.新着情報

2.市場へのメッセージ

3.コラム


1.新着情報


◎情報受付状況を更新しました(11月末)。

http://www.fsa.go.jp/sesc/actions/shinsa.htm

◎取引審査の実施状況を更新しました(11月末)。

http://www.fsa.go.jp/sesc/actions/shinsa.htm


2.市場へのメッセージ


◆ヤフー株式に係る相場操縦に対する課徴金納付命令の勧告について◆

平成24年12月13日、証券監視委は、東京証券取引所に上場しているヤフー株式会社の株式に係る相場操縦に関し、米国所在のヘッジファンドの関係会社であるTiger Asia Partners, LLC(以下、「タイガー・アジア」といいます。)に対する6571万円の課徴金納付命令を発出するよう、内閣総理大臣及び金融庁長官に対し勧告しました。

http://www.fsa.go.jp/sesc/news/c_2012/2012/20121213-1.htm

タイガー・アジアは、米国籍のヘッジファンド(以下、「米国籍ファンド」といいます。)に出資するとともに、米国籍ファンドに出資された資産の運用権限を有する米国デラウェア州法に基づく法人です。タイガー・アジアは、その業務執行社員らにおいて、ヤフー株式会社の株式につき、平成21年3月17日午後零時30分頃から午後3時頃までの間、同株式の売買を誘引する目的をもって、直前約定値段より高値の上限価格を提示した買付けの計らい注文を複数の証券会社に分散して発注する方法により、同株式の株価を2万4310円から2万5340円まで引き上げるなどしました。具体的には、タイガー・アジアは、米国籍ファンドを含む外国籍の2つのヘッジファンド名義で、合計3万2960株(うち、米国籍ファンド名義は1万4172株)の買付け等を行い、ヤフー株式会社株式の相場を変動させる売買等をしたことが認められております。

本事案は、東京電力株式に係るインサイダー取引事案として本年6月8日に課徴金納付命令の勧告が行われた、First New York Securities L.L.C.に引き続き、海外に所在する違反行為者に対する不公正取引に係る課徴金納付命令の勧告を行った2件目の事案であり、相場操縦事案としては初の事案となりました。また、本事案においては、現物株の取引に加え、エクイティ・スワップなどのデリバティブ取引という手法を用いて約定した株数も課徴金の計算の基礎としているという特徴を有しています。

課徴金の計算については、タイガー・アジアが出資を行った米国籍ファンド名義の取引(1万4172株)のうち、タイガー・アジアの米国籍ファンドへの出資割合である4.82パーセントについて、タイガー・アジアが自己の計算で買付け等を行ったものと評価して算出しており、この1万4172株の中には、違反行為開始時にファンドが保有していたロングポジションも含まれております。なお、本事案の違法行為に対して納付を命じられる課徴金の額は、不公正取引に係る課徴金納付命令としては過去最高の6571万円になります。

本事案においては、米国証券取引委員会(U.S. Securities and Exchange Commission)と緊密に協力・連携して調査を行い、同時期に、米国証券取引委員会においても、タイガー・アジア及びその関係者による香港市場におけるインサイダー取引等の事案について、和解が成立したことが公表されています。

証券監視委としては、市場の公正性・透明性の確保及び投資者保護を図る観点から、引き続き、内外プロ投資家による不公正取引や違法行為などに対し、必要に応じて海外当局とも連携しながら、厳正に対処してまいります。

◆スタンダード&プアーズ・レーティング・ジャパン(株)に対する検査結果に基づく勧告について◆

当社は、平成22年9月に金商法に基づく「信用格付業者」の登録を受けています。信用格付業者とは、金融商品又は法人の信用状態に関する評価について、例えば「AAA」などの記号等を用いた「信用格付」を付与し、幅広く公表・提供している者で、平成22年4月の改正金融商品取引法の施行に伴い、登録制が導入されるとともに、証券監視委が検査を実施しております。

信用格付は、投資者の投資判断に影響を与える市場における重要な情報であり、これを付与等している信用格付業者は、金融・資本市場における重要な情報インフラとしての役割を担っており、国際的な金融規制改革でも議論の対象とされているところです。

証券監視委が当社に検査を実施したところ、当社が付与した複雑な証券化商品に関する信用格付について、信用格付を適切に付与するために必要な情報を把握していなかったことから、長期間にわたって誤った信用格付を付与し続けているなど、不適切な事例が複数認められました。当社は、継続的に適切な信用格付を付与するための再発防止策を策定していませんでした。

また、当社は、信用格付を付与した場合には自社のウェブサイトで格付記号等を公表していますが、社内で決定されたものとは異なる信用格付を誤って公表している事例が複数認められるなど、公表のチェック態勢が適切に構築されていない状況が認められました。

なお、当社に対しては、金融庁より今回の検査結果を踏まえた行政処分(業務改善命令)が発出され、当社は再発防止策の策定等の改善に着手しています。

証券監視委としては、信用格付業者の業務管理態勢について、今回検査で認められた信用格付の付与・公表等に関する問題を含め検証するため、信用格付業者に対し継続的に検査を実施してまいります。


3.コラム

[東京証券取引所自主規制法人からの寄稿]


◆ 東京証券取引所自主規制法人における上場管理について ◆

本年最後の東京証券取引所自主規制法人からの寄稿になりますので、今回は上場管理部から、本年(12月21日現在)における上場廃止の状況などについて紹介したいと思います。

上場管理部は、取引所市場の信頼性を確保するため、上場会社などに市場のルールを健全に遵守していただくことを目的に業務を行っています。

上場廃止については、有価証券上場規程(上場廃止基準)や上場管理等に関するガイドラインなどの関係諸規則に基づき審査を行っています。最近では新規上場会社数が増加する傾向にある一方で、本年は、55社の上場廃止を決定しました。これを上場廃止基準別にみると、「全部取得」に該当したものが23社、「完全子会社化」に該当したものが22社、「事業活動の停止」に該当したものが5社、「破産・再生・更生手続」に該当したものが5社となっています。このように、そのほとんどが上場会社の企業再編に伴う上場廃止であり、MBO、完全子会社化など上場会社自らの意思によるものでした。このような企業再編に伴う上場廃止の件数は、ここ数年40社から50社程度あり、多い傾向にあるといえます。

また、上場管理部では、上場会社による情報開示の適正性を確保するために、適時開示に関するルールに違反するような場合には、その上場会社について審査を行い、必要があれば処分その他の措置を行っています。

こうした措置は、本年においては、「特設注意市場銘柄」への指定が2件、「改善報告書」の提出が5件、「改善状況報告書」の提出が4件、「上場契約違約金」の支払いを求めたものが1件、「公表措置」が6件、「開示注意銘柄」への指定が1件となっています。

また、上場管理部では、このような処分その他の措置のほか、東証市場の信頼性の一層の向上に向けて、上場関係規則への抵触につながりうるような不適切な情報開示や企業行動を未然に防ぐことを目的として、講演会などの情報発信活動や上場会社各社へのはたらきかけなどを通じた「未然防止型」の上場管理の推進を図っています。

東京証券取引所自主規制法人は、これからも上場管理業務の適切な遂行を通じて、取引所市場が投資者から一層信頼されるものになるように努めてまいりたいと考えています。

東京証券取引所自主規制法人 上場管理部


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