証券取引等監視委員会メ-ルマガジン (第42号)  平成26年5月1日
証券監視委ウェブサイト http://www.fsa.go.jp/sesc/index.htm

<目次>

1.市場へのメッセージ

2.コラム


1. 市場へのメッセージ


◆適格機関投資家等特例業務に関する特例についての建議◆

平成26年4月18日、証券監視委は、金融庁設置法第21条の規定に基づき、内閣総理大臣及び金融庁長官に対して、適格機関投資家等特例業務に関する特例についての建議を行いました。
http://www.fsa.go.jp/sesc/news/c_2014/2014/20140418-1.htm

(注)建議は、証券監視委が、検査・調査等の結果把握した事項を総合分析した上で、法規制や自主規制ルールの在り方等について証券監視委としての見解を明らかにし、これを行政や自主規制機関が行う諸施策に反映させようとするものであり、証券監視委の行う建議は、規制当局等の政策対応の上で、重要な判断材料として扱われます。

○ 適格機関投資家等特例業務に関する特例の概要

金融商品取引法では、主として利用者保護ルールの徹底を図る観点から、集団投資スキーム(以下「ファンド」という。)の販売・投資運用を行う業者については、登録(同法第29条)が義務付けられている一方、適格機関投資家等(1名以上の適格機関投資家及び49名以下の適格機関投資家以外の者(一般投資家))を出資者とするファンド(いわゆる「プロ向けファンド」)の販売・投資運用を行う業者については、登録制ではなく届出制とする特例(「適格機関投資家等特例業務に関する特例」)が設けられています(同法第63条)。

また、プロ向けファンドの販売・投資運用を行う届出業者(「特例業務届出者」)に関しては、虚偽告知の禁止及び損失補填等の禁止以外の行為規制は適用除外とされています。

○ これまでの取組

悪質な業者が簡易な届出のみで販売・投資運用を行うファンドにより、高齢者を中心とする一般投資家の被害が多発しているため、こうした投資者被害に対応すべく、金融庁、証券監視委及び財務局は、特例業務届出者に対する取組を強化しており、証券監視委及び財務局は立入検査等を実施してきました。

その結果、これまでの検査において、

  • 顧客に対し虚偽のことを告げている
  • 50名以上の一般投資家から出資を集めている
  • 出資金の使途を把握せず、又は出資金を運用資産以外に流用している

など、多数の金融商品取引法違反事例や一般投資家に被害が生じている悪質な事例が認められました。

また、その中には、出資金を毀損させている状態の中、その後も金融商品取引法違反行為を行う蓋然性が高く、裁判所への禁止・停止命令の申立て(同法第192条第1項)に至ったものもあります。

○ 建議の概要

こうした状況を踏まえれば、特例業務届出者の違法行為等による投資者被害は、悪質な業者が発生させた特殊な問題として捉えるべきではなく、制度についても、プロ向けファンドという制度の趣旨を踏まえた一定の見直しが必要であるとの判断に至りました。そこで、証券監視委は、「ファンドに係る投資者保護の一層の徹底を図る観点から、適格機関投資家等特例業務に関する特例について、出資者に係る要件を厳格化する等、一般投資家の被害の発生等を防止するための適切な措置を講ずる必要がある」との建議を行ったところです。

金融庁において、プロ向けファンドの販売等の対象となる投資者の範囲を限定する等、当該建議に基づいた適切な対応が行われることを期待します。

証券監視委は、引き続き、詐欺的な営業を行い投資者に被害をもたらす悪質な業者に対し、金融庁・財務局や捜査当局等と連携して、厳正に対処するとともに、市場監視から得られた問題意識を、建議等を通じて、投資者保護等を確保するためのルール整備や制度づくりに反映させていきます。

※ 具体的な検査結果及び裁判所への申立て事例は、証券監視委ウェブサイトに掲載しておりますので御参照ください。

「適格機関投資家等特例業務届出者等に対する検査結果等について」

http://www.fsa.go.jp/sesc/actions/s_kensa.htm(ページ下段に掲載)

「無登録業者・無届募集等に対する裁判所への禁止命令等の申立てについて」

http://www.fsa.go.jp/sesc/actions/moushitate.htm


2.コラム

[日本取引所自主規制法人からの寄稿]


◆日本取引所自主規制法人業務規程の改正について◆

当法人は、日本取引所グループの現物及び派生市場に係る自主規制機能を担っており、現物市場の東京証券取引所への統合(昨年7月)や派生市場の大阪取引所への統合(本年3月)を踏まえ、本年4月1日から当法人の名称を「東京証券取引所自主規制法人」から「日本取引所自主規制法人」に変更するとともに、以下のとおり業務規程の一部改正を行い、同じく本年4月1日に施行しました。

まず、当法人は、取引参加者が金融商品取引法や取引所諸規則を遵守して業務を行っているか考査を行っており、考査の結果、法令等違反が発生することとなるおそれがあると認める場合には、取引参加者に対して所要の措置を講ずるよう「要請」を行っています。今般、取引参加者の業務又は財産の状況が取引所市場の運営にかんがみて適当でないこととなるおそれがある場合についても、「要請」を行うこととしました。

次に、一昨年12月に公表された金融審議会インサイダー取引規制に関するワーキング・グループによる報告書「近年の違反事案及び金融・企業実務を踏まえたインサイダー取引規制をめぐる制度整備について」を踏まえ、上場会社等の役職員の行為が内部者取引に該当するとして行政庁により措置がなされた場合等においては、当該上場会社等における内部者取引等の未然防止に向けた体制整備に資することを目的として、当該上場会社等に対し、当法人より社内体制の再点検等を求めることとしました。

日本取引所自主規制法人 考査部・売買審査部


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