証券取引等監視委員会メ-ルマガジン (第50号)  平成27年1月5日
証券監視委ウェブサイト http://www.fsa.go.jp/sesc/index.htm

<目次>

1.市場へのメッセージ

2.コラム


1.市場へのメッセージ


◆証券取引等監視委員会のポスター刷新及びナビダイヤルの導入について◆

証券取引等監視委員会(以下、「証券監視委」という。)は、金融・資本市場の動向について幅広く情報収集し、発行市場・流通市場全体に目を向けた包括的な市場監視を行っております。

そうした中、証券監視委では、資料・情報収集の一環として、広く一般の皆様から、電話、文書(ファクシミリを含む)、インターネットなどで、下記のような情報を受付けています。

  • 相場操縦(見せ玉や空売りによるものなど)
  • インサイダー取引(会社関係者による重要事実の公表前の買付など)
  • 風説の流布(ネット掲示板の書込みなど)
  • 疑わしいディスクロージャー(有価証券報告書や適時開示など)やファイナンス(架空増資や疑わしい割当先など)
  • 証券会社や外国為替証拠金取引業者、運用業者、投資助言業者などによる不正行為(不招請勧誘やリスク説明の不足など)などといった、金融商品取引業者等に関する情報
  • 疑わしい金融商品やファンド(投資詐欺的な資金集めなど)に関する情報
  • その他、市場の公正性・透明性の確保や投資者保護の上で問題があると思われるような情報全般。

平成25年度に受け付けた情報は6,401件と、多数の方から情報が寄せられ、証券監視委の市場監視業務の参考にさせて頂きました。

特に、AIJ事件等、社会的に大きな問題となった事案発生を踏まえると、金融・証券市場における問題を早期に発見し、被害の拡大を防止することが非常に重要です。そのためには、これまで以上に、外部からの重要かつ有用な情報提供を求めることが必要であり、そうした観点から、証券監視委においても、広く一般投資家や市場関係者等からの情報提供を募るための広報活動の拡充を図る必要があります。

これまで、証券監視委では、一般投資家等に対して広く情報提供を呼びかけるため、平成18年度に作成したポスターを使用しておりましたが、当該ポスターは、インサイダー取引・相場操縦・ディスクロージャー違反に関する情報提供を求めるものとなっており、投資詐欺等が拡大している昨今の状況を鑑みれば、若干古くなっておりました。

また、当該ポスターは電話番号が大きく記載されておりましたが、インターネットを通じた情報提供が7割弱を占める現在の状況を勘案すれば、インターネットを通じた情報提供により重点を置いた形とすることも必要でした。

こうしたことから、平成26年度において、証券監視委のポスターを刷新するとともに、新たにリーフレットを作成し、改めて、証券監視委への情報提供を広く呼びかけることといたしました。

これまで、証券監視委は、「市場の番人」として公正な市場の確立に向けて全力で取り組んできましたが、ややもすると、一般投資家の方からは、情報提供の敷居が高かったかもしれません。そのため、今回のポスター刷新に当たっては、そうした方に対しても証券監視委への情報提供を呼びかける観点から、有用な情報提供を募っていることを簡潔かつ明瞭に示すものとなるように作成し、昨年11月下旬より、財務局、自治体、証券取引所、証券会社等の金融機関等に対する配布を行うとともに、証券監視委のHPにも掲載させて頂きました。

是非ご確認ください。

(PDFhttp://www.fsa.go.jp/sesc/jouhouteikyou/poster.pdf)

また、証券監視委では、ポスター刷新と併せて、昨年10月1日(水)より、情報提供者の利便の向上を図るため、「情報提供窓口」におけるナビダイヤルを導入し、情報提供者が全国どこから電話を掛けても通話料金が一律となるシステムを導入いたしました。

http://www.fsa.go.jp/sesc/support/watch.htm

(注)情報提供窓口(ナビダイヤル)の電話番号 0570-00-3581

  • 固定電話からは、全国一律3分8.5円(税別)
  • 携帯電話からは、全国一律20秒10円(税別)

証券監視委は、引き続き、皆様から幅広い情報を収集し、それらを分析・活用し、包括的かつ機動的な市場監視を行っていく所存です。


2.コラム

[日本取引所自主規制法人からの寄稿]


◆エクイティ・ファインナンスのプリンシプルについて◆

今回は、上場管理部から、2014年10月1日に公表した「エクイティ・ファイナンスのプリンシプル」について紹介したいと思います。

上場会社が、エクイティ・ファイナンスにより資金調達を行うことは、資本市場の本来的機能を活用するものであり、尊重されるべきものですが、法令や取引所規則等のルールに違反しない限り何をしても構わないという安易な考え方は適切ではありません。

資本市場を取り巻く環境が日々変化する中、取引所が的確な対応を行っていくためには、必要に応じてルールの見直しを行っていくことが重要ではありますが、いかにルールを見直しても、対応し難い事案が現れます。例えば、上場会社の中には形式的なルールの遵守さえすれば良いとの認識がありうること、調達資金が事業資金として有効に活用されることなく法令や取引所規則等に違反するとは言えない複数の行為を介して最終的に特定の個人・法人に流出している事案も散見されます。

このような事案に柔軟に対処するには、ルール・ベースのアプローチに、プリンシプル・ベースのアプローチを組み合わせることが有効であると考えています。ここで言うプリンシプル・ベースのアプローチとは、上場会社や市場関係者が、尊重すべき原理・原則(プリンシプル)を確認し、共有することで、各々がその持ち場に即した規範意識を働かせ、自主的に行動していくことにより、資本市場全体の質的向上の実現を目指すことです。

本プリンシプルは、以下の4つの原則から構成されます。

第1 企業価値の向上に資する

調達する資金が有効に活用されて上場会社の収益力の向上につながることが、調達目的、資金使途、過去に調達した資金の充当状況、業績見通しなどに基づいて合理的に見込まれるものであり、また、その合理的な見込みに疑いを生じさせるような経営成績・財政状態及び経営実態となっていないこと。

ファイナンス実施後において、健全な経営管理が行われて持続的な企業価値向上の実現が十分に期待されること。

第2 既存株主の利益を不当に損なわない

ファイナンス手法、実施時期、発行条件等は、ファイナンスに伴う株式の希薄化や流通市場に与える影響等について十分に配慮されたものであり、既存株主に対して合理的な説明が可能なものであること。

第3 市場の公正性・信頼性への疑いを生じさせない

公正でない方法により利益を得ようとする主体やその協力者を、資本市場に参入させないこと。

個々には直ちに法令や取引所規則等の違反とは言えない取引を組み合わせ、全体として不当な利益を得るようなスキームとなっていないこと。

第4 適時・適切な情報開示により透明性を確保する

情報開示は、その時期が適切であり、その内容が真実で一貫性があり、その範囲が十分であり、かつ、開示資料等における説明が分かりやすく具体的で、株主や投資者が行う投資判断に有用なものであること。

ファイナンス実施後においても、発行時の開示内容が適切であったことを示せること。

また、当法人は、2014年12月に、具体的なエクイティ・ファイナンスの事例を本プリンシプルに照らして評価した事例解説集(「エクイティ・ファイナンスのプリンシプル‐事例と解説‐」)を発刊しました。

事例解説集で紹介した事例は、これまでの自主規制業務において実際に直面した事例を素材とするものです。その中には、殆どが否定的に評価されるべき問題事例や一部に問題を含んでいるグレイゾーン事例も含まれています。

この度、当法人が事例解説集を発刊した狙いは、具体的な事例について本プリンシプルに照らした評価を紹介することで、関係者の皆様に、一見抽象的にも見える本プリンシプルの各原則の意味をご理解いただくこと、また、将来エクイティ・ファイナンスの個別事例に関与される際の参考としていただくことにあります。

なお、当法人ウェブサイトからもPDFファイルを閲覧及びダウンロードしていただけます(http://www.jpx.or.jp/comlec-publication/publication/index.html)。

当法人は、引き続き、東証市場におけるエクイティ・ファイナンスの品質向上に努めてまいります。

日本取引所自主規制法人 上場管理部


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