市場へのメッセージ(令和8年10月22日)
~当委員会では、活動状況や問題意識等を簡潔かつ分かりやすくまとめて「市場へのメッセージ」として配信しています~

<概要>

 今回は、内部者取引に対する課徴金納付命令勧告1件、相場操縦に対する課徴金納付命令勧告1件の紹介を行っております。
 事案に応じて、その意義・特徴や発生原因、市場関係者や投資家の皆様へのメッセージ等を盛り込んでおりますのでぜひご覧ください。

<目次>

  1. 公開買付者との契約締結者によるアイロムグループ株式に係る内部者取引に対する課徴金納付命令の勧告について
  2. エコミック株式に係る相場操縦に対する課徴金納付命令の勧告について

1.公開買付者との契約締結者によるアイロムグループ株式に係る内部者取引に対する課徴金納付命令の勧告について

 証券取引等監視委員会(以下「証券監視委」といいます。)は、取引調査の結果に基づいて、令和8年9月11日、内閣総理大臣及び金融庁長官に対して課徴金納付命令勧告を行いました。

【事案の概要】

アメリカ合衆国の投資運用会社Blackstone Inc.(以下「BX本社」といいます。)の統制下にある連結子会社とのアドバイザリー契約の相手方であった課徴金納付命令対象者は、BX本社の業務執行を決定する機関が、株式会社アイロムグループ(以下「アイロム」といいます。令和7年5月12日上場廃止)の株式の公開買付けを行うことについての決定をした旨の公開買付け等の実施に関する事実(以下「本件事実」といいます。)を、上記アドバイザリー契約の履行に関し知りながら、法定の除外事由がないのに、本件事実の公表前に、アイロム株式を買い付けたものです。

【事案の特色】

本件は、公開買付者との契約関係を通じて公開買付けに関する未公表の情報を知った者によるインサイダー取引事案です。企業買収や公開買付けにおいては、発行会社や公開買付者の役職員だけでなく、アドバイザーその他の外部関係者も公開買付けに関する未公表の情報に接する立場にありますが、本件は、そのような立場にある者が当該情報を利用して自己の利益を図ったものです。

【証券監視委からのメッセージ】

本件を勧告することにより、公開買付けに関する未公表の情報に接する関係者やアドバイザーその他の外部関係者に対して、適切な情報管理の徹底を改めて促すことができるとともに、違反行為に対しては厳正な対応が行われることを周知することで、同様の違反行為を抑止する効果が期待できると考えています。
 
公開買付け等に伴って知り得た未公表の情報に基づいて取引を行うことは、市場の公正性及び投資者の信頼を損なう行為です。企業買収や公開買付けの過程では、発行会社や公開買付者の役職員に加え、アドバイザーその他の外部関係者も公開買付けに関する未公表の情報に接することとなるため、関係者におかれては、インサイダー取引規制の趣旨を十分に理解し、情報管理の徹底及びインサイダー取引の未然防止に努めることが重要となります。

2.エコミック株式に係る相場操縦に対する課徴金納付命令の勧告について

 証券取引等監視委員会(以下「証券監視委」といいます。)は、取引調査の結果に基づいて、令和8年9月15日、内閣総理大臣及び金融庁長官に対して課徴金納付命令勧告を行いました。

【事案の概要】

 本件は、課徴金納付命令対象者が、エコミック株式について、同株式の売買を誘引する目的をもって、10取引日にわたり一連の売買をしたものです。
取引の主な手法は、
  1. 最良買い気配近辺に、重層的な買い注文を発注する。
  2. 対当売買(株価引上げを伴うものを含む。)を行う。
  3. 他の投資者の売り注文を買い付ける方法により、株価を引き上げる。
  4. 引け条件付きの成行買い注文により、終値関与を行う。
  5. 上記1.から4.までの取引を繰り返し行い、高値で売り抜ける。
というもので、このような取引を繰り返し行っていました。
これらの方法により、同株式の売買が繁盛であると誤解させ、かつ、同株式の相場を変動させる取引を行っていました。

【事案の特色】

 本件は、複数の証券口座を使用して合計359回に及ぶ対当売買を行ったほか、重層的な買い注文の発注、株価引上げ買付け及び終値関与等の複数の手法を用いて相場操縦を行っており、悪質な事案であると考えています。

【証券監視委からのメッセージ】

本件のとおり、証券監視委は、日本取引所自主規制法人や証券会社等の市場関係者と緊密に連携しながら実態を解明しており、問題のある取引が見逃されることはありません。複数の証券口座を使用して相場操縦を行ったとしても証券監視委の市場監視の対象となり、厳正な調査が実施されることとなります。
 
証券監視委は、本件を通じて、同様の違反行為を抑止する効果を期待するとともに、市場利用者に対し、市場の公正性を害する相場操縦が厳正に追及されることを改めて周知したいと考えています。
 
 

<発行> 証券取引等監視委員会事務局 総務課
〒100-8922 東京都千代田区霞が関3-2-1 中央合同庁舎第7号館
電話番号:03-3506-6000(代表)

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