平成25年12月2日

証券取引等監視委員会

MAM PTE.LTD.による内部者取引に対する課徴金納付命令の勧告について

※ 本件は、金融庁において平成26年12月26日に課徴金納付命令決定を行いましたが、令和元年6月14日に同決定は取り消されました
 
  • 1.勧告の内容

    証券取引等監視委員会は、MAM PTE.LTD.(以下「MAM」という。)による内部者取引について検査した結果、下記のとおり法令違反の事実が認められたので、本日、内閣総理大臣及び金融庁長官に対して、金融庁設置法第20条第1項の規定に基づき、課徴金納付命令を発出するよう勧告を行った。

  • 2.法令違反の事実関係

    MAMは、シンガポール共和国会社法に基づき設立された有限責任会社であり、ケイマン籍ユニット・トラストのユビキタス・マスター・シリーズ・トラスト・クラス・ジー・ファンド(Ubiquitous Master Series Trust Class G Fund)の受託者との間で締結した投資一任契約に基づいて、同ファンドの資産の運用権限を有していたものであり、X及びYは、MAMのファンド・マネジャーとして、上記ファンドの資産の運用を担当していた者である。

    MAMは、X及びYにおいて、平成22年7月27日、日本板硝子株式会社と株式引受契約の締結に向けた交渉を行っていた証券会社の社員甲から、同証券会社の他の社員乙が同契約の交渉に関し知り、その後、甲がその職務に関し知った日本板硝子株式会社の業務執行を決定する機関が株式の募集を行うことについての決定をした旨の重要事実の伝達を受けながら、それぞれ、上記投資一任契約に基づく運用として、同重要事実が公表された同年8月24日より前の同年7月27日から同年8月24日までの間、日本板硝子株式の売付けを行い、もって、上記ファンドの計算において、同株式合計347万8000株を売付価額7億5156万8206円で売り付け、そのうち、MAMの役員等の計算において、それぞれ同年7月度及び8月度におけるその出資割合である7.47パーセント及び6.22パーセント相当を取引したものである。

    MAMが行った上記の行為は、金融商品取引法第175条第1項に規定する「第166条第1項又は第3項の規定に違反して、同条第1項に規定する売買等をした」行為に該当すると認められる。

  • 3.課徴金の額の計算

    上記の違法行為に対し金融商品取引法に基づき算定される課徴金の額は、804万円である。

    計算方法の詳細については、別紙のとおり。

  • 4.その他

    本件については、上記2.の証券会社から、同社が継続的に行っている自主的な点検・調査において問題を把握したとして、証券取引等監視委員会に報告がなされたものである。その後も証券取引等監視委員会の調査において、同社より協力がなされている。

    また、本件については、シンガポール通貨監督庁(Monetary Authority of Singapore)より支援がなされている。


(別紙)

○課徴金の額の計算方法について

  • (1)金融商品取引法第175条第1項第1号の規定により、同法第166条第3項の規定に違反して自己の計算において有価証券の売付け等をした場合、課徴金の額は、

    (売付け等をした価格)×(その数量)

    -(重要事実の公表後2週間における最も低い価格)×(売付け等の数量)

    として計算される。

    本件において、重要事実の公表後2週間における日本板硝子株式の最も低い価格は、平成22年8月27日の181円である。

    また、本件は、金融商品取引法第175条第1項第1号、第10項第2号及び金融商品取引法第六章の二の規定による課徴金に関する内閣府令第1条の23第2項第3号の規定により、MAMが投資一任契約に基づくユニット・トラスト形態のファンドの資産の運用として行った取引のうち、MAMの役員等の上記ファンドへの出資割合(平成22年7月時点で7.47%、同年8月時点で6.22%)について、MAMが自己の計算で売付け等を行ったものとみなして、課徴金を算出するものである。

    以上から、本件違反行為に係る課徴金の額は以下のとおり計算される。

    平成22年7月の売付け等に係る金額

    (217,250,010円-181円×1,000,000株)×7.47%=2,707,875円

    平成22年8月の売付け等に係る金額

    (534,318,196円-181円×2,478,000株)×6.22%=5,336,772円

    合計 2,707,875円+5,336,772円=8,044,647円

  • (2)金融商品取引法第176条第2項の規定により、上記(1)で計算した額の1万円未満の端数を切捨て。

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