平成27年8月7日

証券取引等監視委員会

(平成27年12月7日補足)

株式会社SRIブレイン及びその役員1名の金融商品取引法違反行為に係る裁判所への申立てについて

  • 1.申立ての内容等

    証券取引等監視委員会が、株式会社SRIブレイン(東京都渋谷区、資本金1000万円、常勤役職員16名、適格機関投資家等特例業務届出者、金融商品取引業の登録等はない。以下「当社」という。)に対して金融商品取引法(以下「金商法」という。)第187条第1項に基づく調査を行った結果、下記2.の事実が認められたことから、本日、証券取引等監視委員会は、金商法第192条第1項の規定に基づき、東京地方裁判所に対し、当社及び当社代表取締役A(以下「A社長」といい、当社及びAを併せて「当社ら」という。)を被申立人として金商法違反行為(金商法第63条第1項第1号に掲げる私募に係る業務を行うに当たり、金融商品取引契約の締結又はその勧誘に関して、顧客に対し虚偽のことを告げる行為を行うこと)の禁止及び停止を命ずるよう申立てを行った。

  • 2.事実関係

    • (1) 当社らは、平成23年3月頃から同27年6月頃までの間、当社の運営する複数のファンド(以下「本件ファンド」という。)に係る当社を無限責任組合員とする投資事業有限責任組合契約に基づく権利の取得勧誘を行い、延べ741名から約14億7000万円の出資を受けている。

      当社らは、顧客の出資金のうち当社が受領する報酬を除く大部分を、関係法人である株式会社ビバーチェ(東京都渋谷区)及び日本ビジネス・ネット株式会社(東京都中央区、以下、株式会社ビバーチェと合わせて「ビバーチェ社ら」という。)に送金し、これを直ちに当社に送金・還流させることで受領し、当社の人件費、交際費等の経費に費消していた。上記方法により、本件ファンドの出資金は少なくとも約5億1000万円が当社に送金・還流されている。このように、当社らは、本件ファンドの取得勧誘に際して顧客に交付していた重要事項説明書及び契約書に表示し、当社営業員が説明していた手数料等以外にも、顧客の出資金から多額の金員を受領していたにもかかわらず、かかる事実を顧客に説明せず、手数料等について、実際のものよりも著しく低額である旨を表示・説明していた。

      また、当社らは、本件ファンドのうち複数のファンドの投資先企業について、将来有望な未上場企業、高い成長性が見込まれる国内企業の株式等に投資する旨などを重要事項説明書において表示していたほか、営業員においても同旨の説明を顧客に対して繰り返し行っていたところ、実際には、毎年多額の純損失を計上し、運転資金にも窮する状態にあり、成長性が高いとは評価できない企業に投資していたものであり、投資先企業の経営実態が上記表示及び説明と著しく相違するものであった。

      当社らによる上記行為は、金融商品取引契約の締結又はその勧誘に関して、顧客に対し虚偽のことを告げる行為に該当する(金商法第63条第4項・第38条第1号)。

    • (2) 当社らは、上記出資金の送金・還流を正当化するために、ビバーチェ社らに投資先企業の株式を引き受けさせた後、ビバーチェ社らから本件ファンドに転売させており、その際、転売価格の基準となる株価算定を当社の意に沿う価格で算定し、転売価格を高額な価格とすることで、ビバーチェ社らに多額の売買差益を生じさせるとともに、ビバーチェ社らとの間で業務委託契約を締結し、上記売買差益の大部分をコンサルティング料名目で受領するという外観を作出しているものである。

      また、上記と同様の手数料等にかかる虚偽告知は、当社において本件ファンドの取得勧誘を開始する以前から、当社の前代表取締役B(以下「B前社長」という。)が代表取締役を務めていた株式会社リスクマネジメントブレイン(大阪府大阪市、適格機関投資家等特例業務届出者、金融商品取引業の登録はない。以下、「リスク社」という。)におけるファンドの取得勧誘の際にも行われていたところ、当社における上記行為の関与者はリスク社の関与者と同様である。そして、当社らは、上記のとおり、当社に送金・還流させた出資金を当社の人件費等の経費に充てて費消しているほか、ビバーチェ社らに送金された出資金は、リスク社に対する送金等にも使用されるなどしてその大半が既に毀損されており、当社らが今後も業務を継続して行うためには、新たな投資事業有限責任組合を組成して取得勧誘を行い、新たな出資金を得ることが不可欠な状況にあり、その際、上記虚偽告知が行われ、顧客に多大な被害が生じるおそれが極めて高い。

    以上からすれば、当社らは上記違法行為を今後も行う蓋然性が高く、これを可及的速やかに禁止・停止させる必要がある。

PDF参考資料(PDF:332KB)


補足

東京地方裁判所の決定(平成27年12月4日付)においては、上記2.(1)のうち、「成長性が高いとは評価できない企業に投資していたものであり、投資先企業の経営実態が上記表示及び説明と著しく相違するものであった。」との箇所について、投資先企業が、「一定期間財務状況が良好でなくとも、貸付け等によって運転資金を賄いながら業績を改善する可能性は否定できない」、「『将来有望』ではなく、『高い成長性』もない会社であったと認めることは困難」として、「顧客に対して行った投資先企業に係る説明が、虚偽であったことを認めることができない」との判断がされたが、その余については、申立てのとおりの判断がされた。


金融商品取引法違反行為に係る裁判所への申立て
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参考条文

○適格機関投資家等特例業務届出者に係る行為規制

金融商品取引法(抄)

(禁止行為)

第三十八条 金融商品取引業者等又はその役員若しくは使用人は、次に掲げる行為をしてはならない。ただし、第四号から第六号までに掲げる行為にあつては、投資者の保護に欠け、取引の公正を害し、又は金融商品取引業の信用を失墜させるおそれのないものとして内閣府令で定めるものを除く。

 金融商品取引契約の締結又はその勧誘に関して、顧客に対し虚偽のことを告げる行為

二~七 (略)

(適格機関投資家等特例業務)

第六十三条

1~3 (略)

 特例業務届出者が適格機関投資家等特例業務を行う場合においては、当該特例業務届出者を金融商品取引業者とみなして、第三十八条(第一号に係る部分に限る。)及び第三十九条並びにこれらの規定に係る第八章の規定を適用する。

5~8 (略)

○緊急差止命令に係る申立て

金融商品取引法(抄)

(審問等に関する調査のための処分)

第百八十七条 内閣総理大臣又は内閣総理大臣及び財務大臣は、この法律の規定による審問、この法律の規定による処分に係る聴聞又は第百九十二条の規定による申立てについて、必要な調査をするため、当該職員に、次に掲げる処分をさせることができる。

一 関係人若しくは参考人に出頭を命じて意見を聴取し、又はこれらの者から意見書若しくは報告書を提出させること。

二 鑑定人に出頭を命じて鑑定させること。

三 関係人に対し帳簿書類その他の物件の提出を命じ、又は提出物件を留めて置くこと。

四 関係人の業務若しくは財産の状況又は帳簿書類その他の物件を検査すること。

 (略)

(裁判所の禁止又は停止命令)

第百九十二条 裁判所は、緊急の必要があり、かつ、公益及び投資者保護のため必要かつ適当であると認めるときは、内閣総理大臣又は内閣総理大臣及び財務大臣の申立てにより、この法律又はこの法律に基づく命令に違反する行為を行い、又は行おうとする者に対し、その行為の禁止又は停止を命ずることができる。

 裁判所は、前項の規定により発した命令を取り消し、又は変更することができる。

 前二項の事件は、被申立人の住所地又は第一項に規定する行為が行われ、若しくは行われようとする地の地方裁判所の管轄とする。

 第一項及び第二項の裁判については、非訟事件手続法(平成二十三年法律第五十一号)の定めるところによる。

第百九十八条 次の各号のいずれかに該当する者は、三年以下の懲役若しくは三百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。

一~七 (略)

八 第百九十二条第一項又は第二項の規定による裁判所の命令に違反した者

第二百七条 法人(中略)の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務又は財産に関し、次の各号に掲げる規定の違反行為をしたときは、その行為者を罰するほか、その法人に対して当該各号に定める罰金刑を、その人に対して各本条の罰金刑を科する。

一・二 (略)

三 第百九十八条(中略)又は第百九十八条の三から第百九十八条の五まで 三億円以下の罰金刑

四~六 (略)

2・3 (略)

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