JPM株式会社に対する検査結果について
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1.検査結果
証券取引等監視委員会がJPM株式会社(所在地 東京都中央区、資本金1000万円、常勤役職員8名、適格機関投資家等特例業務届出者。金融商品取引業の登録はない。以下「当社」という。)を検査した結果、下記のとおり、当該適格機関投資家等特例業務届出者に係る問題が認められたので、本日、証券取引等監視委員会は、金融庁長官に対して、適切な措置を講じるための情報提供を行った。
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2.事実関係
当社は、適格機関投資家等特例業務(以下「特例業務」という。)として、自らを営業者とする4つの匿名組合(以下「本件ファンド」という。)の出資持分の取得勧誘を行い、平成23年9月以降、延べ169名の顧客から総額6億3440万円を受けている。
そのような中、本件ファンド業務の運営状況等を検証したところ、以下の問題点が認められた。
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(1) 第二種金融商品取引業に係る無登録営業
特例業務については、適格機関投資家以外の者からの出資は49名以下でなければならないところ、当社は、本件ファンドのうち2ファンドについて、49名を超える適格機関投資家以外の者に取得勧誘を行い、出資を受けている。
当社による上記(1)の行為は、金融商品取引法(以下「金商法」という。)第28条第2項に規定する「第二種金融商品取引業」に該当し、当社が同法第29条に基づく登録を受けることなく、上記行為を行うことは、同条に違反するものと認められる。
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(2) 金融商品取引契約の締結又はその勧誘に関して、顧客に対し虚偽のことを告げる行為
当社は、本件ファンドのうち1ファンドについて、実際には損失が生じているにもかかわらず、運用益が生じているとの虚偽の運用報告書を作成し、顧客に対し、これに基づいて実態と異なる運用状況を説明し、取得勧誘を行い、追加出資を受けている。
当社による上記(2)の行為は、金融商品取引契約の締結又はその勧誘に関して、顧客に対し虚偽のことを告げる行為に該当する(金商法第63条第4項、第38条第1号)。
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(3) ファンドの運用及び出資金の管理が極めて不透明、かつ、杜撰な状況
当社は、本件ファンドにおいて、いずれも会計帳簿等を作成していないことから、ファンドの財産状況等を把握できない状態となっているところ、出資金の大部分を現金で受領し、これを本件ファンドごとに分けることなく金庫に保管するなどしているほか、現金出納帳も作成していないため、現金の入出金の履歴や使途等を正確に把握できていない。また、当社は、本件ファンドのうち2ファンドについて、当該ファンドの投資対象事業への投資額を正確に把握できていないほか、当該ファンドの出資金の一部を会社経費等へ流用したとしているが、当社においてもその流用額を把握できていない。
このように当社のファンドの運用及び出資金の管理は極めて不透明、かつ、杜撰な状況にあるものと認められる。
当社が行った上記(3)の行為は、投資者保護上重大な問題があるものと認められる。
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(参考条文)
金融商品取引法(昭和23年法律第25号)(抄)
(登録)
第二十九条 金融商品取引業は、内閣総理大臣の登録を受けた者でなければ、行うことができない。
(禁止行為)
第三十八条 金融商品取引業者等又はその役員若しくは使用人は、次に掲げる行為をしてはならない。ただし、第四号から第六号までに掲げる行為にあつては、投資者の保護に欠け、取引の公正を害し、又は金融商品取引業の信用を失墜させるおそれのないものとして内閣府令で定めるものを除く。
一 金融商品取引契約の締結又はその勧誘に関して、顧客に対し虚偽のことを告げる行為
(以下、略)
(適格機関投資家等特例業務)
第六十三条 次の各号に掲げる行為については、第二十九条及び第三十三条の二の規定は、適用しない。
一 適格機関投資家等(適格機関投資家以外の者で政令で定めるもの(その数が政令で定める数以下の場合に限る。)及び適格機関投資家をいう。以下この条において同じ。)で次のいずれにも該当しない者を相手方として行う第二条第二項第五号又は第六号に掲げる権利に係る私募(適格機関投資家等(次のいずれにも該当しないものに限る。)以外の者が当該権利を取得するおそれが少ないものとして政令で定めるものに限る。)
イ~ハ (略)
二 (略)
2・3 (略)
4 特例業務届出者が適格機関投資家等特例業務を行う場合においては、当該特例業務届出者を金融商品取引業者とみなして、第三十八条(第一号に係る部分に限る。)及び第三十九条並びにこれらの規定に係る第八章及び第八章の二の規定を適用する。
(以下、略)