平成28年3月11日

証券取引等監視委員会

株式会社グローバルレポートに対する検査結果に基づく勧告について

  • 1.勧告の内容

    関東財務局長が株式会社グローバルレポート(東京都渋谷区、法人番号9011001047343、資本金1000万円、投資助言・代理業)を検査した結果、下記のとおり、当該金融商品取引業者に係る問題が認められたので、本日、証券取引等監視委員会は、内閣総理大臣及び金融庁長官に対して、金融庁設置法第20条第1項に基づき、行政処分を行うよう勧告した。

    (注)株式会社グローバルレポートは、平成18年7月に有価証券に係る投資顧問業の規制等に関する法律に基づく投資顧問業の登録を受け、同19年9月には金融商品取引法の施行に伴い、同法第29条のみなし登録(投資助言・代理業)を受けている。

  • 2.事実関係

    株式会社グローバルレポート(以下「当社」という。)は、有料会員専用ウェブサイト(以下「有料会員サイト」という。)上において、当社顧問と称するAが推奨する外国投資証券等海外金融商品(以下「海外金融商品」という。)の名称、概要及び申込窓口を紹介するとともに、メールマガジンにより各海外金融商品の売却のタイミング等の助言を行っている。

    当社の代表取締役社長BはAから依頼を受け名目上の代表に就任しただけで、当社の経営及び投資助言業務には一切関与しておらず、Aが当社設立当初から、当社を実質的に支配し、投資助言業に係るほとんど全ての業務を一人で執行している。

    今回検査において当社の業務運営の状況を検証したところ、以下の問題が認められた。

    • (1) 十分な根拠を有しない投資助言を行っている状況

      当社は、有料会員サイトに海外金融商品に関する助言を掲載しているが、これらの海外金融商品のうちの一部について、その法的性質、運用方法、運用状況等を把握していないほか、販売会社の実態を確認しないまま、助言を行っている。

      また、「元本保護型」のファンドである旨記載し、顧客に購入を推奨している商品については、当該商品がどのような仕組みで元本が保護されるのかを確認せずに助言を行っている。

    • (2) その他法令違反行為等

      当社では、投資顧問業の登録申請前から、Aが当社を支配し投資助言業務を行うことを予定していたにもかかわらず、Aの当時の勤務先が兼業禁止であったことから、有価証券に係る投資顧問業の規制等に関する法律第5条第1項に基づき関東財務局長へ提出した登録申請書及び金融商品取引法施行に伴うみなし登録に際する登録申請書において、Bを代表取締役として記載し登録を受けている。

      また、助言対象についても、登録申請前から海外金融商品の助言を行うことを予定していたにもかかわらず、登録申請が受理されやすいように、「助言対象有価証券」を「証券取引法第2条に規定されている国内で流通している有価証券」と、予定する助言対象とは異なる記載をし、登録した助言対象の範囲を超えて業務を行った。

      さらに、これらに関連し、当社は、契約締結前交付書面及び契約締結時交付書面(契約締結前交付書面と併せて以下「両書面」という。)における投資判断を行う者や助言の内容に関する記載について虚偽の記載を行うとともに、関東財務局長からの報告徴取命令に対し、投資助言業務の対象としていた又はしている有価証券に関して一部のみを記載し、その他については意図的に記載していないなどの虚偽の報告を行った。

      その他、当社では、両書面について法定記載事項の未記載や誤記、交付方法の要件を充たしていないといった不備が、締結した投資顧問契約の内容を記載した書面や投資顧問契約に基づく助言の内容を記載した書面について未作成や未保存が、それぞれ認められるほか、事業報告書についても、Bの兼職状況、貸借対照表及び損益計算書の費目の誤り等の記載不備が認められ、不備のある事業報告書を公衆縦覧している。

    当社は、AとB両名の法令等遵守意識及び投資者保護意識が著しく欠如していることから、実態と異なる内容を記載した登録申請書を関東財務局長宛に提出し、投資顧問業の登録及び投資助言・代理業のみなし登録を受け、登録した業務の範囲を超えて業務を行うとともに、十分な根拠を有しない助言を行ったほか、多くの法令違反行為等を行っている。

    上記の状況から、当社は、金融商品取引法第29条の4第1項第1号ホに規定する「金融商品取引業を適確に遂行するに足りる人的構成を有しない者」に該当し、このような当社の状況は、同法第52条第1項第1号に該当するものと認められる。


(参考条文)

○ 金融商品取引法(昭和23年法律第25号)(抄)

(登録の拒否)

第二十九条の四 内閣総理大臣は、登録申請者が次の各号のいずれかに該当するとき、又は登録申請書若しくはこれに添付すべき書類若しくは電磁的記録のうちに虚偽の記載若しくは記録があり、若しくは重要な事実の記載若しくは記録が欠けているときは、その登録を拒否しなければならない。

一 次のいずれかに該当する者

イ~ニ (略)

ホ 金融商品取引業を適確に遂行するに足りる人的構成を有しない者

(以下、略)

(金融商品取引業者に対する監督上の処分)

第五十二条 内閣総理大臣は、金融商品取引業者が次の各号のいずれかに該当する場合においては、当該金融商品取引業者の第二十九条の登録を取り消し、第三十条第一項の認可を取り消し、又は六月以内の期間を定めて業務の全部若しくは一部の停止を命ずることができる。

一 第二十九条の四第一項第一号、第二号又は第三号に該当することとなつたとき。

(以下、略)

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