三菱UFJモルガン・スタンレー証券株式会社による長期国債先物に係る相場操縦に対する課徴金納付命令の勧告について
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1.勧告の内容
証券取引等監視委員会は、三菱UFJモルガン・スタンレー証券株式会社(法人番号4010001129098、以下「三菱UFJモルガン・スタンレー」という。)による相場操縦について検査した結果、下記のとおり法令違反の事実が認められたので、本日、内閣総理大臣及び金融庁長官に対して、金融庁設置法第20条第1項の規定に基づき、課徴金納付命令を発出するよう勧告を行った。
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2.法令違反の事実関係
三菱UFJモルガン・スタンレーは、第一種金融商品取引業を行うことにつき関東財務局長の登録を受けている株式会社であるが、同社のディーリング業務に従事していた者において、同社の業務に関し、株式会社大阪取引所(以下「大阪取引所」という。)に上場されていた長期国債先物2017年9月限月(以下「本件国債先物」という。)について、市場デリバティブ取引を誘引する目的をもって、別表記載のとおり、平成29年8月25日午後6時34分頃から同日午後7時9分頃までの間、大阪取引所において、約定させる意思がないのに、最良買い気配値以下の価格に多数の買い注文を発注する方法により、合計6253単位の買付けの申込みを行うとともに、合計177単位を売り付ける一方、最良売り気配値以上の価格に多数の売り注文を発注する方法により、合計1844単位の売付けの申込みを行うとともに、合計158単位を買い付けるなどし、もって、自己の計算において、市場デリバティブ取引が繁盛であると誤解させ、かつ、大阪取引所における本件国債先物の相場を変動させるべき一連の市場デリバティブ取引及び申込みをしたものである。
違反行為事実の概要等については、別紙1のとおり。
三菱UFJモルガン・スタンレーが行った上記の行為は、金融商品取引法(以下「金商法」という。)第174条の2第1項に規定する「第159条第2項第1号の規定に違反する一連の有価証券売買等」及び「申込み」に該当すると認められる。
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3.課徴金の額の計算
上記の違法行為について金商法に基づき算定される課徴金の額は、2億1837万円である。
計算方法の詳細については、別紙2のとおり。
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4.その他
本件については、日本取引所自主規制法人より提供された情報を参考として、実態解明を行ったものである。
○違反行為事実の概要について(1)
○課徴金の額の計算方法について
1.金商法第174条の2第1項に基づき、当該違反行為に係る課徴金の額は、
(1) 当該違反行為に係る有価証券の売買対当数量(注1)に係るものについて、自己の計算による当該有価証券の売付け等の価額から、自己の計算による当該有価証券の買付け等の価額を控除した額
(注1)売買対当数量:当該違反行為に係る有価証券の売付け等の数量と買付け等の数量のうち、いずれか少ない数量をいう。
及び
(2) 当該違反行為に係る自己の計算による有価証券の売付け等の数量が当該違反行為に係る自己の計算による有価証券の買付け等の数量を超える場合、当該超える数量に係る有価証券の売付け等の価額から、当該違反行為が終了してから1月を経過するまでの間の各日における当該違反行為に係る有価証券等に係る有価証券の買付け等についての金商法第67条の19又は第130条に規定する最低の価格のうち最も低い価格に当該超える数量を乗じて得た額を控除した額
を合計することで算出される。
2.本件では、
(1) 売買対当数量(注2)に係る課徴金の額 0円(注3)
(注2)当該違反行為に係る売買対当数量は、以下により637単位となる。
① 当該違反行為に係る自己の計算による有価証券の売付け等の数量は、当該違反行為に係る自己の計算による有価証券の売付け等の数量である177単位に、当該違反行為の開始時に自己の計算において当該違反行為に係る有価証券を有しないで又は借り入れて売り付けており、金商法第174条の2第7項及び金商法施行令第33条の12第1号の規定により、当該違反行為開始時にその時における価格(呼値151.12円)で当該違反行為に係る有価証券の売付け等を自己の計算においてしたものとみなされる2265単位を加えた、2442単位となる。
② 当該違反行為に係る自己の計算による有価証券の買付け等の数量は、当該違反行為に係る自己の計算による有価証券の買付け等の数量である158単位に、当該違反行為の開始時に自己が所有しており、金商法第174条の2第8項及び金商法施行令第33条の13第1号の規定により、当該違反行為開始時にその時における価格(呼値151.12円)で当該違反行為に係る有価証券の買付け等を自己の計算においてしたものとみなされる479単位を加えた、637単位となる。
(注3)算定式は次のとおり。
(637単位×151.12円×1,000,000)-(637単位×151.12円×1,000,000)
=0円
(注4)長期国債先物は、長期国債標準物を対象原資産とする先物取引であり、長期国債先物の最低取引単位(1単位)は、同先物の価格を1,000,000倍した金額となる。
及び
(2) 当該違反行為に係る自己の計算による有価証券の売付け等の数量が当該違反行為に係る自己の計算による有価証券の買付け等の数量を超える場合の、当該超える数量に係る課徴金の額2億1837万円(注5)(注6)
(注5)当該超える数量(1805単位)に係る有価証券の売付け等の価額から、当該違反行為が終了してから1月を経過するまでの間の各日における当該違反行為に係る有価証券に係る有価証券の買付け等についての金商法第67条の19又は第130条に規定する最低の価格のうち最も低い価格(呼値151.00円)に、当該超える数量(1805単位)を乗じて得た額を控除することで算出される。
(注6)算定式は次のとおり。
{(1,628単位×151.12円×1,000,000)+(177単位×151.13円×1,000,000)}-(1,805単位×151.00円×1,000,000)
=218,370,000
を合計し、
2億1837万円が課徴金の額となる。
【参考】
(別表(PDF))