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令和元年8月30日
証券取引等監視委員会

村山一憲に対する検査結果に基づく勧告について

1.勧告の内容
  関東財務局長が村山一憲(東京都港区、旧法特例業務届出者、金融商品取引業の登録はない。)を検査した結果、下記のとおり、当該旧法特例業務届出者に係る問題が認められたので、本日、証券取引等監視委員会は、内閣総理大臣及び金融庁長官に対して、金融庁設置法第20条第1項の規定に基づき、行政処分を行うよう勧告した。
 
2.事実関係
(1)  関東財務局長に対し虚偽の報告等をしている状況
  村山一憲(以下「当該者」という。)は、平成20年10月31日、適格機関投資家等特例業務(以下「特例業務」という。)の届出を行っているが、特例業務においては適格機関投資家から出資を受けることが要件の一つとされているところ、組成した匿名組合(以下「本件ファンド」という。)が、適格機関投資家からの出資を受けていないにもかかわらず、(ア)関東財務局長に対する届出書面及びその添付書類(平成28年8月29日付け)、(イ)関東財務局長から受けた適格機関投資家との契約等に係る報告徴取命令に対する報告書(平成29年6月27日付け)及び(ウ)関東財務局長に提出した事業報告書(平成30年3月30日付け)において、適格機関投資家から出資されている旨の虚偽の報告を行った。

 当該者の上記行為は、(ア)については、金融商品取引法の一部を改正する法律(平成27年法律第32号。以下「平成27年改正法」という。)附則第3条第1項及び第2項に、(イ)については、平成27年改正法附則第2条第2項によって適用される金融商品取引法第63条の6の規定に基づく報告徴取命令に、(ウ)については、平成27年改正法附則第2条第2項によって適用される金融商品取引法第63条の4第2項にそれぞれ違反するものと認められる。
 
(2)  無登録で投資運用業を行っている状況等
 (ア) 無登録で投資運用業を行っている状況  
  当該者は、平成20年10月31日以降、投資運用業の登録を受けることなく、本件ファンド以外の2つの匿名組合(以下「本件2ファンド」という。出資者:少なくとも78名、出資総額:約4億8400万円)の運用を行っている。
  
 (イ) 出資金の杜撰な運用及び管理
  本件2ファンドの出資金の運用状況については、金融商品取引業の登録を受けていない者に対し、外国為替証拠金取引等による運用を委託しているほか、金融商品取引業の登録を受けていない者が運営するファンドに出資するなどして運用している。
 また、本件2ファンドに係る出資金の管理状況については、当該者の固有財産と渾然一体となっており、会計帳簿等も作成しておらず、収支状況を判別できない状況となっている。さらに、匿名組合契約上の正当な根拠なく、出資金の一部を他者への貸付金に充当している状況となっている。 
  
  当該者の上記(ア)の行為は、金融商品取引法第28条第4項に規定する「投資運用業」に該当し、当該者が同法第29条に基づく登録を受けることなく、当該行為を行うことは、同条に違反するものであり、上記(ア)及び(イ)の状況は、旧法特例業務届出者として、投資者保護上重大な問題があるものと認められ、平成27年改正法附則第2条第2項によって適用される金融商品取引法第63条の5第1項に規定する「業務の運営に関し、公益又は投資者保護のため必要かつ適当であると認めるとき」に該当するものと認められる。
 
(参考条文)
○ 金融商品取引法(昭和23年法律第25号)(抄)
(登録)
第二十九条 金融商品取引業は、内閣総理大臣の登録を受けた者でなければ、行うことができない。
  
(業務に関する帳簿書類等)
第六十三条の四 特例業務届出者は、内閣府令で定めるところにより、その業務に関する帳簿書類を作成し、これを保存しなければならない。
2 特例業務届出者は、事業年度ごとに、内閣府令で定めるところにより、事業報告書を作成し、毎事業年度経過後三月以内(当該特例業務届出者が外国法人又は外国に住所を有する個人である場合にあつては、政令で定める期間内)に、これを内閣総理大臣に提出しなければならない。
(以下、略)
 
(特例業務届出者に対する監督上の処分等)
第六十三条の五 内閣総理大臣は、特例業務届出者の業務の運営に関し、公益又は投資者保護のため必要かつ適当であると認めるときは、その必要の限度において、当該特例業務届出者に対し、業務の運営の改善に必要な措置をとるべきことを命ずることができる。
(以下、略)

(報告の徴取及び検査)
第六十三条の六 内閣総理大臣は、公益又は投資者保護のため必要かつ適当であると認めるときは、特例業務届出者、これと取引をする者若しくは当該特例業務届出者から業務の委託を受けた者(その者から委託(二以上の段階にわたる委託を含む。)を受けた者を含む。以下この条において同じ。)に対し当該特例業務届出者の業務に関し参考となるべき報告若しくは資料の提出を命じ、又は当該職員に当該特例業務届出者若しくは当該特例業務届出者から業務の委託を受けた者の営業所、事務所その他の施設に立ち入らせ、これらの者の業務の状況に関し質問(当該特例業務届出者から業務の委託を受けた者にあつては、当該特例業務届出者の業務に関し必要なものに限る。)をさせ、若しくは帳簿書類その他の物件の検査(当該特例業務届出者から業務の委託を受けた者にあつては、当該特例業務届出者の業務に関し必要なものに限る。)をさせることができる。
 
○ 金融商品取引法の一部を改正する法律(平成27年法律第32号)附則(抄)
(経過措置)
第二条 この法律の施行の際現にこの法律による改正前の金融商品取引法(以下この項において「旧法」という。)第六十三条第一項第二号に掲げる行為に係る同条第二項に規定する適格機関投資家等特例業務(この法律による改正後の金融商品取引法(以下「新法」という。)第六十三条第一項第二号に掲げる行為に係るものを除く。以下この項において「旧法第二号適格機関投資家等特例業務」という。)を行っている旧法特例業務届出者(旧法第六十三条第三項に規定する特例業務届出者をいう。次項及び次条第一項において同じ。)及び旧法届出金融商品取引業者等(旧法第六十三条の三第一項の規定による届出をした金融商品取引業者等(旧法第三十四条に規定する金融商品取引業者等をいう。)をいう。第三項及び次条第一項において同じ。)は、当該旧法第二号適格機関投資家等特例業務(この法律の施行の日(以下「施行日」という。)前に取得の申込みの勧誘を開始した権利に係るものに限る。以下この条において「旧法適格機関投資家等特例投資運用業務」という。)が終了するまでの間は、新法第二十九条の規定にかかわらず、引き続き旧法適格機関投資家等特例投資運用業務を行うことができる。
2 前項の規定により旧法特例業務届出者が引き続き旧法適格機関投資家等特例投資運用業務を行う場合においては、当該旧法特例業務届出者を新法第六十三条第五項に規定する特例業務届出者とみなして、同項から同条第八項まで及び同条第十一項から第十三項まで並びに新法第六十三条の二、第六十三条の四から第六十三条の七まで、第六十五条の二、第六十五条の四、第百八十八条並びに第百九十四条の七第二項及び第三項の規定並びにこれらの規定に係る新法第八章及び第八章の二の規定を適用する。
(以下、略)
  
第三条 旧法特例業務届出者等(旧法特例業務届出者及び特例投資運用業務届出者(附則第十条の規定による改正前の証券取引法等の一部を改正する法律(平成十八年法律第六十五号。以下この項において「旧平成十八年証券取引法改正法」という。)附則第四十八条第一項の規定の適用を受けて同項に規定する特例投資運用業務を行う者(同条第四項に規定する金融商品取引業者等を除く。)をいう。)をいう。次項及び附則第五条において同じ。)並びに旧法届出金融商品取引業者等及び旧平成十八年証券取引法改正法附則第四十八条第四項に規定する金融商品取引業者等は、施行日から起算して六月以内に、新法第六十三条第二項第七号に掲げる事項その他内閣府令で定める事項を記載した書面を内閣総理大臣に提出しなければならない。
2 前項の規定により旧法特例業務届出者等が提出する書面には、新法第六十三条第三項各号に掲げる書類を添付するものとする。この場合において、同項第一号及び第二号中「書面」とあるのは、「書面又は同号イからニまでのいずれに該当するかを記載した書面」とする。
(以下、略)

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