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令和元年8月30日
証券取引等監視委員会

JPアセット証券株式会社に対する検査結果に基づく勧告について

1.勧告の内容
 証券取引等監視委員会がJPアセット証券株式会社(東京都中央区、法人番号 6010001131671、代表取締役社長 志村 仁、資本金2.83億円、常勤役職員45名、第一種金融商品取引業)を検査した結果、下記のとおり、当該金融商品取引業者に係る問題が認められたので、本日、証券取引等監視委員会は、内閣総理大臣及び金融庁長官に対して、金融庁設置法第20条第1項の規定に基づき、行政処分を行うよう勧告した。
 
2.事実関係
 JPアセット証券株式会社(以下「当社」という。)を検査した結果、以下の問題が認められた。
 
○ 顧客に対し特別の利益を提供する行為
 平成30年10月1日から令和元年5月7日までの間(以下「当該期間」という。)における当社の業務運営状況について検証したところ、以下のとおり、市場デリバティブ取引を行う顧客1名に対し、当該顧客が預託すべき証拠金について多額の証拠金不足が長期間にわたり発生している状況のもと、下記の取引を受託している状況が認められた。
 
 当社は、当該期間のうちの4営業日において、いずれも前日時点で当該顧客が預託すべき証拠金が不足している状況のもと、当該顧客から、新規の市場デリバティブ取引の取次ぎを受託している。
 また、当社は、当該期間のうちの53営業日において、いずれも前日時点で当該顧客が預託すべき証拠金が不足している状況のもと、当該顧客から、実質的に新規の市場デリバティブ取引と同等の効果となる取引(買建玉数が売建玉数以上となっている両建ての状況の中で、買建玉を維持したまま売建玉を減らすもの)の取次ぎを受託している。
 
 以上のとおり、当社は、当該顧客について、多額の証拠金不足が長期間にわたり発生している状況にあるにもかかわらず、上記のような取引を受託している。  
 このような行為は、特定の顧客に対し、当社が不足証拠金を負担したうえで新たな市場デリバティブ取引を行う機会を与えているものであり、こうした利益の提供は、社会通念上、妥当性・相当性を著しく欠くものと認められる。
 
 当社の上記行為は、金融商品取引法第38条第9号に基づく金融商品取引業等に関する内閣府令第117条第1項第3号に掲げる「金融商品取引契約につき、顧客に対し特別の利益を提供する行為」に該当するものと認められる。
 
 本件が発生した背景には、経営陣の法令遵守意識が欠如しており、当社のガバナンスが機能していないことがあると認められる。
 

(参考条文)
○ 金融商品取引法(昭和23年法律第25号)(抄)
(禁止行為)
第三十八条 金融商品取引業者等又はその役員若しくは使用人は、次に掲げる行為をしてはならない。(略)
一~八(略)
九 前各号に掲げるもののほか、投資者の保護に欠け、若しくは取引の公正を害し、又は金融商品取引業の信用を失墜させるものとして内閣府令で定める行為

○ 金融商品取引業等に関する内閣府令(平成19年内閣府令第52号)(抄)
(禁止行為)
第百十七条 法第三十八条第九号に規定する内閣府令で定める行為は、次に掲げる行為とする。
一・二(略)
三 金融商品取引契約につき、顧客若しくはその指定した者に対し、特別の利益の提供を約し、又は顧客若しくは第三者に対し特別の利益を提供する行為(第三者をして特別の利益の提供を約させ、又はこれを提供させる行為を含む。)
(以下、略)

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