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令和元年9月10日
証券取引等監視委員会

株式会社スマートアセットマネジメントに対する検査結果に基づく勧告について

1.勧告の内容
  関東財務局長が株式会社スマートアセットマネジメント(東京都中央区、法人番号1011001027121、代表取締役 高見 英治(たかみ えいじ)(以下「高見代表」という。)、資本金1000万円、常勤役職員13名、投資助言・代理業、以下「当社」という。)を検査した結果、下記のとおり、当該金融商品取引業者に係る問題が認められたので、本日、証券取引等監視委員会は、内閣総理大臣及び金融庁長官に対して、金融庁設置法第20条第1項の規定に基づき、行政処分を行うよう勧告した。
 
2.事実関係
(1) 金融商品取引契約の締結の勧誘に関して、顧客に対し虚偽のことを告げる行為
  当社は、見込顧客に対して、メールを配信する方法により、投資顧問契約の締結の勧誘を行っている。 今回検査において、当社における平成28年5月から令和元年5月までの間の投資顧問契約の締結の勧誘状況を検証したところ、以下の法令違反行為が認められた。
 
 ア.銘柄分析・選定者に関する虚偽告知  
  当社は、少なくとも延べ33万3000人以上の見込顧客に対して送信したメールにおいて、実際には高見代表が銘柄分析・選定に何ら関与していないにもかかわらず、事実に反して、「私、高見が完全監修を務める」等の文言を記載し、虚偽の内容を告げて投資顧問契約の締結の勧誘を行った。
  
 イ.助言実績に関する虚偽告知
  当社は、少なくとも延べ1500人以上の見込顧客に対して送信したメールにおいて、買い推奨を行った複数の銘柄について、実際には売り推奨を行っていないにもかかわらず、事実に反して、買い推奨日からメール配信時までの間に最高値となった日を「売却推奨日」と記載するなどして、虚偽の内容を告げて投資顧問契約の締結の勧誘を行った。 
  
  当社の上記行為は、金融商品取引法第38条第1号に掲げる「金融商品取引契約の締結又はその勧誘に関して、顧客に対し虚偽のことを告げる行為」に該当するものと認められる。
 
(2) 著しく事実に相違する表示又は著しく人を誤認させるような表示のある広告をする行為
  当社は、投資助言業者等を評価・比較している複数のウェブサイトにおいて、当社の広告を行っているが、平成31年4月から令和元年5月までの間の当該ウェブサイトにおける広告(以下「ウェブ広告」という。)の内容を検証したところ、以下の法令違反行為が認められた。
 
 ア.銘柄分析・選定者に関して著しく事実に相違する表示
  当社は、実際には高見代表が銘柄の分析・選定に何ら関与していないにもかかわらず、ウェブ広告中に、「高見英治を筆頭に銘柄選定及び投資助言が行われている」等の記事を掲載した。
  
 イ.助言実績に関して著しく事実に相違する表示
  当社は、多数の銘柄について、実際には投資助言の実績がないにもかかわらず、ウェブ広告中に、助言を行った銘柄である旨の記事を掲載した。
  
 ウ.助言実績に関して著しく人を誤認させる表示
  当社は、当該ウェブサイトにおいて、実際には当社が記載した内容であるにもかかわらず、あたかも第三者によって投稿されたかのような外観を装った、当社の助言実績等に関する記事を多数掲載させた。
 
  当社の上記行為は、投資助言・代理業に関する広告において、助言の方法及び助言実績に関する事項について、著しく事実に相違する表示をし、又は著しく人を誤認させるような表示であり、金融商品取引法第37条第2項に違反する。
 
(3) 投資助言・代理業を適確に遂行するに足りる人的構成を有していない状況及び投資助言・代理業を適確に遂行するための必要な体制が整備されていない状況
  当社の営業責任者は、自ら主導して上記(1)の法令違反行為を行っているほか、上記(2)についても法令違反行為であることを認識しながら、何ら対策を講じることなく漫然と放置している。
 また、当社コンプライアンス部長は、金融商品取引法令に関する知識が乏しく、また、法令等遵守意識も希薄であることから、上記(1)の法令違反行為が行われていることを認識しながら、当該違反行為に関し、何ら対策を講じることなく、漫然と放置している。
 さらに、当社の唯一の役員である高見代表は、当社の営業責任者及びコンプライアンス部長が、高見代表による当社業務への関与を阻害すべき状況を作出する中、当局による臨店検査が始まるまで、当社の業務内容を把握・管理するための措置を講じていないなど、内部管理態勢の構築を行っていないばかりか、顧客獲得や収益の拡大、当社の知名度を上げることを優先させるあまり、上記法令違反行為の一部については、当該行為が行われていることを認識しながら、何ら対策を講じることなく、これを漫然と放置している。
 このように、当社要職は、いずれも法令等遵守意識及び投資者保護意識が著しく欠如している。
 
  当社における上記の状況は、金融商品取引法第29条の4第1項第1号ホに掲げる「金融商品取引業を適確に遂行するに足りる人的構成を有しない者」に該当し、また、同号ヘに掲げる「金融商品取引業を適確に遂行するための必要な体制が整備されていると認められない者」に該当するものと認められ、このような当社の状況は、同法第52条第1項第1号に該当するものと認められる。

(参考条文)
○ 金融商品取引法(昭和23年法律第25号)(抄)
(登録の拒否)
第二十九条の四 内閣総理大臣は、登録申請者が次の各号のいずれかに該当するとき、又は登録申請書若しくはこれに添付すべき書類若しくは電磁的記録のうちに虚偽の記載若しくは記録があり、若しくは重要な事実の記載若しくは記録が欠けているときは、その登録を拒否しなければならない。
一 次のいずれかに該当する者
イ~ニ(略)
ホ 金融商品取引業を適確に遂行するに足りる人的構成を有しない者
へ 金融商品取引業を適確に遂行するための必要な体制が整備されていると認められない者
  
(広告等の規制)
第三十七条(略)
2 金融商品取引業者等は、その行う金融商品取引業に関して広告その他これに類似するものとして内閣府令で定める行為をするときは、金融商品取引行為を行うことによる利益の見込みその他内閣府令で定める事項について、著しく事実に相違する表示をし、又は著しく人を誤認させるような表示をしてはならない。
 
(禁止行為)
第三十八条 金融商品取引業者等又はその役員若しくは使用人は、次に掲げる行為をしてはならない。ただし、第四号から第六号までに掲げる行為にあつては、投資者の保護に欠け、取引の公正を害し、又は金融商品取引業の信用を失墜させるおそれのないものとして内閣府令で定めるものを除く。
一 金融商品取引契約の締結又はその勧誘に関して、顧客に対し虚偽のことを告げる行為
(以下、略)

(金融商品取引業者に対する監督上の処分)
第五十二条 内閣総理大臣は、金融商品取引業者が次の各号のいずれかに該当する場合においては、当該金融商品取引業者の第二十九条の登録を取り消し、第三十条第一項の認可を取り消し、又は六月以内の期間を定めて業務の全部若しくは一部の停止を命ずることができる。
一 第二十九条の四第一項第一号、第二号又は第三号に該当することとなつたとき
(以下、略)

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