令和8年6月19日
証券取引等監視委員会
GOO PROPERTY SINGAPORE PTE. LTD.(グープロパティ社)及びその役員1名による金融商品取引法違反行為に係る裁判所への禁止及び停止命令発出の申立てについて
1.申立ての内容等
証券取引等監視委員会が、GOO PROPERTY SINGAPORE PTE. LTD.(シンガポール共和国、代表者 木下隆介(きのしたりゅうすけ、以下「木下」という。)、金融商品取引業の登録等はない。以下「当社」という。)に対して金融商品取引法(以下「金商法」という。)第187条第1項に基づく調査を行った結果、下記2.の事実が認められたことから、本日、証券取引等監視委員会は、金商法第192条第1項に基づき、東京地方裁判所に対し、当社及び当社の代表者である木下(当社及び木下を併せて、以下「当社ら」という。)を被申立人として、金商法違反行為(下記ア及びイ)の禁止及び停止を命ずるよう申立てを行った。
ア 無登録で、金商法第2条第2項第5号又は第6号に掲げる権利について、募集又は私募の取扱いを業として行うこと
イ 無登録で、投資一任契約を締結し、当該契約に基づき、金融商品の価値等の分析に基づく投資判断に基づいて有価証券に対する投資として、金銭その他の財産の運用(その指図を含む。以下同じ。)を業として行うこと
2.事実関係
当社は、平成27年4月に設立されたシンガポール共和国法人であり、米国籍の金融持株会社ITA International Holdings LLCを最上位とするITAグループ(通称「インベスターズ・トラスト」)の日本国内の総代理店の位置付けにある会社である。
また、当社の代表者である木下は、ITAグループの投資商品の販売に係る当社の業務等を統括的な立場から管理・運営してきた者である。
当社らは、金商法第29条所定の登録を受けずに、ITAグループの保険会社等が組成する「S&P500インデックス」及び「エボリューション」等の集団投資スキームの持分(金商法第2条第2項第6号)に該当する海外投資商品に関し、下記(1)のとおり、集団投資スキーム持分の募集又は私募の取扱いを業として行い、また、下記(2)のとおり、顧客との間で投資一任契約を締結し、当該契約に基づき、出資金の運用を業として行っている。
(1) 集団投資スキーム持分の募集又は私募の取扱い
当社は、一般投資家に対するITAグループの投資商品に係る紹介や当該投資商品について出資する意向を示した一般投資家とITAグループとの出資契約の締結等のサポートを行う下位代理店の開拓に努め、当社に紐づく代理店網を拡大するとともに、下位代理店(538者)(注)に対し、各種研修の実施や個別面談を通じて業務指導を行うなど、体系的に下位代理店の業務をサポートし、主として、下位代理店の営業活動を通じて収益を図っている。
こうした中、当社ら又は下位代理店は、ITAグループのイントロデューサー登録(ITAグループの投資商品を取り扱うための資格)を受けた上で、オフショア商品に関心を示した一般投資家に対し、ITAグループの投資商品であるS&P500インデックス及びエボリューション等の商品概要や特長、これに投資した場合に見込まれる収益等を説明するなどして出資を促しているほか、当該商品への出資を希望する顧客に対しては、出資契約締結に必要な各種書類の案内及び作成の補助等を行っている。
これにより、当社らは、平成26年11月から令和7年12月までの間、延べ3万1943者の一般投資家に対し、合計約575億円の出資をさせている。
当社らの上記行為は、無登録で外国の法令に基づく集団投資スキーム持分の募集又は私募の取扱いを業として行うものとして、金商法第28条第2項第2号に規定する「第二種金融商品取引業」に該当し、無登録でこれを行うことは、同法第29条に違反する。
(注)下位代理店のうち、株式会社BANK INNOVATION及び株式会社プロスペリティアシュアランス並びにこれらの役員1名について、金商法上の所定の登録を受けずに、集団投資スキーム持分の募集又は私募の取扱い並びに投資一任契約の締結の媒介を業として行っていたため、令和8年3月31日付けで大阪地方裁判所に対して金商法違反行為の禁止及び停止を命ずるよう申立てを行っている。
(2) 投資一任契約に基づく出資金の運用
当社は、顧客自身で出資金の運用ポートフォリオを選択できるエボリューション等に出資する場合において、当該顧客が当社推奨のポートフォリオをもって運用することを希望する場合に、運用ポートフォリオの選定及び変更等に係る権限の一任を内容とする「アドバイザリーサービス合意書」と題する書面を取り交わすことで投資一任契約を締結している。そして、当社は、主に木下が市場動向等を分析し、当社が推奨する内容のポートフォリオを設定又は変更した上、ITAグループに対して当該内容の指図を行い、これに沿った運用をITAグループに行わせている。
これにより、当社らは、平成26年11月から令和7年12月までの間、延べ9018者について、当社との間で投資一任契約を締結し、当該契約に基づき約217億円の出資金の運用を行っている。
当社らの上記行為は、金商法第28条第4項第1号に規定する「投資運用業」に該当し、無登録でこれを行うことは、同法第29条に違反するものである。
当社らは、上記金商法違反行為を今後も行う蓋然性が高いことから、これを可及的速やかに禁止・停止させる必要がある。
【顧客の皆様へ】
〇証券取引等監視委員会は、東京地方裁判所に対して、当社らが金融商品取引法違反行為(無登録金商業)を行うことの禁止及び停止を命ずるよう申立てを行いました(令和8年6月19日)。
(注)本件申立ては、当社らによる金商法違反行為の禁止及び停止を命ずるよう裁判所に求めるものであり、顧客への投資資金の返金の禁止を求めるものではありません。
〇当社らは、いずれも金融商品取引業の登録等を受けた業者ではありません。
〇 証券取引等監視委員会の調査の結果によれば、当社らは、S&P500インデックスについて、満期まで契約を継続した場合には、積立元本に対し、10年なら100パーセント、15年なら140パーセント、20年なら160パーセントの配当を約束する「元本確保」型商品であること、エボリューションについて、顧客が投資対象及び投資割合を選択した最大10個の外部ファンド等により運用することができ、外部ファンドとしてビットコインの現物を投資対象とした上場型投資信託商品にも投資することができるなど、ITAグループの投資商品の優位性を説明し、これらの商品への出資の勧誘を行い、出資を希望する顧客に対して出資契約の締結等のサポートを行っていました。
〇 当社らは、当該商品の提案、勧誘を行うに当たり、顧客に対して、利回りが確保されるなどを謳った説明を行っていますが、当該商品の運用成果を保証するものではありません。
〇 【一般投資家の皆様へ】も、併せてご確認ください。
【一般投資家の皆様へ】
〇 無登録業者が、実際には契約内容のとおりの取引を行っていなかったなどのトラブルが多発しています。無登録業者には、金融庁の監督権限が及ばず、投資者保護規定に基づく処分等が行えませんので、ご注意ください。
〇 仮に、海外当局の登録を受けた業者であったとしても、当該海外当局は、他国民との取引について監督指導等を行わないことや、金融庁と同等の監督権限がないことなどがあります。海外当局の登録を受けたことをもって日本と同等の投資者保護を担保するものではありません。
〇一般に、無登録業者は、実際には契約内容のとおりの取引を行っていない商品であったとしても、返金等を希望する顧客に対し、他の顧客の投資資金を交付することで、返金等に応じることがあります。これまでに返金等を受けることができていたとしても、そのことをもって、直ちに当該商品が信頼できるとは言えませんので、ご注意ください。
〇 日本で登録を受けずに金融商品取引業を行うことは違法です。取引の相手方が登録を受けているか、こちら
でご確認ください。
また、無登録で金融商品取引業を行っているとして、金融庁(財務局)が警告を行った者の名称等は、こちら
をご確認ください。
〇 その他、投資の際に留意すべき点等については、こちらをご確認ください。
(クリックすると拡大されます。)
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参考条文
〇第二種金融商品取引業、投資運用業
金融商品取引法(抄)
(定義)
第二条 この法律において「有価証券」とは、次に掲げるものをいう。
一~二十一 (略)
2 前項第一号から第十五号までに掲げる有価証券(略)であつて内閣府令で定めるものに表示されるべき権利(以下この項及び次項において「有価証券表示権利」と総称する。)は、有価証券表示権利について当該権利を表示する当該有価証券が発行されていない場合においても、当該権利を当該有価証券とみなし(略)次に掲げる権利は、証券又は証書に表示されるべき権利以外の権利であつても有価証券とみなして、この法律の規定を適用する。
一~四 (略)
五 民法(略)第六百六十七条第一項に規定する組合契約、商法(略)第五百三十五条に規定する匿名組合契約、投資事業有限責任組合契約に関する法律(略)第三条第一項に規定する投資事業有限責任組合契約又は有限責任事業組合契約に関する法律(略)第三条第一項に規定する有限責任事業組合契約に基づく権利、社団法人の社員権その他の権利(外国の法令に基づくものを除く。)のうち、当該権利を有する者(以下この号において「出資者」という。)が出資又は拠出をした金銭(これに類するものとして政令で定めるものを含む。)を充てて行う事業(以下この号において「出資対象事業」という。)から生ずる収益の配当又は当該出資対象事業に係る財産の分配を受けることができる権利であつて、次のいずれにも該当しないもの(略)
イ~ニ (略)
六 外国の法令に基づく権利であつて、前号に掲げる権利に類するもの
七 (略)
3~7 (略)
8 この法律において「金融商品取引業」とは、次に掲げる行為(略)のいずれかを業として行うことをいう。
一~八 (略)
九 有価証券の募集若しくは売出しの取扱い又は私募若しくは特定投資家向け売付け勧誘等の取扱い
十・十一 (略)
十二 次に掲げる契約を締結し、当該契約に基づき、金融商品の価値等の分析に基づく投資判断に基づいて有価証券又はデリバティブ取引に係る権利に対する投資として、金銭その他の財産の運用(その指図を含む。以下同じ。)を行うこと。
イ (略)
ロ イに掲げるもののほか、当事者の一方が、相手方から、金融商品の価値等の分析に基づく 投資判断の全部又は一部を一任されるとともに、当該投資判断に基づき当該相手方のため投資を行うのに必要な権限を委任されることを内容とする契約(以下「投資一任契約」という。)
十三~十八 (略)
9~45 (略)
第二十八条 (略)
2 この章において「第二種金融商品取引業」とは、金融商品取引業のうち、次に掲げる行為のいずれかを業として行うことをいう。
一 (略)
二 第二条第二項の規定により有価証券とみなされる同項各号に掲げる権利についての同条第八項第一号から第三号まで、第五号、第八号又は第九号に掲げる行為
三・四 (略)
3 (略)
4 この章において「投資運用業」とは、金融商品取引業のうち、次に掲げる行為のいずれかを業として行うことをいい、銀行、協同組織金融機関その他政令で定める金融機関が、当該行為のいずれかを業として行うことを含むものとする。
一 第二条第八項第十二号に掲げる行為
二・三 (略)
5~8 (略)
(登録)
第二十九条 金融商品取引業は、内閣総理大臣の登録を受けた者でなければ、行うことができない。
第百九十七条の二 次の各号のいずれかに該当する場合には、当該違反行為をした者は、五年以下の拘禁刑若しくは五百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
一~十の三 (略)
十の四 第二十九条の規定に違反して内閣総理大臣の登録を受けないで金融商品取引業を行つたとき。
十の五~十五 (略)
2 (略)
第二百七条 法人(法人でない団体で代表者又は管理人の定めのあるものを含む。以下この項及び次項において同じ。)の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務又は財産に関し、次の各号に掲げる規定の違反行為をしたときは、その行為者を罰するほか、その法人に対して当該各号に定める罰金刑を、その人に対して各本条の罰金刑を科する。
一 (略)
二 第百九十七条の二第一項又は第百九十七条の三 五億円以下の罰金刑
三~六 (略)
2・3 (略)
〇緊急差止命令に係る申立て
金融商品取引法(抄)
(審問等に関する調査のための処分)
第百八十七条 内閣総理大臣又は内閣総理大臣及び財務大臣は、この法律の規定による審問、この法律の規定による処分に係る聴聞又は第百九十二条の規定による申立てについて、必要な調査をするため、当該職員に、次に掲げる処分をさせることができる。
一 関係人若しくは参考人に出頭を命じて意見を聴取し、又はこれらの者から意見書若しくは報告書を提出させること。
二 鑑定人に出頭を命じて鑑定させること。
三 関係人に対し帳簿書類その他の物件の提出を命じ、又は提出物件を留めて置くこと。
四 関係人の業務若しくは財産の状況又は帳簿書類その他の物件を検査すること。
2 (略)
(裁判所の禁止又は停止命令)
第百九十二条 裁判所は、次の各号のいずれかに該当すると認めるときは、内閣総理大臣又は内閣総理大臣及び財務大臣の申立てにより、当該各号に定める行為を行い、又は行おうとする者に対し、その行為の禁止又は停止を命ずることができる。
一 緊急の必要があり、かつ、公益及び投資者保護のため必要かつ適当であるとき この法律又はこの法律に基づく命令に違反する行為
二 (略)
2~4 (略)
第百九十八条 次の各号のいずれかに該当する場合には、当該違反行為をした者は、三年以下の拘禁刑若しくは三百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
一~七 (略)
八 第百九十二条第一項又は第二項の規定による裁判所の命令に違反したとき。
2 (略)
第二百七条 法人(略)の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務又は財産に関し、次の各号に掲げる規定の違反行為をしたときは、その行為者を罰するほか、その法人に対して当該各号に定める罰金刑を、その人に対して各本条の罰金刑を科する。
一・二 (略)
三 第百九十八条第一項(第五号を除く。)又は第百九十八条の三から第百九十八条の五まで 三億円以下の罰金刑
四~六 (略)
2・3 (略)


