【金融ここが聞きたい!】


 このコーナーは、記者会見における質疑・応答(Q&A)などの中から、金融を巡る時々の旬な情報をセレクトしてお届けするものです。もっと沢山ご覧になりたい方は、是非、金融庁ホームページの「記者会見概要」のコーナーにアクセスしてください。
 
Q:投資ファンドの大阪証券取引所の主要株主の認可請求に対して、金融庁が認可しない決定を伝え、相手方が「基準が不明確だ」と話していると聞いております。その点について御所見をお聞かせください。また、なぜ今回認可されなかったのか理由をお聞かせください。


:基準が不明確ということについてですが、株式会社証券取引所の主要株主認可手続については、個々の申請について個別具体的な判断をせざるを得ないため、現状において法令の定め以上に具体的な基準を設けることは困難であると考えております。
 主要株主の認可は、取引所の主要株主が取引所の運営に大きな影響力を有することから、取引所の運営の公正性等を確保するため主要株主の適格性を審査するものです。今御指摘の件についての審査ですが、証券取引法に規定する認可基準に照らして行ったわけですが、認可申請者が議決権を行使することにより、株式会社証券取引所の業務の健全かつ適切な運営を損なうおそれがないこととする基準に適合しているとの確証を持てないことから、証券取引法上の審問手続を経た上で認可しないこととしました。
平成17年8月26日(金) 閣議後記者会見 抜粋)

 
Q:今後投資ファンドとか、機関投資家が申請をしてきた場合、今回の理由に照らすと認可を得るのは相当難しいという見方もありますが、その点についての大臣のお考えをお聞かせください。


:一般論としてお答えしますと、取引所の主要株主の認可申請につきましては、個々の申請に応じて審査を行った上で、その審査内容について利益相反の可能性がなく、法令の要件に適合していると認められる場合には認可することになると考えております。
平成17年8月26日(金) 閣議後記者会見 抜粋)

 
Q:カネボウの粉飾決算事件の一部報道に公認会計士法違反があります。一般的に公認会計士や監査法人に問題がある場合、行政上事実解明のためにどのような措置を取るのかお聞かせください。また、所管大臣として、この事態についてどのように受け止めていらっしゃいますか。公認会計士や監査法人の信頼回復等について、どうあるべきと大臣はお考えでしょうか。


:様々な報道がされていることは承知していますが、個別の事案に関するコメントは差し控えさせていただきます。
 金融庁としては、公認会計士の監査を巡る状況について、常日頃から広く情報収集等を行っています。そうした中で法令に抵触するようなことがあれば、必要に応じ法令に基づいて、適切に対処していくことになります。
 一般論として、虚偽のある財務書類を作成した経営者については、刑事・民事・行政上の責任を負うこととされており、これに加えて、虚偽のある財務書類を、故意または過失により虚偽のないものと証明した監査人についても、刑事・民事・行政上の責任を負うこととされているところです。こうしたことに抵触する事態があれば、必要に応じて、私共は法令に基づいて適切に対処していくことになると思います。
 監査人、公認会計士、監査法人には大きな使命があるわけですから、虚偽に関与しているという事態が万が一あるとすれば、そうした信頼に対して大変大きな影響を与え、信頼を大きく揺るがすことになりますので、関係者の方々が万が一にもそうしたことがないように努めていくことは当然のことです。また、そうしたことが起きないような態勢整備を進めていくことが非常に重要なことであり、監査人、公認会計士、そして監査法人の信頼が問われることですから、その使命に基づいて、適切な業務が行えるように最大限の努力をしていただきたいと思います。
平成17年9月13日(火) 閣議後記者会見 抜粋)

 
Q:在任の約一年間を振返っていただいて、御自身の取組みへの御評価と、再任にあたっての抱負、課題についてお聞かせください。


:この一年間振返ってみますと色々なことが金融行政を巡ってあったと思います。その中で私に課せられた大きな課題は、金融再生の総仕上げを実現していく。具体的には、「金融再生プログラム」の目標を達成していくことでしたので、「金融再生プログラム」に盛込まれた諸施策を展開することによって、また関係者の皆様方の大変な御努力によってこの「金融再生プログラム」の目標以上の成果を得ることができたことは、非常に感慨深いものがあります。
 更に「金融再生プログラム」以降の金融行政の指針として「金融改革プログラム」「工程表」を策定・公表させていただきました。再任させていただくにあたっても、この「金融改革プログラム」の諸施策を展開することによって、今後は活力ある金融システムを構築していくために全力を尽くしていきたいと思います。また構造改革を進めていくにあたって、金融改革は非常に重要な改革の分野ですので、決意も新たにこの金融改革の推進に一生懸命取り組んでいきたいと思っております。
平成17年9月21日(水) 初閣議後記者会見 抜粋)

 


【金融便利帳】


 このコーナーは、とかく専門的でわかりにくい金融に関する用語や様々な疑問について、わかりやすく解説するものです。
 今月のキーワードは「グリーンシート」です。


 「グリーンシート」とは、証券業協会が、未公開企業の株券等を売買するために、平成9年7月からスタートさせた制度で、本邦法人が我が国において発行する上場されていない株券等のうち、証券会社が証券業協会に対して届出を行って、その証券会社が継続的に売り気配・買い気配を提示している銘柄(グリーンシート銘柄)について売買できる制度のことをいいます。

 我が国では、株式を公開した際のディスクロージャーのための内部体制の整備や、ディスクロージャーに伴うコストが加重であるといった理由から、中小企業の多くが株式を公開しておりませんでした。また、ディスクロージャーのなされない未公開株券等については、投資家にとっても投資判断のための材料に乏しく、流通を促すことが困難であるという問題点がありました。

 従来、証券業協会の規則では、公開されていない有価証券については、証券会社が投資勧誘を行うことが禁止されてきましたが、上記問題点を踏まえ、証券業協会では、規則を改正し、一定のディスクロージャーがなされることを条件に未公開企業の株券等を売買することを可能とするグリーンシート制度を創設しました。

 このような制度創設後も、グリーンシート銘柄については、証券取引法上特別の規定は設けられていませんでしたが、その後、グリーンシート制度の認知度を上げるとともに、インサイダー取引規制などの不公正取引ルールを適用してその信頼性を高めることによって、その売買の状況を活発にし、中小企業の資金調達を促すべく、平成17年4月から、証券取引法上、「取扱有価証券」として定義されるに至っております。

 証券取引法において、「取扱有価証券」については、インサイダー取引規制の対象とされているほか、売買価格等の公表義務が規定されるなど、認知度を高めるとともに、その信頼性を確保するための制度が法定されております。
 なお、グリーンシート銘柄についてのディスクロージャーについては、発行者の負担という上記問題点を踏まえ、グリーンシート銘柄であることを理由とするディスクロージャー義務は法定されておらず、証券業協会の規則にしたがって一定の会社情報を開示すれば足りることとされております。

 このような証券取引法上の措置などにより、今後グリーンシート制度が幅広く認知され、売買も活発に行われることが期待されます。


【お知らせ】


〇 大臣・副大臣・政務官への質問募集中

 本号では休載させていただきましたが、アクセスFSAでは、読者の皆様から寄せられた金融を巡る大臣・副大臣・政務官へのご質問に、大臣・副大臣・政務官が直接お答えする【大臣に質問!】【副大臣に質問!】【政務官に質問!】のコーナーを設けております。「金融庁のやっている金融行政って、よくわからないんだけれど、大臣・副大臣・政務官にこんなことを、是非、直接聞いてみたい!」というご質問がございましたら、金融庁ホームページの「ご意見箱」にお寄せください。その際、ご意見箱の件名の欄には、必ず「大臣に質問」「副大臣に質問」「政務官に質問」とご記入ください。また、本文の欄にご質問の内容をご記入下さい。ご意見箱のコーナーには、「45行以内」とありますが、「大臣に質問」、「副大臣に質問」、「政務官に質問」の場合には、ご質問の趣旨を明確にさせていただくために、恐縮ですが100字以内に収めていただきますようお願いいたします。お寄せいただきましたご質問の中から1問選定させていただき、「アクセスFSA」において大臣・副大臣・政務官の回答を掲載させていただきます。大臣・副大臣・政務官へのご質問がございます方は、「ご意見箱」へどうぞ。また、「大臣・副大臣・政務官への質問募集中」にもアクセスしてみてください。


〇 新着情報メール配信サービスへのご登録のご案内


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【8月の主な報道発表等】
 
5日(金) 届出を行うべきタリバーン関係者等のリストの一部改訂を発出
株式会社ハーベスト・フューチャーズに対する行政処分
 
9日(火) 利用者満足度向上に向けた懇談会の概要を公表
  政策評価に関する有識者会議を開催
 
10日(水) ゼネラル・エレクトリック・モーゲージ・インシュアランス・コーポレーションに対し外国損害保険業の免許を付与
 
12日(金) 事務ガイドライン(第三分冊:金融会社関係)の一部改正(パブリック・コメント)
保険会社向けの総合的な監督指針の策定
中小企業金融モニタリング(17年5月実施)の取りまとめ結果を公表
金融コングロマリット監督指針の英語版を公表
経営健全化計画の履行状況を報告(18行・社)
経営健全化計画の見直し(10行・社)
保険業法施行令・保険業法施行規則等の改正案の骨子(案)の公表(パブリック・コメント)
センチュリー証券株式会社に対する行政処分
名古屋証券取引所に対する業務改善命令
株式会社シーズ・ファイナンス(旧商号・株式会社インターワールド)に対する行政処分
 
16日(火) 金融庁における業務・システム見直し方針を公表
 
17日(水) 株式会社もみじホールディングス及び株式会社もみじ銀行の産業活力再生特別措置法に基づく事業再構築計画の認定
    大阪証券取引所主要株主申請に係る審問を実施
 
19日(金) 主要行等向けの総合的な監督指針(案)に対する意見募集の実施
 
22日(月) インターナショナル・カーレンシー・チェンジャーズ株式会社に対する行政処分
 
24日(水)   子ども霞が関見学デー開催(〜25日)
 
26日(金) タリバーン関係者等と関係すると疑われる取引の届出について(追加要請その34)の発出
株式会社東京三菱銀行に対する行政処分
人材ネットワークの構築を公表
 
30日(火) 平成18年度 概算要求の概要を公表
平成18年度 税制改正要望を公表
  第2回金融審議会金融分科会第一部会公開買付制度等ワーキンググループ開催
 
31日(水) エムエフシー・グローバル・インベストメント・マネジメント・ジャパン株式会社及びアイエヌジー投信株式会社に対する投資一任契約に係る業務の認可
「概算要求における執行実績を踏まえた概算要求書への反映について」を公表
「平成16年度実績評価書」、「平成17年度事業評価書」、「平成16年度総合評価書」及びそれらの要旨を公表
   
マークのある項目につきましては、から公表された内容にアクセスできます。

金融庁アクセスFSAアクセスFSA 第34号