アクセスFSA 第48号(2006年11月)
エド・ボールズ英国財務省経済担当副大臣の表敬訪問を受ける山本大臣(11月6日) 東京証券取引所を視察する山本大臣、渡辺副大臣、田村政務官(11月20日)
エド・ボールズ英国財務省経済担当副大臣の表敬訪問を受ける山本大臣(11月6日) 東京証券取引所を視察する山本大臣、渡辺副大臣、田村政務官(11月20日)

目 次
【トピックス】
 ○  廃業等における債権譲渡等に係る届出の強化について
 ○  EDINETの高度化に関する協議会 実務者検討会の開催について
 ○  事務ガイドライン(第三分冊:金融会社関係)の一部改正について
 ○  預金口座の不正利用に係る情報提供件数等について
 ○  「金融サービス利用者相談室」における相談等の受付状況等に関する公表について
 ○  金融検査マニュアル改訂に関する検討会の設置について
 ○  利用者の満足度向上に向けた各金融機関の取組みについて(平成17年度)
 ○  18年8月に実施した「中小企業金融モニタリング」の取りまとめ結果の公表について
【特  集】
 ○  「貸金業の規制等に関する法律等の一部を改正する法律案」について
【金融ここが聞きたい!】
【お知らせ】
 ○  「金融庁 電子申請・届出システム」ご利用のお願いについて
 ○  「本人確認法施行令等の改正について」の広報について
 ○  大臣・副大臣・政務官への質問募集中
 ○  新着情報メール配信サービスへのご登録のご案内
【10月の主な報道発表等】


【トピックス】
 
廃業等における債権譲渡等に係る届出の強化について
.はじめに
 金融庁は、貸金業の規制等に関する法律施行規則(以下「内閣府令」と呼びます。)第10条及び同規則別紙様式第6号で定める廃業等届出書の様式を改正することとし、11月7日から改正案をパブリックコメントに付しています。本コーナーでは、内閣府令改正の経緯及び改正概要等について説明させて頂きます。


.内閣府令改正の経緯

 金融庁では、平成17年7月から「金融サービス利用者相談室」を開設し、金融サービス利用者からの相談等に対応していますが、近時、貸金業者の廃業等に伴う債権譲渡に関する相談事例が見られるようなってきています。
 貸金業者が廃業し、登録を更新せず、又は登録取消しとなった場合、取引の結了までの間は「みなし貸金業者」として従前の登録先である財務局長や都道府県知事(以下「登録行政庁」と呼びます。)の監督に服することとされています。また、貸金業者の廃業等の前後に、他の者に債権譲渡がなされた場合、当該債権譲受者に対しても、貸金業の規制等に関する法律の取立規制等が適用され、債権譲受者が貸金業者であれば、登録行政庁の監督に服すこととなりますが、貸金業者でない場合は、その者が所在する都道府県知事の監督が及ぶことになっています。
 しかし、現行の廃業等届出書は廃業する旨の事実の記載を義務付けるのみであり、また、債権譲渡の場合も、債権譲渡に関する事実の把握が困難となっています。


.改正の概要

 これらのことから、今般、廃業等の届出についての様式を定めた内閣府令を改正し、現行の届出項目に加えて、以下の項目の届出を義務付け、監督当局として、廃業等の際の残貸付債権の状況やその後の回収方針、債権譲渡の状況等を把握しようとするものです。
 
(1)  「残貸付債権の状況及び債権回収方針」
 残貸付債権額、債務者数や債権回収方法についても、予定を含め、自主回収、債権譲渡、取立委託等の別の記載を求めることとしています。
(2)  「債権譲渡の状況」
 廃業等の事実の発生前3ヶ月間に既に債権譲渡を行ったものを含め、譲渡先(譲渡予定先)、譲渡債権金額等の記載を求めることとしています。
(3)  「取立委託の状況」
 債権の取立委託先(委託予定先)、委託債権金額等の記載を求めることとしています。
(4)  「廃業等後における帳簿及び個人情報の取扱い」
 廃業後の帳簿や顧客名簿等についてもその処理予定を記載させることにより、これら帳簿等の管理を確認することとしています。



 上記にあわせ、以下の趣旨から、貸金業監督事務ガイドラインの改正を行うこととしています。
 
 登録の不更新及び登録取消しの場合にも、債権譲渡等の実態を把握する必要があることから、今般の改正に係る廃業等届出書と同内容の項目について報告を求めることとしています。また、廃業等により「みなし貸金業者」となった者に対して、全取引の結了及びそれまでの間に住所変更等があればその報告を求めることとしています。
 債権譲受者に対する都道府県知事の監督権を実効あるものとするため、廃業等届出書等により得た債権譲渡に係る情報や債権譲受者の取立てに係る苦情等を、当該債権譲受者への監督権を有する都道府県知事に連絡することとしています。
 ヤミ金対策として、無登録業者に係る苦情について、一般的な警察当局への情報提供に加え、無登録業者による貸付けや取立ての被害を内容とする苦情を受け付けた場合、当局としても早急に事実確認及び警告を行い、警察当局との連携を一層緊密なものとすることとしています。


.今後のスケジュール

 内閣府令改正案については、現在付しているパブリックコメントの受付終了後、お寄せ頂いた意見等を取りまとめた後、公布する予定としています(施行は、公布から3ヵ月後の予定です。)。


.おわりに

 廃業後の業者等に対しては、必ずしも行政処分が有効な規制担保手段とはなり得ないおそれがありますが、監督当局としては、廃業等の際の債権譲渡やその後の回収方針等の報告を求め、適切に実態を把握し、当該情報を関係当局間で共有するとともに、警察等関係機関との連携を一層緊密にすることにより、利用者保護に努めてまいりたいと考えています。
 


 詳しくは、金融庁ホームページの「報道発表資料」から、「貸金業の規制等に関する法律施行規則の一部を改正する内閣府令(案)」の公表について(平成18年11月7日)及び「廃業等における債権譲渡等に係る届出の強化について」(平成18年11月7日)にアクセスしてください。

EDINETの高度化に関する協議会 実務者検討会の開催について


議開催の趣旨

金融庁行政情報化推進委員会で平成18年3月28日に決定された「有価証券報告書等に関する業務の業務・システム最適化計画」においては、XBRLを導入することにより開示情報の二次利用性を高め、開示書類等利用者の利便性を向上させるとともに、広く国民が利用しやすいシステム環境を整備すること等を目的としております。現在、金融庁では、当該最適化計画に基づきEDINETの再構築を進めておりますが、XBRLの導入等は多くの関係機関の実務に影響を与えるものであります。従って、今後、実務面にかかるXBRLの適用方針等を決定するに当たり、関係機関が連携して取組みを行い、幅広い意見を聴取するとともに当庁の考えを周知することが必要であるため、EDINETの高度化に関する協議会の一環として実務者検討会を開催することとしました。
また、当検討会において聴取した意見を参考にEDINETに関する具体的な業務及び機能の検討を進め、開示情報の高度化及びシステムの利便性の向上を図っていく所存であります。


EDINET「Electronic Disclosure for Investors NETwork」
(有価証券報告書等の開示書類に関する電子開示システム)とは、有価証券報告書等の開示書類の提出者が、開示書類に記載すべき情報をインターネットを利用したオンラインで財務(支)局に提出し、これらの開示情報を財務(支)局の閲覧室に設置するモニター画面によって公衆縦覧に供するとともに、インターネットを利用して広く一般に提供するシステムです。


XBRL(eXtensible Business Reporting Language)
とは財務情報を効率的に作成・流通・利用できるよう国際的に標準化されたコンピュータ言語であり、米国や欧州などを中心に導入に向けた動きが急速に進んでいます。
 


 詳しくは、金融庁ホームページの「報道発表資料」から「EDINETの高度化に関する協議会 実務者検討会の開催について」(平成18年11月6日)にアクセスしてください。また、「審議会・研究会等」から「EDINETの高度化に関する協議会 実務者検討会」にもアクセスしてください。

事務ガイドライン(第三分冊:金融会社関係)の一部改正について


.はじめに
 金融庁は、「消費者信用団体生命保険」に係る種々の指摘や貸金業者の出資法に関する認識不足によって法令違反となる事例が検査・監督において散見されていることを踏まえ、「貸金業関係の事務ガイドライン(第三分冊:金融会社関係)」を改正しました。本コーナーにおいては、事務ガイドライン改正の経緯及び改正概要について説明させて頂きます。


.ガイドライン改正の経緯

 「消費者信用団体生命保険」は、消費者金融を利用する際、消費者金融業者が契約者となり債務者を被保険者とする生命保険であり、債務者が死亡した際に保険金により債務が消滅するため、遺族等の生計安定を確保することが可能な保険ですが、一方で、貸金業者による過酷な取立てを助長する要因になるのではないかといった指摘などがなされているところです。
 また、近年、貸金業者においては、利息そのものは出資法上限金利の範囲内で契約や受領しているにもかかわらず、出資法第5条第7項において利息とみなされるもの(いわゆる「みなし利息」)に関する認識不足による結果、出資法上限金利を超過する利息の契約や受領を行っている事例が散見されているところです。
このような状況を踏まえ、貸金業者の業務の適正化を図るため、貸金業規制法第21条及び出資法第5条第7項の規定について一層の明確化を図ることとしました。


.改正の概要
 
(1)  貸金業規制法第21条第1項の「威迫」に該当する事項の明確化(3−2−6⑴及び3−6関係)
  貸金業規制法第21条第1項では、貸金業者が貸付債権の取立てをするに当たって、人を威迫し又は人の私生活若しくは業務の平穏を害する言動により、その者を困惑させることを禁止しており、事務ガイドラインにおいて「威迫」に該当するおそれが大きい場合について例示しているところです。
  貸金業者が債権回収のために、債務者等に対して自らその身体、生命、財産を害して保険金請求事由を生ぜしめることを強要又は示唆し、債務者等を困惑させることは万が一にもあってはならないことですので、これらの行為が貸金業規制法第21条における「威迫」に該当し、そのような取立行為が禁止されていることを、事務ガイドラインにおいて明確化したものです。
  なお、このような行為については、消費者金融を利用する際に加入する「消費者信用団体生命保険」による保険金に限らず、債務者が従前から加入している生命保険などの保険金についても、これを債権回収のために不当に利用することは許されません。

(2)

 出資法第5条第7項において利息とみなされる金銭の明確化について(3−2−10関係)
 出資法第5条第7項においては、金銭の貸付けを行う者がその貸付に関し受ける金銭について、元本以外のものはどのような名義のものであっても、出資法上の利息としてみなされることが規定されています。
このため、従来から、保証業者に支払われる保証料や司法書士等に支払われる公正証書作成費用等を一旦代理受領した場合も、利息とみなされており、今般のガイドラインの改正はその解釈を明確化するものです。
 なお、本件は、あくまでも現行の出資法の解釈・運用の明確化を図るものであり、現在、国会にて審議中の貸金業規制法改正案においては、出資法の利息の定義自体に大幅な見直しが加えられていることにご留意ください。


.おわりに

 以上、貸金業関係の事務ガイドライン改正について説明させていただきました。貸金業者が改正ガイドラインに従い対応することは、貸金業者の適切な業務運営を促し、利用者保護に資すると考えられます。金融庁としては、今般の事務ガイドライン改正をも踏まえ、引き続き、貸金業者の厳正かつ適切な監督に努めてまいりたいと考えています。
 


 詳しくは、金融庁ホームページの「報道発表資料」から、「事務ガイドライン(第三分冊:金融会社関係)の一部改正について』(平成18年11月1日)または、「事務ガイドライン(第三分冊:金融会社関係)の一部改正案に対するパブリックコメントの結果について」(平成18年11月1日)にアクセスしてください。

預金口座の不正利用に係る情報提供件数等について

 平成15年9月12日、金融庁は、預金口座を利用した悪質な事例が大きな社会問題となっていることを踏まえ、当局が預金口座の不正利用に関する情報提供を受けた場合には、明らかに信憑性を欠くと認められる場合を除き、当該口座が開設されている金融機関及び警察当局への情報提供を速やかに実施する旨事務ガイドライン(現監督指針)を改正したところであり、その情報提供件数等について、四半期毎に公表しています。

 これによると、調査を開始した平成15年9月以降、本年9月30日までに、金融庁及び全国の財務局等において、12,979件の預金口座の不正利用に係る情報提供を行いました。
 また、金融機関としても、預金口座の不正利用と思われる情報があった場合には、直ちに調査を行い、本人確認の徹底や、必要に応じて預金取引停止、預金口座解約といった対応を迅速にとっていくことが肝要であり、本年9月30日までに、当局が情報提供を行ったものに対し、金融機関において、6,703件の利用停止、5,253件の強制解約等を行っています。


 詳しくは、金融庁ホームページの「報道発表資料」から「預金口座の不正利用に係る情報提供件数等について」(平成18年10月31日)にアクセスしてください。

「金融サービス利用者相談室」における相談等の受付状況等に関する公表について

概要

 相談室に寄せられた利用者からの相談件数や主な相談事例等のポイント等については、四半期毎に公表しています。平成18年7月1日から9月30日における相談等の受付状況及び特徴等は、以下のとおりです。
(1)  平成18年7月1日から9月30日までの間に、13,475件の相談等(詳細については、「PDF金融サービス利用者相談室における相談等の受付状況表(別紙1)」をご参照ください。)が寄せられています。一日当たりの受付件数は平均214件となっており、平成18年4月1日から6月30日までの間の実績(225件)と概ね同水準となっています。

(2)

 分野別の受付件数としては、
 
預金・融資等に関するものが  3,540件(26%)  
保険商品等に関するものが 4,562件(34%)  
投資商品等に関するものが 2,484件(18%)  
貸金等に関するものが 2,339件(17%)  
金融行政一般・その他が 550件( 4%)  となっています。

(3)

 分野別の特徴等としては、
 
 預金・融資等に関するもののうち、融資業務については、融資の実行・返済についての相談等が、預金業務については、本人確認手続など預入れ時の態勢についての相談等が寄せられています。
 保険商品等については、保険金の支払に関するもの、保険金請求時等における保険会社の対応に関するものについての相談等が寄せられています。
 投資商品等については、証券会社に関するもの、未公開株関係に関するもの、企業内容等開示関係に関するものについての相談等が寄せられています。
 貸金等については、行政に対する要望等に関するもの、業者の登録の有無に ついての照会等一般的な照会・質問に関するもの、個別取引・契約の結果に関するものについての相談等が寄せられています。 

(4)

 なお、受け付けた相談等の中には、検査・監督上参考となる情報1も寄せられており、利用者全体の保護や利便性向上の観点から、当該金融機関に対する検査における検証や監督におけるヒアリング、報告徴求、行政処分等、金融行政を行う上での貴重な情報として活用しています。
 
 預金取扱金融機関によるリスク商品等の販売時における顧客への説明態勢に関するもの
 預金取扱金融機関が借り手に対する優越的な地位を利用して行った金融商品の販売に関するもの
 いわゆる貸し渋り・貸し剥がしに関するもの
 保険募集人等の不適正な行為(不告知の教唆、保険料の立替、無断作成契約、名義借り等)に関するもの
 貸金業者による法令違反のおそれのある行為(取立行為規制違反、取引履歴の不開示等)に関するもの

(5)

 寄せられた相談等のうち利用者の皆様に注意喚起する必要がある事例等について、「利用者からの相談事例等と相談室からのアドバイス等」として周知しております。これまで、以下のものを公表しておりますので、ご参照下さい。
 
 預金・融資等の「預金口座の不正利用に関する情報の提供」
 保険商品等の「保険内容の顧客説明に関する相談等」「告知義務に関する相談等」「保険金の支払いに関する相談等」
 投資商品等の「外国為替証拠金取引に関する相談等」「証券会社との取引に関する相談等」「未公開株の取引に関する相談等」
 貸金等の「違法な金融業者等からの借入れに関する相談等」


 その他、当庁のホームページ(「一般のみなさんへ」)では、金融サービスを利用する皆様にご注意いただきたい情報を掲載しております。


 詳しくは、金融庁ホームページの「報道発表資料」から、「金融サービス利用者相談室における相談等の受付上場等に関する公表について(平成18年10月31日)にアクセスしてください。
 

金融検査マニュアルの改訂に関する検討会の設置について

 金融庁は、預金等受入金融機関に係る検査マニュアル(以下「金融検査マニュアル」という。)の改訂に向けて専門的・技術的観点から議論を深めるために、検査局内に民間の実務者等を含む検討会を設置しました。
 これは、平成19年3月期より適用されるバーゼル II への対応に加え、平成11年7月の金融検査マニュアル策定以降、利用者保護の徹底の要請にみられるような現下の情勢変化や、評定制度の導入等の金融検査の進化の進捗をはじめとし、現行の金融検査マニュアルで十分に対応しきれていない面に対応することを踏まえたものです。
 本検討会はこれまで4回開催されています(11月15日時点)。金融検査マニュアルの改訂に向けて、預金等受入金融機関の実態を踏まえた議論を本検討会において引き続き行っていく予定です。
 なお、平成19年3月期より適用されるバーゼル II に関連する部分については、金融機関の関心の高さ及び準備の必要性に鑑み、本検討会における議論も踏まえ、11月16日に「バーゼル II 適用開始後おける金融検査について」を公表(パブリック・コメント手続きを開始)しました。この部分は今後、他の改訂部分とともに、全体の改訂の一部を構成することになります。

(注

)本検査マニュアルは、金融検査の基本的考え方及び検査に際しての具体的着眼点等を整理した検査官向けの手引き書として位置づけられるものです。
 


 詳しくは金融庁ホームページの「報道発表資料」から「金融検査マニュアル改訂に関する検討会の設置について」(平成18年10月27日)にアクセスしてください。

利用者の満足度向上に向けた各金融機関の取組みについて(平成17年度)


.金融改革プログラム

 平成16年12月24日公表の「金融改革プログラム」において、利用者の満足度の高い活力ある金融システムを創造するため、利用者が理解し納得して取引ができる枠組みを整備するための施策の1つとして、「利用者の満足度を重視した金融機関経営の確立」を掲げました。
 


参考)「利用者満足度向上に向けた懇談会」
 
当該施策の実施にあたり、金融機関が広く利用者の声を把握する取組みの一助とする観点から、平成17年5月〜7月にかけて、有識者、利用者、業界団体から参加を得て、業態毎(預貯金取扱金融機関、保険会社、証券会社等、貸金業者)に、「利用者満足度向上に向けた懇談会」を開催しました。
 


 詳しくは、金融庁ホームページの「報道発表資料」から『「利用者満足度向上に向けた懇談会」の概要』(平成17年8月9日)にアクセスしてください。
また、利用者満足度向上に向けた懇談会の概要については、「アクセスFSA」第34号にも掲載していますのでご参照ください。


.利用者満足度向上に向けた各金融機関の取組みの公表

 平成17年8月に、利用者満足度アンケート等の各金融機関の選択する手法により把握した利用者の意見・苦情等を踏まえて、平成17年度に経営改善を実施するように努め、当該実施項目等について平成18年6月末日までに公表するよう、また、当該取組み内容について報告するよう要請を行いました。
 その結果、預貯金取扱金融機関、保険会社、証券会社等、貸金業者の合計1,069社から報告があり、当該報告内容についてとりまとめたものを公表しました。


.公表内容
 

(1)

 利用者の満足度(CS)向上に向けた各金融機関の取組みについて(平成17年度)
 
 利用者の声を把握する取組み、利用者の声を踏まえた経営改善の取組みの実施率・公表率
 各金融機関の平成17年度の利用者満足度向上に向けた取組みについて、当庁への報告書の提出状況を見ると、概ね各業態とも高い提出率となっています。
 当庁へ報告書を提出した金融機関のうち、約87.1%の金融機関が利用者の声を把握する取組み(アンケート、苦情相談の集計等)を実施しています。当該取組みを実施した金融機関のうち、  アンケート結果等を公表した金融機関は約52.3%となっています。
 また、当庁へ報告書を提出した金融機関のうち、約64.6%の金融機関が利用者の声を踏まえた経営改善の取組みを実施しています。当該取組みを実施した金融機関のうち、実施した取組み内容を公表した金融機関は約70.8%となっています。
 このように、一部金融機関において、こうした取組み内容の公表を控えたところが見られましたが、各金融機関が自らの取組みを広く公表し、利用者に情報提供をおこなっていくことによって、利用者の評価を通じ、利用者満足度の向上が図られるものと考えられます。
 各金融機関が、より積極的に自らの取組み内容を公表していくことが期待されます。


 利用者の声を把握する手法

 利用者の声を把握する手法としては、アンケート・ヒアリングが多く見られました。苦情相談を分析する手法も見られたものの、アンケート・ヒアリングと比べ相対的に少ない結果となっています。


 利用者の声を踏まえた経営改善の具体的取組み内容
 
預貯金取扱金融機関>
 偽造・盗難キャッシュカード問題の対策を背景としたATM・ネットバンキング等のセキュリティ改善、バリアフリー化などの店舗設備改善、融資関連商品や預金・投資関連商品の見直しと開発、インターネット取引の改革等について取り組まれています。
保険会社>
 生命保険会社・・・契約時の説明強化、支払時の顧客対応に配慮した取組みが多く見られました。
 損害保険会社・・・情報提供の改善、契約時の説明強化、契約後の顧客対応、特に事故発生時の初期対応に配慮した取組みが多く見られました。
証券会社>
 講演会、セミナーなどさまざまな方法による情報提供内容の充実強化の取組みが多く見られるとともに、インターネット関連サービスの改善強化、手数料の引き下げ、担当者のマナー・知識向上を通じた相談体制の強化等の取組みが見られました。
貸金業者>
 消費者金融大手7社は、多重債務問題への自主的な取組みとして、健全な家計管理の支援、安全な利用のための情報発信等を順次実施しています。
 また、クレジットカード会社等ではポイントサービスの改善がなされています。

(2)

 利用者の満足度(CS)向上に向けた各金融機関の取組み事例集(平成17年度)
   PDF利用者満足度向上に向けた各金融機関の取組み事例集を公表しておりますので、ご覧ください。
 


 詳しくは、金融庁ホームページの「報道発表資料」から、「利用者の満足度向上に向けた各金融機関の取組みについて(平成17年度)」(平成18 年10月26日)にアクセスしてください。

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