広報コーナー 第19号
 
 
〈年度末金融の円滑化に関する意見交換会〉

 3月7日(木)、年度末の資金需要期を迎え、中小企業を中心とした健全な企業の資金繰りに支障が生じないよう各業界に要請するため、金融担当大臣をはじめとする政府当局者と民間及び政府系金融機関の代表の方々の出席で『年度末金融の円滑化に関する意見交換会』が開催された。
 大臣は挨拶の中で次のことに触れながら、資金供給の円滑化について金融機関側に要請した。

(1)

 中小企業に対する資金供給の円滑化はデフレ対応策の重要なテーマであり、年度末の資金需要期を迎え、企業の資金繰りに支障が生じないように配慮願うこと。

(2)

 金融検査マニュアルには、中小企業向け融資に画一的な運用は避けるとの留意事項があるが、その具体的な運用例を作成し、公表すること。また、検査に対する過度の慮りからの資金供給の拒絶や資金回収を行うといったことのないように配慮願うこと。

 
<空売り規制の見直しについて>


.はじめに
 金融庁では、一部証券会社による空売り規制違反を背景に、昨年12月に「空売りへの総合的な取組みについて」を公表し、監督上の対応、監視上の対応、規制上の対応を行ってきたが、その後、さらに、一部証券会社による空売り規制違反等が明らかとなったことを踏まえ、本年2月1日に「信用・貸借取引に係る制度の見直しについて」を公表するとともに、2月8日に「空売り規制の見直しについて」を公表した。後者においては、空売り規制の見直しを行うこととし、本年3月6日に、空売り規制の価格規制を強化した。


.背景
 本年2月、一部の証券会社において、従来の空売りの価格規制をいわば潜脱する方法で、空売り規制違反及び作為的な相場形成が行われるといった事例が見られ、このような、証券会社による空売り行為により、市場の公正性に対する不信感が生じていることを踏まえ、証券市場への信頼向上のためのインフラ整備を図る観点から、今回、空売り規制の見直しを行うこととした。


.具体的内容
 
(1 )従来、空売りを行う場合は証券取引所等が直近に公表した価格未満で行ってはならないこととされていたが、空売りが相場操縦的行為に利用されることを防止することを目的として、米国の規制と同様に、原則として直近公表価格以下で行ってはならないこととした。

(2

)今般の空売り規制の見直しについては、パブリックコメントを経て、2月26日に必要な政令改正を閣議決定し、3月6日に施行している。

(3

)なお、施行に当たっては、取引所のシステム対応までの間は、証券会社が発注から注文までのタイムラグにより結果として空売り規制違反となるのではないかとの懸念に対応し、一定の体制等を有していれば、合理的な方法で確認しうる直近公表価格を基準として運用すればよいこととし、また、証券会社を対象に説明会を開催するなどして円滑な施行に配慮している。


.さいごに
 当庁では、2月26日に、一部の証券会社において、空売り規制違反が多数みられたことを踏まえ、「空売り規制の遵守状況に関する総点検結果等を踏まえた対応について」を発表し、信用・貸借取引に係る制度の更なる見直し及び証券取引等監視委員会による空売り規制違反に対する監視の一層の強化を行うこととしている。


(参考)
 
 ・ 「空売りへの総合的な取組みについて」(平成13年12月21日)
 ・ 「信用・貸借取引に係る制度の見直しについて」(平成14年2月1日)
 ・ 「空売り規制の見直しについて」(平成14年2月8日)
 ・ 証券取引法施行令
 ・ 「空売り規制の遵守状況に関する総点検結果等を踏まえた対応について」(平成14年2月26日)

(参考)
新たな空売り価格規制の考え方

(例)

 
<金融機関の流動性預金金利の最高限度の定めに関する答申
 (金融審議会答申)14年2月25日>


.金融審議会金利調整分科会の開催
 平成14年2月21日(木)、臨時金利調整法第2条第2項の規定に基づき、金融庁長官及び財務大臣から日本銀行政策委員会に対して「臨時金利調整法に基づく金融機関のいわゆる流動性預金に関する金利の最高限度の定めを検討する必要があるので、金融審議会に諮問した上、これを変更されたい。」との発議を行なった。翌2月22日(金)、臨時金利調整法第2条第3項の規定に基づき、日本銀行政策委員会から金融審議会に対して、発議の件について審議のうえ答申を求める旨、諮問された。
 この諮問を受けて、2月25日(月)、金融審議会金利調整分科会が開催され、平成14年4月1日以降のペイオフ解禁後も、1年間は全額保護される流動性預金(当座預金、普通預金、別段預金)について、臨時金利調整法に基づき金利の最高限度を定めることに関して調査審議し、その結果が「金融機関の流動性預金金利の最高限度の定めに関する答申」(別添参照)としてとりまとめられ、同日、日本銀行政策委員会に提出された。


.流動性預金の金利規制の基本的考え方
 
(1 )平成14年度1年間の流動性預金の全額保護は、ペイオフ解禁に際して、決済機能という流動性預金の特殊性を踏まえた特別な措置を講ずることにより、全体としてペイオフ解禁の円滑な実施を目指すもの。
(2 )現在、無利息とされている当座預金を除き、臨時金利調整法による預金金利の規制は行なわれていないため、預金金利は各金融機関が自由に設定しているところであるが、預金全額保護という預金者の安心感に便乗して、金融機関が長期的に持続不可能な著しい高金利を付して普通預金を集める行動に走れば、ペイオフ解禁の実施に際して、かえって、種種の混乱が生じる可能性があり、特に通常の金利では資金調達ができなくなった金融機関がそのような行動に走った結果、破綻することともなれば、社会経済的コストは極めて大きなものとなると考えられる。
(3 )このため、モラルハザード防止との観点から予防的に金利規制を行なう必要があるが、基本的には、預金金利の水準は、各金融機関の主体的な経営判断によるべきとの前提は維持し、必要最小限の規制に留めるのが適当。


.流動性預金の金利規制の概要
 
(1 )現在、既に無利息との規制が課されている当座預金については、無利息のままとする。
(2 )普通預金については、金利規制の実効性、金利情勢の変動へのタイムリーな対応、必要最小限性等を勘案。基本的には、個別金融機関の経営判断を尊重するため、当該金融機関の定期預金の金利が上限。ただし、規制の潜脱を防止するため、上限金利の引上げ幅は市中の定期預金の平均金利の上昇分を超えないものとする。
(3 )別段預金については、当該金融機関に適用される普通預金の上限金利を適用。ただし、既に契約を締結しており、金利を変更できないものは従来の金利が上限。
 

(注1

)上限に係る定期預金:当該金融機関の最も小口の1年満期の定期預金。
(注2 )市中の定期預金の平均金利:日銀が公表している300万円未満の1年満期の定期預金の店頭金利(14年2月22日で0.04%)。
(注3 )流動性預金でも金融機関預金等の付保対象外の預金は、預金保険により保護されないため金利規制はかからない。

【原則ルール】
 普通預金の上限金利は、当該金融機関の定期預金の店頭金利とし、これにリンクして変動。ただし、その上限は、基準日における当該金融機関の定期預金の店頭金利に定期預金の市中平均金利の基準週からの上昇分を加えた金利とする。

【例外ルール:金融機関の普通預金の店頭金利が定期預金の店頭金利を超えている場合等】
 基準日に金融機関の普通預金の店頭金利が定期預金の店頭金利を超えている場合には、当該普通預金に係る上限金利は、定期預金の店頭金利に基準日における当該普通預金の店頭金利と定期預金の店頭金利の金利差を加えた金利とし、当該定期預金の店頭金利にリンクして変動。ただし、その上限は、基準日における当該普通預金の店頭金利に定期預金の市中平均金利の基準週からの上昇分を加えた金利とする。
 その他、上記原則ルールでカバーされない場合につき所要の手当て。
 

(注

)基準日:平成14年2月25日
 基準週:基準日を含む週

 
「金融機関の金利の最高限度の変更について」(平成14年2月21日発表)

別添
金融機関の流動性預金金利の最高限度の定めに関する答申

 預金保険法(昭和46年法律第34号)及び農水産業協同組合貯金保険法(昭和48年法律第53号)に基づく預金等の全額保護の特例措置が終了し、流動性預金について平成14年度も全額保護の特例措置が講ぜられることに伴い、臨時金利調整法に基づく金融機関の預貯金等の金利の最高限度の定めを下記1.のとおり変更し、下記2.により実施することが適当と思われる。




.平成14年4月1日から平成15年3月31日までに限り、金融機関(預金保険法(昭和46年法律第34号)第2条第1項に規定する金融機関及び農水産業協同組合貯金保険法(昭和48年法律第53号)第2条第1項に規定する農水産業協同組合をいう。以下この号において同じ。)の次に掲げる預金(預金保険法施行令(昭和46年政令第111号)附則第2条の2に規定する預金等を除く。)及び貯金(農水産業協同組合貯金保険法施行令(昭和48年政令第201号)附則第3条に規定する貯金等を除く。)の利率の最高限度
 
 
  普通預金又は普通貯金(以下「普通預金等」という。)
別表第1に定めるところによるものとする。
 
  別段預金又は別段貯金(以下「別段預金等」という。)
別表第2に定めるところによるものとする。
 
 
別表第1
金融機関 利率の最高限度
次項から第5項までに掲げる金融機関以外の金融機関 基準定期預金等の店頭表示利率(複数の基準定期預金等の店頭表示利率がある場合には、その利率のうち最も低いもの。以下同じ。)。ただし、基準定期預金等の店頭表示利率から基準日における基準定期預金等の店頭表示利率を控除した値が変動値を上回る場合には、基準日における基準定期預金等の店頭表示利率に変動値を加算した利率。
基準日において、特別普通預金等を取り扱っていた金融機関(次項に掲げる金融機関を除く。) 基準定期預金等の店頭表示利率に、基準日における特別普通預金等の店頭表示利率(複数の特別普通預金等の店頭表示利率がある場合には、その利率のうち最も高いもの。以下この欄において同じ。)から基準日における基準定期預金等の店頭表示利率を控除した値を加算した利率。ただし、基準定期預金等の店頭表示利率から基準日における基準定期預金等の店頭表示利率を控除した値が変動値を上回る場合には、基準日における特別普通預金等の店頭表示利率に変動値を加算した利率。
基準日において、基準定期預金等の店頭表示利率を下回る店頭表示利率を適用していた普通預金等及び特別普通預金等を取り扱っていた金融機関 基準日において、基準定期預金等の店頭表示利率を下回る普通預金等については第1項の利率の最高限度の欄に規定する利率とし、特別普通預金等については前項の利率の最高限度の欄に規定する利率とする。
基準日において、普通預金等を取り扱っており、かつ、基準定期預金等を取り扱っていない金融機関 基準日における想定定期預金等利率に変動値を加算した利率。
基準日において、普通預金等及び基準定期預金等を取り扱っていない金融機関 基準週に公表された定期預金平均利率に変動値を加算した利率。

(注)1

.基準定期預金等とは、当該金融機関の最も小口の預入期間が1年の固定自由金利定期預金及び定期貯金をいう。
.基準日とは、平成14年2月25日をいう。ただし、同日より後に新たに営業を開始する金融機関については、最初の営業日を基準日とし、同日より後に金融機関に係る合併、分割又は営業若しくは事業の譲渡(以下「合併等」という。)が行われた場合における合併後存続する金融機関、合併により設立される金融機関、分割により営業若しくは事業を承継する金融機関又は営業若しくは事業を譲り受ける金融機関については、合併等を行う日を基準日とする。
.変動値とは、基準週以降に公表された直近の定期預金平均利率(公表日の翌日から起算して6日(公表日が平成14年12月第4週における場合は10日)を経過したもののうち直近のもの)から基準週に公表された定期預金平均利率を控除した値(当該値がない場合又は負の場合には零とみなす。)
.基準週とは、基準日を含む週をいう。
.定期預金平均利率とは、日本銀行がインターネットを利用して公表する預入金額が300万円未満であって、預入期間が1年の定期預金の1週間平均年利率をいう。
.特別普通預金等とは、基準日において、当該金融機関の基準定期預金等の店頭表示利率を超える店頭表示利率(店頭表示利率に上乗せ利率を加算するもの(当該上乗せ利率を加算する取扱期間の定めがないものに限る。)として広く一般に取り扱っている普通預金等に適用している店頭表示利率に上乗せ利率を加算した利率を含む。)を適用している普通預金等をいう。
.想定定期預金等利率とは、当該金融機関の普通預金等の店頭表示利率(複数の普通預金等の店頭表示利率がある場合には、その利率のうち最も高いもの)に、基準週に公表された定期預金平均利率から基準週に日本銀行がインターネットを利用して公表した普通預金の1週間平均年利率を控除した値を加算した利率をいう。

別表第2
別段預金等 利率の最高限度
次項に掲げる別段預金等以外の別段預金等 当該金融機関の普通預金等に適用される利率の最高限度。ただし、別表第1第3項に掲げる金融機関については、別表第1第1項の利率の最高限度の欄に規定する利率とする。
平成14年2月25日において締結している別段預金等に係る契約であって、契約上現に利率が定められている別段預金等(金融機関が利率を任意に変更し得るものを除く。) 当該契約において定める利率。
 
.実施日
平成14年4月1日

 
<主な出来事>(2月)
     
1日(金) モルガン・スタンレー証券会社東京支店に対する行政処分
「信用・貸借取引に係る制度の見直し」について発表
「13年9月期における不良債権等の状況等」について発表
4日(月) 日本型金融システム行政の将来ビジョン懇話会開催(第5回)
5日(火) 「保険業法施行規則の一部を改正する内閣府令案」の公表(パブリック・コメント)
6日(水) バークレイズ・キャピタル証券会社東京支店に対する行政処分
8日(金) 顧問会議開催(第22回)
企業会計審議会第二部会開催(第25回)
「空売り規制の見直しについて」発表
「証券取引法施行令の一部を改正する政令案」の概要の公表(パブリック・コメント)
12日(火) 「証券取引法施行令等の改正案」の公表(バブリック・コメント)
13日(水) 「抵当証券業の規制等に関する法律施行規則の一部を改正する内閣府令案」に対するパブリック・コメントの結果公表
「銀行等保有株式取得機構運営委員会の委員の任命の認可について」発表
「株式会社足利銀行の産業活力再生特別措置法に基づく事業再構築計画の認定について」発表
14日(木) 「社債等登録法施行令等の一部を改正する政令案」及び「担保附社債信託法第四十一条第三項の規定に基づく電磁的方法による情報の提供に関する承諾の手続等を定める政令案」(「銀行法等の一部を改正する法律」及び「商法等の一部を改正する法律」の施行に伴う金融関係政令の整備)の公表(パブリック・コメント)
15日(金) 金融審議会金融分科会第一部会開催(第3回)
企業会計審議会固定資産部会開催(第20回)
事務ガイドラインの改正(金融会社関係)
「検査要員(非常勤職員)の募集について」発表
紀南信用組合に対する金融整理管財人による業務及び財産の管理を命ずる処分
18日(月) 金融トラブル連絡調整協議会開催(第10回)
輪島信用組合に係る管理を命ずる処分の取消し
19日(火) 投資信託委託業者の認可
21日(木) 「金融機関の金利の最高限度の変更について」(臨時金利調整法に基づく発議)発表
22日(金) 企業会計審議会企画調整部会開催(第7回)
企業会計審議会第一部会開催(第17回)
「証券取引法施行令の一部を改正する政令(案)の概要」に対するパブリック・コメントの結果公表
25日(月) 「学生のための霞が関探訪の実施について」発表
金融審議会金利調整分科会開催(第1回)
宇都宮信用金庫、臼杵信用金庫及び信用組合三重商銀に係る管理を命ずる処分の取消し
26日(火) 「株式会社北陸銀行の産業活力再生特別措置法に基づく事業再構築計画の認定について」発表
「短期社債等の振替に関する法律の施行に伴う企業内容等の開示に関する内閣府令及び証券取引法第二条に規定する定義に関する内閣府令の一部改正案」の公表について(パブリック・コメント)
「短期社債等の振替に関する法律施行令(仮称)」(案)及び「短期社債等の振替に関する法律施行規則(仮称)」(案)の公表(パブリック・コメント)
クレディ・リヨネ証券会社東京支店に対する行政処分
ベアー・スターンズ(ジャパン)証券会社東京支店に対する行政処分
ドイツ証券会社東京支店に対する行政処分
日興ソロモン・スミス・バーニー証券会社東京支店に対する行政処分
「空売り規制の遵守状況に関する総点検結果等を踏まえた対応について」発表
27日(水) 金融税制に関する研究会開催(第1回)
経済財政諮問会議にて「早期に取り組むべきデフレ対応策」決定
「銀行持株会社(大和銀ホールディングス)による子会社(あさひ銀行)取得について」発表
28日(木) 顧問会議開催(第23回)
「モニタリング業務要員の募集について」発表