証券取引等監視委員会メ-ルマガジン (第34号) 平成25年9月2日
証券監視委ホームページ http://www.fsa.go.jp/sesc/index.htm

<目次>

1.市場へのメッセージ

2.コラム


1.市場へのメッセージ


◆RISE株式に係る相場操縦に対する課徴金納付命令の勧告について◆

平成25年7月31日、証券監視委は、大阪証券取引所JASDAQ市場(当時)に上場している株式会社RISEの株式に係る相場操縦に関し、シンガポール所在の資産運用会社であるジャガーノート・キャピタル・マネジメント・ピーティーイー・リミテッド(以下「ジャガーノート」といいます。)に対する4億3,118万円の課徴金納付命令を発出するよう、内閣総理大臣及び金融庁長官に対し勧告しました。

http://www.fsa.go.jp/sesc/news/c_2013/2013/20130730-1.htm

ジャガーノートは、シンガポール共和国会社法に基づいて設立されたリミテッド・プライベート・カンパニーであり、ケイマン諸島法に基づく信託形態のヘッジファンド(以下「マスター・ファンド」といいます。)の受託者及びケイマン諸島法に基づく株式会社形態のヘッジファンド(以下「フィーダー・ファンド」といいます。)との間で締結した投資一任契約に基づいて、フィーダー・ファンドに出資された資産の運用権限を有し、かつ、フィーダー・ファンドの議決権のすべてを所有していました。

ジャガーノートは、株式会社RISEの株式につき、株価の高値形成を図り、平成24年3月21日午前8時33分頃から同年4月25日午後3時8分頃までの間、26取引日にわたり、同株式の売買を誘引する目的をもって、マスター・ファンドの名義で、(1)最良買い気配値以下の価格帯に大口の買い注文を発注するとともに、直前約定値より高値に最低売買単位の買い注文を発注して株価を引き上げたり、(2)大引け前に、大口の引成買い注文を発注し、終値形成に関与するなどの方法により、フィーダー・ファンドの計算において、同株式合計1,349万2,000株を買い付ける一方、同株式合計1,018万8,400株を売り付けるとともに、同株式合計2億4,613万4,300株の買付けの委託を行うなどし、もって、同株式の売買が繁盛であると誤解させ、かつ、同株式の相場を変動させるべき一連の売買及び委託をしたことが認められております。

本事案は、平成24年6月8日に東京電力株式に係るインサイダー取引事案として課徴金納付命令の勧告が行われたFirst New York Securities L.L.C.の事案、同年12月13日にヤフー株式に係る相場操縦事案として課徴金納付命令の勧告が行われたTiger Asia Partners, LLCの事案に続く、海外に所在する違反行為者に対する不公正取引に係る課徴金納付命令の勧告を行った3件目の事案であり、相場操縦事案としては2件目の事案となりました。

課徴金の計算においては、ジャガーノートがフィーダー・ファンドの議決権のすべてを所有していたことから、ジャガーノートがその子会社の計算で違反行為を行ったものと認定し、ファンド全体の取引をジャガーノートによる自己の計算によるものとみなしております。なお、本事案の違法行為に対して納付を命じられる課徴金の額は、不公正取引に係る課徴金納付命令としては過去最高の4億3,118万円になります。

本事案については、シンガポール通貨監督庁(Monetary Authority of Singapore)と緊密に協力・連携して調査を行っております。

証券監視委としては、市場の公正性・透明性の確保及び投資者保護を図る観点から、引き続き、内外プロ投資家による不公正取引や違法行為などに対し、必要に応じて海外当局とも連携しながら、厳正に対処してまいります。

◆不公正取引に関する課徴金事例集の公表について◆

証券監視委は、平成25年8月8日、金融商品取引法違反となる不公正取引があったとして、平成24年6月から平成25年6月までの間に課徴金納付命令が発せられるなどした26事例(内部者取引に係るもの16事例、相場操縦に係るもの10事例)について、その概要を取りまとめ、「金融商品取引法における課徴金事例集~不公正取引編~」を公表しました。

http://www.fsa.go.jp/sesc/news/c_2013/2013/20130808-2.htm

今回の事例集は、課徴金制度についての理解を深めていただけるよう、「過去にバスケット条項に該当するとされた個別事例(5事例)」を掲載したほか、内部者取引の個別事例16事例について、大型公募増資に係る事例(5事例)とそれ以外の事例(11事例)に分けて掲載しています。

なお、このような事例集は、平成20年6月以降、「金融商品取引法における課徴金事例集」として、開示規制違反に関する課徴金事例も含めて一冊にまとめて毎年公表してきたところですが、今回の公表では、事例の性質に応じて、不公正取引に関する課徴金事例集と開示規制違反に関する課徴金事例集(「金融商品取引法における課徴金事例集(開示規制違反編)」、平成25年6月26日に公表済。)の二冊に分けて公表することとしました。

証券監視委としては、本書が、市場監視行政の透明性を高めるとともに、証券市場を巡るルールの共有の促進を通じて幅広い市場関係者の自主的な規律の向上に役立つことを期待しています。


2.コラム
[東京証券取引所自主規制法人からの寄稿]


◆(株)日本取引所グループにおける自主規制機能の一元化について◆

東京証券取引所自主規制法人(以下「当法人」という。)は、7月16日の東証と大証の現物市場及び清算機関の統合に合わせ、大証の自主規制部門と統合し、(株)日本取引所グループの自主規制機能が一元化されました。これにより、我が国の現物株市場や上場デリバティブ市場のほとんどが当法人の所管となり、我々は広範かつ一元的な自主規制を担うことになりました。自主規制の面での東証と大証の協力関係は以前から密接でしたが、組織が一つになることで効率性と自主規制の質がさらに高められると考えております。

自主規制のあり方については世界でも様々な形態が存在しています。当グループの自主規制のあり方は世界でもユニークなものであり、同一の持株会社の下に市場運営会社としての東証・大証と並んで、別法人の形で自主規制法人が存在しています。これには、市場運営会社との連携を密にしながらマーケットに近いところで高い専門性を発揮しつつ、他方で、社外理事が過半を占める理事会構成など確かな独立性を確保しながら、市場の実態に即した実効性と信頼度の高い自主規制を実施していく、という狙いが込められています。

取引所のいわば品質管理センターとしての当法人の仕事は、当グループ全体の持続的な発展の礎をなすものと考えています。国際的にも特徴のある仕組みを定着・進化させ、我が国の金融資本市場のさらなる発展に貢献していけるよう、職務に励んでまいりますので引き続きご支援・ご協力をお願いいたします。

東京証券取引所自主規制法人


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