証券取引等監視委員会メ-ルマガジン (第64号) 平成28年3月1日
証券監視委ウェブサイト http://www.fsa.go.jp/sesc/index.htm

<目次>

1.新着情報

2.市場へのメッセージ


1.新着情報



2.市場へのメッセージ


◆最近の取引調査に基づく勧告について◆

証券取引等監視委員会は、取引調査の結果に基づいて、内部者取引2事案について課徴金納付命令勧告を行いました。

  • H28.2.9
アイロムホールディングス株式に係る内部者取引
http://www.fsa.go.jp/sesc/news/c_2016/2016/20160209-1.htm
  • H28.2.16
江守グループホールディングス株式に係る内部者取引
http://www.fsa.go.jp/sesc/news/c_2016/2016/20160216-1.htm

【内部者取引事案の概要等】

  • (1)アイロムホールディングス株式に係る内部者取引(情報伝達・取引推奨行為で勧告した2件目の事例)

    本件は、(株)アイロムHDの社員が、その職務に関して知った、同社の子会社に係る未公表の重要事実(業務上の提携)を、知人に利益を得させる目的で伝達し、伝達を受けた知人が重要事実の公表前に同社の株式を買い付けたという事案でした。

    本件については、知人に未公表の重要事実を伝達したアイロムHDの社員の行為が「情報伝達・取引推奨行為」(金商法167条の2)に該当すると認められたことから、当該社員についても課徴金勧告の対象とした点に特徴があります(知人の行為が金商法166条3項(第一次情報受領者)に該当し、課徴金勧告の対象となることは従来と変わりがありません)。

    情報伝達・取引推奨行為規制は、平成26年4月に施行された改正金融商品取引法により導入されていますが、(a)未公表の重要事実等を知った会社関係者や公開買付者等関係者が、(b)他人に対し、(c)当該重要事実等が公表される前に取引をさせることにより利益を得させる(あるいは損失を回避させる)目的をもって、(d)当該重要事実等を伝達することや売買等を推奨することが禁止されており、情報受領者が当該重要事実の公表前に売買等を行った場合には、情報伝達等を行った者も刑事告発や課徴金勧告の対象とすることとなりました。

    本件については、調査の結果、情報の伝達者と受領者は元夫婦の関係にあり、負債の一部を肩代わりしてもらった元夫が迷惑をかけた元妻に利益を得させたいと考えて、本件重要事実を伝達したことが判明しており、元夫から伝達された未公表の重要事実に基づいて買付を行った元妻の行為は金商法166条3項前段(第一次情報受領者)に、重要事実を伝達した元夫の行為は同法167条の2第1項(情報伝達者)に、それぞれ該当するため、両者に課徴金の納付を命ずるよう内閣総理大臣等に対して勧告を行ったものです。

    なお、情報伝達・取引推奨行為違反による課徴金勧告は、昨年10月のウェブクルー株式に係る内部者取引( http://www.fsa.go.jp/sesc/news/c_2015/2015/20151023-2.htm )に続いて2件目となります。

  • (2)江守グループホールディングス株式に係る内部者取引(海外連結子会社の社員が違反行為者となった事例)

    本件は、江守グループホールディングス(以下「江守GH」という。)の海外連結子会社の社員2名が、江守GHの役員から職務上の伝達を受けるなどして同社の重要事実(業務遂行の過程で生じた損害の発生。以下「本件重要事実」という。)を知り、当該重要事実の公表前に、保有していた同社株式を売却して損失を回避したという事案でした。

    海外の連結子会社に勤務していた違反行為者2名は、平成27年2月に江守GHが(a)貸倒引当金繰入額の計上、(b)中国子会社に対する追加調査、(c)平成27年3月期第3四半期報告書の提出期限の延長等の事実を公表していたことを社内イントラネットを介して知っていましたが、平成27年3月上旬に江守GH役員から勤務先に送信されてきたメールに、貸倒引当金に関する情報(本件重要事実の一部)が記載されていたことを確認した両名は、こうした公表等を踏まえ、今後公表される決算において特別損失に計上される貸倒引当金繰入額は相当多額になると予想し、公表後の株価下落による損失を回避したいと考え、保有していた江守GH株式を全株売却していたことが調査により判明しています。

    この江守GH役員からのメールは、江守グループ内における関係者の情報共有と取引先に対する的確な対応を促す目的で、海外の各拠点の責任者に向けて送信されていましたが、本件メールには、内部者取引を未然に防止するために必要となる注意等の記載がなされていないなど、重要事実等の適切な管理の観点からは問題のある状況にあったことが確認されています。


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