証券取引等監視委員会メ-ルマガジン (第66号) 平成28年3月30日
証券監視委ウェブサイト http://www.fsa.go.jp/sesc/index.htm

<目次>

1.新着情報

2.市場へのメッセージ


1.新着情報



2.市場へのメッセージ


◆最近の取引調査に基づく勧告について◆

証券取引等監視委員会は、取引調査の結果に基づいて、以下の2事案について課徴金納付命令勧告を行いました。

  • H28.3.8
インスペック株式に係る偽計
http://www.fsa.go.jp/sesc/news/c_2016/2016/20160308-1.htm
  • H28.3.15
ウィズ株式に係る相場操縦
http://www.fsa.go.jp/sesc/news/c_2016/2016/20160315-2.htm

【事案の概要】

  • インスペック株式に係る偽計(時価総額基準をクリアするために株価を高値形成)

    本件は、東証の上場廃止基準の一つである時価総額基準に抵触することとなり、東証マザーズ市場への上場が廃止される状況にあったインスペック社が、同社株式の株価を高値形成させることで時価総額基準をクリアして、上場廃止を免れようと企て、同社の業務として、同社の社員をして同社の株式を買い付けることにより、時価総額基準をクリアできる水準まで株価を引き上げた上で、こうした事情を秘して、あたかも自然の需給によって同社株式の時価総額が3億円以上になったかのように装う内容の文章を公表したことが金商法158条の偽計に該当するという事案でした。

    なお、今回の買付け及びその後の公表は、上場廃止の回避という、当時のインスペック社の経営上の最重要課題への対応策として、同社の業務として行われていたと認められたことから、本件の違反行為者はインスペック社であると認定しています。

    金商法158条は「何人も、有価証券の相場の変動を図る目的をもって、偽計を用いてはならない」と規定されていますが、この場合の「偽計」とは、他人に誤解を生じさせる詐欺的ないし不公正な策略・手段をいうこととされており、その手段、態様に制約は付されていません。

    本事案についてみると、

    (1)今回の買付けは、株価を引き上げることでインスペック社の時価総額を増加させて、同社株式の上場廃止を免れる意図の下に行われたものであり、かかる買付けの結果、インスペック社の株価は、投資者間における自然の需給関係によって成立する額とは全く無関係な額に水増しされたこと

    (2)会社が自ら株価を引き上げ、企業価値を偽ることは、事情を知らない投資家に不測の損害を与える危険性を持つ行為であること

    (3)会社の判断として自社株を購入する場合、価格形成に不当な影響を与えないよう、自己株式取得の手続きを踏み、内閣府令や取引所のガイドラインが定める一定のルールを遵守する必要があるところ、本件買付けはそうしたルールを潜脱していること

    などの事情を総合考慮し、偽計に該当すると認定したものです。

    上場会社が、上場廃止を免れるため、自ら自社株の買い上がり買付け等を行うことにより時価総額を偽る行為は、上場廃止基準の趣旨を失わせ、事情を知らない投資者に不測の損害を与えうる不公正な行為であり、証券監視委として看過できるものではありません。

    相場の変動幅が拡大している株式市場の現況を鑑みると、今後、上場会社が時価総額基準による上場廃止に直面する場面は少なくないと思われますが、仮に、同様の行為が行われた場合には、本件と同様、厳正に対処してまいりたいと考えております。

  • ウィズ株式に係る相場操縦(保有株式の評価損の発生を回避するため複数の口座を利用)

    本件は、投資事業有限責任組合の財産の運用・管理等を行う無限責任組合員(法人。違反行為者(1))の代表者として組合財産の運用を行っていた者(自然人。違反行為者(2))が、当該組合口座や自己の証券口座等で大量に保有していたウィズ株式の評価益の減少、又は評価損の発生を回避するために、この複数の証券口座を利用して、買い上がり買付け等の違反行為を行っていた事案でした。

    具体的には、違反行為者(2)が複数の証券口座を利用して、(a)買い上がり買付け、(b)対当売買、(c)終値関与、等を繰り返しており、これによりウィズ株式の株価を引き上げることにより、売買益を獲得するとともに評価損の発生等の回避にも成功していました。

    自己の証券口座等を利用して上記の取引を行っていた違反行為者(2)に対しては、法令の規定に基づき1125万円の課徴金額が課されることとなり、この金額は違反行為開始時点で違反行為者(2)が保有していたウィズ株式をベースに計算されることになるため、違反行為者(2)が実際に獲得した売買益を大幅に上回る額となっています。

    また、ウィズ株式に係る違反取引のうち組合口座で行われた取引については、違反行為者(2)が当該組合の無限責任組合員である法人の業務として、当該株式の買付けの判断や各種の事務処理を行っていましたので、当該無限責任組合員である法人自体が違反行為者(すなわち違反行為者(1))に該当することとなるため、最終的には、法令の規定に基づき、当該組合の運用報酬額をベースに算定した課徴金額382万円が課されることになりました。


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