証券取引等監視委員会メ-ルマガジン (第114号)

平成30年6月20日
証券監視委ウェブサイト http://www.fsa.go.jp/sesc/index.htm

 

<目次>

市場へのメッセージ

1.株式会社AKアドバイザーズ及びヘッジファンドバンキング株式会社に対する検査結果及び勧告について
2.最近の取引調査に基づく勧告について


市場へのメッセージ


1.株式会社AKアドバイザーズ及びヘッジファンドバンキング株式会社に対する検査結果及び勧告について
   
 証券取引等監視委員会(以下「証券監視委」といいます。)は、平成30年5月22日、株式会社AKアドバイザーズ(以下「AK社」といいます。)及びヘッジファンドバンキング株式会社(以下「ヘッジ社」といい、AK社と併せて「AK社ら」といいます。)に対する検査結果を公表するとともに、金融庁に対して、AK社らに行政処分を行うよう勧告いたしました(詳細は下記リンク参照)。
 
平成30年5月22日 株式会社AKアドバイザーズに対する検査結果に基づく勧告について
         ( https://www.fsa.go.jp/sesc/news/c_2018/2018/20180522-1.htm
平成30年5月22日 ヘッジファンドバンキング株式会社に対する検査結果に基づく勧告について
         ( https://www.fsa.go.jp/sesc/news/c_2018/2018/20180522-2.htm
 
【事案の概要】
 AK社は、顧客に対してメールや電話で国内株式の銘柄推奨を行う投資助言業者ですが、同社の代表者は、同社のほかに、平成30年3月2日付で金融商品取引法上必要とされる登録を受けずに同様の投資助言業務を行っているとして東京地方裁判所に同法違反行為の禁止及び停止命令の発出の申立てを行い、同月29日に同裁判所から禁止及び停止命令が発出された株式会社JG-company他(以下、併せて「無登録業者」といいます。)の業務も主導しており、AK社の従業員を無登録業者の投資助言業務にも従事させていました。
 また、ヘッジ社は、AK社と同様に、顧客に対してメールや電話で国内株式の銘柄推奨を行う投資助言業者ですが、支店の運営について無登録業者から従業員を受け入れており、支店の営業活動等を受け入れた従業員任せにし、法令等を遵守するために必要な内部管理態勢を構築していませんでした。
 こうした中、AK社及びヘッジ社の上記支店では、投資者に対して自分たちの銘柄分析能力が優れていると思わせ、顧客獲得等に繋げようとして、無登録業者と共同で、複数の顧客に対して同時に同一銘柄の株式の買いを推奨し、株価を急騰させていた事実が認められました。
なお、AK社らに対しては、平成30年5月30日に、関東財務局から、AK社については登録取消し及び業務改善命令の行政処分が、ヘッジ社については業務停止命令及び業務改善命令の行政処分が、それぞれ発出されています。

2.最近の取引調査に基づく勧告について

  証券監視委は、取引調査の結果に基づいて、以下の事案について課徴金納付命令勧告を行いました。
 
平成30年5月11日 桧家ホールディングス株式に係る相場操縦に対する課徴金納付命令の勧告について
         ( https://www.fsa.go.jp/sesc/news/c_2018/2018/20180511-1.htm
 
【事案の概要】
本件は、インターネットで株取引を行っていた個人投資家が、桧家ホールディングス株式の売買を誘引する目的をもって、直前の約定値より高指値の売り注文と買い注文を対当させて株価を引き上げるなどの方法により、平成29年2月22日午前9時34分頃から平成29年2月23日午前9時12分頃までの間及び平成29年2月27日午後1時42分頃から平成29年3月8日午後0時51分頃までの間において、自己及び親族の計算において同株式合計4,900株を買い付ける一方、同株式合計5,100株を売り付け、約5万円の売買差益を得たという事案です。
 
【事案の特色等】
 課徴金納付命令対象者(以下「対象者」といいます。)は、株式を買い付けた後、直前約定値より高値で対当売買を行うことで株価を引上げ(株価引上げを伴う対当売買)、対当売買に誘引された他の投資者の買い注文に対し売り付けることで、売買差益を得ていました。自己名義及び親族名義の計3つの口座を使用し、売り注文と買い注文を異なる証券会社から発注することで、受託証券会社に対当売買が発覚することを避けていました。対象者は、最小売買単位で対当売買を行っていたため、出来高に対する対象者の売買株数の割合は他の相場操縦事案と比較して低くなっていますが、対象者の対当売買による株価上昇寄与率(※)は各取引日において5%を超え、最高で25%超となっていました。

(※)株価上昇寄与率とは、1日の株価上昇に対し、特定の者の買付けによる株価上昇が占める割合を示す指標であり、次の算式によって算定されます。
「特定の者の買付けのうち、株価を上昇させている値幅の合計」/「市場参加者全体の買付けのうち、株価を上昇させている値幅の合計」

 
 証券監視委は、証券取引所の売買審査部門等と連携して、このような最少売買単位による手口も見逃すことなく立件しています。
 証券監視委は、これまでに相場操縦規制違反について多数の告発・勧告を行ってきたところですが、相場操縦規制違反は後を絶たない状況にあり、その要因・背景としては以下のようなものが考えられます。

・インターネット取引の普及及び発注システムの進歩等により、個人投資家であっても、迅速かつ大量の発注・取消が可能となっているため、見せ玉等の手法を用いて人為的に相場を変動させれば、容易に売買差益を稼げる、又は損失回避を図ることができるとの誘惑

・市場では膨大な取引が行われているため、個人が行う小規模の相場操縦行為までは市場監視の目も届かないだろうとの誤解

 相場操縦行為は証券市場の公正性・健全性を損なうものであり、証券監視委は、証券市場に対する投資家の信頼を確保するため、厳正な調査を実施しており、調査の結果、法令違反が認められた場合には、課徴金勧告や刑事告発を行っています。
 本件が広く周知されることにより、相場操縦の抑止効果が発揮されることを期待しています。

 



*******************
<発 行>
証券取引等監視委員会 事務局総務課
    (情報公開・個人情報保護係)
〒100-8922 
東京都千代田区霞が関3-2-1
             中央合同庁舎第7号館
電話番号:03-3506-6000(代表)
証券監視委25周年記念映像はこちら↓
https://www.youtube.com/watch?v=Y2wahfg5hIM
*******************

  

サイトマップ

ページの先頭に戻る