平成28年3月18日

証券取引等監視委員会

東岳証券株式会社に対する検査結果に基づく勧告について

  • 1.勧告の内容

    証券取引等監視委員会が東岳証券株式会社(東京都千代田区、法人番号1010001088396、(注)、資本金4.98億円、常勤役職員16名、第一種金融商品取引業、第二種金融商品取引業及び投資助言・代理業)を検査した結果、下記のとおり、当該金融商品取引業者に係る問題が認められたので、本日、証券取引等監視委員会は、内閣総理大臣及び金融庁長官に対して、金融庁設置法第20条第1項の規定に基づき、行政処分を行うよう勧告した。

    (注)平成28年2月19日、前代表取締役社長Aが退任し、同日付けで現代表取締役社長が就任。

  • 2.事実関係

    東岳証券株式会社(以下「当社」という。)は、上記1.記載の業務の他に、複数の適格機関投資家等特例業務(以下「特例業務」という。)の届出者(以下「届出業者」という。)が営業者となっている匿名組合等(以下「ファンド」という。)に適格機関投資家として出資する(以下「適格機関投資家出資」という。)ことを反復継続的に行っており、これまで届出業者7者が運用する31本のファンドに適格機関投資家出資を行っている。

    当社の届出業者に対する適格機関投資家出資の状況を検証したところ、以下の問題が認められた。

    なお、届出業者の特例業務については、適格機関投資家が出資を行って、自己のためにファンドに関与することで、ファンドの適正性がある程度確保されることも期待されたものと考えられている。

    • ○適格機関投資家出資と評価し得ない出資等

      当社が適格機関投資家出資を行っているファンドのうち3本については、届出業者2者との間で、当社のウェブサイトに掲載しているレポートを提供することなどを内容とする契約(以下「本件契約」という。)を締結し、手数料を受領の上、当該手数料と同額をファンドに出資している。

      本件契約により、提供されているレポートは、当社ウェブサイトにおいて一般に無償で公開している内容であり、有償で提供する価値があるものとは認められない。なお、本件契約に基づいて当社が提供したものは上記レポートのみである。

      したがって、当社が行った当該3本のファンドに対する出資は、実質的には、当社が負担することなく、当該届出業者の負担により行われた実態のないものと認められ、適格機関投資家出資とは到底評価し得ないものである。

      上記のような当社の行為は、届出業者の特例業務について適格機関投資家出資を要件とする金融商品取引法の趣旨をないがしろにするものであり、届出業者に特例業務の要件を充足しないまま違法にファンド持分の取得勧誘や出資金の運用を行わせることとなり得るものと認められる。

      また、当社が適格機関投資家出資を行ったファンドの届出業者において、違法又は不当な行為による投資者被害等の問題が認められている(別紙参照)。当社は、適格機関投資家出資を行うに際し、届出業者から外国為替証拠金取引の発注を得ることを目的として出資を決定しており、ファンドの運用態勢や運用方針等の評価をほとんど行っていないほか、出資後においても、ファンドの運用や管理の状況、今後の運用方針等についてモニタリングをほとんど行っていない状況が認められた。

      上記のような当社の業務運営は、届出業者の違法又は不当な行為等を助長し、投資者被害をもたらす事態等を招いたものと認められる。

      当社においては、代表取締役社長が経営管理及び内部管理にほとんど関与せず、当社の支配的株主である代表取締役専務に重要な権限が集中するなど、ガバナンス及び内部管理態勢の弱さが認められ、金融商品取引業者として、経営管理及び内部管理上、法令等遵守及び投資者保護に十全を期すべきところ、主たる業務の受注増加を目的として他の取引に事業を拡大していったのに比して、これを怠ったことから、上記のとおり、投資者被害をもたらす事態を招くなど、当社の適格機関投資家出資に係る業務運営は著しく不適切であり、投資者保護上重大な問題があるものと認められる。

      このような当社の適格機関投資家出資に係る業務運営状況は、金融商品取引法第51条に規定する「業務の運営に関し、公益又は投資者保護のため必要かつ適当と認めるとき」に該当するものと認められる。


(別紙)

当社が適格機関投資家出資を行ったファンドの届出業者のうち問題が認められたもの

  • 1.金融庁の「問題があると認められた届出業者リスト」に掲載されている業者

届出業者名 管轄財務局等 届出日 備考

株式会社日本ヴェリータ

関東財務局

H23.1.13

※警告書(無登録)を発出しました。

※警告書(投資者保護上問題あり)を発出しました。

※報告命令に応じません。

※虚偽の説明で出資金を騙し取ったなどとして、代表者が詐欺及び金融商品取引法違反容疑で逮捕(平成28年1月18日)されています。

株式会社日本ヴェリタス

関東財務局

H22.11.1

※警告書(投資者保護上問題あり)を発出しました。

※報告命令に応じません。

※虚偽の説明で出資金を騙し取ったなどとして、当社の実質的管理者が詐欺及び金融商品取引法違反容疑で逮捕(平成28年1月18日)されています。

(金融庁「問題があると認められた届出業者リスト」(平成28年2月末現在)より抜粋)

参考資料(PDF:226KB)


(参考条文)

○金融商品取引法(昭和23年法律第25号)(抄)

(金融商品取引業者に対する業務改善命令)

第五十一条内閣総理大臣は、金融商品取引業者の業務の運営又は財産の状況に関し、公益又は投資者保護のため必要かつ適当であると認めるときは、その必要の限度において、当該金融商品取引業者に対し、業務の方法の変更その他業務の運営又は財産の状況の改善に必要な措置をとるべきことを命ずることができる。

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