「平成17年度金融庁政策評価実施計画の策定等」について


.はじめに
 金融庁においては、平成14年4月に施行された「行政機関が行う政策の評価に関する法律」の趣旨を踏まえ、政策評価の実施を通じて、
 
 ○  国民に対する金融行政の説明責任(アカウンタビリティ)を徹底すること
 ○  国民本位の効率的で質の高い金融行政を実現すること
 ○  国民的視点に立った成果重視の金融行政を実現すること
を目指しています。


.政策評価実施計画の策定
 平成17年度の実施計画については、「金融改革プログラム」(16年12月)を踏まえるとともに政策評価に対する意見をも参考にして原案を策定し、政策評価に関する有識者会議(17年7月5日)における議論を踏まえ、必要な修正を行ったうえ、公表しました。


.政策評価実施計画の内容
 平成17年度の実施計画(計画期間:17年7月1日〜18年6月30日)においては、実績評価、事業評価、総合評価を実施することとしています。加えて、政策評価と予算の連携強化を図る方向に沿って見直しを進めることとしています。
 

(1)

 実績評価
 平成17年度の評価対象とする具体的な政策・目標は、「実績評価における政策・目標一覧」で示した「基本目標」、「重点目標」、「政策」及び「重点施策」のとおりとし、それぞれの重点施策の具体的な内容は、「平成17年度重点施策の実施内容等」において整理しています。
 また、今後の評価をより良いものとするために、評価対象とする政策、参考指標及び評価の方法に関して意見募集を行っています(パブリック・コメント手続)。

(2)

 事業評価
 事業評価については、情報等の分野の事業(予算措置を伴う事業のうち新規あるいは拡充を予定する主なもの)を対象とすることとしています。

(3)

 総合評価
 総合評価については、平成16年度から着手した「金融システム改革(日本版ビックバン)」の評価に引き続き取組むこととしています。


 平成17年度金融庁政策評価実施計画のパブリック・コメント手続について、詳しくは、金融庁ホームページの「パブリック・コメント」から「「平成17年度金融庁政策評価実施計画」の策定等について」」(平成17年7月26日)にアクセスしてください。(意見締切 平成17年11月30日)

「金融検査指摘事例集」及び「意見申出事例集」について
 
.はじめに

   金融庁は、7月27日に「金融検査指摘事例集」及び「意見申出事例集」を公表しました。金融庁では、金融検査のあり方として、金融検査の透明性・予測可能性を高めていくこと、金融機関の自主的・持続的な経営改善に結びつくような検査をおこなうことを大きな柱としており、両事例集はこれを踏まえ作成・公表したものです。
 
.事例集作成の経緯等

 
(1)  金融検査指摘事例集の作成

   金融庁が昨年12月に公表した「金融改革プログラム」において、金融行政の透明性・予測可能性を更に向上させ、説明責任を全うする枠組みの整備として、検査結果の金融機関へのフィードバック体制の充実を掲げ、同プログラムを受けた「工程表」(本年3月)において、本年7月を目途に指摘事例集を作成・公表することとしました。また、本年3月に公表した「地域密着型金融の機能強化の推進に関するアクションプログラム(平成17〜18年度)」において、金融機関の自己責任原則に基づく内部管理態勢の強化等を促す観点から、検査において多くの金融機関に共通してみられる指摘事例について情報提供することを掲げています。「金融検査指摘事例集」はこれらの施策を受けて作成したものです。

(2)

 意見申出事例集の作成

   意見申出制度は、立入検査において検査官と被検査金融機関とが十分な議論を行った上でも認識が相違した事項がある場合に、被検査金融機関が当該相違項目について検査局長に直接意見を申し出る制度で、平成12年1月に導入されました。
 「意見申出事例集」については、本制度の導入から現在まで5年半の間に、295事案の申出がなされ、ある程度事例が蓄積されてきたことから、金融検査指摘事例集と同様の趣旨で作成・公表したものです。
 なお、意見申出制度については、17検査事務年度から、本事例集の作成に加え、○意見申出の審理を行う意見申出審理会のメンバーに外部の専門家を招聘する、○意見申出制度の対象を金融庁検査局、財務局等が行う全ての検査に拡大する、等の運用改善を行っています。詳細は、7月1日に公表した「平成17事務年度より実施する検査上の運用改善」についてをご覧ください。
 
.事例集の内容等

 
(1)  金融検査指摘事例集

   金融検査指摘事例集は、平成16検査事務年度に実施した金融検査の指摘事例から、16年検査事務年度の検査基本方針(16年7月28日)(以下、「基本方針」という。)で重点検証事項とした項目等について、多くの金融機関で指摘した項目等を中心に合計174事例を紹介しています。各々の業態ごとの記載事例数は下記のとおりですが、預金等受入金融機関については、金融機関の規模・特性に応じた指摘を検査において行っていることから、主要行等・外国銀行支店、地方銀行、信用金庫・信用組合の三つのグループに分けて、それぞれについて事例を紹介しています
 なお、記載事例数は業態や項目ごとの検査における指摘数を反映しているわけでもありませんし、また、各業態での特徴を踏まえた事例を中心に紹介していますが、ある業態でのみ事例を紹介している項目について、その他の業態で指摘していないというものではありませんので、金融機関の自主的・持続的な経営改善に結びつけていただくためには、他業態の指摘事例についても参照していただく方が有益と考えられます。
 
I .預金等受入金融機関   128事例  
   1.主要行等・外国銀行支店 (38事例
   2.地方銀行 (39事例
   3.信用金庫・信用組合 (51事例
II .保険会社 31事例  
III .証券会社 15事例  

 事例を紹介するに当たり、預金等受入金融機関については、「金融検査評定制度」の評定項目に沿って整理し、保険会社、証券会社については、検査マニュアルに沿って整理しています。
 なお、「金融検査評定制度」については、18年1月より試行を行い、平成18検査事務年度以降速やかに施行することとしています。

 金融検査指摘事例集に掲載した174事例の一例を業態ごとに紹介します。
 

 主要行等及び外国銀行支店
 主要行については、基本方針で、経営管理(ガバナンス)についても重点的に検証することとしたことを受け、大口与信先管理に係る経営陣の関与についての指摘などを紹介しています。

 地方銀行
 地方銀行については、基本方針で、決済用預金の導入のためのシステム変更にあたって、システムリスク管理態勢等を検証するとしたことを受け、決済用預金導入に係る顧客への説明責任についての事例を紹介しているほか、中小企業再生や地域活性化への貢献に係る対応に関連した指摘事例などを紹介しています。

 信用金庫・信用組合
 信用金庫・信用組合については、本事例集を内部管理態勢構築の参考にしていただきたいという趣旨で、審査管理の適切性に関する指摘や、流動性リスク管理態勢等に関する指摘など、より多くの事例を紹介しています。

 保険会社
 保険会社については、基本方針において、保険募集の適切性を重点検証事項としたことを受け、保険募集管理態勢に関する事例を紹介しているほか、保険金等の支払い態勢に関する事例などを紹介しています。

 証券会社
 証券会社については、基本方針において、インターネットを経由した株式取引に係るリスク管理態勢及び法令等遵守態勢を重点的に検証することとしたことを受け、インターネットによる証券取引システムの管理について、システムの外部委託の管理などに関する指摘事例などを紹介しています。

(2)

 意見申出事例集

   意見申出事例集は、16検査事務年度までに申出がなされた295事案の中から、金融機関のリスク管理等の参考になると考えられる事案について、金融機関名が特定されない形で、審理結果を含め、その概要を意見の相違した点にポイントを絞って記載したものです。
 事例の選定に当たっては、金融機関からの意見申出のうち、信用リスクに関するものが272事案と全体の約9割を占めていることから、債務者区分に係る申出事案(7事例)や償却・引当に係る事案(2事例)、担保評価に係る事例(1事例)を中心に選定し、このほか会計処理に係る事例(2事例)を加え、12事例を紹介しています。
 なお、これまで申出がなされた295事案のうち133事案については、金融機関の意見を採用しています。
 
.今後の予定

   各検査事務年度の検査における指摘事例については、定期的に取りまとめ、毎年、公表することを予定しています。
 また、意見申出事例集については、今後の意見申出制度の活用状況にもよりますが、金融検査における時々のトピックを踏まえ、年1回程度改訂したいと考えています。

 両事例集について、詳しくは金融庁ホームページの「報道発表資料」から「金融検査指摘事例集」等の公表について(平成17年7月27日)にアクセスしてください。

「平成17事務年度 中小・地域金融機関向け監督方針」について

 金融庁は、平成16年5月に策定された「中小・地域金融機関向けの総合的な監督指針」(以下「監督ハンドブック」という。)に基づき、「平成17事務年度中小・地域金融機関向け監督方針」(以下「監督方針」という。)を策定し、去る7月28日に公表しました。「平成17事務年度中小・地域金融機関向け監督方針」の概要は、以下のとおりです。
(注)平成17事務年度:平成17年7月〜平成18年6月




.経緯等

 監督ハンドブックにおいては、「監督に当たっての重点事項を明確化するため、事務年度当初に、当該事務年度の監督方針を策定・公表する」とされています。
 これは、中小・地域金融機関については、財務局等を通じて多数かつ多様な金融機関の監督を行うこととなるため、各事務年度における監督に当たっての基本的考え方及び重点事項について統一的に示す必要があることから、「中小・地域金融機関向け監督方針」を毎事務年度、策定・公表することとしたものです。
 平成17事務年度における中小・地域金融機関の監督に当たっては、監督方針を踏まえ、「総合的なヒアリング」をはじめとした各種ヒアリング等のオフサイトモニタリングを実施することとなります。




.構成等

 監督方針の構成は、まず、金融機関を取り巻く現下の状況の下で金融行政の基本的な目的を達成するための「基本的な考え方」を示した上で、次に、金融機関を取り巻く現下の状況に的確に対応するために特に留意すべき、本事務年度における監督に当たっての「重点事項」を、「地域密着型金融の一層の推進」、「利用者保護ルールの徹底と利便性の向上」、「リスク管理の高度化等」に分けて整理しています。
 なお、本監督方針のポイントとしては、平成16年12月に「金融改革プログラム」が策定され、さらにその施策の一つとして、本年3月に「地域密着型金融の機能強化の推進に関するアクションプログラム(平成17〜18年度)」が策定されたこと、本年4月にペイオフ解禁が実施されたこと、また、金融機関における顧客情報の紛失等の事実が判明したこと、偽造キャッシュカード被害の発生が大きな問題となっていること等を踏まえ、これらへの対応について、監督方針の重点事項として明記しています。




.基本的考え方

 「基本的な考え方」では、中小・地域金融機関を取り巻く現状認識とその下で金融行政の基本的な目的を達成するための基本的考え方を示しています。
 

(1)

 中小・地域金融機関を取り巻く現状認識
 中小・地域金融機関を取り巻く現状認識について、以下のとおり示しています。
 

 ○

 平成16年12月に公表された「金融改革プログラム」においては、金融行政について、「金融システムの安定」重視から「金融システムの活力」重視へと局面(フェーズ)が転換しつつあるとの認識から、金融行政当局の基本的姿勢として、○市場規律の補完、○金融行政の行動規範の確立、○利用者保護ルールの整備・徹底、が求められた。今後はこうした基本的姿勢に則り、利用者満足度の高い金融システムを「民」の力によって実現するよう目指していく必要がある。
 ○  地域金融については、「金融改革プログラム」において、地域の再生・活性化、中小企業金融の円滑化及び中小・地域金融機関の経営力強化を促す観点から、地域密着型金融の一層の推進を図ることとされた。この実現のため、「リレーションシップバンキングの機能強化に関するアクションプログラム」(平成15年3月公表。以下「旧アクションプログラム」という。)を承継するものとして、本年3月に17〜18年度を対象とした「地域密着型金融の機能強化の推進に関するアクションプログラム(平成17〜18年度)」(以下「新アクションプログラム」という。)を策定・公表したところである。旧アクションプログラムに基づく地域密着型金融の機能強化に向けた取組みは総じて着実に進捗しているものの、その効果が顕在化するまでに一定の時間を要する取組みが少なくないこと等を踏まえれば、今後とも新アクションプログラムに基づきこうした取組みを継続し、地域密着型金融の一層の推進を図っていく必要があると考えられる。
 ○  本年4月にペイオフ解禁が実施されたことを受けて、金融機関においては市場規律の下でさらに緊張感をもって経営基盤の強化に取り組む必要があるとともに、利用者に対する情報開示を一層充実させていくことが重要となっている。さらに、本年4月の個人情報の保護に関する法律等の施行を契機として、多くの金融機関において顧客情報の紛失等の事実が判明したことを踏まえ、顧客情報の保護態勢の確立が求められるほか、偽造キャッシュカードによる被害が大きな問題となったこと等を踏まえ、金融犯罪防止に向けた対策の強化が求められるなど、金融機関における利用者保護の確保の必要性が高まってきている。

(2)

 基本的考え方
 上記(1)の中小・地域金融機関を取り巻く現状認識を踏まえ、本事務年度においては、金融行政の基本的な目的(金融機能の安定、金融サービスの利用者保護、円滑な金融の確保)を達成するため、以下の基本的考え方に基づき、監督ハンドブックに則し、引き続き厳正で実効性のある監督行政を効率的・効果的に遂行することとしています。
 

 ○

 金融機関の経営に関する情報を的確に把握・分析し、適時適切な監督上の対応につなげるため、金融機関との健全かつ建設的な緊張関係の下で、定期的な面談や意見交換等を通じ、金融機関との十分な意思疎通の確保に努める。
 ○  私企業である金融機関の自己責任原則に則った経営判断を、法令に基づき検証し、問題の改善を促していく立場にあること、情報開示による規律付けが主たる行動規範となるべきであることを十分に踏まえ、金融機関の業務運営に関する自主的な努力を尊重するよう配慮する。
 ○  実効性の高い金融監督を実現するため、検査部局との間で「検査・監督連携会議」や日常的な情報交換等を通じ、十分な意思疎通を確保するなど、それぞれの独立性を尊重しつつ、検査部局との連携の強化に努める。




.重点事項

 中小・地域金融機関を取り巻く現下の状況に的確に対応するため、本事務年度における中小・地域金融機関に対する監督に係る「重点事項」として、金融行政の基本的な目的を踏まえつつ、「地域密着型金融の一層の推進」、「利用者保護ルールの徹底と利便性の向上」及び「リスク管理の高度化等」の3つの柱を掲げています。
 

(1)

 地域密着型金融の一層の推進
 各金融機関が、新アクションプログラムに基づき、地域の特性や利用者ニーズ等を踏まえた「選択と集中」、情報開示等の推進とこれによる規律付け、を通じて間柄重視の地域密着型金融の一層の推進を図り、地域の中小企業等の金融ニーズに一層適切に対応するとともに、各金融機関が経営の健全性を確保し、地域の利用者から十分な信認が得られること、を当局としては期待しているところです。このため各金融機関が策定する個性的な「地域密着型金融推進計画」の進捗状況についてフォローアップを行うこととし、また、特に以下の点に重点を置いた適切な監督を行うこととしていいます。
 
 事業再生・中小企業金融の円滑化
 経営力の強化
 地域の利用者の利便性向上

(2)

 利用者保護ルールの徹底と利便性の向上
 金融サービスの利用者保護の観点から、検査とも連携しつつ、特に以下の事項に重点を置いた適切な監督を行うこととしています。また、利用者の満足度の高いサービスが提供されるためには、金融機関において利用者からの意見・苦情等が的確に把握されていることが重要であることを踏まえ、金融機関の自主性を尊重しつつ、適切な対応を行うこととしています。
 
 顧客情報の保護態勢の確立
 金融犯罪防止等に向けた対策の強化・徹底
 説明態勢及び相談苦情処理機能の充実
 システム管理態勢の適切性の確保

(3)

 リスク管理の高度化等
 金融機関による適切なリスク管理態勢や財務の健全性等を確保し、預金者・利用者の信頼を得るため、19年3月末から実施予定のバーゼルIIも踏まえ、各金融機関のリスク管理の高度化等に向けて、本事務年度においても、引き続き、特に以下の事項に重点を置いた適切な監督を行うこととしています。
 
 資産査定、信用リスク管理の信頼性の確保
 市場リスク管理態勢の整備
 収益管理態勢の整備と収益力の向上


 「平成17事務年度中小・地域金融機関向け監督方針」について、詳しくは金融庁ホームページの「報道発表資料」から「「平成17事務年度中小・地域金融機関向け監督方針」の公表について」(平成17年7月28日)にアクセスしてください。

「貸し渋り・貸し剥がしホットライン」情報の受付・活用状況について


.「貸し渋り・貸し剥がしホットライン」とは
 金融庁では、中小企業等への金融の円滑化に向けた取組みの一環として、中小企業など借り手の声を幅広く聞くため、「貸し渋り・貸し剥がしに関する情報の電子メール・ファックスによる受付制度」(通称「貸し渋り・貸し剥がしホットライン」)を開設していました。これは、中小企業が、金融検査マニュアルなどを理由に金融機関から不当な扱いを受けた場合等に、金融庁等に直接通報できるよう、ファックスや電子メールの受付窓口を設けたものです。


.「金融サービス利用者相談室」の立ち上げ
 本年7月19日、金融庁における質問・相談・意見等の一元的な受付窓口として「金融サービス利用者相談室」(以下「相談室」という)が立ち上げられたことに伴い、「貸し渋り・貸し剥がしホットライン」の情報受付窓口は「相談室」へ統合されました。今後、貸し渋り・貸し剥がしに関する情報は、「相談室」に寄せて頂くこととなりますが、情報の受付・活用状況について「貸し渋り・貸し剥がしホットライン」と同様に公表していくこととしています。


ホットラインに寄せられた情報の受付と活用の状況(平成17年7月18日現在)
 

(1)  受付状況
 「貸し渋り・貸し剥がしホットライン」の受付・活用状況については、四半期毎に公表することとしており、平成17年7月29日に第10回目の公表を行いました(注)。本年7月19日の「相談室」の立ち上げを踏まえ、今回の公表は四半期である6月30日までの受け付け情報に加え、7月1日から7月18日までの受付状況も合わせて取りまとめております。平成14年10月の開設以降平成17年7月18日までに受け付けた情報の累積件数は1,786件となっています。受付状況の詳細は別表を参照してください。
 


注)これまでの公表について
 
 第1回目公表 (平成15年4月21日、開設から平成15年3月31日までの受付状況等)
 第2回目公表 (平成15年7月29日、平成15年4月1日から平成15年6月30日までの受付状況等)
 第3回目公表 (平成15年10月24日、平成15年7月1日から平成15年9月30日までの受付状況等)
 第4回目公表 (平成16年1月30日、平成15年10月1日から平成15年12月31日までの受付状況等)
 第5回目公表 (平成16年4月23日、平成16年1月1日から平成16年3月31日までの受付状況等)
 第6回目公表 (平成16年7月23日、平成16年4月1日から平成16年6月30日までの受付状況等)
 第7回目公表 (平成16年10月22日、平成16年7月1日から平成16年9月30日までの受付状況等)
 第8回目公表 (平成17年1月21日、平成16年10月1日から平成16年12月31日までの受付状況等)
 第9回目公表 (平成17年4月22日、平成17年1月1日から平成17年3月31日までの受付状況等)

(2)

 活用状況
 
 金融機関全般に関する活用としては、貸し渋り・貸し剥がしホットラインに寄せられた情報を参考に、一昨年7月、「与信取引に関する顧客への説明態勢及び相談苦情処理機能に関する事務ガイドライン」(本ガイドラインは、その後PDF「中小・地域金融機関向けの総合的な監督指針」の中に織り込み済み)を制定しました。
 また、昨年7月に策定した「平成16検査事務年度検査基本方針及び検査基本計画」に基づき、平成16事務年度(平成16年7月〜平成17年6月)の検査においては、上記事務ガイドライン等を踏まえ、特に借り手企業に対する説明責任の履行状況等の重点的検証を行ってきました。
 更に、寄せられた情報を参考に、金融機関に対して、中小企業金融の円滑化や顧客への十分な説明態勢の確立、相談・苦情処理機能の強化等を要請してきました。
(参考)こうした取組に加え、昨年2月に改訂した「金融検査マニュアル別冊〔中小企業融資編〕」においては、金融機関と借り手企業との間の密度の高いコミュニケーションを通じた経営実態の把握状況等を検査において勘案することとしています。


 個別金融機関に関する活用は、以下の方法により行っています。
 
(i ) 受け付けた情報については、監督において、四半期毎にとりまとめ、金融機関の対応方針、態勢面等のヒアリングを実施しています。これらの情報のうち、情報提供者等が金融機関側への企業名等の提示に同意している情報については、臨機に、事実確認等のヒアリングを実施してきました。
 なお、これらのヒアリングの結果、監督上確認が必要と認められる場合には、銀行法第24条等に基づく報告を徴求することとしてきました。
(ii ) 検査においては、検査を実施する金融機関に関し、検査時までに受け付けた全ての情報や当該金融機関から徴求した報告の内容を参考とし、借り手企業に対する説明責任の履行状況や苦情処理態勢等の検証を行ってきました。
 なお、検査の結果、問題があると認められる金融機関に対しては、銀行法第24条等に基づき、その改善措置に関する報告を徴求することとしてきました。


 具体的な活用の状況は、以下のとおりです。
 
(i ) 本年1月1日から3月31日までに受け付けた情報については、監督において、これを基に25金融機関に対してヒアリングを行いました。
 また、そのうち監督上確認が必要と認められた1金融機関に対して、報告を徴求しました。
(ii ) 本年1月1日から3月31日までに着手した検査においては、24金融機関の検査に際し、検査時までに寄せられた情報等を参考とし、借り手企業に対する説明責任の履行状況や苦情処理態勢等の検証を行いました。


 また、「貸し渋り・貸し剥がしホットライン」に寄せられた情報をより有効に活用し、政府全体として対応を図るため、中小企業庁と連携して関係省庁間の連絡会議を随時開催してきました。


 「貸し渋り・貸し剥がしホットライン」の情報受付窓口は、前述のとおり、本年7月19日に立ち上がった「相談室」に統合されましたが、お寄せ頂いた情報の取扱いについては、従前と変更ございません。今後、貸し渋り・貸し剥がしに関する情報は「相談室」にお寄せ頂きますようお願いいたします。
 
PDF(別表)「貸し渋り・貸し剥がしホットライン」情報の受付状況
PDF(参考)「金融サービス利用者相談室」は、以下の要領で運営されています。
PDF・貸し渋り・貸し剥がしに係る情報提供の際の留意事項

「平成17年3月期における不良債権の状況(ポイント)」について

 金融庁では、7月29日、平成17年3月期の不良債権の状況について公表しました。
 以下、17年3月期の不良債権の状況について説明します。

 17年3月期の全国銀行の不良債権残高(金融再生法開示債権ベース)は17.9兆円となり、16年3月期の26.6兆円と比べて▲8.7兆円の減少となりました。
 不良債権比率をみると、主要行、地域銀行、全国銀行とも16年3月期及び16年9月期に比べて大きく低下し、いずれも金融再生法開示債権の公表を開始(11年3月期〜)して以来最低の水準となりました。

(注)不良債権比率(=不良債権(金融再生法開示債権)÷総与信額)
    16/3   16/9   17/3
主要行 5.2% 4.7% 2.9%
地域銀行 6.9% 6.3% 5.5%
全国銀行 5.8% 5.3% 4.0%

 特に主要行の不良債権比率は、14年3月期の8.4%から2.9%に低下し、「金融再生プログラム」(14年10月)において示された不良債権比率半減目標は達成されたところです。

(注

)不良債権比率半減目標:16年度(17年3月期)には、主要行の不良債権比率を14年3月期(8.4%)の半分程度に低下させる。

 また、地域銀行についても、全体でみるとリレーションシップバンキングへの取組みが着実な進展を見せる中で、不良債権比率は、全体として着実に低下しています。
 「金融再生プログラム」に盛り込まれた諸施策の推進により、主要行の不良債権問題の正常化を果たすことができたことは、大変意義深いものと考えており、今後は、不良債権問題が再び発生し、それが日本経済の足枷となることのないよう、引き続き金融機関の監督に万全を期していきたいと考えています。

 平成17年3月期の不良債権の状況等について、詳しくは、金融庁ホームページの「所管金融機関の状況(状況の一覧へ)」から「不良債権の状況等(17年3月期(平成17年7月29日))」、もしくは「報道発表資料」から「17年3月期における不良債権の状況等(ポイント)」(平成17年7月29日)にアクセスしてください。

金融審議会金融分科会第一部会公開買付制度等ワーキンググループの開催について

 金融審議会第一部会公開買付制度等ワーキング・グループ(座長:岩原紳作東京大学大学院教授)の第一回会合が、去る7月28日(木)に開催されました。

 この公開買付制度等ワーキング・グループは、7月7日(木)に公表された金融審議会第一部会報告「中間整理」において、公開買付制度のあり方について、○企業価値、ひいては株主の利益の最大化、○公開買付けにおける透明性、投資者間の公平性の一層の確保、等の観点から検討を行うべきであり、また、大量保有報告書制度のあり方についても検討を行う必要があると提言されたことを受け、これらについて専門的な検討を行うため、第一部会の下に設置されたものです。
 同日(7月7日(木))には、自民党の企業統治委員会において「公正なM&Aルールに関する提言」が取りまとめられ、公開買付制度及び大量保有報告制度のあり方等に関する御提言がなされており、公開買付制度等ワーキング・グループでは、これらのご指摘等も踏まえ、検討が進められていく予定です。

 なお、今後の公開買付制度等ワーキング・グループの開催日程の予定は、金融庁ホームページの「審議会・研究会等」における「金融審議会」のコーナーでお知らせします。
 また、公開買付制度等ワーキング・グループの資料等については、同じく「金融審議会」の「資料等」で公表しております。ご覧ください。

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