【ピックアップ:中小企業金融】
 
 金融庁ホームページに「中小企業金融特集」を掲載しました。金融庁や財務局の取組のほか、各地域金融機関のリレーションシップバンキング機能強化計画の概要がご覧になれます。
   


 中小・地域金融機関(地銀・第二地銀・信金・信組)は、本年3月に金融庁が公表した「リレーションシップバンキングの機能強化に関するアクションプログラム」に基づき、平成15〜16年度の「集中改善期間」における中小企業金融の再生と地域経済の活性化に向けた取組みについて、機能強化計画を策定しました。各金融機関が策定した機能強化計画は8月29日までに各財務局に提出されました。


 提出された機能強化計画については、去る10月7日開催された財務局長会議において検討・討議を行い、とりまとめの上、その概要を同日公表しました。機能強化計画の概要につきましては金融庁ホームページの「報道発表など」から「リレーションシップバンキングの機能強化計画の概要について」(平成15年10月7日)をご覧ください。


 金融庁としては、リレーションシップバンキングの機能強化を確実に図るため、今後、半期毎に同計画の実施状況についてフォローアップをしていく予定です。


 金融庁は、10月7日、本事務年度(平成15年7月〜平成16年6月)第2回目の財務局長会議を開催しました。会議においては、竹中大臣から挨拶をいただくとともに、大臣はじめ当庁幹部と財務局長等との質疑・意見交換を行った後、高木長官の挨拶、当庁各局及び証券取引等監視委員会事務局からの業務説明を行いました。

 大臣挨拶の概要は、「再任に当たり、総理から、平成16年度の不良債権問題の終結に向けて、金融仲介機能が回復されるよう不良債権処理の加速をはじめとした金融システム改革に引き続き取り組むことと、地域金融機関の体質強化などを通じ、地域・中小企業金融の円滑化に取り組むことの指示を受けている。
 一点目の「金融システム改革」は、大きな柱として、金融システムの安定・強化と証券市場の構造改革がある。前者のうち、とりわけ不良債権問題については、この半年間で不良債権残高が目に見えて減少している。平成16年度における不良債権問題の終結に向けては、「金融再生プログラム」に基づく諸施策を強力に推進していくこと、これに尽きると考えている。
 後者の証券市場の構造改革については、「貯蓄から投資へ」の流れを加速するため、平成15年度の税制改正において、証券税制の抜本的な見直しを行った。また、ディスクロージャーや公認会計士監査の充実・強化を図るなど、幅広い制度整備を行ってきたところである。今後とも、こうした制度整備を受けた税制の活用や販売経路の拡充等によって、個人投資家の証券市場への参入を是非促進していきたいと考えている。
 二点目の財務局に密接に関係する「地域・中小企業金融の円滑化」問題については、以下の四点について、より一層積極的な取組みを行っていきたいと考えている。
 第1に、これまで15年度中としていた「金融検査マニュアル別冊・中小企業融資編」の改訂作業のスケジュールを前倒しして、年末には改訂の案を公表して、パブリックコメントに付したいと考えている。
 第2に、中小企業金融の状況について、借り手の立場からみた実態認識を把握するために、財務局において、中小企業金融の実情に通じている管内の団体等との意見交換を行う場、仮称で「中小企業金融懇話会」を開催していただきたい。意見交換の結果については、本庁において金融検査マニュアルの改訂等に是非反映させたいと思っているほかに、各金融機関の機能強化計画の実施状況のフォローアップ等の監督行政に活用することなどを考えている。
 第3に、貸し渋り・貸し剥がしホットラインを補完するため、財務局・財務事務所において、商工会議所等の協力を得て、中小企業から見た金融機関に関する具体的な問題点の情報を収集する一種のモニタリング制度である「中小企業金融モニタリング」を実施していただきたい。得られた情報については、貸し渋り・貸し剥がしホットラインに寄せられた情報に準じた活用をしたいと考えている。
 第4に、中小企業金融の円滑化については、金融庁として、様々な取組みを行ってきたところであるが、中小企業や金融機関に対して十分に浸透していないという指摘がある。このため、ホームページ等を活用した広報の充実や中小企業金融等をテーマとしたシンポジウムの開催などの取組みを引き続き進めたいと思う。各財務局においても各種取組みに対する広報の充実を是非お願いしたい。同時に、シンポジウムが開催される地域の財務局においては、的確な対応をお願いする。私自身、できるだけ頻繁に皆様の地域に出向きたいので、よろしくお願いしたい。」というものでした。

 竹中大臣及び当庁幹部と財務局長等との質疑・意見交換においては、財務局長等から、管内の地域金融機関から8月末に提出された「機能強化計画」の内容についての報告及び討議を行いました。なお、とりまとめ結果については、財務局長会議終了後、公表しました。

 当庁各局による業務説明においては、各局における諸問題や活動状況について説明が行われ、その後、それに対する質疑・応答を行いました。



 9月24日(水)に北海道帯広市において開催された、北海道中小企業家同友会の例会において、「今後の金融情勢の変化とリレーションシップバンキング〜企業と金融機関の共存共栄を目指して〜」をテーマに講演を実施しました。


 中小企業経営者を中心に45名の参加があり、講演後の意見交換では、「中小企業経営者の意欲を湧かせる施策にしてほしい」等の活発な意見が出ていました。
 


【海外最新金融事情】
 

10年目を迎えた保険監督者国際機構(IAIS)

−シンガポール総会を終えて−

金融庁総務企画局国際課企画官
天 谷 知 子

 去る10月1〜3日シンガポールにおいて、保険監督者国際機構(IAIS)第10回年次総会及びコンフェレンスが開催された。今回会合は、世界70カ国・地域以上から400名近くの保険監督者・関係者の参加をえて、過去最大規模のものとなった。日本からは、IAISメンバーである金融庁より細見参事官、筆者が出席、また、IAISオブザーバーである生命保険協会、日本損害保険協会などの業界関係者も出席している。以下、IAISの現状について、今総会の模様を中心にご紹介したい。なお、文中意見にわたる部分は筆者の個人的見解である。


.IAISとはどのような組織か
 今総会について紹介する前に、IAISとはどのような組織か簡単に触れておこう。
 

(1)

 概要
 IAIS – International Association of Insurance Supervisors – は、(a)保険監督者間の協調の促進、(b)国際保険監督基準の策定、(c)加盟国・地域(特に新興市場国・地域)における監督基準に則った保険制度確立の支援、(d)他の金融分野の監督機関との連携を目的とした保険監督者の組織として1994年に設立された。現在、100以上の国・地域の保険監督当局がメンバーとして、約70の保険会社・業界団体等がオブザーバーとして加盟している。
 事務局は、バーゼル(スイス)におかれ、河合美宏事務局長以下計8名のスタッフで運営されている。主要な意思決定機関は、執行委員会(議長:アギレラ メキシコ保険委員会議長)であり、15の国・地域がメンバーとなっている(我が国は、1998年より同委員会のメンバー)。また、執行委員会のもとに専門委員会(議長:カープ オーストラリア金融規制機構・上級部長)が設けられ、主として監督基準の策定を担当している。
   
「成人を迎えたIAIS」
 IAISは、金融市場のグローバリゼーションの進展の下、世界の保険監督者が集い討議する場を創設する機運がNAIC(National Association of Insurance Commissioners:全米保険監督官協会)会合において高まったことを背景に設立され、1994年第1回総会が米国ボルチモアで開催された。1970年代に誕生している他の金融監督者の国際機構に比べ、IAISは大幅に若い機構といえる。ちなみに設立時のメンバーは74カ国、我が国は設立当初からのメンバーである。
 その後、メンバーの拡大、組織の充実を続け、1998年にはバーゼルへの事務局の設置、1999年にはオブザーバー制度の導入が行われている。この頃には、参加国・地域数も100に達し、ほぼ現在の形の組織となっていると言えよう。
 今回の総会では、本文中の監督基準のほかに、「中期行動計画」を採択している。これは、それまでの急速な組織と活動分野の拡大を踏まえて、優先すべき活動、目標、財政基盤を再検討したものである。10年目を迎えたIAISは成人としての第一歩を踏み出した。

(2)

 活動内容(その1) 監督基準策定
 IAISの主要な活動は、国際的な保険監督基準の策定である。保険監督全般にわたる基本原則である「保険コア・プリンシプル(保険監督基本原則)」をはじめとして、現在までに22の基準・指針等の文書が採択されている(採択済の文書については、金融庁ホームページ国際関連情報及びIAISホームページhttp://www.iaisweb.org/参照)。既に述べたように、監督基準の策定は専門委員会において行われているが、各基準の策定にあたっては、小委員会、タスクフォース等と呼ばれる少人数のグループを設けて実質的な作業を行うのが通例である。
 国際的な保険監督基準の策定の背景には、保険業務の国際的な展開の拡大があるが、一方で、同じ「保険」と言っても、各国によってその内容は大きく異なるのも事実である。各国の保険市場の多様性はそのまま、各国の監督当局の悩み、アプローチの違いとなる。国際的な基準の策定作業には、このような多様性を相互に理解し、共通点・相違点を見出すプロセスが欠かせない。
   
「働かざるもの言うべからず」
 IAISは保険監督者間の協調の促進を目的としており、会合における議論も、「協議」「交渉」というより、「協働作業」という色彩が濃いことが多い。この傾向は、小委員会等において特に顕著である。メンバーはそれぞれ、議論の材料となる資料を提供したり、原案を執筆したり、論点整理を提示したり、といったことを行い、意見を交換し、ともに知恵を絞り、作業を進めていく。この作業をなおざりにしておきながら、自分の国の立場だけは主張しようとする人も皆無ではないが、これをすると、良くて丁重に無視され、悪くすると「あいつを崖から突き落とせ」と噂されるようになる。

(3)

 活動内容(その2) 新興市場国・地域支援
 IAISのメンバーの多くは、新興市場国・地域である。これらの国・地域における監督基準に則った保険監督の確立のための支援も、IAISの活動の柱の一つとなっている。具体的には、研修教材の作成、セミナーへの講師の派遣・紹介、地域セミナーの共催といった活動を行っている。保険監督のための技術支援を行っている機関はIAISの他にもあり、IAISでは、他の機関と連携することにより、効果的な支援を行うことを目指している。例えば、今回の総会で採択された新コア・プリンシプルについては、世銀がその紹介ビデオの作成中である。これは、世銀の企画として行われているが、出演者については、IAISメンバーの有志の協力で行われ、今回シンガポールにおいても収録が行われた。
   
「新興市場向けの顔」
 IAISによる新興市場向けプロジェクト及びプログラムの策定、実施を促進するため、日本からODAの資金を拠出している。IAISでは、この資金を活用し、日本人専門家1名を採用している。専門家は、各国でのプロジェクトの調整にあたるとともに、自身も講師としてセミナーに参加するなど、事務局において新興市場国・地域支援活動の中心的役割をはたしており、いわば新興市場向けのIAISの顔となっている。


.シンガポール総会と今後への取り組み
 シンガポール総会においては、基準策定に関する5文書が採択された。ここでは、採択された文書の概略と関連する今後の取り組みについて簡単に説明することとしたい。
 

(1)

 「保険コア・プリンシプル(保険監督基本原則)」の改定
 保険コア・プリンシプルは、保険規制・監督全般にわたる基本原則であり、IMFによる金融セクター評価プログラム(FSAP)における評価基準としても利用されている。従来の保険コア・プリンシプルは1997年に採択され、2000年に改定されたものであるが、今回これを全面的に改定、内容を整理、拡大、充実させた。主な変更点としては、リスク管理、ディスクロージャー、マネー・ロンダリングなどの項目が新たに設けられたこと、再保険会社についても元受保険会社同様監督対象とすることが明記されたことがあげられる。
 本原則は、原則本文、解説、評価基準からなっており、各監督当局が、自らの業務をこれに照らして評価することにより、その弱点を特定し改善するために利用することを目的としている。そこで、来年には、新原則を利用して、各IAISメンバーによる自己評価を行うことを予定している。

(2)

 「再保険会社の監督に関する基準」
 再保険会社の監督に関しては、昨年10月に開催された年次総会において、再保険会社も元受保険会社と同等の免許、検査、制裁等の規制・監督下におくべきことなどを内容とする「再保険会社の監督のための必要最低限の原則」を採択した。今総会で採択した「再保険会社の監督に関する基準」では、将来的に国際的な再保険会社を母国監督者の責任で監督する体制とすることを提案し、そのための監督基準を記している。
 日本では、再保険会社についても元受保険会社同様に保険業法による規制・監督に服しているが、諸外国においては、再保険会社が監督対象とされていない国も多い。一方、再保険取引は国際的に行われることが多く、世界の主要再保険会社は広く各国の保険会社と取引を行っている。こうしたことから、再保険は、IAISにおいて重点がおかれている分野の一つである。

(3)

 ソルベンシー評価(自己資本規制)
 今総会では、ソルベンシー評価に関連して、「保険会社によるストレス・テストに関する指針」「ソルベンシーと当局の措置に関する指針」「監督の一部としてのアクチュアリーの活用に関する指針」の3文書を採択している。
 現在、ソルベンシー評価に関する各国の制度は、その基本的な枠組みさえも大きく異なっている。すなわち、日本のソルベンシーマージン比率は、一定の方式にしたがい保険会社の抱えるリスクを測定し、その値と、損失を吸収するバッファーとなるソルベンシーマージンの値を比較するという「リスク・ベース」の手法をとっており、これは、米国等と似た枠組みであるが、一方欧州では、保険関連の準備金の数値と自己資本等の額を比較するとの方式が利用されている。IAISにおいては、国際的に整合性のあるリスク・ベースのソルベンシー評価の枠組み作りを目指して作業を行っており、昨年の総会において、「保険会社の資本とソルベンシーに関する原則」を採択している。今総会において採択された3指針はこの原則の内容を具体化させたものである。今後、さらに、「適格自己資本の形態」「所要自己資本」等についての文書の作成を進めることとしている。


.おわりに
 「成人を迎えたIAIS」でもふれているように、IAISは設立10年目を迎え、その基盤を固めて活動のさらなる充実に向けて動き出した。保険監督をめぐる国際的な構図をみると、アングロ・サクソン系諸国の保険監督当局間では国境を越えた人材の移動が活発に行われており、また、ヨーロッパではEUを軸とした規制・監督の統合が進んでいる。日本は「気がついたら知らないところで世界の流れができていた」となる危険と隣りあわせといっても過言ではない。IAISを日本にとって国際的な流れを作る側に立って貢献できる有効な場としてとらえ、今後ともこれに積極的に参加していきたい。


【金融便利帳】


 このコーナーは、とかく専門的でわかりにくい金融に関する用語や様々な疑問について、わかりやすく解説するものです。
 今月のキーワードは「証券取引等監視委員会」です。

 今から11年ほど前、平成4年に、当時のいわゆる証券不祥事を契機として、証券市場において業者の監督とは独立して市場の公正性の監視を行う機関を設けるべきという考え方のもと、証券取引等監視委員会が発足しました。
 こうした設立の経緯からもわかるとおり、監視委員会の使命は証券取引及び金融先物取引の公正を図り、証券市場及び金融先物市場に対する投資者の信頼を保持するための中核的な役割を果たすことであるとされています。

 法令上、「監視」という言葉は物理的に見張る、単に眼を光らせること、つまり資料、情報を収集して分析に努めるといった意味で用いられることが多いようですが、監視委員会における「監視」という言葉は、後に述べる犯則事件の調査や証券会社等への立入検査といった行政権限の行使を包括する概念として使われています。
 また、上で「証券取引及び金融先物取引」と述べましたが、証券取引等監視委員会という名前の中で時に忘れられがちな「等」という言葉は、金融先物取引のことを表しているのです。
 証券取引等監視委員会という長い名前は、このように深い意味を持った名前なのです。

 さて、近年、我が国経済の再生・発展のためには、銀行を中心とした間接金融に加えて、企業の資金調達の場である証券市場がより発展することが必要だと言われています。
 そして、そうした証券市場の発展のためには、とりわけ個人投資家が証券市場に積極的に参加することが必要であるとの議論が盛んに行われており、そのためには、個人投資家が安心して証券市場に参加できるよう、個々の取引の公正性が十分に確保されていることが必要となります。
 こうした中、証券市場に対する投資者の信頼を保持するという監視委員会の責務は、これまでにも増して重要なものとなっています。

 現在、監視委員会は、平成13年7月に就任した高橋委員長のもと、証券市場に対する個人投資家の信頼がいまだ低いとの現状分析を行い、個人投資家の保護に全力を尽くすことを最大の目標とし、与えられた使命の遂行にあたっています。
 具体的には、(a) 悪質な証券会社などの徹底摘発、(b) 市場の公正性を損ねる証券犯罪の一掃、(c) 監視委員会のプレゼンスの向上という3つの目標に全力を挙げて取り組んでいるところです。
 
組 織
 監視委員会は、内閣府設置法第54条に基づき、委員長及び委員2名で構成される合議制の機関として金融庁に置かれています。
 委員長及び委員は、衆・参両議院の同意を得て内閣総理大臣により任命され、独立してその職権を行使します。
 委員長及び委員の任期は3年であり、再任されることができます。
 また、原則として、在任中、その意に反して罷免されることはありません。

 監視委員会には、その事務を処理するために、総務検査課と特別調査課の2課から成る事務局が置かれています。
 また、地方の財務局等に、主として地方の証券会社に対する検査等を担当する職員が配置されています。
 これらを合計した職員数(平成15年度末定員)は415名となっています。
 
監視委員会の具体的な活動内容
(1)  犯則事件の調査・告発
 公正・公平な証券市場を維持していくためには、ルールの違反者に対して厳正なペナルティを課すことにより、市場が適切に運営されているという投資者の信頼感を醸成することが重要です。
 監視委員会は、有価証券報告書の虚偽記載や損失補てん、相場操縦、インサイダー取引等、証券取引等の公正を害する悪質な行為の真相を解明し、告発によって刑事訴追を求めるために犯則事件の調査を行っています。
 この犯則事件の調査権限は、監視委員会職員の固有の権限として証券取引法等に規定されたものであり、監視委員会の職員は、必要があるときは、犯則嫌疑者等に対して質問・検査・領置等の任意調査を行うほか、裁判官が発行する許可状により臨検・捜索・差押えといった強制調査をすることができることとなっています。
 こうした強制調査の権限は米国SECも持っておりません。
 監視委員会は、こうした調査を積み重ねた結果、証券取引法等違反の心証を得たときは、検察官に告発を行うこととなっています。

(2)

 証券会社等の検査
 監視委員会は、証券会社や証券業の登録を行った金融機関等といった市場参加者が取引の公正を確保するための規定を遵守しているかどうかを監視するため、臨店したり資料を要求したりして検査を行っています。
 検査の範囲は政令により定められており、例えば、証券会社については、証券会社とその従業員などの禁止行為(取引一任勘定取引の契約の締結、断定的判断を提供した勧誘、特別の利益提供を約した勧誘等)、損失保証・損失補てんの禁止等についての規定に関するものを検査することとされています。

(3)

 日々の市場監視
 監視委員会は、証券会社等から有価証券の売買取引等に関する詳細な報告を求めたり、資料を提出させたりして、日常的に市場動向の監視を行っています。
 具体的には、(a) 株価が急騰・急落した銘柄、(b) 株価が長期間固定している銘柄、(c) 対当売買執行前後の株価動向、(d) 投資者の投資判断に著しい影響を及ぼす事実が発生した銘柄、(e) インターネットやダイヤルQ2等の情報、(f) 一般から寄せられる様々な情報等に着目し、報告や資料に基づいて詳細な分析を行います。
 日常的な市場動向の監視にあたっては、(イ) 市場仲介者として一般の投資者より重い責務を負う証券会社等がどのように関与していたか、(ロ) それらの取引の中に証券取引法等の法令に触れる疑いのあるものはなかったか、(ハ) 証券取引所等の自主規制機関が有効に市場監視の機能を果たしているか等を重要なポイントとしています。
 こうした監視活動は、直接的・間接的に不公正な取引を未然に防止するための抑止力としても働くものと考えています。

(4)

 検査等の結果に基づく勧告
 監視委員会は、検査や犯則事件の調査の結果、証券会社等について問題点が把握された場合には、内閣総理大臣及び金融庁長官に対し、証券取引等の公正を確保するため、証券会社等への行政処分等を行うよう勧告することができます。
 具体的には、証券会社等の法令違反が把握された場合に行政処分を行うことを求める勧告や、証券会社の従業員等が行った法令違反行為に対して、日本証券業協会や証券取引所等の自主規制機関が必要な処分等を行っていない場合に、自主規制機関に処分を行わせることを求める勧告等があります。

(5)

 検査等の結果に基づく建議
 監視委員会は、検査や犯則事件の調査の結果、必要があるときは、証券取引等の公正を確保するために必要と認められる施策について、内閣総理大臣、金融庁長官又は財務大臣に対して建議することができます。
 建議は、検査、調査の結果把握した事項等を総合分析して、現行の法規制、自主規制ルールでは不十分であるような場合に、その事実を指摘した上で、取引の公正を確保するとの観点から、法規制、自主規制ルールのあり方等について検討すべき課題及びその見直しの提起を行っています。
 
自主規制機関との関係
 証券業協会や証券取引所等の自主規制機関も、証券会社に対する監査及び考査や日々の取引状況の監視等を行っており、監視委員会と自主規制機関とは、市場の監視において、緊密な情報交換を行っています。
 一方、監視委員会は、自主規制機関の監査等の業務が適切に執行されているかどうか、あるいは自主規制機関が自主規制ルール等に違反した会員等の処分を厳正に行っているかどうかについて検査を行うことができます。
 
情報提供窓口
 監視委員会に対する問い合わせや情報提供等は、郵送、電話、FAX、インターネットにより受け付けております。
  郵 送 先:  証券取引等監視委員会
    〒100-8967 東京都千代田区霞が関3-1-1 中央合同庁舎第4号館
 
情報受付:
    代表電話:03-3506-6000
情報処理係    内線3091、3093
   直通: 03-3581-9909
   F A X: 03-5251-2136
インターネットWebページ    http://www.fsa.go.jp/sesc/
(情 報 受 付)   https://www.fsa.go.jp/sesc/watch/


 監視委員会について、詳しくは、監視委員会のWebページにアクセスしてください。
 この他、具体的な検査の実施状況等については、「証券取引等監視委員会の活動状況」において公表しております。
 「証券取引等監視委員会の活動状況」は、監視委員会のWebページへの掲載、閲覧窓口での閲覧のほか、国立印刷局から書籍として市販されています。


【お知らせ】

〇 金融庁ホームページに副教材「インターネットで学ぼうわたしたちの生活と金融の働き」を掲載


 10月7日、学校における金融教育の一層の推進を図るために開発してきた副教材「インターネットで学ぼうわたしたちの生活と金融の働き」をホームページに掲載しました。
 この副教材の開発は、平成14年8月6日に金融庁が公表した「証券市場の改革促進プログラム」において、投資知識の普及・情報の提供につき、「教材の開発等を通じた教員の支援や文部科学省への要請を通じて、学校における金融・証券教育の一層の推進を図る。」とされていたことに伴う措置です。
 金融庁では、金融教育が喫緊の課題であると考えていることから、ホームページを通じた金融・証券・保険関係の情報提供を充実するほか、文部科学省に対して金融教育への協力の要請を行い連携を進めてきています。
 さらに、投資教育の推進に向けた会議を開催するなど、引き続き、金融教育の一層の推進に積極的に取り組んでいきたいと考えています。

〇 「金融庁の1年(平成14事務年度版)」を発刊

 「金融庁の1年(平成14事務年度版)」は、昨年発刊した「金融庁の1年(平成13事務年度版)」と同様に、当庁の1年間の活動状況を広く紹介するため、取りまとめたものです。
 発足後三年目にあたる平成14事務年度においては、「経済財政運営と構造改革に関する基本方針2002」(14年6月)、「改革加速のための総合対応策」(14年10月)等を踏まえ、不良債権問題の正常化や証券市場の構造改革といった施策に積極的に取り組んできました。特に、現下の最重要課題である不良債権問題については、16年度までに不良債権問題を終結させるための包括的なプログラムである「金融再生プログラム」を10月に策定し、これに基づく施策を逐次実施に移してきたところです。
 このような14事務年度における様々な取組みについて、本編を5部構成(金融庁の組織及び行政運営、金融に関する制度の企画及び立案、金融監督等、金融検査、国際関係の動き)でまとめ、本編に関連する資料も多く添付しているところです。
 本誌の発行により、制度の企画立案・検査・監督・監視の各般にわたる金融行政に対する国民の一層の理解が得られ、金融行政に対する信頼の増進につながることを期待しています。

※ 本文等をご覧になりたい方は、金融庁ホームページの「報道発表など」から「「金融庁の1年」の公表について」にアクセスしてください。

〇 新着情報メール配信サービスへのご登録のご案内

 金融庁ホームページでは、新着情報メール配信サービスを行っております。皆様のメールアドレス等を予めご登録いただきますと、毎月発行される「アクセスFSA」や日々発表される各種報道発表など、新着情報を1日1回、電子メールでご案内いたします。ご登録をご希望の方は、「新着情報メール配信サービス」へどうぞ。


【9月の主な報道発表等】
 
1日(月) 事務ガイドライン(「金融監督にあたっての留意事項について(第二分冊:保険会社関係)」)の一部改正
       
3日(水) 企業内容等の開示に関する内閣府令等の一部を改正する内閣府令(案)の公表(パブリック・コメント)
       
5日(金) 証券取引所に関する内閣府令等の一部を改正する内閣府令(仮称)(案)の公表(パブリック・コメント)
       
9日(火) 主要行における自己査定と検査結果との格差
    第22回金融トラブル連絡調整協議会開催
       
10日(水) 第21回金融トラブル連絡調整協議会議事要旨(6/24開催分)
       
11日(木) 証券会社の行為規制等に関する内閣府令の一部を改正する内閣府令(案)及び事務ガイドライン(案)に対するパブリック・コメント結果
  「タリバーン関係者等と関連すると疑われる取引の届出について(追加要請その21)」の発出
       
12日(金) 事務ガイドライン(「証券会社、投資信託委託業者及び投資法人並びに証券投資顧問業者等の監督等にあたっての留意事項について」)の一部改正
  事務ガイドライン(第一分冊:預金取扱い金融機関関係)の一部改正(ヤミ金融業者等による不正な預金口座の利用をなくすために)
  北陸労働金庫に対する行政処分
  四国労働金庫に対する行政処分
       
18日(木) 「金融庁の1年(平成14事務年度版)」公表
    企業会計審議会第一部会開催
       
19日(金) 「経営健全化計画の見直し」公表
       
24日(水) 株式会社北陸銀行に対する銀行持株会社(株式会社ほくぎんフィナンシャルグループ)の設立認可
  株式会社北陸銀行の産業活力再生特別措置法に基づく事業再構築計画の認定
       
25日(木)   金融審議会金融分科会第一部会開催
       
30日(火) 証券会社に関する内閣府令の一部を改正する内閣府令(案)および事務ガイドライン(案)の公表(パブリック・コメント)
  「IOSCO(証券監督者国際機構)専門委員会による「信用格付機関の活動に関する原則」「セルサイド証券アナリストの利益相反に対処するための原則」の公表
    公認会計士審査会開催
   
マークのある項目につきましては、から公表された内容にアクセスできます。