第21回金融トラブル連絡調整協議会議事要旨

1.日時:

平成15年6月24日(火)14時00分~16時00分

2.場所:

中央合同庁舎4号館 金融庁特別会議室AB

3.議題:

移送ルール、実務者ネットワーク及び消費者の認知に向けたPR等について

4.議事内容

(紛争解決手段としての弁護士仲裁センターとの業務提携・事案移送について(案))

  • 「紛争解決手段としての弁護士仲裁センターとの業務提携・事案移送について(案)」について資料1を用いて説明があった。

    • モデルの紛争解決部分を担当したのは、私の他に大川委員、日本損害保険協会と日本証券業協会のワーキンググループのメンバーですが、立ち上げた当初から議論の過程でも、弁護士会仲裁センターを利用することは全く念頭に置いていなかった。したがって、資料1の1ページの2のところの第一段落で書かれているとおりの認識で良い。それから、2ページの留意事項に書いてあることは、本来であれば、それぞれの業界団体がご自分でお考えになられるところだと思う。質問と意見がある。(1)のマル2[会員企業の責務]の中に「手続き応諾義務等」と書かれているが、「等」の中に結果尊重義務は含まれるのか。銀行協会のよろず相談所の運営懇談会の席でも、企業がテーブルに着かないこと、資料が出てこないこと、結果が尊重されないことが最大の不満であると大川委員がおっしゃっている。また、マル6のところには、措置や勧告等の手続きは書かれているが、その前段階が抜けていると思う。それから、手続応諾義務については、合理的な理由がある場合はテーブルに着かなくても良いとモデルの中にも実際の各業界団体の規則にも書かれており、実質的にはテーブルに着かないことが大いに有り得る。業界団体は、なお一層の努力が必要と思う。

    • 手続応諾義務は例示として掲げている。この団体数を考えると、それぞれの業界の中で何処まで盛り込むことができるかというレベル感が一様でなく、書きづらいところがあったので、表現はこういうものにした。「等」に結果尊重が入るかどうかは、モデルが前提になっており、また、協議会のこれまでの議論を踏まえると、入ることになっていると思う。他方、現行の裁判制度との仕切りを考えると、どこまで会員企業に対して求められるかという部分は、実務的に各団体が対応できるかという声を聞いてみないと事務局としては答えられないと感じている。

    • 留意事項の(1)マル5について質問していたのは私です。私自身弁護士でありながら仲裁センターの実務を良く知らない。個別の紛争の手続きにおいて、移送元機関の関与が現実的に可能なのかということについて疑問が無いわけでもない。もちろん、移送元機関の専門性を紛争解決に役立てたいということは、非常に重要だと思う。一般論として、仲裁センターにおいて、仲裁委員を教育するような機会を移送元が積極的に提供し、例えば保険や証券のトレーニングや情報を提供することは必要である。しかし、個別の仲裁手続きの中で、既に出来上がっている制度に移送元がどうやって入っていくのかという、ここに書かれているとおり実質的に確保するというところがどこまで出来るかということは、一度検証した方が良い。

    • 総じてADRの議論では、いわゆる法律面の専門家としての弁護士だけでなく、紛争の対象になっている事案特有の情報に通じた補助者としての専門家の関与が必要と語られている。金融分野においても、それぞれの業界の企業が紛争当事者として係わっているということを考えると、専門性がありつつ企業から若干距離を置いているという意味で、各団体の位置付けというものが考えられるのではないかということが、この協議会でのコンセンサスと思う。しかし、それを超えて具体的な内容を書き込むところには、我々としてまだ至っていないのではないかということで、こういう形の規定にした次第である。

    • 実際、既に仲裁センターを利用している団体では、この点をどのように扱われているのか。

    • 私どもが弁護士会の仲裁センターを利用している理由の一つは、一般消費者の方から見て中立性が確保されているのではないかということである。この取りまとめの案を拝見し、移送後の紛争手続きに私どもの相談所が専門家として関与するとはどういうことなのかなという疑問を持った。仲裁判断に影響を及ぼすような関与はまずいと思うので、あくまでも材料を提供するという意味で関与することは有り得ると思う。今のところ、仲裁センターから参考人に出てきてほしいという要請はない。

    • 実際には、あまり問題になるということはないのでしょうが、非常に専門的なことが問題になったという場合にということでしょうか。

    • 金融業界が弁護士会のあっせん仲裁を利用するという契約をする際に、金融トラブル連絡調整協議会として、こういう項目を実質的に確保せよということになるが、(1)マル5が、先ほどの議論のような意味だとすると、仲裁センターの方が求めた場合に専門家として協力をするという表現にしないと、少々具合が悪いのではないかと思う。実際に、弁護士会の仲裁センターがADR機関として活動する際に、送り込む方は、専門業界ではあるものの、自分のところにあっせん・調停機関がないので弁護士会に送るのに、専門家だから関与できるというは違和感がある。協力を要請された場合に協力するという意味合いの表現が良いのではないか。

    • 仲裁人の求めに応じ移送元機関は協力をするというような言い振りにするということか。

    • そのようなところである。協力を求めるか否かについては、仲裁をする方が判断できるようにしていただければと思う。

    • それでは、そのような表現振りに変えることとしたい。前回、山本委員から指摘のあった仲裁センターを利用したときの費用の問題について、(1)マル7に、モデルの内容を踏まえることとあるが、事務局としての考え如何。

    • 現状の運用を見ると、前回発言を頂いた日本証券業協会は上限付きの一定額という方法、生命保険協会の場合は申し立てにかかる費用は無料ということでバラつきがあるが、先々の改善を期待し、モデルの内容を踏まえて努力していただきたいと考えている。仲裁センターを利用する全国銀行協会は、最初の申立てと期日の部分を負担をしている。他方、モデルには無料が良いと書いてあるので、状況に応じて改善する、といったところがコンセンサスではないかと考えた。この辺はさらにご議論していただければと思う。

    • (1)マル6に結果を踏まえた会員企業に対する措置勧告等の手続きを定めることとあるが、結果は仲裁センターの方から回ってくるのか。また、どういう形で仲裁センターに送った案件の結果を知る手段があるのか。

    • 間接的に各業界団体へ示していると大川委員は言われていた。個別具体的には、契約において、仲裁センターが結果を各団体に報告するという形にする場合には、当然、結果を知ることができる。仲裁内容に関する守秘義務の範囲については、どの程度、移送元機関を適用除外にするか、または、当事者に加えるかという観点から、個別に考えていくことと思う。いずれにせよ、各団体は結果を知ることになろうかと思うので、それを踏まえて措置勧告等による、何らかの改善ができる手続きを設けることは可能ではないかと前回議論を踏まえて盛り込んだ。

    • この仲裁センターの問題は、前回も、大変ご議論いただいたわけだが、留意事項という形でまとめることについて、石戸谷委員や高橋委員からご意見を頂いたが何かご意見あるか。

    • 本体に組み込まないで頂きたいという要望をしたが、このような形を取っていただいたので異議は無い。

    • これで結構。

(実務者ネットワークについて)

  • 実務者ネットワークについて資料2を用いて説明あり。

    • 事務局からの説明の中に、「金融団体相談所連絡会」という既に存在している実務者ネットワークの例が上げられているが、これはどういう会合か。

    • 資料2別紙の1枚目にある問1の、二つ目の○が、私どもの回答であるが、私どもを含めて、地銀協や第2地銀協等々の預貯金取扱金融機関の相談窓口の担当者同士が意見、情報交換をする、金融団体相談所連絡会というものを年4回開催している。恐らく昭和40年代からやっているのではないかと思う。普段から苦情相談等の事案をお互いに移送し合っている者が、3ヵ月に一度位顔を会わせることは、例えば、全銀協のよろず相談所に信用金庫のお客様からの苦情相談等の申し出がある場合には、信用金庫の相談所を紹介しているが、その際、担当者が相手の顔が思い浮び、先方に移送すればどういう手続きが取られるかということが分かっているということは、非常に有益である。アンケートの中には業界団体以外の消費者団体や有識者も入ったらどうかという意見もあるが、実務者同士の集まりには、個別具体的な事案を取上げることもある。極端な例では、苦情を言って回るクレーマー・リピーターのような人の情報等を交換するので、あまり参加者の幅を広げるのはいかがなものかと思う。

    • 生保・損保ではこのような形でされていることはあるのか。

    • 日本損害保険協会としては、特段ないが、消費者団体との懇談会は別途行っている。

    • 消費者センターはいかがか。

    • 色々な新しい商品が出てきているので、そういう苦情に対応するために色々な研修を開いているが、定例として必ずやるということはあまり無い。我々は、今発言のあった日本損害保険協会、生命保険協会とは、年に1~2回情報交換をする程度である。実務的なところまでは至っていない。

    • 最近、業界の枠をこえて扱われている商品が増えてきているが、例えば、投資信託のように投資信託協会だけでなく、販売する方の証券業協会、最近だと銀行の窓口販売でも扱われている。そういう業界横断的なことについて、実務者の間での情報交換はどういう状況か。

    • 投資信託協会では、特に横断的な連絡会は設けていない。一つの理由として、投資信託協会は運用会社中心の協会であって、販売は日本証券業協会が中心になっているためである。銀行も特別会員として参加しているが、そこはどうなっているのか承知していない。

    • 日本証券業協会です。特別会員という形で登録金融機関が協会に加入している。苦情相談の部分は、理事会決議という規則に基づいて各業界団体に業務委託をしている。各団体に証券監査室という自主規制業務を専門に取扱う部署を設けていただき、その業務の一つとして、苦情相談業務を取扱っていただいている。各業界団体の担当者との打合せは毎月一回、定例会という形でやっている。苦情相談業務は、事案発生の都度時間を貰って検討説明等行っている。

    • 配布資料の4にあるような、そもそもこういう実務者ネットワークというものを設ける必要性があるかということについては、意見があればお願いしたい。アンケートでは、かなり意見が分かれている。

    • 私どもの意見は、資料2別紙2の3ページの上から二つ目の○に書かれている。現状では、頻繁に苦情相談を照会し合う業界団体同士の実務者ネットワークは、ある程度出来上がっていると思う。銀行の保険窓販に関して、まだ定期的な会合とまではいっていないが、生命保険協会や日本損害保険協会との実務者も、昨年10月の拡充時に一度集まっているが、今後とも必要に応じて、定期的に開いていきたいと思っている。新たなネットワークのイメージが今ひとつ湧かないが、実務者同士の横のつながりは現状でもかなり出来ていると認識している。

    • 生命保険協会です。関係団体とは、必要に応じて相互に連絡が取れる体制に有り,実務的には十分対応できると考えている。岩本委員と同意見。

    • アンケートも色々なご意見が出ていて、何人かの委員からもご意見が出て雰囲気は分かった。将来的には統一的、横断的な苦情・紛争解決の機関が必要と感じており、実務者ネットワークはあった方が良いが、アンケートにもあるようにインセンティブがあるかどうかについては、各業界団体の方々の意向次第になるので、無理に立ち上げてもやる気がなければすぐに頓挫をしてしまうと思う。今までの話を聞いていて残念なのは、実務者ネットワークで何をやるかという議論の中で、悪質クレーマーの話があったが、そういった情報交換だけに利用するのはいかがなものかと思う。そういうことから考えられたわけではないと思うが、例えば、受付のフォーマットの統一化とか、相談を受ける方々の教育をどうしていくのかとか、移送ルールの検証等、色々と課題はあると思う。単なる情報交換だけのネットワークと考えるのであれば、既存のとおりとなるのだろうが、将来に向かって何をどうしていけば良いのかとなれば考える課題は違ってくる。その辺りのことは、当事者ご自身でお考えになることだと思う。

    • 実務者ネットワークを提案したのは私である。金融審の答申を受けて、裁判外紛争処理については、このような協議会がスタートすることになったが、業界委員からはあまり自主的な発言が無かった。ワーキンググループでモデルを検討した時に、実務者の方が参加されたが、切実な問題として感じておられるところがあるようで、そういう方達が自主的な取組をして頂くことでADRあるいは苦情紛争処理機関としての、実効性が上がるのではないかと思った。協議会設置が決まってから3年たったが、もっと業界横断的なダイナミックな動きが出てきてもおかしくない時期である。そうならないのは何処に問題があるのか。実務者で自主的な取組をやっていこうという声が上がれば、協議会の次回以降の展開も変わるだろう。自主的な取組によってモデルの実効性を上げ、消費者の信頼を確保していくことについては、資料2の3の問5の具体的な取組の1~5のうち1、2、4が意見交換会、研究会、研修会、リストメールによる情報交換で、その他に3の講演会と5の印刷物の発行があがっている。インターネットを使うことも含め、実務者ネットワークなりこの協議会の取組が外からもっとよく見えることや、透明性が確保されて消費者の信頼を得ていくような動きになることを望んでいる団体があると解釈する。例えば、金融トラブル解決のポータルサイトがあって、今このようなトラブルが起きていて、業界はこんな取組をしているというものを出していただければ、消費者はかなり信頼をおいて、そういうところが取り組んでいるADRであれば活用してみようと思うのではないか。現在は協議会の知名度も低いし、それぞれの団体のホームページにも横断的な取組は書いてない。金融庁のホームページでも協議会議事録と資料の掲載のほかは、それぞれの業界団体にリンクするようになっているだけなので、実際のところ一般の消費者には何も見えていないという状況である。事業者団体が自主的に取り組む上で、もっと有効な方法があるのであれば、我々としてはそちらを検討した方がよいかもしれない。

    • 高橋委員のご意見としては、この問題についてどのように対応すれば良いとお考えか。

    • 原委員と全く同じで、私どもがどうこう言うものではなくて、事業者団体が自主的に取り組むかどうかにかかっていると思う。それから、金融庁にもこのネットワークに係わっている機関として、今後はどういう取組をしていくかについてお話を伺いたい。また現在行われている、実務者の意見交換では、例えば、業の谷間に落ちているような商品や、今後、製販分離が進むことで生じる問題については、あまり話しあわれていないようだ。実務者ネットワークでそうした問題等もやっていくのかどうかについても、ご意見を頂きたいと思う。

    • ネットワークが自主的に動くインセンティブは何かという趣旨のコメントを出したのは私だが、基本的に、それに尽きると思っている。そういうものをいかに業界団体に与えるかという議論が大事であって、その意味では、実務者ネットワークが必要か否かという問題の立て方よりは、有用なネットワークを作るため、若しくはネットワークを有用なものにするためには、どういうことを取上げると皆が連絡を取り合いたくなるかと思うかという議論をしたほうが良い。例えば、仮に上手く行っているネットワークがいくつかあれば、そこではこんなことを取上げているとか、こういうことをして紛争トラブルの情報を交換しているとか、こういう情報をもらって今後の商品設計に役立てたいとか、相互に情報交換をすべきものとして有用なものがあったということを何か取上げられれば良いと思う。

    • 今のような指摘からすると、既に経験のある金融団体では、クレーマーの話以外にいかなる有益なことがなされているか参考としてお聞かせ願いたい。

    • 相談を受ける窓口担当者が集まると、非常に個別具体的な事例を取上げて、どのように対応しているのかといった話が多いと思う。日々そういった苦情相談に対応している者同士の集まりが、新しい商品やサービスが出来た時にどういうふうに移送・連携するのかという企画的な話を決められるかというとそうもいかない。当方では、私が相談苦情の企画担当をしており、連絡会には、銀行よろず相談所の所長以下の実務者が出席し、一応分離した体制をとっている。今後は企画担当と実務者が共同で出席して、実務者同士の意見を踏まえて企画改善に役に立てるといったやり方もあるのかなと思う。

    • 他に何かそういったネットワークを活用していくにはどうしたらよいかというご提言があればお願いしたい。公共的な行政の機関としての協力等もあると思うがいかがか。

    • 我々からすると、金融分野では、A社、B社、C社といった業界内の各社間に差があり、それがとても顕著な気がする。例えば、家電業界であれば、消費者からの申出への対応振りは、かなりきちんとしている。しかし、例えば、銀行や証券の中には、消費者をどう考えているのかなというところもある。そういう面を踏まえれば、業界団体を越えたネットワークを議論する前に業界の中の差にどう対応すべきなのか考えて欲しい。業界内でまずやってみて、それでだんだん広くやってみてはどうか。家電製品の話をしたが、例えばリコールの問題があるとすると、このくらいまで行けばリコールしましょうかとか、そういうことは業界団体で決める。決めるのもきちんと議論した上でやっている。金融業界は業界内での差が相当あるような気がして、そういったところをもう少し平準化してもらいたいと思う。

    • 4の3-1~3-3まで、今日ご意見を伺った限りでは、何らかの具体的な形でのネットワークを今ある方向で立ち上げに向けて検討しようというご意見は無かったように思う。そうすると3-3にあるように、今後そういう議論が出てきたときには取上げるということで、今回の議論はここまでで次テーマに移ることでよいか。

    • 高橋委員が言われたように、やはり将来を見据えた業界横断的なものの必要性は、非常に感じている。今話を伺った段階では、実務者ネットワークはここに参加していただいている方より、もっと実務者だけのグループでやっているということだが、それをどうやってステップアップし、その上の段階で横断的なグループにするのかということについて、これはいったいどうなっていくのだろうという危惧を抱いている。現場ではやっていますよと話になると、そこでストップしてしまう。どういうふうに自ら納得させていくのか非常に悩ましいところである。

    • 井上委員の方からご指摘のあったように、消費者側の方も、こういうふうにすれば、業界がステップアップしていく方向に進めるのではないかという具体的な提案があれば、それに応じた形での検討をするということが考えられると思う。特にそういった具体的なご提案が無ければ、当面この問題は置いておいて、別の課題を検討するということでいかがか。

    • アンケート結果の問2の必要性のところを見ると、必要性は賛否半々ということで、発言をなさった方々は必要ないという方ばかりであり、必要だと書かれた方の発言があまり出ていない。回答の中身を見ると、本当に現場の実務者レベルのものから、将来に向けての課題を考えるレベルもあり、このところでの差もあるようなので、回答を寄せられた業界団体の方々が一度お集まりになって話をされてはいかがか。必要だと言われたところの発言が無いというのも議論として不十分である。

    • 日本証券投資顧問業協会です。どれを書いたが覚えていないが、私どものところでは、実務者同士のミーティングをやっていない。そういう意味で、他の団体がどういうふうにやっているかということは、この協議会を通じてしか分からないという部分がある。そういうことで、何かあったら便利だなという感じで書いたのではないかと思う。

    • 必ずしも実務者が多くない団体において、具体的な知識等や他の団体でやっていることが知りたいというニーズは当然あると思う。そういう形での何らかの交流が当然あっても良いと思う。何かそういったところに意見はあるか。

    • 色々とお話を聞いていると、いきなり全金融界に横断的な実務者ネットワークを作るところまでは、進んでいないのだろうと思う。先ほどお話にあったように、預金取扱金融機関の団体間では、そういったものが出来ているようである。それから、投資信託や生命保険のような業態にまたがっている商品に関する実務者の集いのようなものも出来てきているようである。将来を展望して、各々仕事が似通った金融機関同士の実務者ネットワークや、商品というものを基にしたネットワーク等、どういうものが出来ているのかということだけでも共通の財産として事務局の方で調べ、それをベースにネットワーク同士の交流や、行政的な機関との接点といったものに広げていくという検討をしてみてはいかがかと思う。

    • ありがとうございます。日本証券投資顧問業協会のようなご意見もあり、実際、先ほどの金融団体相談所連絡会のように活動をされているところもある。何らかの形で情報交換が出来る可能性が有無等、まず、事務局の方で情報を集めて資料を用意して頂いて、今後の可能性を検討するということで、本日はとりあえず議論をまとめるということでよろしいか。それでは、事務局に、それをお願いして三つ目の検討課題に移りたい。

(「消費者の認知に向けたPR」について)

  • 「消費者の認知に向けたPR」について資料3を用いて事務局より説明があった。

    • 全国銀行協会です。3ページの相談人員数の一覧表ですが、これは全国54の相談所の中で東京の相談所だけの数字である。残りの53の相談所については、規模が小さいので専従の相談員はあまりいないが、平均すれば兼務での相談員が2~3名位いる。参考までに、私どもの東京の相談所については、毎年12月の1ヶ月間、相談所に電話又は来訪された方に対し、どういう手段で相談所を知ったかという認知度調査を行っている。昨年の12月の1ヶ月間に相談所にアクセスされた方は1,300人強である。そのうち22%は電話帳やNTTの電話案内を聞いて相談所の存在を知ったとのことである。協会が作ったパンフレット、チラシで存在を知ったというのは11%である。また、ホームページで知った方は8%位で、これは、毎年確実に増えているという傾向がある。

    • 質問がある。一点目は、先ほど全国銀行協会から3ページの受付体制は、東京のみであるということであったが、日本商品先物取引協会は本部・支部の明記してあり、JAバンクも下に注書きがある。他の団体についてもどういう数字なのか分からないので、この一覧表を一段バージョンアップして完成して頂きたい。二点目は、2ページの相談・苦情・紛争の取扱件数の一覧表だが、全国貸金業協会連合会が多く、次に日本損害保険協会が6桁にせまるところである。日本損害保険協会の苦情受付け件数を見ると交通事故とそうでないものに分けているが、交通事故は交通事故紛争処理センター、日本弁護士連合会、自賠責保険・共済紛争処理機構等に移送していると思う。統計の取り方として、日本損害保険協会の調停委員会以外がどうなっているのか、交通事故をどうしているのか等、もう少し詳しいデータを頂きたい。三点目は、先ほど銀行よろず相談所の認知度のご報告があったが、他機関からの紹介の構成比が16.3%、その前が10.3%ということで、この2年間を見る限りでは上昇している。受付票の方では、他機関からの紹介で来たのか、移送されて来たのか判別できる形式に見えないが、団体の方で何か別途マークを付けている等、工夫しているところがあれば教えていただきたい。それから、日本証券投資顧問業協会では、会長まで回覧されていて非常に驚いた。他の団体でも、トップの方にはこういう苦情は見て頂きたいと思う。、参考にされてはどうか。

    • 質問が二つある。他の機関からの苦情や相談がどれくらい入っているか教えて頂きたいという話があったが、先ほど、島野委員がおっしゃられたように各金融機関間でかなり対応にバラつきがあるということでもあり、そうすると、その対応に不満の方が業界団体の苦情・紛争を扱っているところに持って来ることになる。だから他の機関といっても業界団体の個別会員ですから、そういったところのトラブルが解決不調で上がってくるものがどれくらい有るのかが、データではよく分からないので、それも併せて知りたい。それから、日本損害保険協会の件数が多いという話があったが、本日は、手元に保険金の支払いのお知らせというものを持ってきた。それには、併せて相談センターが全部出ている一覧が同封されていた。この中には交通事故紛争処理センターや日本損害保険協会のそんがいほけん相談室も書かれていて、全て網羅されている。これを見ると、トラブルを解決したい場合は、自分で選択できるようになっている。協会に聞いたところ、2年前から入れるようになったとのことである。やはり、保険商品は給付時のトラブルが一番多いので、相談室等を知らせるべきではないかということで、2年位前からおやりになったということである。こういうきめ細かさが事例の多さに結びついているのではないかと思う。そういったところの工夫も日本損害保険協会の方からご説明いただくと参考になる。

    • 自賠責の保険金支払いについては、書面で説明することになっており、同時に何かあったらということで、照会先を載せている。この93,622件のうち76,913件が自動車保険関係である。それから本部と支部でその他の自動車保険も含めた一般的な損害保険という形で受けているのが16,709件ある。相談体制ところでは、本部だけしか載せていないが、全国48ヶ所に自動車保険請求相談センターという交通事故の相談を受けるところがある。そこに専門の相談員が60名おり、その他に各支部には、一般の仕事をやりながら相談業務も兼務している者が42名いる。以上のメンバーで先ほどの93,622件の相談を受けている。紛争処理センターや自賠責の紛争処理機構へどれくらい行っているかということだが、現在、数字は持ち合わせていない。自動車保険では、対人・対物の賠償保険にかかわる支払い関係の紛争については、交通事故紛争処理センターで、自賠責保険の支払い関係の紛争については自賠責の紛争処理機構で、それ以外の支払いに絡まない契約関係等については、私どもの調停委員会で対応している。そういう意味で、私どもの方に来ている件数は少ないが、交通事故関係の殆どがそちらにいっているという状況である。

    • この取扱件数一覧表という形で整理していただいて、非常に見やすく、具体的なイメージがわいて大変結構だと思う。これを見ているとあっせん・調停という段階を設けているところが健闘しているのに対し、全国銀行協会は、59,621件相談があるのに対して、苦情が840件、紛争、あっせん・調停は何も無いということでは非常に残念である。言っても始まらないと思うが、しかし、あえて言っておきたいのだが、仲裁センターに移送しているのが2件というのはそれにしても少ないと思う。これは、どういう基準に基づいて出てきているのか伺いたい。

    • 仲裁センターに移送する基準は、規則・細則等に書いてあるとおりである。全国で苦情が840件あるが、殆どが規則に基づいて、私どもの方から当該銀行の方に移送し、相互の話し合いで解決しているのだろうと思う。一応、苦情として会員銀行に取り次いだものは全件フォローしている。3ヶ月経って解決しないのであれば、仲裁センターに行くか行かないかについて、申出人の意向を聞いて判断している。業界団体が仲裁センターに行くのを押し留めているのではないかということだが、決してそういうことはない。

    • 補足的な質問だが、規則・細則等を読むと、各会員銀行に合理的な理由がある場合は仲裁センターに応じなくても良いということになっている。この840件のうち、銀行側の方が仲裁センターに行くのを拒絶している場合があるのではないかと思うが、そこのフォローはどのようにされているのかお聞きしたい。

    • 840件の中には、弁護士会仲裁センターがその地になくて移送が出来ないということも確かにあると思う。実際、各地の銀行よろず相談所の方で苦情と認識し、それぞれ当該銀行に解決を依頼したものについては、当事者任せということではなくて、規則に基づいてフォローアップをしている。3ヶ月の相対交渉をしても解決せず、当人は仲裁センターや紛争解決手段に移りたいが、銀行が拒絶しているという例がどれくらいあるかということを数として把握はしていないが、東京では、全件フォローをしており3ヶ月経っても解決しない場合は、むしろ相談所の方から仲裁センター利用の働きかけをしている。

    • 苦情から紛争にというところに関連して、消費者の満足度等のデータは取られているのか。消費者の満足度が分からないと、いくら機関を作っても絵に書いた餅でしかなく、消費者は苦情の申出を避けてしまう。また、持って行ってもこれだけの件数しか上がらない、これだけの件数しか解決しないとなれば、入口のところであきらめている消費者もかなりいるのではないか。業界のみなさんはその辺をどう思うか。

    • 私どもは、消費者の満足度という形では捉えていないが、苦情の受付については、電話でも何でも受付けている。苦情として受付けて3ヶ月経っても解決しない場合は、紛争ということで調停の方に上げてよいということになっているので、そういう意味で、当該会社と申出人との間の話し合いで解決するケースが多いと理解している。

    • この日本損害保険協会で扱われた件数のうち紛争の2件とは、裁判に行った事件か。

    • 調停委員会の調停にかかったものが2件ということである。

    • 家電のPLセンターで委員をやっていた際、その在任中の後半に、ようやく主観的満足度というアンケートをするようになった。相対交渉をした時の苦情申立人の主観的評価を参考にして運営してきたということもあって、その前の段階として、苦情の結果がどうなったのかについて客観的なまとめがあるべきではないかと思う。そうでないと相対交渉で解決しているというようなことは殆どありえないので、だからこそ次の段階というものが必要になってくる。そこで解決できなかった場合には弁護士会に行って裁判になったというようなまとめ方が一つ考えられると思う。ここの一覧表でいうと、紛争はモデルでいうあっせん・調停レベルにおける紛争という区分けになるのではないかと読んだが、金融先物取引業協会は、あっせん・調停段階を設けていないので、ここの紛争だけ意味合いが違うのかなと感じた。この辺が分かればと思う。

    • それは調べて回答します。

    • 相談、苦情、紛争の取扱件数を巡るご議論が活発に行われたが、件数の出し方、或いは、それに関する消費者のアンケート、意見の取り方等幾つかの課題も出たと思う。それは今後の課題とさせて頂くこととして、こういった機関自体のPRについて何かご意見はあるか。こういった消費者の認知に向けたPRについては、今回のような情報交換や意見交換を参考にしつつ、各団体において改善に取り組んでいただきたいと思う。

    • それでは、引き続いて、全国貸金業協会連合会、全国信用金庫協会、投資信託協会、日本商品投資販売業協会から、裁判外紛争処理制度の改善のための取り組みについてご報告がある。なお、全国貸金業協会連合会、全国信用金庫協会は、本日それぞれの協会の総会ということで、欠席になっているので事務局の方から説明を願いたい。

  • 裁判外紛争処理制度の改善に向けた取組みについて、金融庁(全国貸金業協会連合会と全国信用金庫協会の代理報告)、投資信託協会、日本商品投資販売業協会から報告があった。

    • 先ほどの消費者の認知に向けたPRの資料については、アップデート若しくは細目を書くべきところについて事務局の方でとりまとめる。

    • 投資信託協会に質問がある。投信会社の投信直販というのは、数パーセント位ではないかと思うが、これを証券業協会のあっせん制度の利用に持っていくことは考えられなかったのか。つまり、有価証券かつ証券業協会の会員であればあっせん制度が使えるのであり、同じような商品でありながら別の道を開いた点について少々納得いかない。

    • 会員の中には、運用会社と販売会社があるが、運用会社会員は、日本証券業協会の会員ではないので、仲裁センターを利用するという形になった。

    • 生命保険会社や損害保険会社が投信を扱う場合には、証券業協会の特別会員となりあっせん制度が使える。投信会社は特別会員となって利用できない理由があるのか教えて欲しい。一般の人にとっては、投信のトラブルが販売関係で起きた場合には、日本証券業協会のあっせん制度を使うというのが非常に分かりやすく、直販だけが仲裁センターというのは非常に分かりにくくて好ましくない。

    • 証券業協会の会員ではないということである。

    • 証券取引法上、証券会社としての規定がなく、投信会社は私どもの範疇に入らない。

    • 生命保険会社の営業職員とか損害保険会社の代理店の場合はなれるということか。

    • 証券取引法上の登録をすればなれる。

    • 証券業協会の特別会員やあっせん制度について証券取引法上規定があるので、その適用を受けるものについての制度が設けられているという位置付けになっている。

    • 変額年金の銀行窓販の時にも申し上げたが、有価証券概念をアメリカのように広げていただかないと、同じような取引なのに紛争の時に違う機関、違う取扱いになり、消費者としては非常に使い勝手が悪く、また分かりにくく納得がいかない。今の直販の問題や変額年金の問題など、一般の消費者にとって有利で安心して出来る法改正も金融庁で是非検討していただきたい。

    • 投信直販の問題は、有価証券の概念の問題ではないと思うが、そういうことを含めて制度の議論は必要だと思う。

  • 議事

  • 資料の公表について了承された。

(以上)

問い合わせ先

総務企画局企画課
電話03-3506-6000(内線3517)
本議事要旨は暫定版であるため、今後修正がありえます。

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