【金融ここが聞きたい!】


 このコーナーは、記者会見における質疑・応答(Q&A)などの中から、金融を巡る時々の旬な情報をセレクトしてお届けするものです。もっと沢山ご覧になりたい方は、是非、金融庁ホームページの「記者会見概要」のコーナーにアクセスしてください。
 
 地銀、第二地銀の不良債権比率が減少したとのことですが、それについての見解を聞かせてください。 また、先日策定された「金融重点強化プログラム」(仮称)について、今後どのように進めていかれたいですか?


:まず、地銀、第二地銀等々につきましては、これはリレーションシップバンキングの枠組みを作ったわけです。御承知のように、リレーションシップバンキングの枠組みで強化計画を皆さんに出してもらったのが、昨年の8月だったのですよね。実質、その8月から稼働し出してまだ1年です。その過程で、少しずつではあるけれども成果が出て、そういう結果が出てきているというのは、これはやはり良い傾向だと思います。我々としては、このリレーションシップバンキングを、まだ1年ですから、これをしっかりと定着させて、より前向きな対応を各地銀にとっていただきたい、その方向で引き続きやっていくつもりです。
 金融の「金融重点強化プログラム」(仮称)については、これは「金融再生プログラム」の後ということでしっかり作るということをやっていますけれども、これも夏から集中的に議論を始めなければいけないと思います。従って大きな目途としては、今年中にやはり中間報告的なものは出さなければいけないと思います。その上で、また議論を広くいただくということが必要になってくると思っています。その中身については、これはこれからですけれども、「金融再生プログラム」というのが銀行部門の不良債権という、いわゆる負の遺産の解消に焦点を当てたものだったわけですけれども、今回の「金融重点強化プログラム」(仮称)は、銀行部門だけではなくて保険、証券とか、金融システム全体を強化するものでなければいけないと思っておりますし、中身も負の遺産の解消ではなく、より前向きのもの、いわゆるプロアクティブなものでなければいけないと思っています。
平成16年7月6日(火) 竹中大臣記者会見抜粋)
 
 「リレーションシップバンキング」については、詳しくは金融庁ホームページの「政策ピックアップ」から「中小企業金融特集(リレーションシップバンキング等)」にもアクセスしてください。

 

「金融機能強化のための特別措置に関する法律(金融機能強化法)」の施行まで1ヶ月となりましたが、こちらについてのねらいや期待について聞かせてください。


:この新法は、やはり地域の、先程から申し上げているようにマクロの指標は良くなっていると、それを地域に浸透させる、その中核になる地域金融を活性化する、機能強化させるという意味で、極めて大きな意義を持った法律であると思っています。御承知のような経緯で、すったもんだのあげく、しかし最後にはこの法律を通してもらいましたので、我々としては、できるだけ早くこれを使える形に持っていきたいと思っております。
 この間に、我々としてもしっかりと政令等々を含めて準備を進めておりますけれども、また金融機関の皆様方にこの趣旨を理解して、これを前向きに経営戦略の中で活用していいただくということが不可欠だと思います。そういう意味から、そうした意味での周知といいますか、PR、これもこの間急いでしっかりやっていきたい。できるだけ早くこれを使えるように今金融庁を挙げて努力をしているところです。
平成16年6月29日(火)  竹中大臣記者会見抜粋)
 
 「金融機能強化のための特別措置に関する法律」は、去る8月1日から施行されました。  「金融機能強化のための特別措置に関する法律」について、詳しくはアクセスFSA本号の「金融便利帳:公的資金」から「(2)金融機能強化法(公的資金新法)の今後の運用方針について」を、またアクセスFSA第20号の法令解説「金融機能強化のための特別措置に関する法律」及び「預金保険法の一部を改正する法律」について」をアクセスしてください。


【金融便利帳】


 このコーナーは、とかく専門的でわかりにくい金融に関する用語や様々な疑問について、わかりやすく解説するものです。
 今月のキーワードは「公的資金による資本増強」です。

(1

)過去の資本増強についての制度の実施状況(制度・増強額・残高等)

 これまでの公的資金による資本増強としては、我が国の金融システムに対する内外の信頼を回復するための緊急措置として、金融機能の安定化のための緊急措置に関する法律(以下「旧安定化法」)、及び金融機能の早期健全化のための緊急措置に関する法律(以下「早期健全化法」)に基づき、金融機関等が申し出た場合に、国が金融機関等の株式等の引受け等を行ったものがあります。
 実績としては、10年3月に旧安定化法に基づき、合計21行(現在では再編により12社)に対して約1.8兆円、11年3月から14年3月にかけて早期健全化法に基づき、合計32行(現在では再編により24社)に対して約8.6兆円の公的資本増強が実施(合計では34行(現在では再編により24社)に対し、約10.4兆円の資本増強を実施)され、これまでに、約2.2兆円が返済されています。(平成16年7月30日現在)
 

(注1 )このほか、15年6月に預金保険法第102条に基づき、りそな銀行に対して1.96兆円の公的資本増強が実施されています。これは我が国及び同行が業務を行っている地域の信用秩序の維持に極めて重大な支障が生ずることを未然に防ぐためにとられたものです。

(注2 )また、15年9月に金融機関等の組織再編の促進に関する特別措置法に基づき、関東つくば銀行に対して60億円の公的資本増強が実施されています。これは金融機関等の経営基盤の更なる強化を図るため、金融機関等の組織再編を促進するための特別措置として行われたものです。

   公的資本増強行に対しては、早期健全化法に基づき、経営の合理化のための方策等を含んだ経営健全化計画の提出を求めています。また、公的資金の返済がなされるまでの間、計画の履行状況について報告を求め、これを公表することとしています。金融庁としては、公的資本増強行の経営健全化計画が着実に履行されるよう、適切にフォローアップを行い、公的資金の返済確保に万全を期すよう努めています。

 
 これまでの資本増強額、返済額の詳細について、詳しくは、預金保険機構のホームページ(http://www.dic.go.jp/index.html)にアクセスしてください。また、資本増強行の経営健全化計画については、金融庁ホームページの「経営健全化計画など」から各行の計画にアクセスしてください。

(2

)金融機能強化法(公的資金新法)の今後の運用方法について

 地域等における金融の円滑化に向けた金融機関の取組みに対し国が資本参加することを通じて金融機能の強化を図る新たな公的資金制度が創設され、去る8月1日から施行されました。
 (第159回国会において「金融機能の強化のための特別措置に関する法律」が成立しました)。

 新たな公的資金制度は、時限的な枠組みであり、金融機関は、平成20年3月までの間、自己資本の充実を図るために株式等の引受け等に係る申込みをすることができます。
 

 ・1  実際の株式等の引受け等を行うのは預金保険機構から業務の委託を受けた協定銀行(RCC)となります。

 ・2  当該制度については、金融機関の自主的な判断のもと、金融機関からの申請に基づき、国が資本参加するものです。

   株式等の引受け等を申し込む金融機関等は、経営強化計画(実施期間:3年以内)を主務大臣に提出しなければならないとされています。

 経営強化計画には、地域における金融機能の強化という法の目的に照らして適合的なものを定めることが求められています。すなわち、経営強化計画を提出する金融機関が中長期的に安定した金融機能を発揮するためには、経営改革が確実に行われる必要があり、まずは、こうした経営改革の実行を評価するための一般的な指標である収益性や効率性について、数値目標の設定とその達成のための方策(ビジネスプラン)の経営強化計画への記載が求められています。
 次に、経営強化計画については、公的資金の投入先として規律ある経営の確保を求める趣旨から、責任ある経営体制の確立に関する事項の記載が求められ、また、地域経済に対する具体的なアウトプットを求める趣旨から、信用供与の円滑化等地域経済の活性化に資する方策の記載が求められています。
 更に、資本参加に伴う経営陣等のモラル・ハザードを回避する観点から、資本参加を受ける金融機関の自己資本比率が基準値未満の場合には、株式等の引受け等の決定を受けた場合における経営責任及び株主責任の明確化に関する事項の記載が求められ、また、合併等の抜本的な組織再編成を行う場合を除き、経営強化計画の終期において数値目標が達成されない場合における経営責任の明確化(結果責任の明確化)に関する事項の記載が求められています。

 国の資本参加の決定に当たっては、当局において、当該経営強化計画について、法令や「中小・地域金融機関向けの総合的な監督指針」(ピックアップ:中小企業金融「中小・地域金融機関向けの総合的な監督指針の一部改正について」参照)に基づき、(1)収益力・効率性等の向上が見込まれること、(2)地域における金融の円滑化が見込まれること、等の要件を厳正に審査するほか、所要の事業再構築など、金融機関に自助努力を求めることとしています。

 なお、経営強化計画の審査に当たっては、ビジネスプラン及び数値目標の妥当性や実現可能性について、金融、法律、会計等に関して優れた見識を有する5人以内の委員から構成される金融機能強化審査会から意見を聞く仕組みが整備されており、先般(8月6日)、同審査会の委員が任命されたところです。

 また、資本参加を行った金融機関に対しては、資本参加の終了までの間は、経営強化計画のフォローアップ等を通じて資本参加に見合う経営改革の実現を期す必要があることから、特段の理由なく計画値と実績との間に大幅な乖離が生じ、改善への努力が見られない場合等については、必要に応じ、経営強化計画の履行確保に向けた監督上の措置を行うこととしています。


 金融機能強化法については、アクセスFSA第20号の法令解説「「金融機能の強化のための特別措置に関する法律」及び「預金保険法の一部を改正する法律」について」にも掲載していますので、アクセスしてください。


【お知らせ】




 大臣・副大臣への質問募集中

 本号では休載させていただきましたが、アクセスFSAでは、読者の皆様から寄せられた金融を巡る大臣や副大臣へのご質問に、大臣・副大臣が直接お答えする【竹中大臣に質問!】【伊藤副大臣に質問!】のコーナーを設けております。「金融庁のやっている金融行政って、よくわからないんだけれど、大臣・副大臣にこんなことを、是非、直接聞いてみたい!」というご質問がございましたら、金融庁ホームページの「ご意見箱」にお寄せください。その際、ご意見箱の件名の欄には、必ず「大臣に質問」あるいは「副大臣に質問」とご記入ください。また、本文の欄にご質問の内容をご記入下さい。ご意見箱のコーナーには、「45行以内」とありますが、「大臣に質問」、「副大臣に質問」の場合には、ご質問の趣旨を明確にさせていただくために、恐縮ですが100字以内に収めていただきますようお願いいたします。お寄せいただきましたご質問の中から1問選定させていただき、「アクセスFSA」において大臣又は副大臣の回答を掲載させていただきます。大臣・副大臣へのご質問がございます方は、「ご意見箱」へどうぞ。また、「大臣・副大臣への質問募集中」にもアクセスしてみてください。
 
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【7月の主な報道発表等】
 
1日(木) 事務ガイドライン(証券会社、投資信託委託業者及び投資法人並びに証券投資顧問業者等の監督等にあたっての留意事項について)の一部改正
預金口座の不正利用に係る情報提供件数の公表
 
7日(水) 東海東京証券株式会社に対する行政処分
「平成16年度金融庁政策評価実施計画」の策定等について(パブリック・コメント)
 
13日(火) FATFによる対抗措置該当国の解除及び非協力国・地域リスト等の公表
 
16日(金) 株式会社九州親和ホールディングスに対する行政処分
株式会社熊本ファミリー銀行に対する行政処分
 
20日(火) 大和証券株式会社に対する投資一任契約に係る業務の認可
ありがとう投信株式会社に対する投資信託委託業者の認可
 
23日(金) 「金融機能の強化のための特別措置に関する法律」及び「預金保険法の一部を改正する法律」関係政令(案)等に対するパブリックコメント結果
関東つくば銀行の認定経営基盤強化計画履行状況の公表
ゲット證券株式会社に対する行政処分
「貸し渋り・貸し剥がしホットライン」情報の受付・活用状況の公表
 
27日(火) 「平成16事務年度中小・地域金融機関向け監督方針」の公表
  財務局長会議開催
 
28日(水) 「平成16事務年度検査基本方針及び検査基本計画」の公表
 
29日(木) 「中小・地域金融機関向けの総合的な監督指針」の一部改正
 
30日(金) 16年3月期における不良債権の状況等
経営健全化計画の履行状況の公表
資本増強行に対するフォローアップに係る行政上の措置についての考え方の明確化
   
マークのある項目につきましては、から公表された内容にアクセスできます。