第2回金融専門人材に関する研究会議事要旨

1. 日時:

平成19年12月14日(金)10時30分~12時30分

2. 場所:

中央合同庁舎4号館9階 金融庁特別会議室

3. 議題:

  • ゲスト・スピーカーによる講演

  • オブザーバー(事務局)説明

  • 自由討議

  • 事務連絡

4. 議事内容:

  • ゲスト・スピーカーより金融専門人材に必要な能力・資質についての説明、事務局より資料(論点メモおよび海外における金融機関等管理職資格)に沿っての説明があった。

  • 会議における主な発言は次のとおり。

(期待される役割について)

  • 日本の金融界では、法を実務的に解釈することのできるコンプライアンス担当者が不足している。また、コンプライアンス部門の社内的位置付けが低い。ビジネスは現場に任せておけば人は育つものであり、むしろコンプライアンスの分野が資格試験に馴染むのでは。

  • 役員ではなく、実務家クラスを対象にするべきではないか。

  • コンプライアンス部門だけではなく、企業のストラテジーを考える管理職、マネジメントレベルの人間にとって必要な資格にするべきでないか。

  • 日本の金融界全体を見回し、どこに人材が足りないか、というところから必要な資質を議論していくアプローチもあるのでは。

  • 弁護士や会計士のような資格を増やしても意味がない。

  • 弁護士や会計士は、金融行政における人材としては非常に有用。これは、難しい試験に通っているという基礎的な頭の良さがあること、元々金融行政と親和性の高い業務に携わっていたこと、といった理由から。

(キャリアパスのイメージ)

  • 大学在学中に資格を取得するというのは、イメージしにくい。

  • 大学や大学院で勉強をして資格を取得して「士補」となり、その後実務経験を積んで「士」となる、という二段階の資格とすることもあり得るのでは。

  • 実際に現在の金融界で活躍する人がその資格を持っていることが、資格取得のインセンティブになるので、既に活躍している人も取得できるようにする工夫が必要。

(求められる資質について)

  • 投資銀行家として必要なのは、「数字に強く数字でストーリーを語れること」、「英語が堪能であること」、「チャレンジ性質」。

  • 財務会計の分野では、簿記や監査論ではなく、会計基準の知識が大事。会計基準は「どう使うか」が問題だが、それはOJTやケーススタディの問題。資格としては、一種の制度的制約として会計基準への理解が求められるのでは。また、財務分析の知識も必要。

  • ファイナンスの分野では、金融工学の前に、コーポレート・ファイナンスやフィナンシャル・マーケット論のようなものが必要。

  • 金融業をやるのであれば、英語は必須。

  • マネジメントレベルの人間にとって必要な資格とする場合に必要なものは、(1)実務経験、(2)ネットワーク、(3)常識の3つである。

  • ビジネスの世界は基本的には動態的に動いていくものであり、素養があればうまくいくものではない。毎日変わっていくから人間も成長するものであり、そういった要素をどう資格に取り込んでいくかは難しい。

  • 収益機会を追うことと、コンプライアンスとの微妙な接点を、組織的にではなく自分の中で体得できるようにしていくことが重要。

  • コンプライアンスでもセンスのある人間は現場の収益性との接点をうまく見出せる。知識が深いため金融庁ともやり合えて、現場からも相談が増え、それが更に自信に繋がっている。そういった人材を育成する必要。

  • 日本の金融機関には、自分の仕事に関係のある分野の知識はあるが、それ以外の知識が全然ないという人も多い。そこを埋めるような人材を育てる手段として資格制度を活用しても良いのでは。

  • 言語、数字、ルール(規範)の3点について、日本人のレベルをグローバルなレベルに引き上げられるような制度設計が重要。

  • 資格制度については、(1)実務経験を重視、(2)実務経験とは切り離して言語・数字・ルールの3つの要素を具備した人材を資格化する、(3)コンプライアンスやバリュエーションといった現在人材が不足している分野を補う、という3つのアプローチが考えられるのでは。これらは両立し得るのでは。

(資格要件について)

  • 資格試験制にするとして、それにコストをかけて国全体としてペイするか。他方、単位取得制にするとしても、大学毎のレベルの違いをどうするかという論点があるのでは。

(実務経験、継続教育について)

  • 資格試験だけでは金融のプロは育たない。ビジネスの専門家を育てるには現場経験と処遇が重要。

  • 知識は陳腐化していくもので、資格取得後のフォローアップが大事。

(その他の論点について)

  • 金融商品取引法施行に伴う混乱の一因には、業者と当局で会話が成り立っていないことがあった。業者が業者の視点、金融庁は利用者或いは市場の視点しか持っていない。

  • 日本の金融機関の人間は、収益を上げることに対する貪欲さが欠けているのでは。その貪欲さからチャレンジしようという気持ちが生まれ、必死で勉強する。逆に、勉強したからといって儲かるわけではない。日本の金融機関の人間は、勉強はするが知識の使い方は分かっていない。

  • 資格制度の実現方法としては、(1)監督指針で求める方法、(2)法的な制度として構築する方法、があるのではないか。微調整が利きやすいのは(1)であると考えられる。

  • コンプライアンスを前面に出すような資格とするならば、ロースクールの教育プログラムに金融に関する講座の設置をも検討してよいのではないか。

(以上)

サイトマップ

ページの先頭に戻る