第5回金融専門人材に関する研究会議事要旨

1. 日時:

平成20年3月31日(月)16時30分~18時30分

2. 場所:

中央合同庁舎7号館9階 共用会議室3

3. 議題:

  • ゲスト・スピーカーによる講演

  • オブザーバー(事務局)説明

  • 自由討議

  • 事務連絡

4. 議事内容:

  • ゲスト・スピーカーより金融専門人材に必要な能力・資質についての説明、今後の具体的論点についての議論があった。

  • 会議における主な発言は次のとおり。

(ビジネス・スクールにおける課題について)

  • 金融業界のプロフェッショナル育成の手段としてビジネス・スクールを活用すべき。そのためにも、ビジネス・スクールでコーポレート・ファイナンスを必修にすべき。また、英語での授業を行うべき。ただし、大学の予算上の制約が大きい。

  • 日本ではコーポレート・ファイナンスの教育をやってこなかったことに加え、実務を教育にフィードバックする態勢ができていないので、これから欧米に追いつくのは非常に大変。

  • コーポレート・ファイナンスの教育は、実務における進歩を織り込まねばならず、教えるにしても実務に関する知識または実務経験がなければ、務まらない。そういった人材の確保は非常に難しい。

  • 金融界でプロとして活躍する人材を実務家教員として招くのは、予算上の制約はあるかもしれないが、金融業界の人間は給与が比較的高いことから、他の業界に比べ、安い報酬でも来てくれる人が多いのではないか。

  • 英語ができる教員が少ない。グローバル化の世界では、英語がある程度できないと生き残れないのではないか。ビジネス・スクールで英語を話せる日本人の教員がいなければ、どんな国の人でもいいから、若い人達に知識を増やさせるための予算を政府が付けるのも一案。

  • 日本でMBAが浸透しないのは、MBAを取得した後キャリアパスが描けないからではないか。

  • 複数の政府、役所、業界や大学の人間が、我が国の金融はアカデミックな面でも、実務の面でも遅れています、ということを謙虚に受け止めた上で、共同で作業してキャッチアップしていく、という取組みが必要。

(資格の位置付け等について)

  • コンプライアンスだけではなく、もう少し幅広く、プロを育てるという目的も狙うことが考えられる。ここ数年の世界の金融の発展を見ていて、日本には、金融の人材、それも特にM&Aをするプロの人材が不足していたため、世界の金融の競争から残れなかったのではないか。

  • 金融業界だけではなく、当局、事業会社において、金融に携わる人材のボトムアップを目指す際に必要であるといった観点から、資格を作っていくことが望ましい。

  • 今後金融のプロが育った段階を想像すると、転職が当たり前となってくるので、金融機関の給与体系は変化し、今よりも高くならざるを得ない。そうすれば、MBAを取って金融機関に就職すれば高い給与がもらえるということが伝わって、学生にとって、200万、300万払ってビジネス・スクールに通っても充分ペイするのだ、という理解につながるのではないか。

  • 資格がないからと言って排除されるといったものではなく、プラスαとなる能力を付与していくような資格が良いのではないか。

  • こういった資格が出来ることで、アナウンスメント効果により、ビジネス・スクールでもファイナンスをちゃんと教育するようになる、という効果が期待。

  • ファイナンスを学ぶことは生きていく上で有用である、ということも教えるようにしていただきたい。

(継続教育等について)

  • ビジネス・スクールのエグゼクティブ・プログラムを利用し、若いうちに資格を取得できなかった人や他の業界から金融業界への転職者、あるいは、昔資格を取ったが時間が経って忘れてしまった、昔の資格と現在の資格は異なるため今のレベルでもう一度資格を取りたい、といった人達のためのセーフティ・プログラムとしても利用できるのではないか。

  • 金融業界や事業会社で既に働いている人がどのくらいの負担を強いられるのかといった負担感が一つの論点。この資格をどの程度のレベルに持っていくかによるが、(試験や継続教育など)あまり負担感の大きいものになると、定着しない資格になりかねない。

(資格試験について)

  • 資産運用の分野では、我が国においてもプロが育成されている。それは、証券アナリストという資格があったから。

  • 選考主体について、試験実施機関を公的に認証して、そういったところで試験をやってもらうということが一つの案。ただし、弁護士や会計士のように、認定は国がやった方がお墨付きらしいというのであれば、その可能性は残しておいたほうが良いのでは。

  • この資格によって、学部の時期からファイナンスを含め、きちんとした教育を受けた成果について資格試験によって確認できる。

  • 筆記試験については、ある程度オーソライズされた形で、公的なところにやることとし、実務経験やエグゼクティブ・プログラムについては民間でやってもらうという形がいいのではないか。

  • 試験委員が務まる人材の数に制約があることも考えられるので、他の試験制度を利用できるような仕組みがあればいいのでは。

(以上)

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