第6回金融専門人材に関する研究会議事要旨
1. 日時:
平成20年6月27日(金)10時00分~12時00分
2. 場所:
中央合同庁舎7号館9階 共用会議室3
3. 議題:
○パブリックコメントの説明(事務局)
○自由討議
○事務連絡
4. 議事内容:
○資料に沿って、事務局よりパブリックコメントの結果等についての説明。
○会議における主な発言は次のとおり。
(期待される能力・役割)
若い人が頑張って勉強したところで、エグゼクティブクラスの人達が、意識・レベルを高めていかないと何も動かない。専門知識よりも根回しや空気を読むほうが重んじられているため、著しく専門知識が欠けてしまっている、ということを社会として認識すべき。
資格は質の高いものにすべき。ロースクール生はもとよりのこと、学部生にも金融の専門家としての目指すべき方向性を明確にすることができる。
パブリックコメントの結果をみると、頂点を育てるよりも基本的にはもう少し全体のレベルの底上げを図る観点にウェイトが置かれるべきではないか。また、その方が試験制度にフィットする。
コンプライアンス担当の経営者やCFOのような財務担当の経営者、ここの部分に必要な資格として位置付けるべき。
地方の金融機関の取締役などにも、コンプライアンスの知識とともに、ファイナンスの知識も理解しておいて欲しい。
(資格制度の活用)
各業界とも概ね方向性には賛成で、各論で様々な議論がある印象。
人材強化のために公的な機関が資格制度を強制することが得策なのか、疑問。
同じコンプライアンス人材といっても、各社、各業界で人材に求めるレベルがそれぞれ異なってくることから、本当の意味でのレベルアップにつなげるためにも、資格試験は有意義。
資格制度を議論する上で、なぜこの時期にこのような資格を世の中に求めようとするのか、というメッセージを重視すべき。
資格を有効に活用するには、産業界、とりわけ金融界と大学とができるだけ協力関係に立つことが重要。
(資格の位置付け)
金融機関の経営陣や上場企業の財務担当に資格の取得を何らかの形で求める、もしくは資格取得者が経営陣に何人いるのかといったことについてディスクロージャーを求めることが考えられる。
各会社が経営陣における資格者数を自主的に開示するようになれば、自然と経営側も資格取得やレベルアップに取り組むのではないか。
資格制度の有無にかかわらず、企業にとって必要な人材は企業が自主的に採用するのであり、それができない企業はいずれ淘汰される。資格の取得や資格者数の開示を企業に強制すべきではない。
(キャリアパスのイメージ)
個々のビジネスに直結するような高度なスキルを持つ人なのか、それとも官民で共通するような法律への理解や解釈能力を持っているような人なのか、によってターゲットとなる年代やカリキュラムが変わってくる。
プロセスとして複数のコースを設け、まずそこを中間的な資格の入口にする。その上に、金融士一本ではなく、○○専門といったような資格を設け、さらにその上に(第3次試験的なイメージで)最終的な資格試験を設けてはどうか。
中堅やマネジメントの人が資格を取得して、活躍できている姿を見て、若い人もチャレンジできるような工夫があると良い。
大学や大学院をうまく使ってトップの人達に勉強してもらう工夫が必要。
海外にあるようなエグゼクティブ・マネジメントの1、2週間のプログラムを日本でも活用してはどうか。
(求められる資質(知識・経験))
シンガポールや香港が伸びているのは英語が出来る人材やMBAが多いから。時間との競争で、良い人材を育成していかなければならない。
若い社員がこれを目指して一生懸命勉強するためにも、(それほどハイレベルでなくていいものの、)それなりに難しくして、合格した価値を皆が認めてくれるようなレベルにすべき。会社が終わった後、1、2時間ずつでも毎日勉強すれば合格するようなものがいい。
上場企業にもレベルアップが必要であり、合格者数もこうした人材を含めて想定する必要。
幅広く知識を身に付けるのは初級レベルとして、その上のレベルについては、コンプライアンスか金融工学に分野を絞ってもよいのでは。
より高度な人ほど専門分化している現状を鑑みると、金融士は1級・2級の他に、1級の中に専門分野が加わる(例えば金融士1級(金融工学))ようにすべき。
若い人にはチャレンジングな1級を目指してもらう一方で、マネジメントクラスにはとりあえず2級を、という組み立てにしてはどうか。
(資格要件)
大学院を利用するに当たっては、一定レベルの資格を付与する観点から、かなり厳格に条件や要件を考えることも必要では。
大学・大学院での単位取得を一部取り入れるとなると、金商法や金融関係の科目についてカリキュラムの一部として設置の可否やその中身を十分検討する必要。
大学院での単位取得を必須とするのは避けるべき。現実として、大学院に通って資格を目指すのは、時間的・資金的に厳しい。
経営陣には、一通りの知識の有無について面接と簡単な試験で問うた上で、例えば金商法を知っているのであれば、資格を与えてしまう、という方法も有り得るのではないか。
金融工学的な能力として不足しているのは金融商品を組成する能力。こうした能力は実務界のみならず、大学院でも不足しており、教員の側も教える能力が不足しているのが現状。
中央銀行や自主規制機関の業務も実務経験として考慮すべき。
面接試験を追加すべき。コンプライアンスオフィサーとはどういう人格であるべきか、面接をしながら自覚することも重要。
(他の資格等との関係)
それぞれのビジネスにおいて違った特殊な能力が必要となるので、それは既存の各試験に任せ、それらの上位に位置づけるのか、あるいはそういった試験の要素を少しずつ含めていくのか、について今後議論すべき。
既存の資格と差別化を図るか、あるいは一定のスクリーンをかけて既存の資格を取り込むか、の選択になるが、試験制度をこれ以上大幅に増やすことは、国として無駄が多いので、後者の方法で取り組むべき。
資格創設にあたって具体的な業務内容を検討する際には、弁護士法72条との関係に留意すべき。
(以上)