広報コーナー 第13号
 
ジョイント・フォーラム天童会合の模様(7月18日〜19日)写真:山形新聞社提供
 
<ジョイント・フォーラム天童会合>

 平成13年7月18日(水)〜19日(木)の間、山形県天童市において「ジョイント・フォーラム」が開催された。今回で17回目となる本会合の日本での開催は初めてであり、13カ国(オーストラリア、ベルギー、カナダ、フランス、ドイツ、イタリア、日本、オランダ、スペイン、スウェーデン、スイス、英国、米国)及び関係国際機関から銀行・証券・保険の各分野の監督者が集まった。
 ジョイント・フォーラムは、バーゼル銀行監督委員会(BCBS)、証券監督者国際機構(IOSCO)及び保険監督者国際機構(IAIS)を母体として設立され、金融コングロマリットの監督上の諸問題、銀行・証券・保険の3つの業態に共通する監督上の諸問題を検討する合同会合である。


.議論の概要
 ジョイント・フォーラムでは、現在、以下の3項目について議論を行っており、天童会合においてもこれらについて引き続き意見交換を行った。
(1)銀行・証券・保険の監督基本原則の比較
(2)企業統治
(3)リスク管理および自己資本原則の比較
 ジョイント・フォーラム天童会合では、「銀行・証券・保険の監督基本原則」及び「リスク管理および自己資本原則」について、それぞれのワーキング・グループが報告書を提出した。
 「銀行・証券・保険の監督基本原則」に関する報告書は、バーゼル銀行監督委員会、証券監督者国際機構、保険監督者国際機構でそれぞれ策定された監督基本原則を比較したものであり、各業態の監督上の共通点、相違点の分析がなされている。
 また、「リスク管理と自己資本原則」に関する報告書は、各業態におけるリスク評価・管理のあり方、及び自己資本規制について比較し、それぞれの共通点、相違点の分析がなされている。
 本会合では、その他にもメンバーから各国の金融監督等に関する最近の動向について報告があった。


.ジョイント・フォーラム開催記念講演会/座談会
 ジョイント・フォーラムの天童市での開催を記念して、ジョイント・フォーラム天童会合の前日(平成13年7月17日)、山形県主催の講演会および県下の高校生との座談会が開催され、ジョイント・フォーラムのメンバーが参加した。
 講演会では、Jarl Symreng氏(ジョイント・フォーラム議長/スウェーデン金融監督庁保険局長)が「金融の一元化と国際協力」について、Tanis MacLaren氏(オンタリオ州証券委員会国際担当局長)が「証券市場規制とグローバル市場」について、当庁三國谷監理官が「近年の金融制度改革について」とのタイトルで講演し、県内の金融関係者を中心に約100名が参加した。
 一方、高校生との座談会にはジョイント・フォーラムのメンバーであるJohanne Prevost氏(ジョイント・フォーラム事務局)、Carlo Biancheri氏(イタリア国家証券取引委員会)、Christopher Machale氏(スイス銀行委員会)及びMichael Macchiaroli氏(米国証券取引委員会)が参加し、山形県全域から高校生14人と活発な意見交換を行った
 
 ジョイント・フォーラム天童会合等について(7/19発表)

 
<財務局長会議の開催について>

 7月24日、金融庁は本事務年度第1回目の財務局長会議を開催した。会議においては、柳澤金融担当大臣、村田金融担当副大臣からのご挨拶の後、長官からペイオフ解禁を控え、万全の準備をしていただきたい旨の説明があった。その後、当庁各局及び証券取引等監視委員会から、6月26日に金融審議会で取りまとめられた 「銀行の株式保有の制限」、同日に公表された「銀行保有株式機構(仮称)」、「生命保険を巡る中間報告」、平成12検査事務年度の検査の実施状況、いわゆる「骨太の方針」等についての説明及び意見交換が行われた。

金融担当大臣挨拶

 金融担当大臣の柳澤でございます。
 財務局長会議の開催に当たり、一言ご挨拶をさせていただきます。
 我が国の金融システムは、一時期と比較してかなりの程度安定を取り戻してきておりますが、景気が悪化している中で、不良債権残高の高止まりや株価の状況が、金融機関の経営に及ぼす影響について、様々な見方が取り沙汰されている状況にあります。
 金融庁は、この7月で発足1周年を迎えましたが、来年4月からのペイオフ解禁も控えていることから、より強固な金融システムの構築に向け、発足2年目にあたる本事務年度における重要課題として、次のような課題に積極的に取り組んでいく必要があると考えております。
 まず、不良債権問題の抜本的な解決に向けて、主要行におけるその最終処理の進捗状況を定期的に点検するとともに、RCCの機能を抜本的に拡充し、RCCを積極的に活用した不良債権処理等を進めるなど、緊急経済対策やいわゆる「骨太の方針」に盛り込まれた諸施策を着実に実行し、我が国の不良債権問題をできるだけ早期に解決に導き、実績をもってマーケットや国際的な信認を高めていくことが何よりも重要であります。これに関し、これまで2年に1回程度の頻度で実施してきた主要行に対する検査については、原則年1回実施とするなど強化したいと考えております。
 次に、銀行の株式保有制限については、金融審議会において精力的なご検討をしていただき、去る6月26日に提言をまとめていただきました。また、銀行保有株式取得機構につきましても、同日、金融庁としての考え方を取りまとめたところです。これらについても、緊急経済対策や「骨太の方針」に金融システムの構造改革という観点で盛り込まれているところですが、今後所要の作業を鋭意進めて参りたいと考えております。
 また、生命保険を巡る問題等にも適切に対応するため、同じく6月26日に金融審議会で中間報告をまとめていただき、現在、各方面からの意見を募っているところですが、今後は寄せられたご意見等を踏まえ、再度、ご審議をいただいた上で、生命保険会社の財務基盤の充実や監督手法の整備等、多角的な取り組みを進めて参ります。
 さらに、証券市場の構造改革を進め、個人投資家を含めた幅広い投資家が参加する厚みのある証券市場を形成することを通じて直接金融の発展を促すことも重要な課題です。金融のあり方についてのそのような新しい考え方に立って、貯蓄尊重から投資重視へと政策の力点を置き換えることとし、税制を含めた関連する諸制度における対応について検討を行うとともに、証券決済システムの改善やディスクロージャー制度の一層の充実・強化など、インフラ整備等を積極的に進めていきたいと考えております。
 以上、金融庁が直面している重要課題の一端を紹介させていただきましたが、財務局長の皆様方におかれましては、来年4月からのペイオフの解禁を控え、従来にも増して地域金融の安定を図るという重要な責務を有しておられることを肝に銘じ、金融庁と引き続き密接な連携を取りながら、検査・監督・監視事務の円滑な遂行に最善を尽くしていただき、万全な体制で迎えていただきたいと思います。
 最後になりましたが、財務局職員の方々のご健闘とご健康を祈念して、私の挨拶とさせていただきます。

金融担当副大臣挨拶

 副大臣の村田でございます。
 財務局長会議の開催に当たり、一言ご挨拶をさせていただきます。
 金融行政の一般的なことにつきましては、既に柳澤大臣が触れられておりますので、私からは、現在、私自身がどのような問題意識を持って金融行政に臨んでいるのかについてお話させていただきたいと思います。
 まず、金融行政に対する国民の理解の重要性であります。
 去る7月7日、名古屋市で開催されました小泉内閣のタウンミーティングに出席させて頂き、国民の皆様と直接対話する機会を得ました。
 そこでは、政府が進める構造改革に対する国民一人一人の関心は高いものであり、中でも、不良債権の最終処理について、関心が極めて高いものであることを実感しました。
 金融を巡る様々な問題は、専門的な側面もあり、国民の皆様にご理解いただくのは、多々、難しい面もありますが、金融行政について正しい理解を深めていただくことは重要であり、国民の目線に立って、丁寧に説明していかなければならないと思います。
 今後とも、財務局長の皆様におかれましても、私と同様の問題意識を持っていただき、国民の皆様にわかりやすく説明していただく等、一層のご努力をお願いしたいと思います。
 次に、金融を巡る環境の激変に対応するための金融庁の機能強化であります。
 国境を越えた大量の資金移動やインターネット取引の増加等、我が国金融・証券市場の質的変化に的確に対応するため、情報収集や調査機能を高めるとともに、海外に対する情報発信や広報等について積極的に対応していくことが重要と考えております。
 また、金融庁の企画、検査、監督、監視等機能強化のため、組織面や体制面について、どのようなことが可能か、14年度機構定員・予算要求に向けて検討を進め、また、財務局における機能の強化についても財務省と連携しながら検討して参りたいと考えております。
 不良債権の最終処理を精力的に進めると同時に、一方では、新たな形態の銀行が次々と設立される等、我が国の金融が大きく変わろうとしているこの時期に、金融行政に関わることができることは非常に幸せなことであると同時に、責任の大きさも痛感しております。微力ではありますが、皆様とともに柳澤大臣を補佐し、精一杯の努力をしていきたいと思います。
 最後になりましたが、財務局職員の皆様のご健勝をお祈りして、私の挨拶とさせていただきます。

 

<主な出来事>(7月)
     
2日(月) 「金融庁の1年(平成12事務年度版)」発表
3日(火) 不動産特定共同事業法施行規則改正案に対するパブリック・コメントの結果公表
4日(水) 事務ガイドライン改正(金融会社関係)
6日(金) 企業会計審議会固定資産部会開催(第14回)
「企業会計審議会第一部会の論点整理」の公表(企業会計審議会による意見募集)
「企業会計審議会固定資産部会の経過報告」の公表(企業会計審議会による意見募集)
「金融税制に関する論点整理」発表
アクサグループライフ生命保険株式会社及びアクサ生命保険株式会社に対する行政処分
「保険業法施行規則の一部を改正する内閣府令案」に対するパブリック・コメントの結果公表
事務ガイドライン改正(保険会社関係)
イーバンク銀行株式会社に対して銀行業の免許
小樽商工信用組合に対する金融整理管理人による業務及び財産の管理を命ずる処分
9日(月) 顧問会議開催(第15回)
道央信用組合に係る管理を命ずる処分の取消し
「金融庁における法令適用事前確認手続の導入について」発表
11日(水) 『「金融庁 申請・届出等手続の電子化推進アクション・プラン」の推進状況及び見直し並びに「金融庁所管法令に基づく地方公共団体の自治事務等に係る申請・届出等手続の電子化推進に関するアクション・プラン」の策定について』発表
18日(水) ジョイント・フォーラム天童会合開催(〜19日)
19日(木) 日本外国特派員協会において大臣講演
24日(火) 財務局長会議開催
26日(木) 事務ガイドライン改正(災害における金融に関する措置)
30日(月) 「平成13年検査事務年度検査基本方針及び基本計画」発表
「BIS規制見直しにかかるバーゼル委員会ワーキング・ペーパーについて」公表