証券取引等監視委員会メ-ルマガジン(第25号)平成24年11月30日
証券監視委ホームページ http://www.fsa.go.jp/sesc/index.htm

<目次>

1.新着情報

2.市場へのメッセージ

3.コラム


1.新着情報


◎株式会社ニッセンホールディングスとの契約締結交渉者からの情報受領者による内部者取引に対する課徴金納付命令の勧告について

http://www.fsa.go.jp/sesc/news/c_2012/2012/20121130-2.htm

◎ヴィンキュラムジャパン株式に係る相場操縦に対する課徴金納付命令の勧告について

http://www.fsa.go.jp/sesc/news/c_2012/2012/20121130-1.htm


2.市場へのメッセージ


◆ファンドの販売に際し、顧客に虚偽のことを告げたり、無登録で勧誘する行為等を行った金融商品取引業者に対する行政処分勧告について◆

証券監視委は、10月12日、サンハーベスト(株)(第2種金融商品取引業)及び(株)新日本経済投資顧問(投資助言・代理業)に対する関東財務局長による検査結果を踏まえ、いずれも金融商品取引法に違反する以下の事実が認められたことから、内閣総理大臣及び金融庁長官に対し行政処分を行うよう勧告しました。

サンハーベスト(株)について

当社は、平成23年7月以降、フィリピンの穀物事業に出資する計6本のファンド(以下、「本件ファンド」といいます。)の組成・運用及び個人投資家向けの取得勧誘を行っていました。この取得勧誘に際し、本件ファンドの契約書によれば、元本及び配当が保証されないことになっているにもかかわらず、「元本は絶対保証している。」、「配当は毎月必ずもらえる。」と顧客に対し、虚偽のことを告げていました。

また、当社は、遅くとも平成23年9月以降、自己の名義をもって、(第2種金融商品取引業の登録を有さない)(株)新日本経済投資顧問に所属する営業員に、本件ファンド持分の取得勧誘を行わせており、登録制度の潜脱となるいわゆる名義貸しを行っておりました。

さらに、当社は、本件ファンドに係る出資金の管理や配当金の処理が極めて不適切な状況にあるとともに、出資対象事業の運用状況に係るモニタリングが極めて不十分な状況にあるなど、当社の業務運営は極めて杜撰な状況にあり、「金融商品取引業に関し、不正又は著しく不当な行為であり、その情状が特に重いとき」(金商法52条9号)に該当すると認められました。

http://www.fsa.go.jp/sesc/news/c_2012/2012/20121012-2.htm

(株)新日本経済投資顧問について

当社は、上記サンハーベスト(株)に係る本件ファンドの私募の取扱いを無登録で行い、少なくとも122名の個人投資家から合計4.6億円の出資を得ておりました。

また、当社営業員は、本件ファンドの販売に際し、サンハーベスト(株)の社員であることを装った上で、本件ファンドの契約書によれば、元本及び配当が保証されないことになっているにもかかわらず、「元本が1円も目減りすることのない商品です。」、「定期預金のご案内です。」、「関東財務局の認可が下りた商品です。」と顧客に対し虚偽のことを告げて著しく不当な勧誘を行っていました。こうした当社の行為は極めて悪質なものであり、「金融商品取引業に関し、不正又は著しく不当な行為をした場合において、その情状が特に重いとき」(同上)に該当すると認められました。

http://www.fsa.go.jp/sesc/news/c_2012/2012/20121012-3.htm

なお、両社に対しては、同日付で、関東財務局から登録取消しを含む厳しい行政処分が発出されました。

証券監視委は、ファンドの取得勧誘を行う第2種金融商品取引業者等について、これまでも平成21年から22年にかけて集中的に検査を行うとともに、平成22年10月には、ファンドへの出資金の分別管理を適切に行わず、自社の運転資金に流用したり、資金を運用以外の使途に費消するといった事例や、顧客に対して虚偽の説明・告知を行うといった事例などを検査結果の問題点として取りまとめ、その公表を通じて、個人投資家の皆様に対し、ファンドへの投資を判断する際にこうした問題点に十分注意されるよう促してきました。

「ファンド販売業者に対する検査結果について」(平成22年10月19日公表)

PDFhttp://www.fsa.go.jp/sesc/news/c_2010/2010/20101019.pdf

今後とも、証券監視委としては、ファンドの取得勧誘を行う第2種金融商品取引業者等について、金融商品取引法上の法令違反に該当する事実があると疑われる場合には、検査等により事実を究明し、金融庁に対して行政処分等を求めるとともに、ウェブサイトや本メールマガジンを通じて、検査を通じて解明した事案の概要や問題点を分かりやすくお伝えすることで、個人投資者保護に最善を尽くしてまいります。

◆ジャパン・アドバイザリー合同会社によるインサイダー取引に対する課徴金納付命令の勧告について◆

平成24年11月2日、証券監視委は、ジャパン・アドバイザリー合同会社によるインサイダー取引について、内閣総理大臣及び金融庁長官に対し課徴金納付命令を発出するよう勧告しました。

http://www.fsa.go.jp/sesc/news/c_2012/2012/20121102-1.htm

本事案は、ジャパン・アドバイザリー社において、外国籍の2つのヘッジファンドの財産を実質的に運用していた同社社員が、平成23年7月5日に、エルピーダメモリ株式会社との引受契約の締結の交渉を行っていた証券会社の社員甲から、エルピーダメモリ社の業務執行を決定する機関が株式及び転換社債型新株予約権付社債の募集を行うことについての決定をした旨の事実の伝達を受けながら、この事実が公表された平成23年7月11日より前の平成23年7月6日に、上記外国籍ヘッジファンドの計算において、エルピーダメモリ社の株式合計3万2600株を売付価額3041万4986円で売り付けたものです。本事案の違法行為に対し、納付を命じられる課徴金の額は、12万円になります。

本事案において、証券会社のリサーチ部門の社員甲は、同社員の外交資料等から担当銘柄であるエルピーダメモリ社に関する記載を削除するよう、同社のコンプライアンス部門から社内規則に基づく指示を受けたことで、近日中にエルピーダメモリ社がファイナンスを実施することを知ったことが認められております。同社は、定期的にジャパン・アドバイザリー社とミーティングを行っていましたが、同社員が出席した平成23年7月5日に行われたジャパン・アドバイザリー社とのミーティングにおいて、エルピーダメモリ社に関する記載を削除した説明資料を交付して同社員が担当する業種に関する説明等を行ったことなどから、上記重要事実がジャパン・アドバイザリー社の社員らに伝達されたことが認められております。

本事案については、上記の証券会社から、同社が継続的に行っている自主的な点検・調査において、問題を把握したとして、証券監視委に報告がなされたものです。その後も証券監視委の検査において、同社より協力がなされております。

公募増資に関連したインサイダー取引の問題については、証券監視委が精力的に調査した結果、本年3月以降、6件の課徴金勧告を行いました。このうち、ジャパン・アドバイザリー社に対する検査結果に基づく勧告は、平成24年6月29日の勧告に続いて2件目になります。なお、ジャパン・アドバイザリー社は、投資助言・代理業を行うことについて、内閣総理大臣の登録を受けていましたが、投資運用業を行うことについて、登録を受けることなく実質的にその顧客の資産に関する投資運用業を営んでいたことなどから、平成24年6月29日付で、投資助言・代理業の登録が取り消されております。

証券監視委としては、市場の公正性・透明性の確保及び投資者保護を図る観点から、引き続き、内外プロ投資家による不公正取引や違法行為などに対し、必要に応じて海外当局とも連携しながら、厳正に対処してまいります。


3.コラム
[大阪証券取引所からの寄稿]


◆上場会社の3社に2社がJ-IRISS(ジェイ・アイリス)に登録しています◆

J-IRISS(ジェイ・アイリス:Japan-Insider Registration & Identification Support System)とは、不公正取引等の防止及び市場の透明性・公正性の維持の観点から、証券取引所の全面的な協力の下、日本証券業協会が運営する上場会社の役員等のデータベースシステムです。

上場会社から役員等の情報をあらかじめJ-IRISSに登録していただき、証券会社が自社の顧客情報をJ-IRISSに照合することで顧客のうちの上場会社の役員等を把握することにより、それら顧客が自社株式を売買するときに証券会社から確認することで(うっかり)インサイダー取引に繋がることを未然に防止する仕組みです。

したがって、できるだけ多くの上場会社にJ-IRISSに登録していただく必要があります。日本証券業協会及び全国の証券取引所は、共同して上場会社を個別に訪問するなどJ-IRISSへの登録を促進するための取組みを行っております。

これまでの登録促進により、本年9月中旬に上場会社の登録割合が3分の2を超えました。残り3分の1の上場会社に対しても、引き続き、登録を促進するための様々な働きかけを実施してまいります(11月19日現在の登録率は68.6%になっています)。

J-IRISSの詳細については、日本証券業協会のホームページをご覧ください。

http://www.jsda.or.jp/katsudou/j-iriss/index.html新しいウィンドウで開きます

本件に関するお問い合わせ先:日本証券業協会自主規制企画部J-IRISS推進室
(TEL 03-3667-8470)


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