平成28年3月18日

証券取引等監視委員会

株式会社ワンプラスワンに対する検査結果について

  • 1.検査結果

    証券取引等監視委員会が株式会社ワンプラスワン(所在地 東京都豊島区、法人番号1010001133706、資本金1000万円、常勤役職員1名、適格機関投資家等特例業務届出者。金融商品取引業の登録はない。以下「当社」という。)(注)を検査した結果、下記のとおり、当該適格機関投資家等特例業務届出者に係る問題が認められたので、本日、証券取引等監視委員会は、金融庁長官に対して、適切な措置を講じるための情報提供を行った。

    (注)平成26年8月にA代表取締役が辞任し、B代表取締役が就任している。また、当社は、同年10月に「株式会社アセットファクター」から現在の商号に変更している。

  • 2.事実関係

    当社は、平成22年8月に適格機関投資家等特例業務(以下「特例業務」という。)の届出を行い、特例業務として、グランツプライマリー投資事業有限責任組合(以下「GP LPS」という。)、アセットファクター投資事業有限責任組合(以下「AF LPS」という。)、RJT第1号投資事業有限責任組合(以下「RJT LPS)という。)の運用を行うこととしている。

    当社は、GP LPS及びAF LPSについては、他の特例業務届出者(以下「届出業者」という。)が運用する匿名組合又は投資事業有限責任組合(以下「ファンド」という。)に適格機関投資家として出資(以下「適格機関投資家出資」という。)を行っており、RJT LPSについては、当社が運用業務を行い、共同運営者であるRJT合同会社(所在地 東京都中央区、資本金100万円、常勤役職員1名、適格機関投資家等特例業務届出者。金融商品取引業の登録はない。以下「RJT社」という。)が取得勧誘を行うとして、平成22年11月以降、一般投資家38名から8720万円の出資を受けている。

    そのような中、当社の業務運営状況等を検証したところ、以下の問題点が認められた。

    なお、届出業者の特例業務については、適格機関投資家が出資を行って、自己のためにファンドに関与することで、ファンドの適正性がある程度確保されることも期待されたものと考えられている。

    • (1) 届出業者の運用するファンドに対する出資等に係る問題

      • ア 組合解散後に出資を行っていた状況

        当社は、GP LPSについて、唯一の有限責任組合員の脱退により、遅くとも平成24年4月18日には解散したと認められるにもかかわらず、同日以降も他の届出業者が運用するファンドへの出資を継続し、同年11月11日までに、少なくとも届出業者8者が運用する15本のファンドに適格機関投資家出資している。

        しかしながら、GP LPSは、解散した同年4月18日以降は適格機関投資家であるとは認められず、上記ファンドに係る出資は、同日以降、適格機関投資家出資であるとは認められない。

        このような当社の行為は、届出業者の特例業務について、適格機関投資家出資を要件とする金融商品取引法の趣旨をないがしろにし、届出業者に特例業務の要件を充足しないまま違法にファンド持分の取得勧誘や出資金の運用を行わせることとなり得るものと認められる。

      • イ 無登録投資運用業

        当社は、GP LPSについて、平成24年11月12日にC者から新たに出資を受けたとし、その後、GP LPS名義で、少なくとも届出業者13者が運用する24本のファンドに対して出資を行っている。

        しかしながら、GP LPSはすでに解散しているため、C者から出資を受けた時点において、新たな投資事業有限責任組合(以下「新GP LPS」という。)が組成されたものと認められるところ、新GP LPSは、適格機関投資家からの出資を受けておらず、金融商品取引法(以下「金商法」という。)第63条第1項第2号の特例業務の要件を満たしていない。

        また、当社は、AF LPSについて、届出業者18者が運用する24本のファンドに出資を行っているところ、AF LPSは、遅くとも平成25年1月23日以降については、適格機関投資家からの出資を受けていたものとは認められず、金商法第63条第1項第2号に規定する特例業務の要件を満たしていない。

        当社の上記行為は、金商法第28条第4項に規定する「投資運用業」に該当するものであり、金商法第29条に基づく登録を受けることなく、当該行為を行うことは、同条に違反する。

      • ウ 出資金の管理が杜撰な状況

        当社は、GP LPS名義及びAF LPS名義で届出業者40者が運用する66本のファンドに適格機関投資家出資したとしているが、これらファンドの一部について、実際に出資が行われたのかどうかの確認ができない状況にある。また、当社は、当該出資先ファンドに係る届出業者に対し、適格機関投資家を辞退する旨の通知をしているものの、当該出資先ファンドの約半数のファンドについて、脱退又は契約の解約が行われたのかどうかの確認ができない状況にある。

        以上のとおり、当社の出資金の管理は極めて杜撰な状況にある。

      • エ 出資先ファンドにおける投資者被害等

        このような中、当社が、GP LPS名義及びAF LPS名義で適格機関投資家出資を行ったファンドを運用する他の届出業者において、違法又は不当な行為による投資者被害等の問題が多数認められている(別紙参照)。

        上記アないしウの当社の行為は、他の多数の届出業者による違法又は不当な行為を助長し、投資者被害をもたらす事態等を招いたものと認められる。

    • (2) その他の当社が運用するファンドに係る問題

      • ア 適格機関投資家出資の外観を仮装し、違法行為に積極的に加担した状況

        当社は、RJT LPSについて、GP LPSが唯一の適格機関投資家として出資しているとするが、当該出資は、RJT社が拠出した金銭を原資とし、関係者の銀行口座を循環させてなされたものであり、実態がなく、GP LPSからの適格機関投資家出資がなされているかのような外観を仮装したものに過ぎない。したがって、当該出資については、適格機関投資家出資とは到底評価し得ないものである。

        このため、RJT社によるRJT LPSに係る取得勧誘は、金商法第28条第2項に規定する「第二種金融商品取引業」に該当するものであり、金商法第29条の登録を受けることなく、当該行為を行うことは、同条に違反する。

        そして、当社は、上記のとおり適格機関投資家出資の外観を仮装することにより、上記法令違反行為に積極的に加担していたものである。

      • イ 出資金の管理が杜撰な状況

        当社は、RJT LPSについて、RJT社が出資金の大半を当社に無断でRJT社の関連会社に貸し付け、流出・毀損させたとしているものの、RJT社が当社に無断で貸し付けていることを当社が承知していた状況が認められている。

        このように、当社の出資金の管理は極めて杜撰な状況にある。

    以上のとおり、当社の業務運営は、投資者保護上、重大な問題がある。


(別紙)

当社が適格機関投資家出資を行っていたファンドの届出業者のうち問題が認められたもの

  • 1.金融庁の「問題があると認められた届出業者リスト」に掲載されている業者

届出業者名 管轄財務局等 届出日 備考

あずさパートナーズ株式会社

関東財務局

H20.8.18

※報告命令に応じません。

※連絡がとれません。

※届出書(第8面)提出義務違反

株式会社アーバンスタージャパン

関東財務局

H23.7.13

※報告命令に応じません。

RJT合同会社

関東財務局

H22.11.2

※報告命令に応じません。

※連絡がとれません。

AFTT合同会社

関東財務局

H23.5.25

※報告命令に応じません。

※連絡がとれません。

株式会社ABH JAPAN

関東財務局

H22.12.3

※報告命令に応じません。

※連絡がとれません。

※届出書(第8面)提出義務違反

コレココーポレーション株式会社

関東財務局

H24.10.29

※報告命令に応じません。

※連絡がとれません。

株式会社創明リテイリング

関東財務局

H22.8.30

※警告書(無登録)を発出しました。

※報告命令に応じません。

※連絡がとれません。

株式会社タップジャパン

関東財務局

H23.5.31

※金融商品取引法の規定に基づき、当社に対して、業務改善命令が発出されています。

株式会社日本ヴェリータ

関東財務局

H23.1.13

※警告書(無登録)を発出しました。

※警告書(投資者保護上問題あり)を発出しました。

※報告命令に応じません。

※虚偽の説明で出資金を騙し取ったなどとして、代表者が詐欺及び金融商品取引法違反容疑で逮捕(平成28年1月18日)されています。

株式会社日本ヴェリタス

関東財務局

H22.11.1

※警告書(投資者保護上問題あり)を発出しました。

※報告命令に応じません。

※虚偽の説明で出資金を騙し取ったなどとして、代表者が詐欺及び金融商品取引法違反容疑で逮捕(平成28年1月18日)されています。

株式会社福禄

関東財務局

H24.8.20

※報告命令に応じません。

※連絡がとれません。

富士商株式会社

関東財務局

H25.2.20

※警告書(無登録)を発出しました。

※報告命令に応じません。

※連絡がとれません。

株式会社明和

関東財務局

H25.3.26

※報告命令に応じません。

※検査に応じません。

株式会社リスクマネジメントブレイン

関東財務局

H19.11.26

※警告書(虚偽告知)を発出しました。

レインボーインベストメントベンチャー合同会社

関東財務局

H23.11.10

※報告命令に応じません。

※連絡がとれません。

※届出書(第8面)提出義務違反

(金融庁「問題があると認められた届出業者リスト」(平成28年2月末現在)より抜粋)

参考資料(PDF:305KB)


(参考条文)

○ 金融商品取引法(昭和23年法律第25号)(抄)

(登録)

第二十九条 金融商品取引業は、内閣総理大臣の登録を受けた者でなければ、行うことができない。

(適格機関投資家等特例業務)(平成27年法律第32号による改正前のもの)

第六十三条 次の各号に掲げる行為については、第二十九条及び第三十三条の二の規定は、適用しない。

一 (略)

二 第二条第二項第五号又は第六号に掲げる権利(同一の出資対象事業(同項第五号に規定する出資対象事業をいう。)に係る当該権利を有する者が適格機関投資家等(前号イからハまでのいずれにも該当しないものに限る。)のみであるものに限る。)を有する適格機関投資家等から出資され、又は拠出された金銭(これに類するものとして政令で定めるものを含む。)の運用を行う同条第八項第十五号に掲げる行為

(以下、略)

サイトマップ

ページの先頭に戻る