衆議院財務金融委員会における柳澤金融担当大臣の挨拶

(平成13年5月16日)

(はじめに)

先般発足した新内閣で、金融担当大臣に再任されました柳澤でございます。引き続きよろしくお願い申し上げます。

本日は、発言の機会をいただきましたので、現下の金融行政について一言申し述べさせていただきたいと存じます。

我が国の金融システムは一時期と比較して、かなりの程度安定を取り戻した中で推移しております。しかし、アメリカ経済の減速に伴って景気がさらに弱含んでいる中で、金融機関に対する様々な影響が取り沙汰されている状況にあります。

(不良債権処理への取組みについて)

こうした中、我が国金融機関に対する預金者や市場からの信頼を揺るぎないものとするためには、金融機関が不良債権を間接処理するにとどまらず、これをできる限り最終処理し、金融機関の収益力を増強し、同時に貸出先企業の不稼働部分を整理すること等により、産業の再生ひいては経済全体の再活性化につなげることが重要であると考えております。

このため、先般取りまとめられました緊急経済対策において、金融機関の不良債権問題と企業の過剰債務問題の一体的解決を図るという観点から、例えば、主要行に対し、新規に破綻懸念先以下となった債権については三営業年度以内、既に破綻懸念先以下となっている債権については二営業年度以内に最終処理すること等を原則とするほか、私的整理における再建計画の策定等に係る調整手続きとして、いわゆるガイドラインを策定することなどとしております。金融庁としても、本施策の迅速かつ着実な実施を推進してまいります。

(銀行の株式保有制限について)

また、緊急経済対策では、我が国の金融システムの構造改革を推進し、その安定性への信頼を高めていく観点から、銀行の株式保有制限のあり方に関する制度整備を行うこととし、こうした施策に伴う銀行の株式放出が短期的には株式市場の需給と価格形成に影響し、株価水準によっては金融システムの安定性や経済全般に好ましくない影響を与える可能性もあることから、一時的なものとして、株式買取りスキームを創設することとしております。本件については、金融システムの安定化と市場メカニズムとの調和を念頭に、具体策を講じてまいります。

(緊急経済対策関連法律案について)

次に、既に本国会に提出させていただきました「銀行法等の一部を改正する法律案」のほかに、緊急経済対策に関連する法案として証券決済システム改革に関して二件の法律案を提出すべく準備を進めております。

証券市場の構造改革を進めることにより、産業に円滑な資金供給を可能とすることは、我が国経済にとって喫緊の課題となっております。こうした中で、本法律案は、証券取引のグローバル化の下で我が国証券市場の国際競争力を確保するため、CP(コマーシャルペーパー)について、ペーパーレス化とその振替制度の創設等を行うものであり、緊急経済対策において、所要の法整備を図るとされているところでございます。詳しい内容につきましては、今後、改めてご説明させていただきますので、よろしくお願い申し上げます。

(結び)

最後に、金融庁は、市場規律と自己責任原則を軸とした明確なルールに基づく透明かつ公正な行政を遂行してまいりました。今後とも、この方針を堅持するとともに、我が国金融システムの安定と活性化に全力を挙げて取り組んでまいる所存でございますので、当委員会の委員長及び委員の皆様におかれましては、何卒よろしくお願い申し上げます。

(以上)

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