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平成13年1月25日
金融担当大臣談話
- 東京相和銀行の譲渡先の選定及び営業譲渡契約の締結について -
東京相和銀行の譲渡先の選定については、昨年11月30日にアジア・リカバリー・ファンドとの基本合意が解消されて以降、改めて金融整理管財人により鋭意作業・検討が進められ、金融庁としては、その状況について金融整理管財人より逐次報告を受けてきた。
本日、金融整理管財人より、各譲渡候補先の提示条件等を比較・検討した結果、公的負担の極小化に資すること、善意かつ健全な債務者への与信の維持継続が図られること、新銀行の資本の調達が確実に見込まれること等から、米国に本拠を持つ大手投資ファンドであるローン・スターにより今後設立される新銀行に同行の営業譲渡を行うことが最も適当であるとの見解が顧問会議において示され、同会議における御審議を踏まえ当庁としてもその見解を基本的に了承した。これを受けて、本日、東京相和銀行とローン・スターとの間で営業譲渡契約が締結されたところである。
当庁としては、これまでの金融整理管財人の方々の御努力に敬意を表するとともに、その労を多としたい。
今後、ローン・スターとしては、銀行法に基づく銀行免許申請手続きを進めるとともに、金融再生法及び預金保険法に基づく所要の手続き及び措置を経て、新銀行を設立の上、平成13年6月11日に営業譲受けを行う予定であると承知している。
東京相和銀行の譲渡について確たる見通しが立てられる状況に至ったことは、我が国金融システムの安定及びその再生に資するものと考えている。
(照会先)
金融庁
監督局 総務課 金融危機対応室
山崎、奈良
電話 3506-6327、6334
東京相和銀行の概要
1.本店
- 港区赤坂1丁目6番16号
2.金融整理管財人
- 鈴木 誠
- 和食 克雄
- 預金保険機構
- 理事長 松田 昇
3.業容(12年9月末)
(1)預金量 1兆60億円 (2)貸出金 1兆5,119億円 (3)店舗数 100店舗 (4)資本勘定 ▲6,884億円 (5)自己資本比率 ▲103.36% 4.沿革
昭和25年2月 東京協和殖産無尽(株)として設立 昭和26年1月 東京都殖産無尽(株)に商号変更 昭和26年10月 相互銀行法の施行に伴い、(株)東京相互銀行に商号変更 平成元年2月 普銀転換により、(株)東京相和銀行に商号変更
ローン・スターの概要
1.概要
1991年に米国のテキサス州ダラスで創設された投資組合(プライベート・エクイティ・ファンド)で、世界各国で不動産物件、金融商品、資産証券化商品等への投資活動を展開している大手投資ファンド。
欧米の州政府および企業の年金基金、大学の財団等の公的な機関を中心に多くの機関投資家が出資。
現在のファンド(Lone Star Fund III )は、8千億円(内23億ドルは投資家が出資)の投資を世界各国においてする目的で、2000年9月に募集完了。
2.経営者等
- 最高運営責任者 John P. Grayken
- (ハーバード・ビジネススクール卒。モルガン・スタンレーを経て、R. バスグループにてパートナーとして活躍。1986年以来投資組合を組成、主導。)
- ローンスタージャパン会長 寺澤 芳男
- (元野村証券副社長、元MIGA(世銀グループの多国籍間投資保証機関)長官、元経済企画庁長官)
- 最高運営責任者 John P. Grayken
3.Lone Star Fund III の概要
(1) 国籍 米国デラウェア州、バミューダ (2) 本部所在地 米国テキサス州ダラス (3) 出資総額 23億ドル(うち70%程度を日本を中心とするアジア地域に投資) (4) 業務執行者 John P. Grayken (5) 設立 2000年9月 (6) 投資対象 金融関連資産、不動産資産、金融法人、事業法人など
(スターファイナンス(旧ミネベア信販)、あたごファイナンス(旧野村ファイナンス)等)
平成13年1月25日
東京相和銀行の営業譲渡契約について
株式会社東京相和銀行
金融整理管財人
1.営業譲渡先選定の経緯
- 平成12年11月30日
- アジアリカバリーファンドとの基本合意契約解消
- 平成12年12月~平成13年1月上旬
- 候補先によるデューデリジェンス
- 1月中旬
- 候補先による譲受条件・事業計画等の提示・検討
- 1月25日
- Lone Star(米国のテキサス州ダラスを本拠とし、世界の主要地域で投資活動をしている大手ファンド)が、今般日本国内に設立する新銀行を受皿とすることを決定、営業譲渡契約書締結
- 平成12年11月30日
2.選定に当たって重視したポイント
(1)公的負担の極小化
(2)預金者及び善意かつ健全な債務者の保護等、金融安定化等への貢献
(3)選定手続きの公平性、透明性
3.営業譲渡契約の概要
- ローンスターの傘下の海外法人が我が国に東京相和銀行の受け皿となる新会社を設立し、営業を譲受ける。新会社の自己資本は400億円以上とし、全額をローンスターが出資する(第5条)
- 新銀行は、再生法の趣旨に則り、善意かつ健全な借手との取引を堅持し、中長期的に業務の運営を図る(第2条)
- 承継する資産は、金融整理管財人が善意かつ健全と認めた債務者(必須承継与信資産)の全てに加え、その他の債務者(選択承継与信資産)についてもその一部を引継ぐ。また負債はその全てを引継ぐ(第3条)
- 譲受価格の事後調整は、一定の場合に限定(第7条)
- 東京相和銀行は、契約に定めるほか、一切の瑕疵担保責任および営業譲渡日以降判明する一切の損失の補填の責任を負わない(第14条)
- 営業譲渡日は6月11日とする(第1、2条)
4.今後のスケジュール
1月25日 営業譲渡契約締結 本日~6月 営業譲渡に関する事務手続き等 6月11日 営業譲渡
譲受のスキーム等
1.譲受スキーム
Lone Star(米国のテキサス州ダラスを本拠とし、世界の主要地域で投資活動をしている大手ファンド)の運営するLone Star Fund III (出資額23億ドル)が支配する海外法人が新たに設立する株式会社(新銀行)が、東京相和銀行の営業を譲受ける(公的資本注入の希望なし)。
2.経営陣等
(1)Lone Starの最高運営責任者(Managing General Partner)
John P.Grayken
- 1956年生まれ
- 米国ペンシルベニア大学経済学部卒
- ハーバード・ビジネス・スクール経営大学院卒
- モルガン・スタンレー等を経て1995年よりブラゾス・ファンド(Lone Starの前身)会長、1997年よりLone Star会長
(2)新銀行の経営陣
会長 寺澤 芳男(てらさわよしお):元野村證券副社長、元MIGA(世銀グループの多国籍間投資保証機関)長官、元参議院議員、元経済企画庁長官。現ローン・スター・ジャパン会長 代表取締役 大橋 宏(おおはしひろし):元住友信託銀行副社長、現同社顧問
その他、主要な常勤取締役には営業、管理の責任者に各分野での実績を有する人材を内外から登用する計画。また、社外取締役として、Lone Starの代表の他、経・財界人を招聘
3.譲受条件
(1)承継する資産・負債(平成12年9月末現在)
必須承継与信資産 : 774,459百万円 選択承継与信資産 : 311,861百万円 承継預金負債 : 1,006,049百万円 (2)承継する店舗
56店舗
(3)再雇用する職員数
現在の正行員(約1,700名)のうち、1,085名以上(他パート嘱託315名以上)を再雇用
平成13年1月25日
東京相和銀行の営業譲渡契約書の概要
1.基本的性格等
(1)経緯[前文]
平成13年1月25日、株式会社東京相和銀行(以下「乙」という)は、デラウェア州法人である ローン・スター・ファンド・スリー(ユー・エス),エル・ピー(Lone Star Fund III ,(U.S.),L.P.)及びバミューダ法人であるローン・スター・ファンド・スリー(バミューダ),エル・ピー(Lone Star Fund III ,(Bermuda),L.P.)(以下総称して「甲」という)からの営業譲受の申し込みを受け、甲との間で営業譲渡契約を締結した。
(2)目的[第2条]
甲は、本契約譲渡が、金融再生法に基づくものであることを理解し、譲受会社において、同法の趣旨に則り、資産内容の健全化を図り、善意かつ健全な借手との取引を堅持し、金融仲介機能の維持に努め、中長期的に業務の運営を図るものとする。
(3)新銀行[第5条]
○甲は、譲受会社を設立のうえ、金融庁に対し銀行業の免許を申請させる。
○甲は新銀行に対して、400億円以上の出資をする。
○甲は、乙が要請する場合には、本契約締結と同時に、甲の増資資金払込能力を証明する書類(甲の財務書類、銀行預金残高証明書または銀行保証状等)を乙に交付する。
(4)営業譲渡の前提条件[第12条]
○甲は、乙が本契約書上の義務を履行し遵守すること、営業譲渡を妨げる等の訴訟が生じていないこと、営業譲渡日前日までに預金保険機構より資金援助申請が承認され、資金援助契約が締結されていること、等を前提に営業を譲受ける。
○乙は、甲が本契約書上の義務を履行し遵守すること、営業譲渡を妨げる等の訴訟が生じていないこと、等を前提に営業を譲渡する。
(5)乙は、本契約に定める他、瑕疵担保責任及び営業譲渡日以降判明する一切の損失補填責任を負わない。[第14条]
(6)営業譲渡契約の解除[第13条]
○相手方の義務違反[1項1号、2項1号]
○重要な表明・保証違反[1項2号、2項2号]
―乙の当事者能力、承継資産に関わる重要な表明・保証違反に対し、甲による通知後30日間治癒されなかった場合
―甲の当事者能力に関わる重要な表明・保証違反に対し、乙による通知後30日間治癒されなかった場合
○営業譲渡の認可が受けられない場合[1項3号、2項3号]
○不可抗力の場合[1項4号、2項4号]
○6月11日までに営業譲渡が実行できない場合[4項、当然解除事由]
2.承継資産、引受債務、従業員
(1)譲渡対象営業は、営業譲渡日午前0時現在の下記承継資産及び引受債務並びにこれに付随する一切の権利義務とする。[第3条1項]
○承継する与信資産(必須承継与信資産774,459百万円及び選択承継与信資産311,861百万円(平成12年9月30日現在))及び与信以外の承継する資産、のれん。
○預金負債(1,006,049百万円(平成12年9月30日現在))、その他の負債。
○付随業務その他。
(2)譲渡価格[第3条2項]
○承継する与信資産の譲渡価格は、必須承継与信資産590,902百万円及び選択承継与信資産58,849百万円(平成12年9月30日現在)
○動産、不動産、有価証券その他の資産の譲渡価格は、71,240百万円(平成12年9月30日現在)
○のれん代 100百万円
(3)従業員[第4条]
甲は譲受会社をして、乙の従業員の一部を、営業譲渡日をもって新たに雇用させる。(正行員1,085名以上、嘱託・パート職員315名以上)
(4)承継与信資産に関する後発事象の調整[第7条]
○譲渡価格の調整は法的整理等の一定の場合に限定
○甲及び乙は、営業譲渡日を基準とした調整完了後は、一切の調整を行わない。
3.表明と保証[第9条]
甲と乙は互いに表明及び保証を行う。