令和8年7月3日

金融庁・東京大学(CARF)による共催シンポジウムを
開催しました(令和8年6月24日)

金融庁は、東京大学大学院経済学研究科附属金融教育研究センター(CARF)と共催で、6月24日(水)に東京大学伊藤国際学術研究センター(伊藤謝恩ホール)にて、シンポジウムを開催しました。

金融庁は、令和5年5月、国立大学法人東京大学と連携協力に関する基本協定を締結しました。本シンポジウムは、連携協力の一環として、金融庁(金融研究センター)と東京大学(CARF)が、共催した初の試みです。

本シンポジウムでは、マサチューセッツ工科大学のRobert M. Townsend教授による基調講演に加え、金融庁からは、日本の金融行政における足もとの関心事項やその課題、今後の方向性をめぐる内容を発表するとともに、アカデミアからは、関連する研究発表を行うなど、産官学間での意見交換を実施しました。

当日は約180名程の参加者がありました。

詳細は下記のプログラムをご覧下さい。

プログラム 発表者・発表資料
基調講演 Robert M. Townsend マサチューセッツ工科大学 教授
 The International Monetary System: Disruption and Opportunities(PDF:4,531KB)
「Money in the Age of Digital Assets」
アカデミックセッション1
デジタル金融を巡る話題
齊藤 将彦 金融庁 企画市場局市場課長
 暗号資産取引に係る規制の見直しについて(PDF:1,034KB)
 暗号資産やステーブルコインの社会的な実装が進む中、日本でもデジタル金融分野に関する制度整備を進めてきた。金融庁からは、暗号資産に関する最新の法改正の状況を含むこの間の制度改正のポイントや、その背景にあるデジタル金融分野における政策的な考え方、残された課題等を報告する。

青柳 潤 香港科技大学 ビジネススクール ファイナンス学科 助理教授
 When Silicon Valley Meets Wall Street: Why is FinTech overengineered?(PDF:372KB)
「シリコンバレーとウォール街が出会うとき:金融技術はなぜ“過剰に高度化”するのか」
 本研究では、金融機関(トレーダー)がエンジニアを雇い、独自の取引技術を開発することで金融市場において情報面で優位に立とうとする状況を分析する。技術の中身が外部から見えにくいことや、雇用契約上の制約があることで、市場には「技術投資が低水準にとどまる状態」と「過剰に高度化が進む状態」という、自己実現的な二つの均衡が生じうる。特に後者では、エンジニアは市場の期待に応えるため、本来よりも過大な技術投資を行う。これにより、流動性の低下や価格変動の拡大といった市場の不安定化が起きる一方で、取引利益は増加する。しかし同時に、技術開発コストが過剰に膨らみ、社会全体としては非効率な状態となる。こうした二つの均衡の違いはデータから識別可能であり、本研究は金融における「技術バブル」のような現象を実証的に捉えるための手がかりを提示する。

野田 俊也 東京大学大学院経済学研究科 講師
 A Dynamic Model of Bidding and Operation in the Bitcoin Market(PDF:848KB)
「ビットコインの手数料市場とブロック報酬の経済分析」 
 本研究では、利用者が自ら取引手数料を設定し、マイナーがその手数料に基づいて取引の承認と稼働の有無を決定するビットコイン市場の動学モデルを分析する。未承認取引の滞留という短期的な混雑に応じて利用者が手数料入札をどのように調整するか、また取引量が少ない局面でマイナーが採掘を一時停止するインセンティブが市場にどのような影響を及ぼすかを明らかにする。手数料収入のみに依存する場合、マイナーは社会的に望ましいタイミングよりも遅く稼働を開始し、取引処理の安定性と社会厚生を損なう。これに対し、ブロック生成時に固定的に支払われるブロック報酬は、低混雑時の稼働インセンティブを補正する政策手段として機能する。
アカデミックセッション2
近年の銀行を巡る話題
三浦 知宏 金融庁 監督局銀行第一課長
 最新の銀行検査・監督の課題、動向(PDF:3,335KB)
 金利上昇をはじめとする銀行を取り巻く環境変化を踏まえ、金融庁の検査・監督手法や着眼点も変化している。そこで、金融庁からは、こうした環境変化を踏まえたビジネスモデルの発展、必要とされるリスク管理態勢、それらを前提とした銀行監督の在り方等について、実務上の課題や海外動向との比較を交えつつ提示する。

小倉 義明 早稲田大学政治経済学術院 教授
 地方銀行の経営統合の効果検証(PDF:2,469KB)
 2010年代以降相次いだ地方銀行の経営統合の効果に関する統計的検証結果を報告する。総じて、経営統合は有意なコスト削減につながるとともに平均融資金利を低下させており、コスト削減の便益のほとんどをユーザー(借り手)が享受していたとみられる結果となった。企業結合による経営統合と、持株会社設立による緩やかな経営統合の効果の違い、店舗網の重複度合いの違いによる効果の違いについても言及する。

滝澤 美帆 学習院大学経済学部 教授
 無形資産と銀行融資(PDF:760KB)
 近年、研究開発、ソフトウェア、組織資本といった無形資産は、企業の競争力および経済成長の重要な源泉として位置づけられている。一方で、無形資産は担保化が困難であり、将来収益の不確実性も高いことから、伝統的な銀行融資との適合性が低いと指摘されている。とりわけ銀行中心の金融システムを有する経済においては、この特性が無形資産投資の制約要因となり得る。本報告では、日本における無形資産蓄積の相対的な低さの背景として、間接金融中心の金融構造が企業の投資配分に与える影響に注目する。無形資産の評価や資金供給の在り方に関する制度的含意についても考察する。
ポリシーパネル

 
パネルディスカッション「地域金融力の強化」

 本セッションは、金融庁より、昨年12月に公表した「地域金融力強化プラン」の概要やその狙いを説明した後、地域金融機関の実務者、金融庁、アカデミアを交えたパネルディスカッションを行う2部構成。後半のパートでは、地域金融機関の実務者より、融資を通じた伝統的な金融仲介機能の発揮にとどまらない、地域金融機関による非金融支援の実例紹介も交えつつ、地域金融機関が果たすべき役割や、各地域が抱える課題解決に向けて取り得る有効な手段、金融機関と企業との関係性とその影響についての近年の研究成果などについて、産官学それぞれの立場から闊達な議論を行う。

モデレーター:植田 健一 CARFセンター長

岡田 大 金融庁 政策立案総括官
梅原 弘充 しずおかフィナンシャルグループ 取締役執行役員 CFO
 しずおかフィナンシャルグループの取組事例(PDF:1,646KB)

澁谷 博之 多摩信用金庫 常務理事
 多摩信用金庫の取り組み(PDF:5,010KB)
お問い合わせ先

金融庁 金融研究センター(総合政策局総合政策課研究開発室)

03-3506-6000(内線 3551、3552)

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