平成27年7月31日
金融庁
株式会社栄電子株式ほか1銘柄に係る相場操縦に対する課徴金納付命令の決定について
金融庁は、証券取引等監視委員会から、(株) 栄電子株式ほか1銘柄に係る相場操縦の検査結果に基づく課徴金納付命令の勧告を受け、平成27年6月30日に審判手続開始の決定(平成27年度(判)第6号金融商品取引法違反審判事件)を行ったところ、被審人から課徴金に係る金融商品取引法(以下「金商法」といいます。)第178条第1項第14号に掲げる事実及び納付すべき課徴金の額を認める旨の答弁書の提出があり、これを受けた審判官から金商法第185条の6の規定に基づき、課徴金の納付を命ずる旨の決定案が提出されたことから、下記のとおり
決定(PDF:153KB)を行いました。
記
1決定の内容
被審人に対し、次のとおり課徴金を国庫に納付することを命ずる。
(1)納付すべき課徴金の額金4,688万円
(2)納付期限平成27年10月1日
2課徴金に係る金商法第178条第1項第14号に掲げる事実
被審人(A)は、別表記載のとおり、
(1)(株)栄電子の株式につき、同株式の売買を誘引する目的をもって、平成26年1月9日午前10時35分頃から同日午前10時55分頃までの間、B証券株式会社を介し、自己名義を用いて、連続して直前の約定値より高指値の買い注文を発注して株価を引き上げるなどの方法により、自己の計算において、同株式合計10万2000株を買い付け、
(2)(株)ベクターの株式につき、同株式の売買を誘引する目的をもって、平成26年12月12日午前9時30分頃から同月17日午後2時14分頃までの間、4取引日にわたり、B証券株式会社、C証券株式会社、D証券株式会社、E証券株式会社及びF証券株式会社を介し、自己、同族会社G及び親族H名義を用いて、連続して直前の約定値より高指値の買い注文を発注して株価を引き上げるなどの方法により、自己、同族会社G及び親族Hの計算において、同株式合計8万1600株を買い付ける一方、同株式合計1万3900株を売り付け、
もって、前記各株式の売買が繁盛であると誤解させ、かつ、前記各市場における前記各株式の相場を変動させるべき一連の売買をしたものである。
(別表)
銘柄:栄電子
(単位:株)
取引年月日 | 口座名義 | 証券会社 | 売付株数 | 買付株数 |
---|---|---|---|---|
平成26年1月9日 | A | B証券 | 0 | 102,000 |
銘柄:ベクター
(単位:株)
取引年月日 | 口座名義 | 証券会社 | 売付株数 | 買付株数 |
---|---|---|---|---|
平成26年12月12日 | A | D証券 | 0 | 2,500 |
E証券 | 0 | 12,400 | ||
F証券 | 0 | 5,200 | ||
同族会社G | C証券 | 0 | 0 | |
E証券 | 0 | 0 | ||
B証券 | 0 | 0 | ||
親族H | B証券 | 0 | 500 | |
平成26年12月15日 | A | D証券 | 0 | 0 |
E証券 | 1,000 | 13,000 | ||
F証券 | 0 | 8,300 | ||
同族会社G | C証券 | 500 | 1,500 | |
E証券 | 1,800 | 8,900 | ||
B証券 | 0 | 6,700 | ||
親族H | B証券 | 0 | 5,600 | |
平成26年12月16日 | A | D証券 | 0 | 0 |
E証券 | 0 | 0 | ||
F証券 | 0 | 0 | ||
同族会社G | C証券 | 0 | 0 | |
E証券 | 300 | 0 | ||
B証券 | 1,200 | 0 | ||
親族H | B証券 | 0 | 0 | |
平成26年12月17日 | A | D証券 | 0 | 0 |
E証券 | 0 | 0 | ||
F証券 | 1,300 | 14,100 | ||
同族会社G | C証券 | 0 | 0 | |
E証券 | 7,800 | 2,900 | ||
B証券 | 0 | 0 | ||
親族H | B証券 | 0 | 0 | |
合計 | 13,900 | 81,600 |
3課徴金の計算の基礎
金商法第174条の2第1項の規定により、当該違反行為に係る課徴金の額は、
ア当該違反行為に係る有価証券の売買対当数量に係るものについて、自己の計算による当該有価証券の売付け等の価額から、自己の計算による当該有価証券の買付け等の価額を控除した額
及び
イ当該違反行為に係る自己の計算による有価証券の売付け等又は買付け等の数量が、当該違反行為に係る自己の計算による有価証券の買付け等又は売付け等の数量を超える場合、当該超える数量に係る有価証券の売付け等の価額から当該違反行為が終了してから1月を経過するまでの間の各日における当該違反行為に係る有価証券の買付け等についての金商法第130条に規定する最低の価格のうち最も低い価格に当該超える数量を乗じて得た額を控除した額、又は当該違反行為が終了してから1月を経過するまでの間の各日における当該違反行為に係る有価証券の売付け等についての金商法第130条に規定する最高の価格のうち最も高い価格に当該超える数量を乗じて得た額から当該超える数量に係る有価証券の買付け等の価額を控除した額
の合計額として算定。
2の別表に掲げる事実につき
(株)栄電子株式の取引について
(1)当該違反行為に係る自己の計算による有価証券の売付け等の数量は、0株であり、当該違反行為に係る自己の計算による有価証券の買付け等の数量は、実際の買付け等の数量102,000株に、金商法第174条の2第8項及び金融商品取引法施行令第33条の13第1号の規定により、違反行為の開始時にその時における価格(178円)で買付け等を自己の計算においてしたものとみなされる当該違反行為の開始時に所有している当該有価証券の数量50,000株を加えた152,000株である
ことから、
ア当該違反行為に係る有価証券の売買対当数量(0株)に係るものについて、自己の計算による当該有価証券の売付け等の価額から、自己の計算による当該有価証券の買付け等の価額を控除した額
0円
及び
イ当該違反行為に係る自己の計算による有価証券の買付け等の数量(152,000株)が、当該違反行為に係る自己の計算による有価証券の売付け等の数量(0株)を超えていることから、当該違反行為が終了してから1月を経過するまでの間の各日における当該違反行為に係る有価証券の売付け等についての金商法第130条に規定する最高の価格のうち最も高い価格(462円)に当該超える数量152,000株(152,000株-0株)を乗じて得た額から、当該超える数量に係る有価証券の買付け等の価額を控除した額
(462円×152,000株)
-(178円×51,000株+180円×1,000株+182円×6,000株
+185円×1,000株+186円×1,000株+190円×1,000株
+192円×25,000株+195円×1,000株+197円×5,000株
+198円×8,000株+199円×52,000株)= 41,401,000円
の合計額41,401,000円となる。
(2)金商法第176条第2項の規定により、上記(1)で計算した額の1万円未満の端数を切捨て。
(株)ベクター株式の取引について
(1)当該違反行為に係る自己の計算による有価証券の売付け等の数量は、13,900株であり、当該違反行為に係る自己の計算による有価証券の買付け等の数量は、実際の買付け等の数量81,600株に、金商法第174条の2第8項及び金融商品取引法施行令第33条の13第1号の規定により、違反行為の開始時にその時における価格(571円)で買付け等を自己の計算においてしたものとみなされる当該違反行為の開始時に所有している当該有価証券の数量2,300株を加えた83,900株である
ことから、
ア当該違反行為に係る有価証券の売買対当数量(13,900株)に係るものについて、自己の計算による当該有価証券の売付け等の価額から、自己の計算による当該有価証券の買付け等の価額を控除した額
(625円×200株+626円×600株+627円×100株+647円×1,500株
+648円×100株+650円×400株+652円×300株+653円×100株
+654円×100株+657円×200株+658円×200株+659円×500株
+660円×400株+662円×700株+663円×100株+664円×100株
+665円×100株+666円×800株+677円×700株+678円×1,000株
+683円×500株+688円×400株+715円×3,300株+719円×1,500株)-(571円×3,000株+573円×100株+574円×200株+575円×600株
+581円×100株+586円×100株+588円×100株+589円×200株
+592円×200株+593円×400株+594円×200株+595円×200株
+596円×300株+597円×300株+598円×200株+599円×200株
+600円×4,200株+603円×600株+604円×500株+605円×300株
+606円×1,000株+607円×900株)=1,211,700円
及び
イ当該違反行為に係る自己の計算による有価証券の買付け等の数量(83,900株)が、当該違反行為に係る自己の計算による有価証券の売付け等の数量(13,900株)を超えていることから、当該違反行為が終了してから1月を経過するまでの間の各日における当該違反行為に係る有価証券の売付け等についての金商法第130条に規定する最高の価格のうち最も高い価格(710円)に当該超える数量70,000株(83,900株-13,900株)を乗じて得た額から、当該超える数量に係る有価証券の買付け等の価額を控除した額
(710円×70,000株)
-(600円×200株+603円×100株+604円×200株+605円×600株
+606円×500株+607円×1,900株+608円×4,700株+609円×800株
+623円×200株+625円×100株+631円×200株+632円×300株
+634円×100株+637円×200株+638円×200株+639円×1,300株
+640円×5,700株+641円×100株+642円×300株+643円×700株
+644円×3,200株+645円×5,200株+646円×1,200株
+647円×1,100株+648円×1,900株+649円×2,600株
+650円×5,800株+651円×2,500株+654円×1,800株
+655円×3,200株+656円×500株+659円×700株+660円×1,300株
+661円×100株+662円×200株+663円×500株+664円×100株
+665円×4,100株+668円×6,200株+669円×400株+670円×1,500株
+671円×2,700株+672円×100株+674円×500株+675円×100株
+676円×100株+678円×200株+679円×300株+680円×1,200株
+681円×300株+682円×300株+683円×100株+685円×300株
+686円×200株+688円×500株+689円×600株)=4,269,000円
の合計額5,480,700円となる。
-
(2)金商法第176条第2項の規定により、上記(1)で計算した額の1万円未満の端数を切捨て。
以上より、納付すべき課徴金の額は、
41,400,000円+5,480,000円
=46,880,000円
となる。
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