証券取引等監視委員会メ-ルマガジン (第32号) 平成25年7月1日
証券監視委ホームページ http://www.fsa.go.jp/sesc/index.htm

<目次>

1.市場へのメッセージ

2.コラム


1.市場へのメッセージ


◆「証券取引等監視委員会の活動状況」の公表について◆

証券監視委は、毎年、その事務の処理状況をとりまとめ、公表することとされており、平成25年6月26日に、平成24年度(平成24年4月1日~平成25年3月31日)における「証券取引等監視委員会の活動状況」を公表しました。

公表した「活動状況」の概要は以下のとおりです。詳しくは、こちら(http://www.fsa.go.jp/sesc/reports/n_24/n_24.htm)をご覧ください。

証券監視委は、平成24年度において、与えられた権限・権能・人的資源を適切に活用し、活動方針を踏まえ、以下のような市場監視に取り組んできました。

(1)日常的な市場監視については、引き続き、包括的かつ機動的な市場監視の実現を図るべく、一般投資家等からの情報の受付、発行市場・流通市場全体に目を向けた市場監視、市場のグローバル化を踏まえた海外当局との連携、内部者取引・相場操縦・偽計等の取引審査、新たな金融商品等への対応等の取組みを進めてきました。

(2)証券検査においては、第一種金融商品取引業者について、法人関係情報の管理態勢の不備や、信用格付業者の検査において、業務管理体制の不備等が認められました。これらを含め、重大な法令違反行為が認められた事例について、行政処分等を求める勧告を行いました。

また、ファンドの取得勧誘に際し、顧客に対して虚偽の告知等を行っていた者に対し、公益及び投資者保護の観点から、金商法第192条に基づく裁判所への禁止命令等の申立てを行ったほか、金融商品取引業の登録を受けずに金融商品取引業に従事したり、顧客資産の費消・流用を行うなど、法令違反行為等が認められた適格機関投資家等特例業務届出者について、その業者名等を公表しました。

(3)不公正取引については、迅速・効率的な取引調査を実施し、上場会社の役員及び社員が職務に関し知った情報を基に行った内部者取引や、権利の移転を目的としない仮装の売買を行った初めての勧告事案となる相場操縦などに対して課徴金納付命令の勧告を行いました。

また、クロスボーダー取引等を利用した内外プロ投資家による不公正取引については、大型公募増資の公表前に行われた内部者取引や、米国所在のヘッジファンドの関係会社による相場操縦について、海外当局との情報交換枠組みを活用し、緊密に連携して調査を進めた結果、課徴金納付命令の勧告を行いました。

加えて、調査の過程で、金融商品取引業者において、潜脱的に無登録で投資運用業を反復継続的に行うなど法令違反の状況が認められたため、当該金融商品取引業者に対する行政処分を求める勧告を行いました。

(4)ディスクロージャー違反については、迅速・効率的な開示検査を実施し、有価証券報告書等の虚偽記載に係る事例について課徴金納付命令勧告を行いました。このうちの1件は、犯則事件の調査の結果に基づき、虚偽の有価証券報告書を提出したとして刑事告発を行った事案について、開示検査の結果に基づき課徴金納付命令の勧告を行ったものです。

このほか、開示検査の結果、重要な事項についての虚偽記載が認められ、有価証券報告書等の訂正が必要な事例について、自発的な訂正を行うように促しても訂正がなされなかったことから、訂正報告書の提出命令の勧告を行いました。

(5)市場の公正性を害する悪質な犯則行為については、複雑・悪質な複合事案に積極的に取り組み、不動産の現物出資制度を悪用した不公正ファイナンスの絡む事件の告発を行いました。また、投資運用業者が、虚偽の運用実績等を記載した資料を年金基金の運用担当者らに提示し、投資一任契約の締結に関して偽計を用いていた事件について、迅速に告発を行うなど、発行市場・流通市場全体に目を向け、幅広く悪質な犯罪行為の摘発を行いました。

加えて、犯則調査の過程で、金融商品取引業者が、同社を実質的に支配する投資一任業者が実質的に運用するファンドの販売を行った際、当該投資一任業者による顧客との投資一任契約の締結に係る偽計に関与していたことが認められたため、当該金融商品取引業者に対する行政処分を求める勧告を行いました。

(6)市場の実態を踏まえたルール整備への貢献については、検査において確認された事例に基づき、信用格付を利用する投資者の保護及び金融・資本市場において重要な役割を担う信用格付業者の信頼性確保の観点から、信用格付業者が信用格付の公表等を行う際にその正確性の確保を直接求める制度を整備する必要がある旨の建議を行いました。

上記のような証券監視委の活動状況について、豊富な資料とともに証券監視委ウェブサイトに掲載しています。この公表により、証券監視委の活動を一層知っていただくとともに、幅広い市場関係者の自主的な規律の向上に役立つことを期待しています。

◆「不公正ファイナンスの実態分析と証券取引等監視委員会の対応」の公表について◆

証券監視委では、株式の発行過程における不適切な行為と流通市場における不適切な行為が複合的に関連して行われる不公正取引の事案がみられます。例えば、架空増資(見せ金増資)や不動産を過大評価した現物出資等によって新株式を取得し、これを流通市場において、インサイダー取引や相場操縦・風説の流布を複合的に絡み合わせるなどして売却し、不当な利益を得る行為が散見されます。このように有価証券の発行過程(増資等)と流通市場における不適切な行為を要素として構成される一連の不公正な取引を「不公正ファイナンス」と呼んでいます。

証券監視委では、不公正ファイナンス事案について、財務局等や金融商品取引所と緊密に連携を図り、一般投資家や市場関係者等からの情報のほか、上場企業の開示情報や金融商品取引所からの情報など、発行市場と流通市場とを見渡した情報収集・分析を行い、その監視に努めています。

この度、証券監視委では、上場企業を経営される方々をはじめ多くの皆様に、不公正ファイナンスに関する理解を深めていただくため、「不公正ファイナンスの実態分析と証券取引等監視委員会の対応」(PDFhttp://www.fsa.go.jp/sesc/news/c_2013/2013/20130626.pdf)と題した資料をとりまとめ、6月26日、証券監視委ウェブサイトに公表しました。

この機会にぜひお読みいただきたいと思います。

なお、不公正ファイナンスについては、こちらでもわかりやすく紹介しています。

◎証券取引等監視委員会メ-ルマガジン(第28号:平成25年3月1日配信)
http://www.fsa.go.jp/sesc/message/20130228-1.htm

◎証券取引等監視委員会メ-ルマガジン(第29号:平成25年4月1日配信)
http://www.fsa.go.jp/sesc/message/20130401-1.htm

◎証券取引等監視委員会メ-ルマガジン(第30号:平成25年5月1日配信)
http://www.fsa.go.jp/sesc/message/20130501-1.htm

◆「開示検査に関する基本指針(案)」及び「取引調査に関する基本指針(案)」の公表について◆

証券監視委では、平成17年4月に課徴金制度が導入されて以降、金融商品取引法上の権限に基づき、(I)有価証券報告書をはじめとする各種開示書類の提出者等に対する開示検査や、(II)風説の流布・偽計、相場操縦、及び内部者取引といった不公正取引について取引調査を行ってきています。開示検査や取引調査の結果、金融商品取引法に違反する行為が認められた場合には、内閣総理大臣及び金融庁長官に対して課徴金納付命令を行うことを勧告しており、こうした活動を通じて、市場の公正性・透明性の確保及び投資者保護の実現に努めてきています。また、証券監視委が行った勧告については、証券監視委のウェブサイトや年次報告書、課徴金事例集において公表してきているところです。

こうした中、課徴金制度が導入されてから8年が経過し、開示検査・取引調査の実務が定着してきたことを踏まえ、今般、「開示検査に関する基本指針(案)」及び「取引調査に関する基本指針(案)」を策定し、開示検査・取引調査の基本的な考え方や標準的な実施手続等を公表することにより、検査・調査手続の透明性を高めることとしました。

パブリックコメントサイト(e-Govウェブサイト)

http://search.e-gov.go.jp/servlet/Public?ANKEN_TYPE=1&OBJCD=100225新しいウィンドウで開きます

この案について御意見がありましたら、平成25 年7月25 日(木)17 時00 分(必着)までに、氏名(法人その他の団体にあっては名称)、職業(法人その他の団体にあっては業種)、連絡先(住所、電話番号又は電子メールアドレス)及び理由を付記の上、郵便、ファックスにより下記送付先に、お寄せ下さい。電話による御意見は御遠慮願います。

インターネットによるご意見は、上記パブリックコメントサイトに、お寄せください。


2.コラム
[大阪証券取引所からの寄稿]


◆東京証券取引所自主規制法人への自主規制業務の委託について◆

当社は、平成19年9月30日の金融商品取引法施行後、自主規制機能の独立性・実効性を確保し、市場の公正性・透明性を高めるため、同法に定める自主規制委員会方式により自主規制業務の決定を行ってきました。自主規制委員会は、社外取締役を委員長とし、委員の過半数を社外取締役とすることで、取締役会からの独立性が担保された機関で、これまで、新規上場の承認、上場廃止その他上場会社に対するペナルティ措置、取引参加者の資格取得や処分等に関する決定を行ってきました。

当社は、本年1月の東京証券取引所グループとの経営統合による日本取引所グループの発足を機に、自主規制機能の一元化による機能強化及び取引参加者の負担軽減を図るため、本年7月16日、現物市場の統合に併せてデリバティブ取引に係る自主規制業務を東京証券取引所自主規制法人へ委託します。今回の業務委託により、当社は、東京証券取引所自主規制法人が行う審査又は調査等の結果に基づき承認又は処分その他の措置等を行なうこととなります。

当社が東京証券取引所自主規制法人に委託する業務は以下のとおりです。

(1)個別証券オプションの上場及び上場廃止の審査

個別証券オプションの新規上場及び個別証券オプションの上場廃止に関する審査業務

(2)取引参加者の資格審査

当社の取引資格の付与に関する審査業務

(3)取引参加者の法令等の遵守状況の調査

取引参加者に対する検査、取引参加者の業務又は財産に係る報告若しくは資料の提出の要請等

(4)取引参加者に対する処分その他の措置に関する業務

当社が取引参加者に対して行う処分や措置の決定等

(5)不公正取引の売買審査

当社市場におけるデリバティブ取引に係る相場操縦等の不公正取引の審査や審査結果に基づく取引参加者への注意喚起等

大阪証券取引所 自主規制総務グループ


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