第5回公認会計士制度に関する懇談会議事録
1. 日時:平成22年4月13日(火曜日)18時30分~20時25分
2. 場所:中央合同庁舎第7号館13階 金融庁共用第一特別会議室
- ○岳野審議官
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それでは、定刻になりましたので、第5回公認会計士制度に関する懇談会を開催させて頂きます。
本日は、皆様、ご多忙のところご参集頂きましてありがとうございます。
本日も開催時間の都合から軽食を用意させて頂いております。まだお済みでない方は、どうぞご遠慮なく引き続きお召し上がり頂きたいと存じます。
それでは、これから議事を進めさせて頂きたいと思いますので、カメラのほうはそろそろよろしゅうございますか。
本日の懇談会には公認会計士・監査審査会及び日本公認会計士協会の方々にも参考人としてお越し頂いているところでございます。なお、この懇談会の第1回目からメンバーとしてご参加頂いておりました友杉委員におかれましては、このたび4月1日から公認会計士・監査審査会会長にご就任されましたため、懇談会の委員としては退任を頂いております。
本来であれば参考人の皆様を含め、ご参加頂いた皆様をお一人お一人ご紹介すべきところでございますが、時間の関係もございますので、お手元の配席図でご確認頂きたいと思います。なお、配席図では経団連からご参加頂くようになっておりましたけれども、本日、急きょご欠席という連絡を頂いております。また、大塚副大臣には公務のため少しおくれて入室するということでございますので、ご了解頂ければと存じます。
それでは、まず、事務方から配付資料の確認をさせて頂きます。
- ○土本参事官
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それでは、配付資料の確認をさせて頂きます。本日は資料5点となっております。
資料1、「試験・資格制度等の検討にあたっての論点」という縦長の3枚紙でございます。
資料2、「現行の資格取得までの主な流れ」という縦長のフローチャート2枚紙でございます。
資料3、諸外国の公認会計士制度ということで、資料3の題名は「アメリカの公認会計士制度」と書いてございますが、4カ国の制度のフローチャートがつけてあるのが資料の3でございます。
資料4、会計制度監視機構からご提出頂きました「わが国資本市場の国際的地位を向上させるために今すぐ取り組むべきこと ~公認会計士がより広い領域で貢献していくために~ 」という書類でございます。
資料5、「参考資料」でございます。
以上です。
- ○岳野審議官
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よろしゅうございますでしょうか。
それでは、本日の議事に入らせて頂きます。本日は、「試験・資格制度等の検討に当たっての論点」につきましてご議論を頂きたいと存じます。
まず、事務方より資料のご説明をいたします。
- ○土本参事官
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それでは、まず私から資料の1と2をご説明させて頂きます。順番をちょっと逆にしまして資料2の「現行の資格取得までの主な流れ」というフローチャートをお開けください。最初に現在の試験制度、それからかつての試験制度の概略等、受験生の主な流れというのをご説明させて頂きます。
1ページ目、これが現在の制度でございまして、短答式試験と論文式試験という順番になってございます。短答式試験につきましては、右側の4科目が必須科目でございまして、実務補習所入所時のガイダンスの時点のアンケートによりますと、平均の合格年齢が24.5歳で、受験勉強を始めてから合格までの平均の勉強期間が2.3年、合格率につきましては昨年度について13.2%、今年度の第 I 回の短答式試験につきましては9%の合格率、なお今年度から短答式試験が年2回になってございます。これに合格をしますと論文式試験を受けられるということで、これは同じ年でも別の年でも結構でございます。論文式試験につきましては、右側にございます必須科目4科目と選択科目がこの4つの中から1科目選ぶということで、平均の合格年齢、これは私どものアンケート調査ですと25.8歳ですが、公認会計士・監査審査会が公表しておられますすべての合格者で見たときの平均年齢は26.8歳ということで、母集団の違いで1歳ほど違ってございます。平均の勉強期間1.3年で昨年度の合格率でいいますと、35.7%というものでございます。
合格者の現在のステータスを4つに分けてみますと、在学中に論文に合格したという人が30.6%、既卒業者というのは最終学歴の学校を卒業した以降、勤務に就かずに無職のままで勉強を続けられた方ということで37.6%、それから就業経験者というのは最終学歴の学校を卒業したあと、何らかの職業に就かれたあとで職業をやめられて無職の形で受験勉強に専念をされて合格をされた方というのが21.4%ということで、この2つ合わせて約60%弱が無職で受験勉強に専念されたという方になります。最後が社会人ということで、これは企業や官公庁などで仕事をしながら勉強をして合格された方というのが10.4%になってございます。通常ですとこの段階で就職時期を迎えまして、特に監査法人の採用活動がこの時期になるということで、監査法人に就職をされる方、されない方に分かれます。現状は監査法人の就職希望者で、まだ内定は頂いていないというのが昨年末の時点で3割強あったということでございます。
この後、2年間の実務経験、それから実務補習所に原則3年通い、修了考査に合格をすると、そうなりますと公認会計士として登録できる者という資格になりまして、その後登録を経て公認会計士になります。公認会計士になった以降はCPE(継続的専門研修制度)という、右側にございますが、3年間で120単位、わかりやすくいえば120時間の研修を受けるという義務が発生しております。
続きまして、参考までに次のページをおめくり頂ければと思います。これは旧制度、平成17年まで実施をしておりました旧制度の流れでございます。最初に受験生、2次試験につきましては左側にございますが、大学に2年以上在学し、44単位以上を修得した者、あるいは文部科学大臣が定める基準を満たした専修学校の専門課程を修了した者という方については2次試験にすぐ進めますが、そうでない方は1次試験を受けられて2次試験に行きます。ちなみに1次試験は平均合格年齢24.2歳で合格率は8.8%、受験者は147名で合格者が13名、科目としては右の4科目でございます。2次試験につきましては、短答式試験と論文式試験に分かれておりまして、同じ年にこの2つの試験をこの順番で合格をして、初めて2次試験を突破できるということで同一年での合格というのが要件でございました。全体を合わせますと2次試験の合格年齢は26歳で、合格率が8.4%でございます。
この2次試験を合格しますと会計士補として登録ができる者というものになりまして、この時期、当時の監査業界での就職時期ということで就職活動をして、その後、会計士補として登録をする、あるいは登録せずにという方も制度的にはあり得まして、会計士補という、これは当時ございました途中段階での資格ということになりますが、ここに登録をしながら2年間の実務経験、それから1年間の実務補習をして、当時の制度としては2つ同時にできないという制度になっておりましたので、通算で3年かけてこの実務経験2年と実務補習1年を満たすということで、これを満たした以降3次試験の受験をすることができるということで、いわばこの2つが受験要件になっていたと、そして3次試験は筆記試験と口述試験に分かれておりまして、両方合格することが要件でございます。平均の合格年齢が29.9歳で合格率が65.4%というものでございます。
以上が制度の概略でございます。
続きまして資料の1でございます。これは今まで4回ほど熱心なご議論を頂きましたものを今後の議論をなるべく効率的に進めるべく論点という形でまとめてみたものでございます。
1番が「前回の制度改正の趣旨と現状の問題点」ということで、(1)は今もご説明しましたように平成18年から新しい制度になっておりまして、そのときのねらいとしては公認会計士については監査業界のみならず経済社会の幅広い分野で活躍することが期待されているという考え方に基づきまして、社会人を含めた多様な人材にとっても受けやすい試験制度になるように、15年に制度改正を行ったということでございます。他方で残念ながら現状におきましては合格者の経済界等への就職というのは、必ずしも十分に進んでいない。それから社会人の受験生は一定の増加をみているのですが、合格者の増加は必ずしも十分でないということで制度改正のねらいは道半ばの状況にあります。また、未就職者の問題に代表されますように試験に合格しても公認会計士になるために必要な実務経験を満たす目途が立っていないという者が多数発生しているということで、こういったこと全般によりまして試験制度の魅力の低下が懸念をされているということではないかと思います。
2番の「ねらい」でございますが、今後は試験、資格制度を議論するに当たって、何を軸に何をねらっていくのかということで5点整理をしてみました。
(1)が、社会人を含めた幅広い分野に受験生のすそ野を広げ、有為な人材を監査業界、経済界等に輩出できるような魅力のある試験・資格制度とすることということでございます。
2つ目の(2)ですが、公認会計士や合格者が経済界等に活動領域を拡大し、企業の財務情報の信頼性確保等のために貢献をしていくことでございます。
(3)ですが、合格まで長期の勉強期間が必要であり、結果的に合格年齢が高くなるということなどから、合格しても就職できない者が多数発生するということで、前回のご議論ではこういう社会的損失をできるだけ抑制することが望ましいというご意見がございましたので、これを入れてございます。
(4)ですが、監査証明業務に従事をする者、ここでは監査の専門家というふうに略しておりますが、こういった者の質を確保するというのが制度設計をする上で大前提であると考えております。
(5)ですが、後ほど諸外国の制度についてはご説明をさせて頂きますが、日本の社会・企業の特質あるいは就職慣行に適した制度とするということで、海外の制度は参考にはなりますが、あくまで参考ということで検討をしていくべきであろうということでございます。
続きまして、3番目の「論点」でございます。これまでの懇談会におきましていろんなご意見を頂きました。特に前回は一系統二段階の試験・資格制度ということが議論になったと思います。こういったことを想定しながら今までいろんな角度から検討が行われておりまして、出てきた論点をとりあえず事務局の試案のような形で以下にまとめてみましたが、これらについてどう考えていくかということでございます。論点は(1)の「総論的な論点」と次のページの「各論的な論点」に分かれてございます。
まず、(1)の総論的な論点のところでございますが、が合格者の進路決定の多様化や柔軟化を進め、実務経験の幅広い機会を提供するということを考えたときに、やはり早い時期、早い年代での就職活動を促すということが必要なのではないかということで、例えば一段階目の試験の合格時ということでございます。あえて短答と書きませんでしたのは試験制度をご議論頂く際に、1回目の試験が短答でなければいけないということもなかろうということで、とりあえずここでは一段階目という表現にしてございます。ですが、社会人の受験参入や資格取得、ひいては未就職合格者の職業選択の多様化を促進するという観点から、働きながらの合格や資格取得を円滑化するということで、早い段階で就職をし、次は働きながら次のステップに進んでいくということを、どう考えるかということだと思います。ですが、一定の会計知識があることを認めるとともに、公認会計士登録に至る次のステップへの更なる努力を促すと、この道のりが非常に長いということもございまして、長い道のりを努力して頂くということでのモチベーションの維持、インセンティブの付与ということで途中段階での何らかの資格の付与を導入することについて、どう考えるか。
ページをめくって頂きまして、ですが、公認会計士の登録をしている者の質の確保を図る観点から、CPE義務の履行を徹底するための仕組み、何らかの仕組みを導入することについて、どう考えるかということでございます。
続きまして、(2)の「各論的な論点」です。今の4つを具体的にブレークダウンしたときに出てくる論点でございます。これ以降につきましては3枚目をお開け頂ければと思います。ご議論頂く際に頭の整理用に模式図を用意してみました。一段階目の試験と二段階目の試験、それから実務補習、公認会計士、CPEと流れておりまして、実務経験や途中段階での資格というのをどう組み合わせていくかという一種パズルなどがございまして、ご参考までにということでございます。
また、2枚目に戻って頂きまして 最初が一段階目の試験ということで、この試験の位置づけ、性格をどうするかというのが非常に大切かなと思いまして、ここではあえて事務局のほうで一覧をつくってみました。それがこの監査の専門家、または経済界等で活躍する会計の専門家という2つの世界で活躍する専門家の候補者を選抜する試験であるというのが、一つの考え方かなと思います。これについてもご議論を頂ければと思います。
早い段階での就職活動を促すための方策をどうしていくかということで、一つは周知ということで、無職で受験勉強に専念して高齢で合格しても、必ずしも就職できるわけではなくてリスクがあるであるとか、近年では経済界でのニーズが高いとか、実務経験の要件の弾力的な運用をしているといったことで、学生の就職活動を変えていくということでございます。
二点目は、昔に比べて非常に出題範囲が広くなって平均の勉強時間が長くなっているので、ここをもう少し短くできないかというのが受験の現場からときどき聞かれる議論でございます。
三点目ですが、一段階目と二段階目で選抜をしていくことになるわけですが、一段階目の合格者数や合格率の難易度をどうするかということで、(注)でございますけれども、若い年代での合格の観点からは、一段階目の合格者数の大幅増が望ましいということになりますが、これはある意味二段階目で厳しく選抜をしていくことになります。現在の制度も過去の制度もある意味一段階目で厳しく絞って、二段階目の絞り込みはそれほど強くないという現状の制度の中で、こういう形にかえたときにどういう影響が出てくるのかなということで、前回監査法人の方々にお越し頂いて採用時期の早期化ということでご議論を頂きましたが、ご意見が分かれておりまして、この辺によっては採用慣行に影響がするのかなというところがひとつ懸念されます。
次ですが、実務経験を二段階目の試験の受験要件とするということで、ある意味一段階目で就職活動を加速するという点では、二段階目の試験の前に何らかの職業に就くことを強要するということで、就職加速化の効果が期待されるのですが、他方で現役時代に最終合格までいけないというようなこともございますし、在学中にその処遇が決まらないという制度が学生にとって優遇の点からどう映るかというところが、ご議論が必要かなというふうに思っております。
の「二段階目の試験等について」ということですが、ここでの性格をどうするかということで監査の専門家だけを選抜する試験なのか、経済界等で活躍する会計の専門家も選抜するという、監査の専門家と会計の専門家の両方を選抜する試験なのかという位置づけが議論かと思います。それから働きながら受験勉強の負担を分散・軽減する方策ということで、一例を挙げますと、現状一次試験の合格や二次試験の科目別の合格の有効期限が現状は2年間になっているのですが、これを長くできないかというのが社会人受験生のほうからよく寄せられているものでございまして、こういったところも含めて出題方法、科目、免除要件、合格者数、難易度をどうしていくかということかと思います。
4点目ですが、途中段階の資格ということが議論になっておりますが、これは一段階目の試験合格なのか、二段階目の試験合格にするのかということで(注)でございますが、学生の早い時期の就職を促すという点では、一段階目の合格時に何らかの資格を与えるということが、一つ効率的かなと考えられます。他方で国家資格を与えるという点では専門的な知識や能力の最終判定というのはやっぱり二段階目の試験でございまして、この段階での資格付与だというご意見もあろうかというふうに考えております。ちなみに平成15年の改正時には、論文式試験の合格段階で公認会計士としての資格を登録しまして、その後、実務経験と実務補習が終了した段階で監査業務が行えるような開業登録、業務登録というような制度ということについて議論が行われましたが、結果的に採用が見送られたという経緯がございます。
でございますが、「実務補習と実務経験について」ということで、働きながらでも履修可能な実務補習をどう考えていくかということで、これもこの懇談会で出た意見でございますが、実務補習ですべてのトレーニングを負わせるのではなくて、試験に一部分散するとかあるいは継続的専門研修のほうに移すということで軽減できないか、あるいは社会人にとってみると硬直的なカリキュラムというのが大変ですので、編成の自由度、期間の自由度というのが増せないかということでございます。2つ目は実務経験として認められる勤務先企業は、今資本金が5億円以上に定まっておりますが、これを下げられないか。ちなみに会計制度監視機構からの提言書は、今回は時間がなくて席上配付にさせて頂いておりますが、この勤務先要件5億円を1億円に下げてはどうかということ、それから実務補習の自由度をもう少し社会人に配慮してあげられないかという点がございます。
ですが、「CPE義務の履行徹底について」ということで、登録の更新制度を導入してCPEを更新要件の1つとするということについてどう考えるか。またCPEの時間や内容につきましても、実際に会計士の方がついていらっしゃる業務内容に応じて時間や内容が変わるということになっておりませんで、この点をどう考えているか。
最後に「試験科目等について」ということで、上記のすべてを全部総合した上で出題方法、科目、免除要件等をどう考えていくか。それから国際教育基準につきましては、例えば実務補習の修了要件として国際教育基準で必要としているような一般教養科目の履修を義務づけると、最近では大学別に大学に入学をしなくても科目別の履修制度というのができておりまして、こういったことを組み合わせて会計士の資格取得までに大学の一定の教育を求める、あるいは現在論文で選択科目もございますが、この科目の内容を一部洗い替えた上で一次試験にもっていくという考え方もあろうかというふうに思っております。
私のほうからは以上です。海外の制度につきましては補佐の内藤が4カ国回ってまいりましたので、内藤からご説明をさせて頂きます。
- ○内藤補佐
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続きまして諸外国の状況でございますが、諸外国の公認会計士試験制度につきましては各国各様の制度になってございます。順次ご説明いたします。資料3をご覧頂ければと思います。
まず、アメリカですが、アメリカは公認会計士試験は全米で統一的に実施されておりますが、公認会計士資格は、各州の公認会計法に基づき各州政府が付与する仕組みとなってございます。ただし、資格付与の要件等については相当程度統一化されているということでございます。公認会計士数につきましては34万人強おりまして、監査業界等に従事する者が44%、経済界等が39%となってございます。試験、資格の流れといたしましては、学生が就職活動して監査法人、一般企業等に就職した後に公認会計士試験を受けるというのが一般的だというふうに聞いております。試験に合格し、また1年以上の実務経験を経た者が公認会計士資格を取得いたします。公認会計士資格につきましては、3年以内の更新制となってございまして、監査業務、会計業務に従事する者につきましては、CPEを履修しない場合には資格は更新されないということでございます。一方、企業実務など第三者に対して監査会計業務を提供しない場合につきましてはCPEの免除を受けられ、その場合には肩書にイナクティブ、休業中というのでしょうか、それを付すということになっているということでございます。
1枚おめくり頂きまして、次にイギリスでございますが、イギリスは国王の勅許を受けました複数の団体が勅許会計士資格を付与するという仕組みになってございます。監査資格につきましては会社法に基づきまして、ビジネス・イノベーション省という省が監督するPOBという組織がこれらの団体を監査資格の付与団体として認定いたしまして、監督する制度になっているということでございます。複数の団体のうち最も人数の多いICAEW(イングランド・ウェールズ勅許会計士協会)の場合ですが、会員の多くは監査法人に在籍または在籍した者となってございまして、会員数は11万人強、監査業界に31%、経済界に44%従事しているということでございます。ほかの団体もあわせまして全体の勅許会計士数としては22万人強いるということでございます。
試験、資格の流れといたしましては、学生がまず研修契約を結びまして監査法人、一般企業等で研修いたします。ICAEWの場合は多くの場合、監査法人で研修をするということでございます。研修契約期間中に勅許会計士試験を受けまして、試験に合格すると同時に3年以上の実務経験を経まして勅許会計士となるということでございます。勅許会計士になりましたあと、監査業務や会計業務に従事する場合にはさらに2年間の実務経験が求められ、その後に開業資格を取得するということになります。開業資格は1年の更新制でCPEを履修しない場合には資格は更新されないということでございます。一方、企業実務などに従事し、監査会計サービスを提供する組織の責任者等でない場合には開業資格は不要であるということでございます。
1枚おめくり頂きまして、次にICAEWの次に人数の多いACCA(勅許公認会計士協会)というところの場合ですが、この会員の多くは企業等に在籍する者ということでございまして、会員数は6万7,000人強、監査業界に29%程度、経済界に51%従事するということでございます。ICAEWと比べまして試験の仕組み等が若干異なりますけれども基本的な試験資格の流れは同様なものとなってございます。
1枚おめくり頂きまして、次にドイツの場合でございますが、ドイツでは経済監査士法に基づきましてWPKという日本公認会計士協会に当たるところでございますが、ここが経済監査士試験を実施し、資格を付与してございます。このWPKの監督は経済技術省監督下の独立委員会であるAOCというところが担当してございます。経済監査士の人数は1万3,000人強でございまして、試験資格の流れといたしましては学生が就職活動をして監査法人に就職し、3年の実務経験を経た後に経済監査士試験を受け、この試験に合格しますと経済監査士になるということでございます。
経済監査士の場合は監査会計業務のみに従事できるということで、監査法人等以外の被用者となる、または事業活動をすることができないということで、企業等で従事することはできないという制度になってございます。経済監査士にはCPEの義務が課されているということでございます。
最後にフランスでございますが、フランスは会計業務を担う公認会計士の制度と監査業務を担う会計監査役の制度というものがございまして、公認会計士の数は1万4,000人強、会計監査役についても同程度の人数になってございます。
試験は三段階になってございまして、まず、一段階目の会計経営試験というものを受けまして、次に上級会計経営試験というものに合格しますと、その後3年間の実務経験を経まして公認会計士試験を受け、公認会計士試験に合格しますと公認会計士になり、会計業務に従事することができるということでございます。また、公認会計士は、右下のほうでございますが、会計監査役に登録をすれば監査業務にも従事できるということでございまして、公認会計士の多くは会計監査役に登録しておりまして、また会計監査役の多くは逆に公認会計士が占めているという状況になってございます。
会計監査役になるためには別途のルートもございまして、年間の合格者数は数十人でございますけれども、実務経験を15年以上経て会計監査役適性試験を受けて、会計監査役に登録するという制度もございます。公認会計士、それから会計監査役につきましてはドイツと同じでございますが、監査法人等以外の被用者となる、また事業活動をすることはできないという制度になってございます。この両資格につきましてはCPEの義務があるということでございます。
以上でございます。
- ○岳野審議官
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それでは、意見交換に入らせて頂きたいと思います。基本的には資料1の2枚のメモに沿いまして意見交換をさせて頂きたいと思います。具体的な論点は2ページの(2)各論的な論点とございます。そのうち時間を区切って議論するために最初にとまで、それからと、最後にという形で、(2)を大きく3つに区切って議論を進めさせて頂きたいと存じます。その前に1、2、3の(1)の総論的な論点までにつきまして、念のためこういった基本的な部分についてはこういった整理でよろしいのか、この点について最初に意見交換をさせて頂きたいと思います。
もう一度繰り返しますと、1、2、3の(1)までのところをガイダンス的なレビューといたしまして意見を確認したあと、(2)の各論的な論点を3つに分けて、と、それからと、最後にという形で進めさせて頂ければと思っております。なお、進行に応じて柔軟にやり方を変えることはさせて頂きたいと思っております。また、お手元にご議論の参考にするために第1回目から4回目までの配付資料を配付させて頂いております。必要に応じご参照頂ければと存じます。
それでは、最初の1、2、3の(1)までのところにつきまして、ご意見ございます方は挙手をお願いしたいと思います。
大崎さんからお願いします。
- ○大崎委員
-
ありがとうございます。総論と各論というふうに分けて頂いたのに、それに異を唱えるようで申しわけないのですが、この総論をどうとらえるかというのは、実は各論をどう設計するかというのとある意味ループしているのではないかという気がいたします。たしかに諸外国の制度は参考にしかならないというのはそのとおりで、海外がどうなっているかということで日本の制度が規定されるものではないと思うのですが、今ご説明頂いた諸外国の制度を非常に粗っぽく整理すると、監査専門家の資格であるという位置づけをしている国は人数も絞り、選抜も非常に厳しく行う。ただ、実際には受験する人の数もそれほど多くない。それに対して監査専門家というよりは会計の幅広い知識を持った人を国家が認定しているというような位置づけにしている国は、相当程度人数が多くなるような門戸の広い試験にしているという、そういう整理になるのではないかと思いました。
そういうことからしますと、例えばこの総論に書いて頂いている社会人がどんどん資格をとったほうがいいというふうに考えるかどうかということ自体が、この資格を監査専門家の非常に限られた方の資格と位置づけるのか、それとももう少し幅広いものと位置づけるかによって変わってくると思うんですね。私は平成15年改正のときの議論に残念ながら参加しておりませんし、その詳細を必ずしも承知していないのですけれども、そのときどういう資格にするために多様な人を入れようという話になったのかなというのが、改めて気になったと、そういう次第でございます。
私の個人的意見は、やはり方向としては幅広い人たちに対してある程度の認定を与えるという資格にすべきであって、その意味ではこの紙に書いて頂いている総論的な論点の考え方に賛同するものなのですが、そうするとおのずと各論の制度設計もある程度選択肢は狭まってくるのではないかと、こんなふうに思います。
- ○岳野審議官
-
今、大崎さんからおっしゃられたように総論と各論は本来切り離せない者でございますので、そういうものだと私どもも承知しております。ただ、念のため総論的な部分について、もしご意見がございますれば先に承っておきたいと存じます。
青山さんお願いします。
- ○青山委員
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青山です、ありがとうございます。ちょっと質問なんでございますが、先ほどの諸外国の例でもう少し教えて頂きたいのですが、ドイツの制度で非常に限られた人たちが限られた範囲内で限られた仕事に就かれると、そもそもどういうような目的でこういう試験制度をしたのか、その辺もしより詳しくおわかりになるのだったら教えて頂ければありがたいのですが。
- ○内藤補佐
-
すみません、その目的というところまでは承知してございません。
- ○岳野審議官
-
それでは、今のご質問についてドイツの制度の目的あるいは基本的な考え方、そういったものにつきましては改めて次回以降、ご説明できるようにさせて頂きたいと存じます。
松井さんお願いします。
- ○松井委員
-
諸外国の制度についてですが、アメリカでもイギリスでも、あるいはドイツでもフランスでも、いわゆる二系統的な試験というのは見た限りでは存在しないように思うのですが、そういう理解でよろしいのでしょうか。例えばフランスを例に取ると、たしかに会計業務と監査業務というのは最後の段階で分かれていますが、試験制度そのものはいわゆる一系統二段階方式ではあっても二系統方式ではないと思います。二系統方式はどの国も採用していないという理解でよろしいのかどうか、事務局から説明して頂けないでしょうか。
- ○内藤補佐
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国家試験として一つの系統でやっているというのはご指摘のとおりだと思います。
- ○松井委員
-
そういう意味では、先ほど大崎さんから提起された問題は、二系統にするのか、一系統二段階にするのかという点について、皆さんのご意見を聞きたいということだと考えればよろしいのでしょうか。
- ○岳野審議官
-
大崎さんからよろしいですか。
- ○大崎委員
-
私は二系統の試験をつくるというのは正直言いまして全く念頭になかったんですが、一系統二段階で最初に中間的というのか幅広い会計知識を証明するような資格が得られて、その後何らかの監査に特化した資格という、そういう想定で私は申し上げたのですが。で、ドイツなんかはその中間段階がない制度なのかなという理解をいたしまして、それとの違いがあるのではないかと申し上げたのですけれども。
- ○岳野審議官
-
副大臣お願いします。
- ○大塚座長
-
おくれてきてすみません。何か私が質問をするのも変なんですが、島崎さんとかご存じの方がいらっしゃったら教えて頂きたいのですが、アメリカはこれだけ人数が多いですよね、現に資格を持っておられる方が。で、ドイツとかフランスは非常に少人数なわけですよね、これはドイツとかフランスの企業監査をされる方々が一人で多数のクライアントを持ってやっているということなのか、それともアメリカに比べると非常に粗い監査しかやっていないということなのか、その辺はもし実情をご存じの方がいらっしゃったらお教え下さい。
- ○岳野審議官
-
増田会長お願いします。
- ○増田委員
-
お答えになるかどうかわかりませんけれども、ドイツとかフランスはたしかに上場会社の数は少ないと思います。開示制度自体はやっぱりアングロサクソン系が進んでいまして、この会計士の企業監査だとかそういう制度については少なくともイギリスから始まってアメリカというふうに広がってきているということはあると思うんですね、だからそういう意味では上場会社の数だって全然違いますし、ドイツなんか少ないですし、フランスもそうですけれども、それに比べればやっぱりイギリスだとかアメリカのほうが多いということは言えるのだと思います。それから粗っぽい監査をしているということですか。
- ○大塚座長
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クオリティ的に差があるということではないんですね。
- ○増田委員
-
それはないと思いますね、クオリティ的に差があるとは聞いていません。実際にそこへ行ったわけではないからわかりませんけれども、粗いとは聞いていません。数は少ないということは聞いています。
もう一つ、ちょっと付け加えておきますと、監査する上で会計士は責任をもってやっていますけれども、チームでやりますが、その中には会計士の卵みたいな人もたくさん入っていますけれども、そういう人をたくさん使っているということはあるのだと思います。その辺の実情はちょっとわかりませんので、簡単には言えないと思います。
- ○岳野審議官
-
島崎さんお願いします。
- ○島崎委員
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この総論のところまでの整理の仕方についてはこれでよろしいと思いますが、総論の例えばのところで早い段階で進路を決めると、「一段階目の試験の合格時での就職活動を促す」と書いていますが、いわゆる第一段階と第二段階というのはどういうところで仕切っていくのかという当たりが非常にポイントではないかと思います。その点は次に議論するという前提でこの総論的な論点の整理でよろしいのではないかと思います。
あとは今、副大臣からお話のあった監査の会計士の数の問題、これは人口比だとか企業の数等とか比べますと、日本は公認会計士に登録をしている方は今2万人ですか、そういう比率観からいくとそれほど極端に少ないわけでもないのではなかろうかと、こう思っていますし、私どももフランス、ドイツに会社を持っていますが、決してずさんで甘いということではなくて日本と変わらない監査を受けていると認識しております。
- ○岳野審議官
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太田さんからお願いします。
- ○太田委員
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質問なんですけれども、この資料2の絵はすべて一番最後の出口が監査をやる人、監査業務の出口しか書いていないのですけれども、総論のペーパーはそうではなくてもう少し経済社会等で幅広い専門性を持った人が活躍するということが書かれているので、この絵としてはどうしてここに限定された絵にされているのか、何か理由があれば教えて頂きたいです。むしろ資料3にあるように「企業実務等」という矢印もあった上で議論をしていかないといけないのではないのかなと、ふさわしくないのではないのかなと、こういう質問であります。
- ○岳野審議官
-
事務局からお願いします。
- ○土本参事官
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資料2をつくりましたのは資格取得ですね、公認会計士という資格を取るまでにどういう流れになっているかということを書いただけでございまして、15年に改正したときの議論は、むしろ会計士の資格を目指さずに試験の合格段階で企業実務等、いろんなところで活躍するということも十分あっていいし、そういった対応ならキャリアパスも見越したような制度設計もしようということで、この資料2よりもより広いことを念頭において議論をしておりました。ただ、資料2はとりあえず現状の資格取得までにどんな流れになっているかということだけをお示ししたくて、あえてちょっと範囲を限定した資料にしているということで、これがいいということでお示ししているものではございません。
- ○岳野審議官
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松井さんお願いします。
- ○松井委員
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総論的な論点のにある通り、受験者に早い時期での就職活動を促すというのがポイントだと思います。就職活動の現状を考えると、大学4年生のときに就職活動をするのではなくて、3年生で活動をしているのが実態です。一方で、資料2によれば、短答合格までに平均2.3年、さらに論文合格までに平均1.3年が必要ということです。つまり、旧制度でも26歳というのが平均合格年齢でしたが、新制度でも、論文試験合格のためには、卒業後まで勉強するのが平均的な姿だということになります。仮に在学中に受かるとしても4年間を全て勉強に捧げることになるわけです。もちろんこれから企業の方でも採用慣行というのは変えていかなければいけないとは思いますが、大学生が3年生のうちから就職活動を行うという現実がある以上、総論的な論点のにあるような方向を考えていくにあたっては、そうした現実を十分考慮する必要があると思います。
- ○岳野審議官
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それでは、もしよろしければこの総論も各論も完全には切り離せませんので、各論のほうに入らせて頂きます。常に全体との関係を踏まえたご議論になると思いますので、次に進ませて頂ければと思います。
それでは、2ページ目の(2)各論的な論点の一段階目の試験と二段階目の試験、それから途中段階の資格を付与したとすると、一段階目と二段階目のいずれの合格時が適当かといったような基本的な骨格の部分につきましてのご意見をちょうだいしたいと思います。
先ほど事務局からご説明したような問題意識で論点を整理してございます。これにつきましてどなたからでもご発言頂いて結構でございます。それでは、宮口さんからお願いします。
- ○宮口委員
-
ありがとうございます。税理士会から参っております宮口でございます。先ほどの論点にも関係してくるかと思うのですが、公認会計士のドイツの人数、その一方税理士という資格がドイツにはありますので、それに絡んでいるのかなというふうな気もいたしますので、そちらも合わせてご報告賜ればありがたいなというふうに思った次第です。
また、二段階式、一段階目と二段階目ということですが、二段階目にCPAとして認めていこうということのお考えはわかるわけですが、一段階目としたときに例えば我々の税理士試験の場合でしたら、科目制度の合格制度をとっております。会計への資格者が必要であれば簿記、財務諸表の合格者あるいは日商さんの一級の検定試験の合格者、そういう人となぜ区分していかなければいけないのかというのが私は理解できませんので、その辺の説明を頂ければありがたいと思います。
- ○岳野審議官
-
今の点につきまして、このメンバーの皆様のご意見をまず承りたいと考えておりますのでよろしくお願いいたします。
先ほど手を挙げておられました大崎さん、それから上柳さんいかがでしょう。
- ○大崎委員
-
すみません、何度も発言して。私、実はここに書かれている平成15年改正時において検討されたという制度が、結論的に非常にいいのではないかと思うのでありますが、採用が見送られたと書いてあって、だから今回も見送るという趣旨のようにも見えるのですけれども。なぜ、この制度が見送られたのかというのがよくわからないのですが、私はこういう制度が一番望ましいのではないかと、正直一段階目の試験というもので余り公的な資格というようなことをしてしまうと、ちょっと資格として安易になるのではないかという感じがいたします。
先ほど一段階目が短答で二段階目が論文というふうに決めつけるわけではないとおっしゃってはおられましたけれども、逆に一段階目の試験で短答プラス論文などということを仮にやりますと、それこそ前にも出ていた話ですが、その採点はどうするんだというような非常に難しい問題もあるかと思いますので、私の想定は何となく一段階目が短答で、二段階目が論文でそこで合格すると資格が得られるのだけれども、その後実務補習、実務経験等々で監査業務の資格が最終的に得られると、こんなイメージかなと、それが望ましいのではないかと思っております。
- ○岳野審議官
-
上柳先生よろしいですか。
- ○上柳委員
-
上柳ですが、私はこの各論の、について結論的にいうと一段階目、二段階目両方とも合格された時点で中間的な資格を付与するというのが妥当だと思います。これは随分昔の制度に戻るような感じもしないこともないのですけれども、例えば会計士補なり准会計士なり、そういう名前の資格を与えるのが妥当なのではないかというふうに思うところです。
統計といいますか、資料の中で合格者の年齢の問題がありましたけれども、在学中に合格される方は3年というのは無理にしても、4年生で優秀な有為な方々は今まで合格されていますので一段階目のところだけではなくて、いわゆる論文的なことも含めたところまで目指して頂いて、そこのそのあと実務経験を踏まえて監査実務に就かれるのか、あるいはそうではなくて一度は実業界に出られるのか、そういう選択を与えるということであれば恐らく今よりもたくさんの若い人たちが受験を希望するのではないかというふうに予想します。
- ○岳野審議官
-
先ほど手の挙がっていた小山田さんから先にお願いします。
- ○小山田委員
-
今の各論的な第一段階目の試験と第二段階目の試験の関係ですが、実は私どもも、この前もちょっとお話ししましたけれども、戦略財務会計コースを設けておりまして、今まさに新卒、来年の4月に入ってくる人たちの採用活動をやっているのですが、かなりやはり多くの方に関心を持って頂いておりまして、100名ぐらいがそのコースに今応募を頂いている状況です。そのうち私どもは5~6名程度採りたいと思っているのですが、公認会計士の資格を持っている方がもう既に5名いらっしゃるということで、まだこれから監査法人さんもいろいろ行かれてということだと思うのですが、一つの重要な選択肢として民間企業で働いてみたいという思いもかなり強く持っていらっしゃると。ただ、逆にいえば残り90名以上の方は、この戦略財務会計コースで一生懸命頑張りたいけれども、これから試験も場合によっては受けたいということで、まだかなり軟らかな状況であります。
そうした中で、私どもとしては第一段階目と第二段階目を切り離す一つの大きなポイントは、やはり監査業務をどこまでやるか、監査業務を本当に究極の目的にされるのか、そうではないのか、つまり一般的な財務なりのベースの知識をしっかり持って頂いて、会計あるいは財務で会社の中でしっかりノウハウをつけていきたいと思っていらっしゃる方は必ずしも監査業務ということについて、そう大きな思いを持っていない場合もあると思います。そのため、この第一段階、第二段階で何らかの区別をしたいなと、第一段階でやはり一定の称号なり何らかのサーフティフケートを与えるような試験、ただそれも余りいい加減な試験ではなくて、場合によっては次の監査につながる試験かもしれませんので、先ほどお話ありましたけれども短答と論文もあってもいいと思うのですが、そこで試験を受けて合格された方には一定の称号を与えると。
さらに、そこから監査を本当にやりたいという人は、企業の中で監査業務を目指されてもいいですし、またそれに受かって次にすぐ監査のほうをまた勉強されてもいいと思いますけれども、そういう意味での二段階の構築をして頂けると非常にベースが広くなって、その中から複線化が図られていくのではないのかなと思いますので、できれば結論からいうと第一段階で、やはりここで一回ライセンスといいますかサーフティフケートですね、そういうものを与える。ただ、やはり次につながる試験ですからいい加減な試験ではなく、やはり一定の難易度を持った試験をしっかりやって、第二段階目では今度は監査ということにかなり集中した試験なり、それからそこに実務補習とかそういうことをリンクさせていって、最終的にそこが受かれば監査ができるというような二段階制ですと、非常に我々にとってもいろんな意味での締めつけもしやすいですし、一定のプールの人材を企業内にも抱えることができるのではないかなというふうに思います。以上でございます。
- ○岳野審議官
-
八田先生、先ほどは失礼しました。
- ○八田委員
-
これまでの議論を聞いて現行の試験制度の見直しを考えるときに、また、今日たまたま日本の公認会計士試験に関する旧制度と現行の制度の比較表が示されたことで、これを今一度よく見てみたときに、旧制度の試験で何で悪かったのかと、結局もとへ戻せばいいのではないのかというような見方もできなくはないわけです。平成15年のときになぜ試験制度が見直されたのかというと、私も全部は掌握していませんけれども当時の公認会計士制度部会の議事録を読んでみると、一、二回しか開催されていないと思うのですが、当時、あのときに私も教育の立場で関心を持って見たときに2つの点が指摘されたんですね、1つは、旧制度での一次試験が本来の役割を失ってきたということです。この一次試験というのはいわば大学等へ進学しない人たちの救済措置であって、これは昭和23年制定の法律であり、当時大学への進学率は5%か7%でしたが、それが現状ではもう7割ぐらいに達したときに意味がないということだったと思います。と同時にもはや一次試験の受験者は激減して、数十名、ないしは数名のために試験委員としてものすごいエネルギーがかかっているということもあり、したがって現行制度ではなくなったわけですね。
もう1つは、社会人の人たちの再登用が必要であるということです。先ほども今回の制度改正がどういう理由なのかということで、たまたまこれは平成15年の試験の実施に関する審査会の報告書ですけれども、これで見るとやっぱり監査業務以外の担い手として会計の専門家がほしいのだということ、そういう人を企業でも多く採用したいという流れがあって、特に企業や公的部門などにおける財務諸表の作成、内部監査従事者等の専門的な実務の担い手として経済社会における重要な役割を担うのだということ、そして実務経験のある人を採用したいということから、そのための試験制度であったほうがいいのではないかという意見が大勢を占めていたようです。たしかにかつての二次試験合格者は大学卒業生を含めてほとんどが受験浪人なんですね、私も当時そういう経験があって、大学を卒業してから試験に受かるわけですけれども、そうすると社会人がチャレンジするのはなかなか難しいと、だから門戸を広げてあげようということで少し試験制度といいますか、レベルといいますか、だれでも受けられるように簡素化したものにしたということだと思います。
そしてそのときの経済界の意見は、今回たまたま島崎さんもおっしゃっているように、我々は、会計の専門家は欲しいのだと言われるのです。ところが実際に制度が変更になって合格者数が増えてはみたものの企業は合格者を採っていないわけです。本当に採る意思があるのかと問いたいと思います。例えば二段階形式にして第一段階クリアした准会計士ですか、そういう人たちがいっぱい出たときに、少なくとも上場会社は最低一人か二人は必ず採用するという流れが見えるならば、日本の制度として私は大いにすそ野を広げるためにやってもいいと思うのですが、どうもそうとも感じられない。
それからもう一つ、今たまたま小山田さんの話にありましたが、監査の専門家は我々いらないとおっしゃっているけれども、我々会計の人間からみると監査というのはいわゆる会計という世界の最後の締め括りに当たる業務であって、監査というものに対してどういう理解をされているのかわかりませんけれども、何か特別な人が監査業務をするというようなふうにお考えになっているのか、そうではなくて広い意味での会計というものの最後の着地を見極めることであって、財務分析だ、経営分析だと同じように監査分析という言葉があるぐらいで会計業務全般に関する目を養う領域であると解することもできると思います。ただ本業として監査業務に携わるのか、そうした知識や経験をもった上で企業財務等の業務に活かしていくのかによって違うのでしょうが、試験については、ずっと同じであって最後の試験までいって、あとはそれぞれの役割を担えばいいということだと思います。ですから資料3のところで見せられている監査業務、会計業務、企業実務というのは全部一緒にあって、日本もそういう方向を目指すということで、私は何も問題ないと思います。
ただ、問題はここへきて二段階試験の方式、この部分が旧制度とちょっと違うかもしれませんけれども、私は自然に理解できるのでこの方向性で、あとはどういう科目を張りつけて、どのレベルの人たちを採用し、どういった就職先を用意してあげるかということを考えて頂ければいいと思います。
以上です。
- ○岳野審議官
-
島崎さん、お願いします。
- ○島崎委員
-
産業界の話があったので、ちょっと説明をしておきたいと思います。資料2の現在の流れと旧の流れというのは、これはあきらかに見ると違うわけですよね、旧の試験の場合には三次試験があって、ここでまた記述試験、口述試験とあるわけで、あきらかに現在のルールとは違っているわけで、そこは大いに選抜の流れが違っているということが一つ。
企業の話については私も何回かここでご説明させて頂きましたけれども、実際問題、公認会計士の試験の合格者というのは基本的には監査法人に就職することを目指しているという現実があります。これは受ける人の意識の問題が相当あると思います。企業が相当数を採用するのかしないのかという話の前に受ける方が、自分は国家試験に受かったら企業に入って会計実務をやるんだという意識の改革というのが、この新しい制度になってからそういう努力をされていなかったと思うんですね。ですから試験合格者は皆さんは監査法人に入るのが目的であるという意識がいまだにある。
かつJ-SOX特需等々があって、監査法人も会計士の人数をふやさなければいけないという環境もあったということだろうと思うんですよね。ですからそれはそれで需要と供給がマッチしてきたわけで、ここにきて環境の激変もあってギャップが出てきたということだろうと思います。ただ、その間、企業が公認会計士の採用をふやしていないかということですが、各企業における公認会計士の資格を有している方の数は増えているわけです。我々の会社でも既に十数名、この5年でふえているわけですから、いや、住友商事が特別だという議論が出るかもしれませんけれども、この流れは確実にあるということです。ですから今、八田先生がおっしゃったのはある一面をとらえてお話ししているので、必ずしも企業全般に当てはまる話ではないということをお話させて頂きます。
- ○岳野審議官
-
松井さん、お願いします。
- ○松井委員
-
今の島崎さんのお話に対する補足のような感じでお話したいと思います。資料3のフランスの公認会計士制度ですが、例えばこの制度における会計経営試験は、言うなれば短答式試験にプラスアルファしたもののようです。資料を見る限り、この試験に合格した段階で一般企業に就職する流れが存在するように見えます。そこで、この試験の科目を見てみますと、例えば実務英語といった科目が含まれていることが分かります。企業としては、例えばこのような試験であれば合格者を採用する気もおきますし、その採用された当人がもう少し勉強してさらに会計士の道を目指すというのであればそれはそれで良いことでしょう。あるいはその人が、この段階で気持の整理をつけて企業で働き続ける道を選ぶのであれば、それもそれで構わないと思います。
わが国の会計士試験においても、合格者は百人、二百人の話ではなく、毎年何千人も生まれているわけですから、その人たちの働く場所をどうやって確保していくかという問題が、一番大事なのではないでしょうか。何回も言っていますように、私は受験者側の立場に立ったものの見方が何よりも必要なのではないかと考えております。こう言っては申しわけないですが、これまでの議論は供給者側の論理に立脚していた面があると思います。例えばこの懇談会の委員には受験者側の代表は一人も入っておりません。もっとも、仮に受験生の代表や監査法人から若手の誰かが出てきて意見を言おうにも、こんな偉い人たちがたくさんいる中では萎縮してしまい、無理な話かもしれませんが。いずれにしろ、受験者側、つまり就職浪人や受験浪人という現実に直面する立場の人たちのことを考えて、その上で制度設計をするというのが一番本質なのではないでしょうか。
- ○岳野審議官
-
副大臣、お願いします。
- ○大塚座長
-
松井さんがいいことをおっしゃってくださったので、私もちょっと発言させて頂きたいのですが、この間うちの事務方で打ち合わせをしたときに私も全く同じような意見を内部では申し上げたのです。というのは、ここでいくら考えてもこれから受験する人は一人もいないわけですね、これからこの試験を受けて社会に出てくる人たちが受けてみたいないしは受けようという気になるかどうかがポイントで、したがって総論のところで「ねらい」の(5)番にあえてこれを付け加えさせて頂いたのです。「日本の社会・企業の特質、就職慣行等に適した制度とすること」と、だからいくらここで高邁な制度をつくっても学生が見向きもしないような制度であれば、また同じ失敗を繰り返すのではないだろうかというそういう問題意識で今日は臨ませて頂いております。それが一点です。
それから前回か前々回のときに申し上げたと思うのですが、どんな資格であれ、その資格を取ったら就職が約束をされている資格というのはないわけでありまして、そこのところは認識をある程度共有させて頂かないとそれぞれのご意見がミートしない可能性があるので、それはそういうことでいいでしょうかという、私の意見でもあり、確認しなければならない点だと思っております。
その上でそういう前提で、そういう前提というのは必ずしもその資格を取れば何か企業への就職が約束されていることではないということだとすれば、そうすると何が論点かというと、せっかくこういう資格を目指して勉強するという有為な若者たちが、国の人材としてむだにならないようにしたいというそういう視点があるとすれば、やっぱりある程度早く受かるようにしなくてはいけないという視点があります。でも、早く受かりすぎると今度はクオリティが心配だということであるとすると、実は前回少し議論になったCPEというのは何のためにあるのだろうかというこの問題になるわけであります。早く受かって、早く業界に入って、しかしCPEでブラッシュアップを続けなければ資格を喪失するということであれば、早めにたくさんの人材を世の中に出して、しかし、しっかり自分で継続的にレベルアップしていく気がない方はスピンアウトしていくということであれば、おのずと長年残る人は大変レベルの高い人たちになっていくわけでありますので、実はよその国がどうであるかというのはこの際関係ありません、我が国の公認会計士制度としてこのCPEというものをどういうふうに位置づけていくのかということと、我が国の就職慣行、今の若い人たち、学生の皆さんの気持ち、この辺を絡めてまたいろいろご意見頂けると大変ありがたいと思っております。
- ○岳野審議官
-
大塚副大臣から次のステップにお話を進めて頂きました。(2)の各論的な論点の中のとに移らせて頂きたいと思います。CPEまで含めて一段階目、二段階目、CPEといった全体をにらんでどういうふうな設計があり得るかということに議論を広げまして、ご意見を頂ければと存じます。
島崎さん、お願いします。
- ○島崎委員
-
資料2の今の取得の流れをイメージしながらちょっと一段階、二段階、それからCPEのところをお話させて頂きますけれども、この短答式の段階で一段階として何らかの資格を与えるということについては、ちょっとどうかなという感じがするわけですが、かといってそれではこの論文式試験、今現行のものを監査論なども含めたすべてが合格した段階で云々となると試験が若干難しい、社会人などが受ける道も若干狭まるし、若い段階で合格するということからしてもちょっと考えなければいけない点だと思いますので、この論文式と短答式の試験の中身について見直しながらこれを試験として一つにして、これが合格する段階で何らかの資格を与えていくと。
次に、公認会計士としての監査証明業務を行うには実務経験、実務補習プラス例えば監査論が必要であれば監査論をここで義務づけるとかそういうようなことも考えられるのではないのかなと、こう私は思います。
- ○岳野審議官
-
太田さん、いかがですか。
- ○太田委員
-
同じような趣旨のお話になるのですけれども、経済界というか企業から見たときに第一段階の試験、ここで想定しているのは現時点の短答式の試験を想定していますけれども、そのレベルの方を会計のプロフェッショナルとして採用のときに特別に別枠で採用するということには、そのレベルではなかなかならないのではないかと思うんですね、やはり会計のプロフェッショナル、一定の知識能力を持ったというふうに考え得るのは、やはり現在の試験制度でいえば論文式の試験に受かったレベルということだと思うんですね。したがいまして、ある一定の資格を付与するという段階については、私も現制度でいえば論文式レベルが妥当だというふうに思うわけであります。
また、そのときに今度は資格の付与ということになりますけれども、平成15年の、(注)書きにありますけれども、先ほど大崎さんもおっしゃったのですけれども、そこでいったんの資格の付与というものがあって、そこから先は監査に進む方と実務に進む方、実業に進む方というふうに分かれていくということなのではないのかというのが私どもの思っていることであります。
もう一つ、のところに言及すれば実務補習というのはなかなか今、企業の中でこの実務補習を受けるというのは企業側が相当、周りがというか会社がというか便宜を図らないと難しい状況だと思うんですね、ですからもう少し実務補習のところを柔軟な実務補習ができるような時間の割り振りだとか期間を工夫する必要があるのではないかというふうに思っている次第であります。
- ○岳野審議官
-
大崎さんお願いします。
- ○大崎委員
-
今、島崎さんあるいは太田さんがおっしゃったことと私もイメージしていることは非常に似ているのですが、ただ一つ、ちょっと強く申し上げておきたいなと思いますのが、先ほど小山田さんから中間的な資格ということで公認会計士ではない名称の資格というようなお話があったのですけれども、私はむしろ二段階目の試験を終えた段階で公認会計士資格を付与されるということが非常に重要ではないかと思います。これは現在公認会計士という資格を持っておられる方は大変抵抗をお感じになると思います。それは私がよりよく知っている分野でいいますと、司法試験がまさにそうで旧試験に受かった方は往々にして新司法試験の人をいわば自分たちとは違うのだといって低く見ようとする傾向がございます。
ただ、これは社会の変化に応じて資格の位置づけ自体が変わるわけなのですから、そこを大きな目で見て、むしろ昔の資格を取った方が、新しい資格が一見自分が取ったときの資格よりも簡単に取れそうに見えたとしても、広く仲間として迎え入れるというのが必要だと思うんですね。ですから監査実務に直結するような補習であるとか追加の試験を受けて監査独占業務を行うようにするということは、それはそれで当然だと思うのですが、その前の段階でもう公認会計士というふうになると、ですから逆にいえば公認会計士だからといって監査ができるとは限らないという世の中にするということが、私は非常に重要だと思っております。そして中途半端な資格で、例えば先ほど八田先生から、それではもう旧制度に戻るみたいな話じゃないかというお話がありました。たしかにそうなんですけれども、旧制度と違うのは恐らく会計士補ではなく公認会計士を付与するというところなのだろうと私は思います。
- ○岳野審議官
-
一斉に4人の方から手が挙がりました。上柳先生、小山田さん、増田会長、それから八田先生ということでございます。ここはまずは増田会長からということでお願いします。
- ○増田委員
-
確かに私は旧試験でそれこそ受かっている最初の方の組です。そういう意味では40年前の話になってしまいますけれども、旧制度に戻すつもりで私は話しているわけではありません。会計士という資格にどういう役割を担わせるかということで、先ほど大塚副大臣がおっしゃられた有為な若者が試験に合格したけれども就職できないと、こういう話をちょっとされていましたけれども、実はそういうことではなくて国家試験として、前々回も申し上げましたけれども、試験に受かったけれども資格が取れないということを申し上げているのです。実務経験の場がなければ資格が取れないわけですね、そこが司法試験とは全然違うということを前に申し上げました。これが一番問題なんです。資格が取れたあと就職できないというのであれば、これはしようがないということだと思うのです。
それから先ほど経済界からいろいろ意見がありましたけれども、試験に合格する一段階目の試験でもいいですけれどもレベルの問題だと思うんです。若いうちに受かるということになると、それなりの試験制度に当然なっていくわけです。たくさんの人が受かるようにするにはそれなりになってくるでしょう。そういった場合に就職試験ではないからそれはそれでいいと思いますけれども、では、その人たちは会計士になれるのかどうかという問題なのです。もともと公認会計士になろうとしている人たちというのは、基本的に監査ができる公認会計士になろうと思って試験を受けているわけです。その人たちにそれは考え方が違うよ、公認会計士でなくて別な資格を目指しなさいと、例えば経営士でも何でもいいのですけれども、名前をいうと語弊がありますが、例えば准会計士でもいいですけれども、そういう資格でいいということで、それでも試験を受けるかどうかということになっていくと思うんですね。
合格した人はやはり監査ができる会計士になりたいということで、今希望して受験してきているわけです。しかし、実際には業務補助だとか実務従事ができる受入側のキャパシティ能力はある程度限界があるわけですが、その中で受験する側は、会計士の資格が取れるような実務経験の場が得られるという前提で会計士試験を受験しているのだと思いますし、いずれにしてもどういう設計をされるにしても監査ができる会計士になるということが、まず大前提なわけで、これはなぜかといいますと、監査の質が必ず問われるわけです。そのときに公認会計士がやった監査だということになれば、当然それは会計士協会でちゃんと品質を見ているのかと、先ほどCPEの話もちょっと出ましたけれども、CPEもちゃんとやっていないのがいるじゃないかとかそういう話に当然なってくるわけですけれども、そういうきちっとした監督管理をしなければいけないことになりますね。今でも監査の質が問われているわけですが、その中にいろんな人がどんどん出てくるということになれば、それなりにまた大きな問題が出てくるのだろうというふうに思いますね。
- ○岳野審議官
-
八田先生いかがですか。
- ○八田委員
-
先ほど大塚副大臣が言われたところの話で、私も基本的には早い段階で資格を与えるということには賛成ですが、クオリティの問題を指摘されました。ただ、私自身、監査人あるいは監査結果のクオリティについては全く違う側面が2つあると思うのです。それはいわゆる個人の資質の問題、例えば正義感とか誠実性とか正直さといった側面と、もう一つは、いわゆる実務経験、熟練の部分、つまりプロならば当然こういったところを見ていたけれども、未熟なため見過ごしてしまい、それによって粉飾を見抜けなかったといった側面、つまり実務経験が必要だとかあるいはある程度キャリアが必要だというのはそちらのほうだと思うんです。ところが実は前者の側面については、年齢がいってもはっきり言って資質が劣っている、あるいは十分でないとか、やはり自分を利するような方向を考えてしまったとか、あるいは情にほだされて癒着に入ってしまったと、こういう弱い性格、これは別に年を経ているからとかは関係ないですね、ですからその辺をどうやってトレーニングするかとなると、私などは例えばこれは若い人たちのほうがかえって純粋でそういったものに対するけじめははっきりつけるかもしれない。ところが結構もう世の中の清濁を合わせ飲んでしまっていると、まあまあとなってしまうという、これはなかなか難しい問題で若いからだめだとかクオリティに問題があるいうことではないと思います。
それと先ほど提示されている二段階の話でしょうか、何となくこの一系統二段階方式の試験制度について、どんどん外堀が埋まってきていますので、私はこれを前提にお話をしますけれども、ここで言っている一段階目の試験というのは短答式を念頭においていないということは、私もこれまでの会議で何度も申し上げているわけで、多分先ほど島崎さんが言われたように、今の短答式と論文式を足したようなものだと思います。短答式は客観問題でコンピュータによる採点ができるから人海戦術がいらないと、一方、論文式はいわゆる記述ですから採点が大変だというけれども、それはやり方の問題であって、科目の中の半分は客観問題で半分が記述であって、半分のほうはいうならば前提試験で、それを通ったら論文式を採点しますよと、そんなのはいくらでも対応できるわけであって、多分各論の最後のところでこの試験の内容というのについての検討もなされるのでしょうね。
一段階の試験を通ったら、ここで公認会計士の称号を与えるのはなかなか抵抗がありますから、他の業界を見ても例えば一級建築士、二級建築士とか測量士、測量士補というのがあります、でも会計士補だともとへ戻ってしまうので二級公認会計士か、それがいやならば公認会計士補でもいいのではないかと思います。そして、もうそれでいわゆる実務的には会計の基礎知識はちゃんとあると、あとは実務経験を踏まえていくけれども、もう既に社会人の方は実務があればかなりそれをフレキシビルに読み替えて頂いて、同じ年に最終試験まで到達できると、そうすればかなりモチベーションも高まってくるのではないかと思います。2年とか3年間を置かないで鉄は熱いうちに打てる形で一気に合格できるような感じです。ただ学生の場合はなかなかそれはできないですから、企業ないし監査法人に行くとか、あるいは専門職大学院の場合には実務教育もやっていますから、そこでの単位を大きく認める形をとるならば大きな社会的な損失は生じないと思います。その辺我が国の制度に即する形で読み替えをして頂ければ、かなり効率的な試験になるのではないかと思います。
- ○岳野審議官
-
それでは、先ほど小山田さんと上柳先生から手が挙がっておりましたけれども、先ほど副大臣から、の領域、特にCPEの点につきましては言及がございました。前回でも少し話題になりましたけれども、のところ、登録の更新制度を導入し、CPEを更新要件とすることについて」、この点につきましてご意見を頂ければと存じます。
小山田さんお願いします。
- ○小山田委員
-
では、CPEの件も含めてなのですが、私はこの一系統二段階論ですそ野を広くして、最後本当に監査はやっぱり監査の品質を求めないといけないので、そこの場をしっかり維持していくというのはいいことだと思います。ただ、やはり今の公認会計士を受けられる方はやっぱり監査をやることが非常に大きな目的になっているので、そのフレキシビリティを与えるための二段階論なので、最初一段階を公認会計士、二段階を監査公認会計士でも良いのですけれども、多分そこは一つの大きな流れの中で制度設計をしていくということだろうと思います。
CPEについては、私の思いとしては監査のときにやはりCPEというのは、これはまさに監査の質の維持という観点で必ずそこのブラッシュアップは必要で、ここは非常に力を入れないといけないと思うのですが、仮に一段階目のところで一定の基準をクリアした人で何らかの資格を与えた場合には、そこにCPEを入れていくというのは少し違和感があるということで、やはりこれは国家がそういう監査ということのライセンスを与えることの維持としてのCPEという形で整理をしていくのが妥当ではないかなというふうに思います。
以上です。
- ○岳野審議官
-
先ほど手を挙げられた上柳さんお願いします。
- ○上柳委員
-
私はCPEをきっちりやることと、それから資料2の表ではちょっと抜けているのかもわかりませんけれども、公認会計士に対する行政的な監督がきちんとなされることはある意味では条件ですけれども、実務補習についてはもう少し緩和されてもよいのではないかというふうに考えています。
それからCPEの更新制については、ここは迷うところですけれども、場合によってはきっちり受けていない人はその資格を奪うといいますか、あるいは停止するというか、何かネガティブオプションみたいな感じにしたほうがいいような気がして、単に技術的なことかもわかりませんけれども、この更新制というのはいいように見えてやっぱり一番きっちりやっている人は形式的な手間暇がかかって、何となくコストに見合った効果があるのかなというふうに少し思うところです。技術的なことなので余り固執するものではありませんが、以上です。
- ○岳野審議官
-
藤沢さんお願いします。
- ○藤沢委員
-
ありがとうございます。CPEのこともうかがいたいのですけれども、もう一つ、少し話が戻ってしまって恐縮なんですけれども、お話をうかがっていてずっともやもやと悩んでいたことがあって、この見直しをしている理由って何なんだろうということをもう一度考えていたときに、幅を広くしてたくさんの人に会計士になって頂くというか、その知識をふやすということは社会全体の底上げにはつながるのですけれども、同時に監査人の質も上げなければいけないと、私は副大臣がおっしゃった若い人というのはとても賛成なんですけれども、若い人は大学生だけなのだろうか、今大変なのは二十代後半から三十代で仕事をやめざるを得ない人とか、仕事を持っていない人がいて、そういう人たちがもう一度こういうものにチャレンジできるような仕組みというのをこの中にもう少し考えられないだろうと、そういう人たちは実は企業の財務で働いた経験があったり、監査法人で働いた経験がある人もいるかもしれない。
今の新しい試験制度であれば試験の合格の前であろうが、あとであろうが実務経験というのは考慮しますよというのであれば、事前にそういうことをした人たちがもう一回試験にチャレンジできるようにするにはどうしたらいいかということを考えたほうがよいような気がするのです。大学を卒業して資格を取ったからといって若いころに考えたことで人生決まるわけではないので、働いてみるときっと人生って変わるものだと思いますから、若い人を考えるときに一度働いたことがある人のところに枠を広げて考えてみてはいかがでしょうかということで、そういう意味で、もう一度CPEのところに戻さなければいけないのですけれども、今回の改正を考える中で大事なのは幅を広くして会計士的な能力を持った人をふやすということと、もう一つは、やはり監査人の質の向上であるとするならば、やはりCPEというものを課す人はそういう監査人としての高い能力を求める人にそういうものを受けて頂くということは、ひとつ検討するものなのではないかなと、そんなふうに思います。
- ○岳野審議官
-
大崎さんお願いします。
- ○大崎委員
-
私はCPEについては、これはやっぱり監査業務の独占ということと結びつけて制度としてきちっとする必要があるのではないかと思っております。アメリカの制度に近いイメージなんですけれども、判子を押さない人も含めて監査業務に直接従事する人に関しては、やはり何らかの監査や監査会計士の職業倫理などに特化したような継続教育を一定程度課して、それがない場合にはそういう監査業務には従事できないというふうにするべきではないかと思うんですね。
一方で、単純に例えば資格を5年ごとに更新しろとかというのは私は余り感心しないアイデアだと思っていまして、すごく変な言い方ですが、例えば増田会長は非常にお忙しいのに更新時期がきたので余り愚にもつかないというと怒られますが、研修会みたいなところで2時間形式上すわってなければいけないとか、座っていなかったから会長が会計士ではなくなっちゃったとか、そういうのは私は甚だばかばかしいと思いますし、全く意味がないというふうに思います。その意味では先ほど上柳先生が言われたイメージにちょっと近いのですが、私はむしろそれを業務の中身と結びつける形で制度化するべきではないかなというふうに思います。
- ○岳野審議官
-
八田先生と増田会長から手が上がりまして、八田先生のほうが先でしたので八田先生からお願いします。
- ○八田委員
-
では、簡単に。CPEについての話を聞いていると、皆さんほとんど正しい理解をされていなのではないかとの感想を持ちます。これはいわゆる継続専門研修であって、中身はやり方とか教材はいろんなものがあるんですね、例えば増田会長の場合は公認会計士協会の執行の中でありとあらゆる会計監査に関しての知見を披瀝しながら業務執行されているわけであります。それはCPE単位として何時間に換算できるという制度になっているとすればいいわけです。何も集合研修会に参加して2時間座って講義を聞くというそんな短絡的な議論をしているわけではなくて、例えば学者で会計士の人は公表した研究論文とかあるいは学会報告をすることで何単位になるとか何かいろんな読み替えがあるんですね。アメリカなんかは50州すごく広いですから、直接に研修会での講習を受けることができないですからものすごくいろんな教育キットが用意されており、やり方がいっぱいあるわけです。ですからちょっとそれを考えなければいけないと思います。
と同時に、皆さん方、会計士のCPEに対して非常に厳しいご意見があるのですが、実はこれが法的規制の中で義務づけられているのは日本だけだということです。日本では例えば弁護士、医者、税理士、いろんな職業人があって自主的にCPEをされている領域はあるけれども法定はゼロです。何でなのかと、ここにやはり原点があるわけであって、監査をやっているからではなくて、いわゆるパブリックインタレスト、パブリック・アカウンティングにかかわっていると、特定の人のために利するような業務をやっているのではなくて、国の健全な経済の番人になっていると、そういう人は一定水準以上の知識と、それから新しい領域の中でさらに専門知識をブラッシュアップしなければいけないという要請があって、日本でも当初は会計士協会が自主規制で始めたわけですよ。それが平成15年の法律の中に入っただけであって、私は基本的には十分に対応できていると思うんですね。ただ、会計士の中で既にリタイアしているとか年齢の高い方とかそういう人は免除してあげて、本当にパブリック業務に従事している会計士に対しては厳格に、しかし、企業内会計士にはCPEなどはかなり緩く考えて、それほど要請する必要はないのではないかと思います。重視すべきはいわゆる公共会計実務ですよね、英語ではパブリック・アカウンティングというのですけれども、それは監査だけではないです。ですから今日頂いている資料3を見ればわかりますけれども、監査業務と会計業務の両方に必ずCPEと更新制がリンクして入っているわけですよ、これは区分できないという理解をしていますから、私は日本もそれでいいのではないかと思います。
- ○岳野審議官
-
増田会長お願いします。
- ○増田委員
-
ありがとうございます。先ほど資料3の中で各国の公認会計士の数だけではなくて、どういう分野で働いているかというのがありました。日本のところは2万人ぐらいなのですけれども、どういう分野で働いているかということについてのデータはないわけですね。監査を専業でやっている人というのは半分以下だと思います。税理士登録をしている人は公認会計士2万人のうち7,000人ぐらいいますけれども、コンサルやっている人もいるという状況なので、監査をやっている人だけが会員だということではないということを、まず申し上げておきたい。
それからCPEの話がございましたけれども、私もちゃんと40時間以上受けなければいけないということになっておりまして、特に職業倫理、八田先生などの講義を聞かなければいけないわけですけれども、これは義務づけられているということなのです。たしかにおっしゃられるように現在全会員が基本的に40時間、これは監査をやっていようとコンサルやっていようと受講義務がありますけれども、メリハリをつけるということは可能で実は一部の、例えば会計士業務も監査業務もやっていないとか、年をとってきたとか、それから企業にいるとかについてはそれなりの軽減の措置があります。ただ、法制下に置かれていますのでそれを自主的に扱うことは難しいという状況にあります。この辺についてはもう少し登録更新をやるとかして協会のほうがきちっとした措置ができるような自主規制機関ということになれば、もう少しちゃんとした対応ができると思いますので、その辺を今後考慮して頂ければありがたいと思います。
それから、もう一つ、実務補習と実務経験の話がであるわけですけれども、基本的には先ほどもちょっとお話がありましたけれども、会計士として監査を行うということになりますと、たしかに会計士のもとで業務補助をやらないと監査の実務というのはなかなか身につかないということになると思いますので、その辺は会社にいても実務従事ということであれば公認会計士の指導監督のもとでそういう実務従事を行うことにならないと、監査人としては不十分だと思いますし、これは国際教育基準でもそういう要件が入っています。ですから監査をできない会計士というのは先ほど来議論がありますけれども、何回も申し上げましたけれどもそういう会計士という制度は世界中でないわけで、ですから企業内だけでやる、ビジネスの世界だけでやるということになれば会計プロフェッションの資格として別なものも考えなければいけないということになると思います。
それからもう一つ、実務経験ですけれども、一段階目の試験、二段階目の試験というのが書いてございますけれども、やはり実務経験は二段階目の試験の前に経ないと無理だろうと思います。そういう意味では参考として書かれている中で認定試験として一段階目の資格試験の合格者について一定の資格を与えるという考え方はあると思いますけれども、公認会計士で監査ができるという資格を与えるとすれば、やはり実務経験あるいは実務補習を二段階目の試験の前に受ける必要があるだろうというふうに思います。
それから最近ですけれども、特に企業に働いている会計士の試験合格者のためにできるだけ実務補習を受けやすいようにするということで、補習開始の時間帯もずらすようにしたりあるいは休みのときに受講するというようなことを今やっておりまして、既にそういうクラスを設けているわけです。ただ、残念ながら企業内にいる合格者は非常に少ないという状況ですので、そのクラスがどんどんふえていってくれれば、現在の実務経験の場がないというようなことにはならないわけですけれども、残念ながらそういう状況にはないというところです。
以上です。
- ○岳野審議官
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副大臣お願いします。
- ○大塚座長
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きょうは5回目でしたか、大分佳境なのでだんだん私も意見を言わさせて頂きたいのですが、個人的な意見ですので何か方向づけをするような意味ではございませんで、問題提起を一参加者としてさせて頂きたいのですが、先ほど藤沢さんがおっしゃった論点は、早い段階からここで議論になっていましたので、やはり新卒だけを念頭においた制度にはしないほうがいいと思います。
そういう観点からまず一点目の問題提起ですが、実務経験はこの一段階目の試験の前でも、一段階目の試験のあとでもいいということにすれば、当初は特段この分野に興味がなくて普通に就職した方が、あとから参入することができるようになります。したがって、一段階目の前でもあとでもいいのではないかなという気がしますが、もし二段階目のあとにするという選択にした場合には、そうするとこれはかなり年齢がいってからということになりますから、やはりそこでの実務経験は、公認会計士業界あるいは監査業務をやっている皆さんがかなり義務的に受け入れる必要があるか、あるいは産業界もそれにご協力して頂けるということであれば、財界のしかるべき企業が義務的に受け入れるというようなことを考えていかないと、二段階目のあとの実務経験というのはなかなか就職できないというような、今の事態と同じようなことになると思います。これが一点目の問題提起であります。
そういう観点で二点目の問題提起は、であるとすると、一段階目の試験というのはどのぐらいのレベルであるかということなのですが、私のイメージでは向学心の旺盛な学生にとっては頑張ると3年生でも受かる、しかし就職が決まってから実際に社会に出るまでに取っておきたいと思ってしっかり勉強すると4年生でも受かると、しかし3年生、4年生で取りそこねて就職してからもうちょっと頑張って就職1年目、2年目でももちろん受かるという程度のゲートにすれば、これは興味がなくて一回就職して27、8歳や30歳になった人が第一段階を受けるというのは、やっぱりそれぐらいの努力をしてもらってもいいという程度のものになるのではないかなという気がします。これが二点目の問題提起です。
最後三点目の問題提起ですが、CPEについては先ほど会長からも軽減措置があるということでしたので、私もそれはあってしかるべきだと思っていまして、例えばCPEを3年サイクルにしたときには3年以内の間に上場企業の監査を何社やったことがある人は免除とか、それから会長のように、例えばの話ですよ、CPEを受けに来た人たちの前で講演をする立場の人は一講演、みずからのパブリックインタレストについて大変高邁な宣言をするようなものですから、そういう立場にある人はそういう講演をちゃんとやっていれば幾つかは軽減できるとか、これはルールをどうつくるかだけの話なので。
その上で、私は例えば3年に1回きちっとずっと受け続けて、その間に倫理規定に反しない実績を経ておられる方は最近の新しい、例えばIFRSがどうなっているかとかそういうことのレビューを2時間とか3時間あるいは丸一日でもいいですけれども受ければいいと。ただし、2回も3回もそれを受けなかったとか、あるいは期限がきても1年、2年たっても受けていなかったとか、そのインターバルの間に実績を上げていなかった人は、残念ながら3日間コースとか1週間コースとかかなり強烈なものを受けて、頭をもう一回ブラッシュアップしてもらわないとだめですよという、それは組み立ての問題だと思いますので、そこはCPEはぜひ有効にご活用頂きたいと思いますが、これが三点目の問題提起です。
なぜ、私が個人的にCPEにこだわるかというと、公認会計士の皆さんはクライアントからフィーを頂いて、しかしそのクライアントの死刑宣告もできるという利益相反的立場があるわけで、先ほどほかの士業で名前の出た弁護士さんやお医者さんや税理士さんというのは、やっぱりフィーを頂いている人を助けたり弁護したり、あるいはその業務をサポートするのであって、公認会計士の今の業務の前提であれば非常に難しいお立場にあるわけで、フィーを払った上に判子を押してもらえないこともあり得るというそのぐらいのクレディビリティを担保するためには、ある一定の枠組みが必要ではないかなと思っておりますので、一回目からずっと聞かせて頂いているものの参考意見として斟酌して頂ければというふうに思います。
- ○岳野審議官
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増田会長お願いします。
- ○増田委員
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すみません、先ほどのお話でちょっと追加して、現状について少しお話をさせて頂いたほうがいいかと思っているのですが、資料1の参考図がございますけれども、一段階目の試験、二段階目の試験とありますけれども、今は一段階しかないわけですけれども、そのあとで実務補習という形になっています。現状はこの実務補習の修了確認という形で実務経験とそれから実務補習の確認をするという形になっておりまして、そこで監査法人にいると監査業務が実務経験の中心になるわけですけれども、それ以外の税務だとかコンサルだとかその他分析実務だとかそういったことをここで修了確認するということで、会計士になるときの最後の関門になるという形になっていまして、それが現状です。
そのために1回目のときでしたか2回目の懇談会のときでしたか、国家試験に受かってもこの修了確認がなぜ7割いっていない合格率なんですか、という質問がありました。約3割の人が会計士になっていないわけです。それから会計士になったあとのCPEですけれども、現在は特定の科目としては職業倫理と監査の品質管理、これは監査をやっている人に対しては、現状6時間は必ず監査の品質管理の科目研修を受けなさいと、それからそれ以外の一般の会員もこれは職業倫理ですけれども、40時間のうちの2時間は義務として、これはどういう仕事をしていても2時間の職業倫理の科目研修を受けなさいと、こういうふうになっています。
そういう意味ではこのCPEを使って確かに科目をある程度指定していくということもできるでしょうし、それから監査をやっている人と税務をやっている人、あるいはコンサルをやっている人、会社に勤めている人について差をつけていくというやり方も確かにあるのだと思います。現状ではそれほど明確にやっているわけではないのですけれども、軽減措置があるという現状をちょっとお話ししておいたほうがいいと思いますので、ご報告させて頂きました。
- ○岳野審議官
-
石川先生お願いします。
- ○石川委員
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先ほど大塚副大臣から論点整理(問題提起)が示されましたが、入口の試験のところの2点目でしたか、早く合格させるというのはいいと思いますが、ただそのような形にしたとしても受験浪人で相当苦労している人たちの人数は大きく減るとは私には思えません。入口の試験を早く合格できるレベルの試験とした場合、受験浪人生が早く合格できるようになるという面はありますが、むしろもっと大きな影響は、現状においては在学中の合格がむずかしいので、検定試験などをとって一般の就職にまわったり、税理士試験等の他の資格試験に方向転換している人たちが在学中に会計士試験に合格しやすくなるという形で現れてくると思います。
また、入口の試験のレベルをもうちょっと早めに受かる、幅広く合格させるような形にする場合でも、これまで意見として幾つか出ていましたけれども、今の短答式試験ではちょっと狭いし、レベルも少し低いのではないかと思います。したがって、試験のやり方は試験委員なり採点者等の関係もあるでしょうけれども、現在の短答式試験のようなやり方をしたとしても科目や出題内容については見直す必要があるのではないかと思います。
また、最初にご説明頂いた資料3を見ていますと、外国の制度は日本とは違うということですが、フランスを除きますと学生から監査法人等への就職活動という流れになっています。これに対して日本では、短答式試験、論文式試験合格後に監査法人等への就職活動という流れになっており、そして監査法人に行けないという形で一つ問題になっているわけですが、他方で一般企業への就職活動という流れについては、会計士試験だけでなく、新卒採用中心の一般の就職やほかの資格試験、検定試験等の合格を通じた流れもありますので、そのような日本の現状を十分に踏まえて検討を行うことが重要であると思います。
それから依然としてやはり二十代半ばから後半にかけての受験浪人生は残ると思います。これは一般の就職と一緒であり、十分就職先があるにもかかわらず、自分の希望とうまくマッチングさせることができず就職を決められないという若い人たちが結構多くいます。そういう意味では、どこまでいっても会計士試験の入口試験にこだわる、そういう若い人たちは残るのではないかという感じはしています。ありがとうございます。
- ○岳野審議官
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平松先生お願いします。
- ○平松委員
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まず、実務経験について少し申し上げたいと思います。先ほど第一段階あるいは第二段階の間で実務経験を認めたらどうかというご意見がございました。基本的に賛成でございます。国際教育基準の立場からいうと、いわゆる資格取得前に実務経験をしないといけないということで、ですから第一段階目の試験のあとでも、日本の事情を鑑みると場合によっては前でもいいのかなという気がしております。それから実務補習ですが、資料4の中で会計制度監視機構が提案している中で、78%という多くの方がその要件が緩和されれば企業に行きたいという記述がございます。一つ、資本金基準を緩和するということと、もう一つ、例えば財務に関する監査、分析というような制約が企業には課せられているのを、経理業務とか財務業務に広げてはどうかという提言がなされているわけです。やはり財務に関する監査、分析というふうに限定されて表記されますと、たとえ「その他」という言葉が入っているといっても受ける側からすると、それが認められるかどうかというのは不安なのでもう少し広げた表現にしたほうがいいというふうに思っております。
それと先ほどの繰り返しですが、資本金基準を緩和するというようなことが必要かなと。そうすると実務経験を早い段階で認めるということと、緩和により、より多くの方が企業にも就職を希望するというようなことに、アンケートを見る限りではなっています。
それともう一つ、にいってしまうのですが、国際教育基準との絡みで一言申し上げますと、一般教養科目というのがあります。それは現在の試験科目にはないわけで、これから新たにつくるとすれば大変かと思いますので、これはいま議論している項目ではないのに免除に関して先にいってしまうので申しわけないのですが、大学の一般教養課程を終えた人とか、あるいは大学へ行かない人については科目等履修でそれをカバーするような仕組みにすれば、国際教育基準をある程度クリアできるのではないかなというふうに思っております。以上です。
- ○岳野審議官
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藤沢さんお願いします。
- ○藤沢委員
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意見というかもう一つ問題提起という感じなんですけれども、副大臣におっしゃって頂いた3つの課題、そして今まで出てきた意見をもう一度考えたときに、なぜ資格の試験を幾つか通ったら就職しなければいけないという話になるのかというのが、一つすごく気になっているところで、会計事務所を開くという選択肢はないのかなと、私の友人などは女性が当然多いわけでして、やはりどうしても子どもを産んだりして家庭に入られなければいけないときにこういう資格の勉強をするという時間を持つ人もいます。こういう専門的なお仕事であればある程度、そんな甘いものではないと先生に言われるかもしれませんけれども、世の中にある中小企業であるとか、今NPO的な企業もふえていますので、そういう企業に対しての会計業務をお手伝いするという小さな事務所を開く可能性というのはあるのではないかなと、そんなふうに思うのです。ですから就職をするという観点からの議論ももちろん大切なんですけれども、独立をするという道があるという観点から何か議論できることはないのでしょうかというのが一つの問題提起です。
- ○岳野審議官
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残り10分ほどになりました。の試験科目等についてのところも含めまして全体についてご意見を頂きたいと思います。
八田先生お願いします。
- ○八田委員
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意見というよりもたまたま今平松先生からご発言のありました国際教育基準についてですが、これも何度か出ていますけれども、私は従来の国際会計基準に対する消極的な日本の対応の歴史を繰り返してはならないと思います。どういうことかというと、平松先生がこの1月から国際教育基準審議会の理事に参加されていますから、当然日本のプレゼンスを高めるためにも主導的に関わらなくてはいけないわけであって、ゆめゆめこれに抵触するような試験制度とか教育制度であるということは許されないわけです。したがって、当然一段階であれ二段階であれ一系統の試験制度として完成させていくときに、教育基準を100%あるいはもっと先駆的な部分を折り込むぐらいの気持ちで考えて頂きたいということです。多分平松先生がご自分のほうから言い出しづらいかもしれませんので、私があえて申し上げます。それは先ほど申し上げましたように国際会計基準の場合には当初から日本の理事は出ていたけれども、なかなかそういった面が浸透しなかったという歴史がありますから、ぜひ同じ過ちを繰り返さないようにお願いしたいと思います。
- ○岳野審議官
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増田会長お願いします。
- ○増田委員
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率直に申し上げて、やはり会計士試験は国家試験として今はやっているわけで、会計士になれるような制度にしなければいけないと僕は思っているのです。だから実務経験の場が得られるような合格者の数が輩出されればいいというのが基本的な考え方だと思うんですね、いろいろお話があって経済界でも採ってくれるというお話があったとか、会計事務所が波があって採ったとか採らないとかそういう話がありますけれども、少なくとも実務経験の場が得られる場があるようなところの数の合格者を出してもらいたいということが基本的な考え方なのだと思うのです。ですからこれは全体として科目数が減って受験しやすくなって、受験者が増えたとかいろんなことがあると思いますけれども、その中でやはり実務経験の場があるような数の合格者が出てくるような仕組みにしないと、試験には合格したけれども実務経験の場がないから会計士になれないという話になってしまうわけです。ほかの専門資格ではこういうことはあり得ないわけです。だからその辺をぜひともご理解頂きたいと思います。
- ○岳野審議官
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島崎さんお願いします。
- ○島崎委員
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試験科目の免除要件のところで申し上げたいのですけれども、会計専門職大学院というのができて、そういうところでの履修というものを何か試験科目の免除でもう少し範囲を広げて考えられないか。それから企業においての実務経験ですが、例えば租税法などについては、企業で実際に税務の仕事を10年やったら、免除するというようなことは考えられないか。これは税理士さんからもいろいろ意見があるかもしれませんが、企業に勤めながら公認会計士試験が受けやすいような形にして頂くことが必要だと思います。くりかえしになりますが、会計専門職大学院でこういう科目を履修すればこういう免除があるという、何かそういうインセンティブが考えられないのかとも思いますので、ご検討頂ければと思います。
- ○岳野審議官
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大塚副大臣お願いします。
- ○大塚座長
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増田会長、ありがとうございます。先ほど途中で私が指摘申し上げた点、就職との連動の話ですね、前回もお伺いしましたし、今回も会長のお考えはよくわかりましたので。つまり会計士になるためには就職しなければならないという、結局実務経験の問題があるということからの問題提起なので、そこは私も誤解もしておりませんので、そうするともし先ほどのどんな業種でもいいとは言いませんけれども、例えば全く財務や会計と関係のない職場の実務経験を一段階目の前とか一段階目のあとに経験していた場合、それはまた別の話ですが、ただ一段階目の前もあとも実務経験を認めると、仮にその間に実務経験が全くなく、もう試験勉強オンリーで二段階目までクリアした人、そうするとこの人たちはどこかに就職しなければいけないわけですね。
ところが一段階目の前とあと、つまり二段階目の前の実務経験を認めてあげると、二段階目に受かったあとに初めて就職しなければならないという人の母集団というのは多分減るはずなのです。そうすると監査法人とか企業でその段階で年齢がいって初めて社会に出て組織で働くという人たちの母集団は減るはずですから、今よりは受け入れやすくなるのではないかなと、そんな思いもあります。そういうふうにお考え頂くと多分必ずしもこれは就職のための議論をしているわけではなくて、そういう思いがなく就職した人たちも門戸をくぐれるし、試験一途にきた人でもそのあと就職をするに当たって母集団は今よりは小さくできるというそういう話だと思っております。
- ○岳野審議官
-
大分時間も残り少なくなってまいりまして、本日ご参加されておられるメンバーの中でまだご発言のない伊地知さん何かございますでしょうか。よろしゅうございますか。
それでは時間もまいりましたので、本日の懇談会を終了させて頂きます。お忙しい中、ご出席を頂きましてありがとうございました。次回は5月17日、月曜日、18時30分からを予定しております。
本日は、どうもありがとうございました。
以上
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