平成14年3月25日
金融庁

企業会計審議会第26回第二部会議事録について

企業会計審議会第26回第二部会(平成14年3月8日(金)開催)の議事録は、別紙のとおり。

(問い合わせ・連絡先)

金融庁(TEL 03-3506-6000)
総務企画局企業開示参事官室
企業会計審議会事務局


企業会計審議会第26回第二部会議事録

日時:平成14年3月8日(金)午後2時00分~午後3時53分

場所:中央合同庁舎第4号館9階金融庁特別会議室

○脇田部会長

それでは、これより第26回第二部会を開催いたします。

委員の皆様には、ご多忙のところをご参集いただきまして、まことにありがとうございます。

本日の部会は、前回のご議論に引き続きまして、中間監査基準の改訂のあり方について、全般的にご審議いただいて、方向性を固めさせていただきたいと考えております。

まず、前回までのご議論を大まかに整理いたしましたので、それを今お手元にご用意していると思いますけれども、これにつきまして事務局から説明をさせていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

○多賀谷課長補佐

それでは、お手元の資料1、大変簡単な資料でございますが、それに基づいてご説明させていただきたいと思います。

左側が検討点に対する意見、前回までの部会などにおきましての意見の要旨を集約させていただいております。右側は、今後の検討の方向なり考えるべき点ということで書いてございます。

全体を見ていただきますと、中間ぐらいまではたくさんあるんですが、後半、報告基準、継続企業の前提等については、まだ十分にご検討いただく時間がございませんでしたので、それは引き続き審議し、またご意見をちょうだいできればと考えております。

それでは、簡単にご説明をさせていただきます。まず、中間監査基準の位置付けでございます。ここは前回の部会で特に意見がございました。

基本的にフル監査、年度監査と同じかどうかという観点がございます。フル監査と全く同じ位置付けとすることは難しいのではないかというご意見。ただ、国際的にはフル監査でなければレビューの範囲になってしまうのではないか。ここをどう整理するか。これは、現在の中間監査基準と同じ問題でございます。

米国でもレビューでは保証水準が低すぎるとの議論があり、レビューよりは高い保証水準が求められるのではないか。これは、米国のPOBの報告が既に2年前に出ているといったご紹介も踏まえて、ご意見がございました。米国の場合は、ただしこのレビューは今は四半期報告に対してのものでございます。その四半期報告の内容もあわせてということだと思いますが、その財務情報と保証の水準が今のままでいいかという議論があるということでございます。

我が国の中間財務諸表は欧米の四半期報告書より相当詳細であり、レビュー程度でいいとは言えないのではないか。これはある意味では基礎的な問題かと思いますが、これは何人かの委員の方からもご意見がございましたけれども、特に連結が中間にも本格的に導入されました。我が国の開示書類では、中間財務諸表はもとより、中間連結財務諸表も年度の財務諸表と余り遜色がない。多少の表示科目の集約等がございますけれども、財務諸表の表示の詳細性、網羅性につきましては余り遜色がないものでございます。あるいは注記なども年度とほぼ同じような注記が求められているように、質量ともに年度と同じような形をとっております。そうしますと、米国のあるいは国際的ないわゆるレビューというのは基本的には四半期報告という形を前提としている。もちろん、財務諸表についてもレビューという手続自体はできるとは思うんですが、制度的には四半期報告に対するレビューというのが普通である。それと単純に比較できないのではないかというご趣旨のご意見が幾つかございました。

それから、そういう点も踏まえてということだと思いますけれども、基本的には、現行の位置付けでよいのではないか。現行の位置付けというものは、基本的には年度監査と同じ手続までは求めないという考え方でございます。

国際的な動向も見ながら慎重に検討してはどうか。これは、米国のエンロン等の問題もございますし、また国際監査基準の方もいろいろと今策定の作業が進んでいるといった点も踏まえてというご意見かと思います。

当面の対応としては必要な改訂を行うとともに、将来の展望も議論してはどうか。これは、今般の改訂が監査基準の改訂を受けて来年の9月中間決算から実施する必要があるという当面の問題もございますので、その当面の問題に対して必要な改訂を行うとともに、ここでの議論を将来にも生かしていったらどうかというご意見をいただいております。

証券取引法上の中間財務諸表のための基準という位置付けをより明確にする必要があるのではないか。これも、現在も当然制度的に中間財務諸表を求めておりますのは証券取引法ということでございまして、それを前提として中間監査基準が作成されているわけでございますけれども、監査基準がより汎用的といいましょうか、一般的な基準である。それに対して、同じレベルで中間監査基準が一般的に年度の途中での意見表明に対する基準であるとは位置付けられておりませんし、またそのような誤解を与えないように、これは証券取引法の開示のタイミングが年に2回あるといった制度の中での中間財務諸表についてどのように監査を行うかという位置付けのものである。したがって、年度監査を踏まえてということだと思いますが、そういう性格のものであると、一定の枠組みといいましょうか、限界といいましょうか、そういうものを明確にしておく必要があるのではないかということでございます。

検討の方向でございますけれども、基本的には、当面の改訂においては、中間監査基準の基本的な位置付けは変えないことしてはどうか。将来的には、財務諸表の開示の頻度なり、財務諸表の内容にもかかわりますので、国際的な動向や将来の展望については、前文で記述してはどうか。すなわち、当面は今回の監査基準の改訂に伴って中間監査基準の手続を改めるけれども、もう少し広い意味でのディスクロージャー制度全般の中での位置付け等もございますので、これは将来的な課題として、ここでの議論を残す、あるいは将来の課題として示しておくということが考えられるのではないかということでございます。

2、中間監査と年度監査の関係、この点についても種々ご意見を賜りました。基本的には、年度監査の一環という関係は変えなくてよいのではないかというのが多かったかと思います。

年度監査の一環の中で、中間のウエートをより重視してはどうか。年度監査は、通常は同一の監査人が行いますので、そういう中では年度監査のための手続を期中に行うということもございます。そのような監査の実務的な配分などを見直す中で、中間のウエートを重視するということも考えられるのではないかというご意見でございました。

中間監査を受ける負担は、実務上は年度監査と余り変わらないのではないか。これは、先ほども申し上げました我が国の中間決算で開示する財務諸表の精度が非常に高うございますので、それを作成される企業の方にとりましては、連結もございますので、年度監査と同じようなシステムでつくられている、その精度も非常に高くつくられているということを踏まえてのご意見でございました。

中間監査であっても、精度を上げて、きちっとした監査を受けたととらえられるようにすべきではないか。これも、監査は財務諸表の適正性あるいは有用性、いずれにいたしましても投資家の信頼を得るという観点から言えば、中間監査であっても、精度は上げられるところは上げていくということで、投資家の信頼をかち得るような方向で審議すべきではないかというご意見でございました。

実務上、中間監査が年度監査に比べて著しくレベルが低いということはないのではないか。これは、監査人の方々から、現在の我が国の中間監査では、相当程度いわゆる実証手続を行っておりますので、著しくレベルが低いといった実態はないということを踏まえたご意見でございました。

中間財務諸表に対しフルの監査を受けて、年度監査と同じ監査報告書を受けることも認めてはどうか。これは、監査を受けられるのであれば受けてもいいではないかということでございます。これは、制度的な問題と、それから財務諸表がいわゆる確定した決算と全く同じと考えられるかどうかという点も考慮する必要はあるのではないかと思いますが、監査の質を上げられるところはどんどん上げていくというご趣旨のご意見と思います。

監査基準の改訂により、年度監査は質量ともに増大するので、フルの監査を中間で求めるのは、従来以上に大変になるのではないか。このご意見は、今般の改訂は監査基準の改訂を踏まえたものでありまして、改訂された監査基準によりますと、リスク・アプローチが徹底されるほかに、ゴーイング・コンサーンの問題、あるいは実質判断、不正への対処の強化ということで、かなり質量ともに年度監査自体のボリュームが増える可能性が高い。その増えたものをもとにして中間で全く同じ手続を短期間でやるということは、従来以上に物理的にも非常に大変なのではないかというご意見だったと思います。

監査契約上も、レビューのように個別契約ではなく、年度監査の監査人と同一である。これは例外はあるかと思いますが、一般論として、監査契約を結んだときに中間監査も入っているということでございますので、レビューのように単独の財務諸表あるいは財務情報をそのときだけレビューするということではなくて、年度の監査を踏まえて、同じ監査人が中間監査を行うという形に実態的になっているという点も考慮してはどうかというご意見かと思います。

検討の方向といたしましては、中間監査は年度監査の一環という中で、中間監査のあり方を考えてはどうか。これは、現在も基本的には同じでございますし、その手続をそれぞれ固有に行うべきところと、年度監査あるいは期中監査の手続として共通になる部分もあろうかと思いますし、また、今もご紹介しましたように、同一の監査人が監査をしているといった実態を踏まえますと、年度監査あるいは年度監査計画というものを踏まえて、その一環の中ということでとらえてはどうかということでございます。

これは先ほどの監査基準の位置付けにも関係しますが、レビューよりは、相当程度精度の高いものとしてはどうか。これも、リスク・アプローチを年度監査で徹底するということでございますので、それを踏まえれば、相当程度高い精度のものになるのではないか。そういう方向で、年度監査の質がさらに充実され、監査が充実されたということを踏まえて、中間監査も考えてはどうかということでございます。

2枚目の3、監査の目的でございます。

年度監査との違いを明確にするため、中間監査基準の目的を設けてはどうか。これは、今般の監査基準では目的の規定を置いておりますので、目的の規定を置くこととしてはどうかと思います。

それから、一般基準に関してですが。

監査基準と同様の事柄は省略してよいのではないか。一般基準につきましては、現在の中間監査基準でも、それは年度の監査基準によるということで省略しております。これは、中間監査固有の事情というのが特にあればですが、一般基準としては、これは監査人の基本的な姿勢でございますので、年度監査と特に変わりはないということで、検討してはどうかと思います。

5番目としまして、実施基準でございます。

年度監査の計画の中で、中間決算で切ったときの意見という形で実務が行われているのではないか。これも、年度と中間の関係を踏まえてというご意見でございましたが、つまり中間決算だけを単独の手続としてやっていない。年度監査の計画の中で種々手続を行っていて、その中で中間期が来たと。そのときで一たん切ったとすれば、どういう意見を言うかという形で、実務としてはとらえていますといった、公認会計士の方からのご意見でございました。

リスク・アプローチの基本的枠組みは、中間監査でも維持していくのは当然ではないか。これは、年度監査でリスク・アプローチを徹底する、監査上のリスクの高いところに重点的に監査の力点を置くということでございまして、この考え方は中間決算においても同じように対応した監査をすべきではないかということでございます。

リスク評価は年間を通じて行われるのではないか。これも、要は年度監査のリスク評価というのは、年度決算が終わったときに本来的にはあるわけですが、企業の経済環境の変化が激しいということもございますので、年間を通じて監査人が相当程度期中監査も含めて関与しているのではないかということでございます。したがいまして、中間時点でリスク評価を行うことも可能であるということだと思います。

中間連結財務諸表が導入され、子会社の監査ボリュームが大きくなった点は考慮する必要がある。これは、既に2回中間連結財務諸表の監査が行われているところでございますが、中間時点で連結財務諸表をつくるということになりますと、子会社が相当程度ふえているということもございますので、この物理的ボリュームというものは考慮する必要があるのではないかということでございます。

在外子会社も、実際の中間監査では、レビューにプラスした手続が行われていることが多いのではないか。在外子会社につきましては、若干現在の中間監査基準でもレビュー的なもので足りるということになっておりますけれども、実際には、やはり日本の監査人の方は、それ以上の手続なり確認書をとっているという実務のご紹介がございました。

在外子会社の中間監査は難しいというのはコストの問題ではないか。コストをかければできる、これは当然なんですが、今まで以上に中間決算なり中間的な財務情報が重要であれば、ある程度コストをかけてもやるべきではないかというご趣旨かと思います。

中間も年度も財務諸表の作成に大きな違いはないので、監査を受ける側は中間決算がレベルが低いとは考えていない。これも先ほどと同じご意見でございますが、財務諸表の精度は高く、またシステム的に特に連結財務諸表を作成している会社はもう対応しているので、会社の決算の精度が悪いということはもうないんだというご趣旨でございます。したがいまして、それが監査の側で何かレベルが低いんだというとらえられ方はされないような形で考えていただきたいというご趣旨のご意見でございます。

年度決算と中間決算は質的に異なる面があるのではないか。これは、財務諸表の精度が非常に高くなったわけで、ほぼ同じなわけですけれども、確定した決算、あるいは年度単位で企業の経営方針なり、経営計画なり、あるいはガバナンス等が考えられている中で、全く同じ質的なものかどうかという観点から、必ずしも中間決算は年度決算、あるいは年度決算をした企業の意思というんでしょうか、法律的な位置付けというんでしょうか、それと全く同じかどうかという点のご指摘がございました。

期中監査では、時期によって監査のポイントも変わるのではないか。これは、年度監査の一環としてということとかかわり合いがあるご意見であったかと思いますが、中間監査を独自に切り離してやるということではなく、また、かといってフルの監査を2度やるということではなくて、時期によっても、期中監査へポイントを当然移しながら、そのときに重要なことをやりながら、年度監査を充実させていけば、そこで中間監査も対応できるのではないかということかと思います。

企業は在外子会社も含めると、実質的には年中監査を受けており、継続監査のようなこともあるのではないか。これは、在外子会社の決算時期が12月決算が多いですとか、そういうこともございまして、企業の側から見ると、子会社等の現地の監査等も含めますと、常にチェックは受けているような状況になっているのではないか。ですから、年度は当然ですけれども、特別に期中である時点で見ても、相当程度の監査のレベルはやられているのではないかというご意見であったと思います。

監査人の責任で監査手続を省略できるとされているが、結局、監査手続をなるべく省略しないようになっているのではないか。これは、現行の中間監査基準の書き方が、基本的には監査人の責任で監査手続を省略できるということになっております。そうなりますと、監査人としましては、責任の問題がございますので、なるべく監査手続を省略しないよう、非常にボリュームの大きい手続が現実には行われているのではないかということでございます。

在外子会社かどうかで手続が異なるというのも矛盾ではないか。これも、今は在外子会社は物理的な面も含めましてレビュー的な手続でもいいということになっているわけですが、実際からいっても、重要な子会社についてはもう少し追加した手続なり、確認書をとるとか、こういうものが行われているということで、在外子会社だからというだけで特別に簡単な手続でいいという必要はないのではないかということでございます。

中間監査では、必要的な手続を定め、ここれを基本に必要な手続をプラスする形にするべきではないか。これは、現行の中間監査基準が、通常実施すべき監査手続という年度監査の手続から監査人の責任で何らかの手続を省略する、マイナスしていくという思考でつくられておりますが、中間監査では、むしろミニマムの手続を定めて、これを基本に、例えばリスク・アプローチなどを用いながら、必要な手続を監査人の責任で付加していくという形に改めるべきではないかという趣旨のご意見であったかと思います。

このようなご意見を踏まえますと、検討の方向といたしましては、2枚目に戻りますけれども、監査計画は年度監査と一体と考えてはどうか。中間だけ固有の監査計画をつくりなさいという形ではなくて、年度計画と一体ということを前提として基準をつくってはどうか。それから、リスク・アプローチに基づくことを明確にしてはどうか。前年度の決算監査におけるリスク評価の利用等を考慮してはどうか。これは、リスク・アプローチに基づくことといたしましても、中間期でリスクの評価をするというのはなかなか大変でございますので、その直前の本決算でリスクの評価をしているわけでございますので、利用できる面があるのではないかという趣旨でございます。

「通常実施すべき監査手続」という表現はなくなったので、改めて基本的に必要な手続を定めてはどうか。この定め方は、ただいま申し上げましたように、基本的な手続にプラスするという形の定め方をしてはどうかということでございます。

在外子会社も含めて、基本的手続は統一してはどうか。基本的な手続が在外子会社で特例のような形になるよりは、基本的手続は同じものにして、その付加的なものは監査人がリスク・アプローチによって在外子会社も含めて判断していくということがよいのではないかということでございます。

3ページ目、最後の6と7でございます。ここはまだ十分にご意見を交換する時間がとられておりませんので、簡単に書いてありますが、報告基準につきましては、年度監査でも期中に実証手続を行っている中で、途中の一時点で意見を表明するときの基礎を得るための手続が別途必要となるかどうかが問題ではないか。つまり、期中で、年度監査の手続も一部行っているわけでございます。ですから、手続面の問題というよりも、途中の一時点で切ったときに意見を表明するというのは、監査の証拠なり意見形成をそれまでやってきた年度監査における期中監査と切り離してやるということになると、これは問題ではないかということでございます。これは、まだ十分にご意見をいただいておりませんが、基本的な方向性としては、意見表明の区分については、改訂監査基準を踏まえ修正する必要がある。これは、意見表明の区分は形が変わっていますので、これは中間も変えるというところは当然かと思います。そのほかは、まだご意見をいただいてからということになろうかと思います。

最後に継続企業の前提でございますが、ゴーイング・コンサーンは1年に一度だけでは判断できないので、中間段階から見ておく必要がある。これは、基本的には中間期においても何らかのゴーイング・コンサーンへの対処は必要ではないかと考えられます。

以上でございます。

○脇田部会長

どうもありがとうございました。

ただいま事務局から説明をしていただきましたけれども、中間監査基準をめぐる検討点、そしてそれについての委員の皆様方の前回までのご発言の整理、大体大きく整理されていまして、これからご意見をいただく上で大いに参考になると思います。そのご議論に入ります前に、中間監査基準の構築の中で若干技術的部分も出てくるかと思います。そこで、ご意見をいただくに先立ちまして、友永委員に、中間監査におけるリスク・アプローチの利用ということについて、もう少し具体的にどのように考えたらいいのかということをご説明いただくようにお願いしたいと思います。また、今、事務局のご説明の中にもございましたけれども、ゴーイング・コンサーンの問題を中間監査でどのように取り上げるかということについても、やはり友永委員から具体的にご説明をいただきたいと思います。幸いこのきれいな図が用意されておりますので、これは友永委員におつくりいただいたわけですけれども、これを見せていただきながら説明を伺いたいと思います。よろしくお願いいたします。

○友永委員

それでは、資料2に基づきまして、若干ご説明させていただきます。

これは、起草メンバーでいろいろ議論をした結果をまとめたものでございますが、ただ全面的に詰まっている状態ではございませんので、議論のたたき台という意味でごらんいただきたいと思います。

一般的事項としておりますのは、中間監査での手続、中間監査に係る通常実施すべき監査手続が外れたということで、どういった枠組みを持ってくるべきかという話でございます。監査基準の方でリスク・アプローチの枠組みがはっきりしたということがございますので、リスク・アプローチに則った説明の仕方、言ってみればリスク・アプローチの適用に近い状況になるわけですけれども、そうした考えはどうかということでございます。

まず、左の方に前期末としておりまして、リスク評価ということで、高、中・低となっております。これは、最終的に監査の過程の中で、リスク評価が前期末なされたということで、このリスクの高さ、あるいは中位、低位という、その程度に応じて、またその監査要点なり勘定科目なりの特性によって実証手続を選択適用するわけなんですが、そこで固まった評価というのがあります。

それから、当中間期でのリスク評価ということで、先ほどの議論の中では、方向性ということで、前期末のリスク評価をそのまま用いてもいいのではないかというご議論もあったわけですけれども、ここでは、上の方に前期末の評価結果に関する変更の確認だけでは不十分としておりまして、一応リスク評価はするべきではないとかいうことを言っております。

これはなぜかと申しますと、その年度と同じリスク評価をすべてやれという意味ではございませんで、年度の監査計画の中で年度監査に必要なリスク評価をするところが決まってまいります。特に統制リスクの評価の話なんですが、それを年度の中でいかに効率的に監査を実施するかということで上半期、下半期、期末と割り振るわけですけれども、当然ながら年度監査での監査のボリュームが非常にふえるということが監査基準の改訂で言われておりますので、上半期中に統制リスク評価を行うということがあってもいいのではないか。固有のリスクは当然に年度監査の監査計画のところで全体的なリスク評価はするわけですから、それに基づいて評価をする。ただ、下半期にリスク評価をする部分については、ここで言っている前年度の評価結果に関する変更の確認という形で引っ張るということがあってもいいだろうと思っております。

そして、その結果、高い、中位、低位という評価が出てきた場合に、監査リスクの高い領域に関しては実証手続をしましょうと決めまして、中位・低位は原則、分析的手続、質問・閲覧といったいわゆるレビュー手続に近い手続で通常済ませましょうということにいたしまして、「特に必要なら」という吹き出しが出ておりますけれども、これは「特に必要なら」という表現が余り適切ではなかったんですが、年度監査との関係で考えてはどうかと思っております。リスク評価の結果中位であっても、年度監査では上半期の取引記録も見る、下半期も一部見るといったことで、配分する場合に、その上半期に実施している年度監査の手続というのがあるわけです。そこで実証手続をしていれば、それは中間の意見形成にその監査手続の実施結果を反映するといった意味で、実証手続をすることになるだろうと考えております。

それから、在外子会社の問題なんですが、先ほど基本的手続は統一してはどうかという方向性もございますけれども、海外の監査人に日本の中間監査基準を理解した上で中間監査をすべて実施してほしいという要求は、やはり無理だと私は思います。それで、リスクの高い項目、監査要件について、前年の報告に基づいて手続を指示するといった形になろうかと思います。

公認会計士協会では、1月28日付で、他の監査人の監査結果の利用という実務指針の改訂を既に行っております。これは、今回の監査基準の改訂に伴って改訂をいたしました。その中で基本的に、国外の監査人には監査報告書を出してくださいという指示ではなくて、より具体的に連結財務諸表上の自ら設定した重要性の基準値に照らしての報告事項を特定して示せということにしておりますので、それによれば、この前期末子会社でのリスクの高かった部分といったものが連結ベースで見えてくるのではないかと考えております。それについて、具体的な指示を主たる監査人として海外の監査人に出すといったことで、ほぼこれに近い形の実証的手続を高い領域には実施してもらうということができるのではないかと、これは個人的に考えております。

次に、下の図でございますけれども、中間期におけるゴーイング・コンサーンに関するものです。期末では、一般的な手続から導き出される事項プラス質問・閲覧という書き方でございますけれども、これは監査人に要求されているゴーイング・コンサーンに関する事象や状況があるかないかといったことを検出する手続、それから経営者の評価、それから計画等についての合理性を確かめる手続等について必要な手続、これは質問・閲覧に限らず実証的手続を当然含むわけですが、そうしたもので翌決算期まで合理的な期間1年間についての手続を行うということになるわけです。その上で意見が表明されるということなんですが、中間会計期間におきましては、前期末に既にゴーイング・コンサーンに関する注記があり、それを吟味しているといった状況の場合には、そこで示された計画の進捗状況について質問・閲覧等を行って、現状の認識を更新するといった手続をしてはどうかということです。

それから、当中間期に新規に発生する事項というのが当然ございますので、それについては期末と同じように一般的手続から導き出される事項に質問・閲覧といった手続を行う。ただし、対象期間は当決算期までとしてございます。これは、さらに半年延ばすということですと、私が考えるには、通常会社は1年単位で事業計画等をおつくりになっていると思いますので、会社に残りの半年と来年の中間期までの事業計画を足した半期から半期までという計画をつくるということを要求するのは、会社の負担が大きいだろうということと、期末になればさらに正規の監査を行った監査報告書が出るわけですので、それより先の部分についてまで意見を表明する必要はないのではないかということで、そこの対象期間についてだけ簡便的な方法をとってはどうかということでございます。

以上でございます。

○脇田部会長

ありがとうございました。

今、2つの点について、リスク評価の問題とゴーイング・コンサーンの問題について説明をしていただきました。そこで、検討点を大まかに見ていただきますと、前回もご議論がありました点は、中間監査基準をどのように位置付けるかという問題が、やはり一番大きい問題だと思います。これは、現在国際的にも監査とレビューという区分しかないという中で、我が国特有の中間監査をどう位置付けるかという問題だと思います。ただ、中間監査基準については、既にこれまで監査の実務の中で行われ、会社においてもそれぞれ実務が行われてまいりましたけれども、そういった中でもう一度越えなければならない一つの大きな問題でございますし、今、多賀谷課長補佐のまとめていただいた中でも、問題点としていろいろな切り口でこの点が取り上げられておりました。

第2番目には、今、友永先生からもご説明いただきまして、これからご議論いただきたいと思うんですけども、中間監査の実施においてリスク・アプローチを導入することの可否、またそれはどのような形で導入されるのか、どのようにしてリスク・アプローチをとって監査と中間監査が構築されていくのかという問題だと思います。

先ほど友永先生のお話の中にもございましたように、財務諸表監査に係る通常実施すべき監査手続からだんだん落とし込んでいくような形の方式、規定の仕方と申した方がいいのかもしれませんが、それは現監査基準が改訂されましたので、その形を大きく変える必要があるということからご議論いただきたいと思います。

また、改訂監査基準で導入されましたゴーイング・コンサーンを中間監査ではどういう扱いとすべきかという問題、このあたりがあるかと思います。

これにつきまして、あと十分時間がございますので、特に項目は区切りませんけれども、皆様からご自由にご発言をいただき、そしてそれを今後の審議の方向づけとしてまいりたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。いかがでございましょうか。

○山浦委員

今、友永委員の方からご説明していただいたところでありますけれども、実は一つは起草メンバーでの議論で若干論争点があるということと、もう一つは現在の中間監査基準をつくるときの議論の経緯、それもあわせてこの基本的な仕組みについてご説明と同時に、私自身の考え方もお話し申し上げたいと思います。

現在の中間監査基準をつくるときに、これは非常に悩ましい問題で、年度監査ほど高い保証水準は求めない。しかし、レビューでは、実際に保証と言ってもかなり下ではないか。我が国では年2回の財務情報の開示であって、年4回行う海外主要国とは制度的な仕組みが違う。したがって、半期報告書の情報内容も、かなり高い水準の保証を提供すべきではないか。そういう議論から出発したわけです。当時、また大きな金融機関等が中間決算の前後に相次いで破綻するということもありまして、この議論をそのまま受けて、中間監査基準を位置付けたわけです。今回もある意味では同じ議論を行いまして、中間財務情報の我が国独特の仕組み、非常に詳細である、年度決算書と同じような情報を提供している、しかも年2回であると。確かに四半期報告書が幾つかの企業では自主的に行われ始めているということも念頭には置いていますけれども、基本的な制度としては年2回である。したがって、中間情報が持つマーケットに対する意味というのは非常に大きい。その意味では、中間情報に対する保証水準も、年度監査ほどに求めるのは、ある意味では非常に負担がかかり過ぎるかもわからないけれども、やはりレビューではだめではないかという議論であります。

この議論は非常によくわかるんですけれども、ではどのように中間監査のあり方を位置付けるかということで、またもとに戻って現在の中間監査基準をつくるときの議論を振り返ってみますと、実は通常実施すべき監査手続という年度監査に求められる水準があります。そこをいわば省略しても構わない。ただし、その省略は重要性や危険性等を考慮して監査人の判断で行いなさいという指示であります。ただ、やはりこれはかなりある意味では綱渡り的な指示でもあるわけで、どこまで省略していいのか、どういうケースで省略できるのか、あるいは省略してはならないのか、このあたりの判断がなかなか明確な基準として生まれてこない。現場ではなおさらこの判断をするのは大変であろうということで、やはり現在の中間監査基準の仕組みの一種のもろさみたいなのがあったわけです。

あわせて、在外子会社については、この中間監査の我が国独特の趣旨が外国の監査人にはなかなか通用しないということもありまして、レビュー報告書を受け取って、それで在外子会社のいわば中間情報に関する保証のレベルを定めるということであります。

ただ、今般新しい監査基準をつくりまして、それでリスク・アプローチを明確にした。そして、そのリスク・アプローチという手法を手がかりにして、今の中間監査基準の基本的な考え方、つまりレビューよりは保証水準は高い、しかしフル・オーディットほどではないと、それをもう少し明確な形で論理づけることはできるのではないかということで議論をしたわけです。

結果として、レビュー手続で求められております質問・閲覧、それから分析的手続、そしてそれに加えることのリスク評価。リスク評価で高いリスクのもの、特に固有リスク、統制リスクが高いものについては、実証手続をオンするというか、プラスするという仕組みを考えたわけです。そういった意味では、現在の中間監査基準の通常実施すべき監査手続から、必要に応じて省略できるという仕組みよりは、論理性という意味ではより明確なものができるのではないかと考えてはいるわけです。

ただ、もう一つ視点を変えますと、確かに今考えている仕組みというのは、利用者サイドからすると、保証水準が事実上上がるであろうということで、歓迎されるでしょう。それから、経営者サイドというか、企業サイドからすると、現在の中間監査基準で要求している中間監査のレベルとそんなに大きく変わらないということになるんじゃないかと思うんです。私自身が若干危惧するのは、監査人というか、会計士の側からしますと、まず一つはこの判断を客観的にできるかどうか、的確にできるかどうか。特に、レビュー手続プラス実証手続の、そのプラスという仕組みを判断できるかどうか。それから、たとえ判断できたとしても、中間監査に関する報告書を、意見を表明するときに、先ほど申しましたように当然中間情報の重要性というのは四半期よりも高いはずですから、そういった意味ではかなり訴訟等のリスクにさらされる危険性があるだろう。そのリスクに対して、果たしてうまく監査人が客観的な自己の判断を明らかにすることができるかどうか、そのあたりが非常に心配であるということであります。

実は、これは監査基準のつくり方というか、そこにもかかわってくるんですけれども、海外の監査人は、監査でなければレビューだと。他にアグリード・アポンという手続もあるんですけれども、一応証明を出す、保証を提供するというのは監査かレビューかと言われております。どうしてレビューという手続に収束させるのかと申しますと、やはり職業会計士としては、監査報告書を出さなければ、あとは自分が行った手続の範囲で発見したことだけを列挙する。そういう意味で、もし特に会計基準等に反したことがなければ、特に問題はなかったと。積極的に適正であるという意見を表明しないかわりに、そういう問題はありませんでしたという消極的な保証を提供するというだけにとどめているわけです。そういう意味では、職業会計士にとって、この中間監査のスキームというのが負担になる可能性があるというのが危惧するところであります。あえてもう一つ言えば、国際的なそういう会計士自身がつくっている監査あるいは保証業務の基準と一つ逸出したものが我が国にできるということで、国際的な意味の整合性でも問題が出てくる可能性がある。このあたりが議論となっているわけであります。

○脇田部会長

どうもありがとうございました。

非常に詳細に山浦先生から考えを示していただきましたし、平成10年に審議した、そのときのことを踏まえつつ、その後の中間監査をめぐる状況の変化を盛り込んで、今ご説明いただき、ご意見を伺いました。どうぞご自由にご発言いただきたいと思いますが。伊藤委員、どうぞ。

○伊藤委員

ちょっと実際の会社の現状と経営のやり方という面をご紹介して、それから日本の今の会計の基準と監査との関連という観点の2点から申し上げたいと思います。

現実の経営というのは、通常は中期計画があって、私どものよく知っている幾つかの会社あるいは自分の会社を考えますと、ほとんどが中期計画は大体3年計画ぐらいもので、それはビジョンなんです。それから年間計画がある。それから、同時に前半と後半、上期と下期、つまり半年ごとの決算がある。会社はもちろんインターナショナルに活動しているし、上場している会社が普通ですから、資本市場に対しては半年ごとに経営責任を明確にすると同時に、資本市場に対する約束をする。同時にそれは、社内の中では、会社決算をイコールやるわけではなくて、管理会計を使って、少し簡便な形で、実際の経営を中心に議論していくわけです。したがって、四半期ごとに予算をつくって実際の運用をやるけれども、半年は少なくともきっちりとして、それを会社決算に使って、財務計算を一緒にやるという形が普通だと思うんです。もちろんSECの基準とは若干違うかもしれませんけれども。

そうすると、先ほどの山浦先生のお話もあったと思うんですが、つまり半年のシリーズは簡単にしてもらっても、年間で監査としてやるというやり方もあるし、会社としては、年間でよければいいというわけではなくて、半年それ自体について資本市場に約束している。株主総会は年に1回ですけれども、株主総会は皆さんから見ると一見猛烈に注意しているようだけれども、それは総務とかそういったグループの人たちであって、基本的に会社の経営者は何も株主総会だけ見ているわけではなくて、やはり半年ごとの決算について資本市場に問うているということが事実なんです。したがって、もし代表訴訟の問題が起これば、年度末決算においてそれが判明するのではなくて、もっと早い段階でわかっていれば、それについてなぜ半年後の年度末決算で明確にしたのかということで資本市場において責任を問われる可能性がある。我々は、わかった段階であれば、上期であれば上期の会社決算にそれはある程度公表しておかなければいけない。資本市場においても明確にしなければいけない。これが経営者の責務だろうと私は思っているわけです。つまり、アカウンタビリティーというのは、資本市場において半年決算を連結ベースでやるとすれば、そこにおいて明確にしておかないと、それは要するに全体の中の粗いものにして、年度1回でやればいいということにはちょっとならないというのをちょっと申し上げておきたいと思います。

その場合、それでは相当な時間とお金と労力をかけてもらうかどうかというのは、これはそれぞれの会社であるんですけれども、必要なものは出さなければいけないけれども、余りむだなことはやりたくない。これも経営者の非常に勝手な言い分なんです。しかしながら、会社はコーポレート・ブランドを大切にしていますから、致命的な問題があるとか、そういうことに対しては非常に困る。

もう一つそれに関連して、ちょっと長くなって恐縮なんですが、訴訟の問題も若干山浦先生がおっしゃったんですけれども、訴訟は公認会計士さんが心配する前に、経営者なんです。経営者にまず責任を問われるのであって、それで会計的な面において常任監査役制度があれば、そういう会社は常任監査役が受けて、それが経営者を訴え、同時に、それは会計監査にも来ますけれども、まずは経営者が訴えられる話ですから、会社がいいかげんにおろそかにしておれば、まずそこが責任をとりますから、さほどCPAの方々が心配される必要はないのではないかと私は思っているんです。まずは経営者の問題ではないかという点があります。

それから、今度は会計との問題でいきますと、日本の会計基準のやり方というのは、どちらかという欧州式ですから、原則主義です。そしてアメリカとはちょっと違う。アメリカの細目主義で今ずっと動きつつあって、だんだん細かくなって、同時に監査もそれに従って細目ばかり細かくやる。ということよりも、大きな原則を日本式に決めて、ある程度公認会計士さんと会社との信頼関係のもとにやるということをベースにしてお考えいただければいいんじゃないかと。つまり、訴訟の問題は何もかも経営の問題ではないかと私は思いますということなんです。したがって、友永先生のこの、今日は私は非常に興味があったんですが、一般的事項、それからゴーイング・コンサーンに関する事項というのは、このストーリーは実際問題こういうことだろうと私は思うんです。したがって、前期の末のものをまずトレースし、当中間期にこの1年間を見通したところの、つまり当決算期までです。本当は、経営は大体半年ではなくて先1年ぐらいを絶えず見ているわけです。例えば上期末、9月末は来年の3月まで見ているかというとそうではなくて、翌年の上期ぐらいまでどうなるか、絶えず考えてやります。しかしながら、約束しているのは9月末、3月末なんだから、そこは経営者としてきちんとやらなければいけない。

そういったことで、結論から申し上げますと、上期の監査というのはそれなりにきちんとしてもらいたいということです。それは100%でなくても、力の置き方としては40と60で結構ですと。それから、極めて訴訟にさらされるような重要な問題は、これは絶対に、上期でわかれば上期で言ってもらいたいし、それは経営者として当然受けて立たなければいけないと思いますので、それは会計士さんにも我々は必ずそういうお願いをするということであります。

以上です。

○脇田部会長

ありがとうございました。

今、伊藤委員からご発言をいただきましたけれども。内藤委員、ご発言はありますでしょうか。

○内藤委員

ではちょっと伊藤先生に伺うんですけれども、学問的には、この中間監査というのは非常にあやふやな概念といいますか、批判が多いところであるわけです。それは、先ほど山浦先生がご説明になった監査とレビュー以外のものが国際的に通用するかという、それが保証水準とも関連して、非常にわかりにくいということで、これを監査と言っていいのかという問題点がよく指摘されるわけですが、今の伊藤先生のお話を伺っていますと、半年ごとの決算なので、それに対してアカウンタビリティーが必要だから、それに応じて監査もきちっとしたものが出てほしいというご趣旨のお話だと思うんです。それは全く同感なんですが、そうすると、中間財務諸表に対しても年度監査と同じ監査を実施すべきだ、その方が望ましいというお考えだという趣旨でしょうか。その辺はいかがでしょうか。

○伊藤委員

私はそう思っているんです。これは何も経営者が全部そう思っているわけではないだろうと思いますが、私はその方がいいのではないかと、極力。ただ、問題は、それに対する費用と効果の問題はあります。だから、9月までの間において、やはりやらなければいけない極めて重要な問題は、やってもらわなければいけない。それから、恐らくそれは公認会計士の方も、年間を通じて3月末にやればいいというより、重要な問題は絶えずチェックされているはずだということを申し上げているわけであって、中間は要するにある程度手を抜いて、年間で見ればいいんだということにはならないと私は思います。ということなんですが、内藤先生のお考えは。

○内藤委員

わかりました。この中間の財務諸表に対してどういう監査で信頼性を保証するかというときに、きょうも多賀谷さんの方から説明がありましたけれども、中間財務諸表が年度財務諸表に比べて遜色がないといっても、開示された情報には遜色がないわけです、確かに。量的にはそんなに遜色はないかもしれませんけれども、しかし、質的な面では、年度期末での決算で確定すべき内容がそれと同じレベルでは確定できないという問題もあるわけですから、そういう意味では、全く同じ監査を適用しても、監査でわかった信頼性というのはあやふやな部分が出てくるわけです。ですから、そういうあやふやな部分が結果として生じざるを得ないものに対して、年度監査と全く同じ質のものを適用する、これはコストベネフィットの観点から見てむだになるだろうというのはあるだろうと思うんです。伊藤先生のお話については、そう思います。

きょうは、今、脇田先生の方から3つの観点について自由に発言ということですので、もう一度確認したいんですけれども、この中間監査基準を改訂するに当たって、基本方針が明確になっていないと議論が繰り返すと思いますので伺いますけれども、まず前提条件で何が変わったからこれを変えるのか、その部分だと思うんです。要するに、監査基準が改訂されたからこれを変えるのか、あるいは中間監査を導入して、過去2回の経験を踏まえて、その問題性が非常に大きいからそこにさかのぼってこれを変えようとするのか、その辺の基本的な方針がどちらなのかというのをはっきりしていただいた方が今後議論が横道にいかないように思うんですが、いかがでしょうか。

○脇田部会長

今、内藤委員のおっしゃったところはそのとおりだと思いますが、これは今私は個人的に申し上げますけれども、まず公認会計士による監査自体の法的な枠組みは変わっておりません。それから、中間財務諸表の位置付けも証券取引法の中で変わっていない。つまり、制度的には変化がないわけです。それで、今大きく変わったのは監査基準、しかも以前は財務諸表監査の通常実施すべき監査手続から、それを段階的に落とすような形での中間監査基準でございましたが、そのもとの財務諸表監査にかかわる監査基準あるいは監査の基準がこのたびは内容的に大きく変わっていった。そこからの発想が今回の中間監査基準の改訂問題の一番大きな改訂問題の端緒であったと考えております。

それから、もちろんもう一つは、山浦委員がよくご指摘になるところですけれども、これはここですと混乱してしまうんですけれども、確かに平成10年のときの中間監査基準の改訂作業の中で、いろいろな制約の中で監査基準をつくりましたので、その点についての論理性とか、あるいは理論的な裏付けとか、一貫性といったものの見直しができればという点が、それに付随してあるという状況だろうと思います。

○内藤委員

わかりました。それでは、改訂監査基準の整合性を図りながら、既にわかっている問題点をその中に織り込んで、監査人の方の判断が明確にできるような手続を設定するという基本方針でよろしいんでしょうか。

○脇田部会長

私としては今そう考えておりますし、この審議会の席でそういった方向性が認められれば、その方向をとりたいと思っております。

○内藤委員

それでは、きょうご説明があった資料2についてちょっと伺いたいんですけれども、資料2のことについて質問する前に、この中間監査というのはどちらかというと年度監査に近い監査形態で、レビューに近い監査形態ではないという、これまでの中間監査はそういう位置付けになっていると思うんです。そうすると、中間財務諸表に対してこの中間監査を適用するということは、単に監査かレビューかという問題だけではなくて、監査がもたらす副次的効果といいますか、派生的効果の側面も無視してはいけないと思うんです。今回の監査基準の改訂では、リスク・アプローチを徹底するということになりました。そしてまた、ゴーイング・コンサーンの問題についても、これをきっちり見ていくということになりました。そうすると、改訂監査基準の前文にも非常に強く強調されているんですけれども、企業の内部統制をきっちり整備運用していって、それに対して監査人がチェックを常置的に行うということが非常に強調されているわけです。そうすると、この中間監査のあり方として、これが内部統制のチェックにつながるものでなければ意味がないと思うんです。ですから、そういう副次的、派生的な効果を生み出すとすれば、それをレビューだけでもしできるのであればいいんですけれども、しかしレビューだけでは足りない部分が出てくるんじゃないか。

また、私は会社の人間じゃないので失礼があるかもしれませんけれども、自分がやった仕事の後にレビューがあるという意味と、監査に近いものがある意味とでは、これはかなり違うんじゃないかと思うんです。後に監査がある、非常にきちんとしたチェックがされるということになると、通常の業務をいいかげんにできないですね。レビューだと、ちょっといいかげんにしておいてもいいかなという機運が出るんじゃないか。そういう意味で、予防的な効果が失われてしまうんじゃないかとも思うんです。そういう意味で、レビューだけではちょっとしんどいかなということを私の考え方の基本としてお伺いするんですが、前置きが長くなって申しわけないんですが、きょうの資料2の一般的事項に関して、友永先生のご説明はよくわかったんですけれども、その中で私がこの図で思うのは、中間期にリスク評価をきっちりします。それに対してリスクが高い、中ぐらい、低い場合にそれぞれどういう手続をとるかという仕組みがございます。でも、この仕組みというのは、期末の監査においても同じ仕組みではないかと思うんです。というのは、期末の監査においてもリスク評価をして、もし低ければ、実証手続にかえてより簡便な方法をとることも可能ですね。その代表が分析的手続だと思うんです。すなわちそれは、分析的手続というのは、一般的には2種類あると言われていまして、全般的に企業のリスクを見るという部分と、そういった財務諸表項目に対して実証手続にかわるものとしてこれを分析的手続で行うという趣旨のものがありますね。そうすると、期末で行う、これは同じ仕組みだと私は思うんですけれども、その同じ仕組みの中でこの分析的手続と書いておられるところは、そういう実証手続を省略できる部分の比重を非常に高めるという趣旨なんでしょうか。それとも、ここで言っている分析的手続というのは、これだけでやると考えていらっしゃるんでしょうか。そのあたりは、期末との比較ということで、どの程度手続が減っているというか、プラスされているといいますか、その比較がきっちり可能にならないといけないと思うんですが、その点、いかがなんでしょうか。

○脇田部会長

友永委員、ご説明いただけますか。

○友永委員

これは私の意見として聞いていただきたいと思うんですけれども、中位、低位につきましても、それぞれに適合した実証手続を実施するということ、低い場合には分析的手続で流すということもあると思いますけれども、それは年度監査ではきちんとそこの監査人としての判断に基づいた実証手続をやると思うんです。ただ、中間でそこまで要求すると、要するにより保証水準が年度監査ほどは高くないという前提で、簡便性を求められているとすれば、どこを切るかというと下から切っていくと。そこの部分を簡便にするというやり方しかないわけです。それで、この前の第二部会での議論からしても、リスクの高い部分についてはきちんと見てほしいというのが利用者側、それからきょうの伊藤委員のご発言にあったように、作成者側もそういう気持ちだろうと思いますので、高い部分については、それは期末とは適用する実証手続の内容が違ってもいいと私は思いますけれども、一応実証的手続をするという仕分けにした方がいいのではないかと思っております。

そして、先ほど企業の内部統制の話もございましたけれども、この中間でやるリスク評価と書いてある部分は、先ほど申し上げたように、あくまで年度監査におけるリスク評価、統制リスクの評価を年度に配分して、上半期・下半期に配分した上で上半期で実施する部分が入っているとお考えいただきたいと思うんです。年度監査においては、今回の改訂監査基準で求められる内部統制に関する理解ですとかそれに基づく評価といったものは万全な体制で臨むということですけれども、同じ設置を上半期に全部やれと言われると、これは相当の時間的な問題もございますし、そこは年度監査で押さえたいと、今のは個人的な意見でございますけれども、私はそのように思っております。

○脇田部会長

ありがとうございました。

内藤委員、どうぞ。

○内藤委員

そうすると、中間期でリスク評価をして、中程度のところは分析的手続、そしてこれが期末のリスク評価のときは、中程度のときは、分析的手続のほかにいわゆる詳細手続と言われる実証手続が必ず求められている。これを実施しなければならないという区別でよろしいでしょうか。もう一度確認だけなんですけれども。

○友永委員

必ずしもすべてそうかどうかはわかりませんけれども、通常は中位でも実証手続はやると思います。

○内藤委員

わかりました。ではもう一つだけなんですけれども、ゴーイング・コンサーンに関する事項のところで、先ほどご説明を聞き漏らしたかもしれないんですけれども、中間期の当中間新規事項のところに「一般的な手続から導き出される事項+質問・閲覧」とあるわけですけれども、ここで言っている「一般的な手続」というのは何を想定されているんでしょうか。

○脇田部会長

友永委員、お願いいたします。

○友永委員

済みません、この図は作成者が那須委員なものですから、結局、前期末のところをごらんいただいて、「一般的な手続から導き出される事項+質問・閲覧」と同じことが書いてあるということで、私はこれはゴーイング・コンサーンに関する監査人が行うべき検討すべてワンセットだと思っております。

○内藤委員

わかりました。ありがとうございました。

○脇田部会長

山浦委員、どうぞお願いします。

○山浦委員

恐らくこれから先の具体的な基準設定の文言とか仕組みにかかわってくるような問題だと思うんですけれども、今、内藤委員の方からご質問がありました、この上の一般的な事項の実証手続の適用の仕方ですか。恐らく友永委員の方でご説明になった点、さらにもう一つ、私自身は、これも個人的な考え方ですけれども、例えば実証手続を適用する場合のリスク評価の結果、リスクが高い、例えば統制リスクが高いというときの高・中・低の判断が年度監査と同じになるかどうかという、その可能性が一つはあると思うんです。極めて高いときに実証手続と、言い方としては、文章としてはこういうことは使われないと思うんですけれども、そういう仕組みづくりがあるかと思います。

それから、例えば債権について確認手続をする。年度監査であれば例えば95%程度の信頼水準で確認手続をとるけれども、中間であれは90%でも構わないかなといったことにはかかわってくるかもわからない。

もう一つは、実証手続の種類です。確かに分析的手続も実証手続の一つなんですけれども、そのほかの実証手続の種類についても、中間と年度では異なってくる可能性がある。仕組みとしては、まさしくこれからの議論なんですけれども、幾つかの可能性としてはあると思います。

以上です。

○脇田部会長

ありがとうございました。

加藤委員、どうぞご発言ください。

○加藤委員

この中間監査の位置付けで、先ほど山浦先生もおっしゃったように、よく問題になるのは、レビューとの比較だと思うんです。それで、この中間監査基準というのがあいまいというか、日本独特のものなので、この間も私は発言しましたけれども、ついこの間まで私は何となく中途半端な中間監査基準というのはおかしいなと。特に海外の子会社等を監査する場合に国内子会社等の監査との整合性がとれないとか、いろいろな問題も認識はしていたんですが、最近はちょっとそういう考え方を変えてきているんですが、その背景の一つとしてご紹介したいのは、アメリカのレビューと年間における監査との関係で、私どもは実務に携わっているものですから、感じていることをお話ししたいと思うんです。

友永委員が出された資料2における一般的事項のリスク評価ということを、アメリカでも確かに期中ではやっているんです。ここで「当中間」と書いていますが、これはアメリカでいうと中間というよりも期中監査というような言い方をしているんです。ただ、アメリカの場合は、一般的に中間とかクォータリーはレビューですから、このように期中に行われたリスク評価とかいろいろな期中の取引のチェックは、余りクォータリーとか中間のレビューの報告書には結びつけないわけです。あくまでも全部期末の監査の一環としてやるだけで、その中で途中にクォータリーとかが来るだけで、ただそれはレビューですから、質問とか増減分析とかをするぐらいですから、こういうリスク評価とか取引の証票書類のチェックとかとは余り結びつけないということで、アメリカのプラクティスは、期中監査というのは大体年度の後半に集中的に行うんです。12月決算が多いんですけれども、大体6月過ぎとか秋ごろにします。したがって、海外の子会社への監査指示書、私どもの方へ来る指示書も秋ごろに来るんです。年間の監査計画を最初に立てて、それに基づいて海外の監査人に指示書をすぐ出すという形ではなくて、結構遅く監査指示書が来るんです。そのようなことで、要するに期中監査というのは期末監査にだけ結びついていて、レビューの対象になっている中間財務諸表との結びつきは余りない。この辺がアメリカではよく問題になるんですが、スタッフをたくさん雇うにしても、忙しい時期はみんな期末に集中して、夏とか前半は暇でしようがないと。それをどうするかと、だから研修するとか、いろいろなことをやっていて、余り常にコンスタントに企業を深く見ているというところはないんです。

ただ、翻ってみると、もし日本でこういう中間監査ということを、今のようなレベルの高いというか、保証水準の高いものを求めてやるとなると、結局前半にも作業しなければいけない。それと、こういう先ほどの資料2で言われている当中間に行われるようなリスク評価もすべて中間財務諸表に結びつけていくということで、要するに年間を通して常に会社にお伺いして、常に会社の動きを見て、会社の経営者とディスカッションして、そして中間の監査意見にもそれを反映するということでは、会社の動きを常にキャッチ、フォローアップできるということでは、これはちょっと海外にはないのかもしれませんけれども、今のように激動の時代、会社にいつ何が起きるかわからないという時代にはむしろ合っているんじゃないかと私は思うんです。

特にこれからゴーイング・コンサーンという問題が出てくるのであれば、ゴーイング・コンサーンは突然起きるわけでもありませんし、やはり年間を通して会社の動きというものを見ておく必要があると思いますので、そういう意味では、学術的な面から見ると、確かに中間監査基準というものの性格づけ、位置付けというものがあいまいになると思うんですが、実務的な面から見ると、私はそれなりの効用があるかなという気がするんですけれども。

○脇田部会長

ありがとうございました。

奥山委員、どうぞ。

○奥山委員

今、加藤さんの方から私の話したいことが幾つか出て、大変ありがたかったんですけれども、2つちょっと感じていることを申し上げたいと思います。

1つは、この中間決算、中間監査が存在することによって、私はかなりの部分が公認会計士は救われているんじゃないかという気を持っています。それは、ゴーイング・コンサーンのこともそうなんですけれども、今、特記事項という形でいろいろな会社が書かれておりますけれども、本当にあと1年もつのだろうかという心配を持つ会社が最近は非常に増えているわけです。そのときに、今度はゴーイング・コンサーンの問題はありますけれども、前の段階では、一応監査は終了した。しかし、半年はもつんじゃないかと、かなりの部分でそれは言える。そうすると、次の中間監査の段階で本当に問題があったら、そのときまた指摘できるということで、そういう意味で救われているという部分があるかと思うんです。

逆に、中間監査が終わった後に倒れてしまった場合にどうなんだろうか。次の年度監査が来たときに、年度監査が終わって監査報告が終了した後に倒れてくれるのなら、まだゴーイング・コンサーンの問題はやれる。しかし、中間監査が終わって年度監査が来る間に倒れてしまった場合に、中間監査って一体どういう意味があるんだろうということを考えたときには、これは年度監査と同じぐらいのことをやっておかないと危ないんじゃなかろうか。そうしますと、一般的事項のさっきのお話になるんですけれども、リスク評価でゴーイング・コンサーンにかかわるような非常に高いリスクがあるようなケースは、これは年度監査と同レベルのことをやっておかないと、公認会計士の監査の責任が問われるのではなかろうかと。しかし、ある程度リスクが多少あったとしても、ゴーイング・コンサーンほどのリスクがないとすれば、それはぜひ簡便的な監査で、やはり中間監査の位置付けというのはあってもいいんじゃなかろうかと。そういう意味で、これはいい図だったと私は思うんですけれども、この高、高いというところから上と下をぜひ分けていただけると、もっとよりそれを強調していただけると、中間監査の責任の上でも、あるいは私どもの気持ちの上でも、非常に楽になるんじゃなかろうかと思いました。

○脇田部会長

ありがとうございました。

渡辺委員、どうぞ。

○渡辺委員

伊藤委員がおっしゃったこと、それから前回松野委員もおっしゃったと記憶しておりますが、半期の決算でもきちんとやっているんだと、別に手を抜いているわけではないので、そういう意味ではちゃんとした監査として認められた方がよいという点であったかと思います。アメリカの状況と比べると、もしアメリカで、SECか何か知りませんけれども、今から中間にフルの監査を始めると言い出したら、これは大変だと思うんです。そんなことはとてもやっていられないという。ところが、日本は、歴史的経緯で昔年2回決算といったものがあって、そういう意味では企業の方が、心の中でというか、実際に半期決算を受け入れているという実態があるわけです。僕は、これは監査という面で見ると、アメリカと違って、大変な歴史的な経緯をたどって生まれた財産だと思うんです。そういう意味では、日本の会社は監査が難しいとかという議論がよく出ますけれども、年2回フルの監査を受け入れているというのは、これは大変な財産なわけですから、これを有効に使うという点で、年2回の監査の半期の監査をよりきちんとしたものにして、国際的にも、日本は年2回やっているんだ、監査を受け入れているんだということを訴えるのがいいのではないかと思います。

もう一つは、よくわかっていないので質問をするんですが、そもそもリスク・アプローチということが始まったので、これは私が理解しているところでは、すべて監査するのは無理だと。使える資源というのは限られているんだと。だから、どこが大事かと考えて、そのリスクが高いところに投入して監査しましょう。ですから、全部やれという意味ではないわけですから、では半期の決算であれば、半期に使える資源を投入して、リスクの高いところを監査するということですので、それが年度と違うというのは、当たり前といいますか、そもそもそういうことを考えてできたのがリスク・アプローチではないかなと思いますので、半期だからリスク・アプローチができないというのはややよくわからないという感じがいたしました。

以上です。

○脇田部会長

ありがとうございました。

藤田委員、どうぞ。

○藤田委員

理念論といいますか、そもそも論と現実論と2つに分けて申し上げたいと思います。

理念的には、前回も申し上げたように、中間と期末の関係というのは、これは両方とも質的にも保証水準も同等であるべきだと思います。ただ、先ほどからいろいろ出ていますように、コストベネフィット論というのは非常に大事なところで、これをいいかげんにすると、両方とも虻蜂取らずになってしまうということだと思います。では何をもってコストベネフィットを見きわめるのかと言えば、リスク・アプローチであり、より具体的には企業によって内部統制がきちんとできているところとできないないところという企業ごとの切り分けというのがどうしても必要だろうと思います。内部統制に金をかけていなければ、それは外部監査に金がかかるのは当然という考え方でいいんじゃないかと思います。

もう一つ現実論を申し上げますと、中間財務諸表制度が制度化されて、中間監査が非常に充実して、期末監査とほぼ遜色ないのが現実なんですが、ただ最近、新会計基準もあって、企業の経理部門の業務が猛烈にふえている。会計監査人の方も、人数もそうふえているわけではないし、非常に多忙を極めていて、現場を見てみますと、本当にこのままで中間も期末もともに同じような保証水準を保てるのかと。形は、中間も期末も遜色ないような形になってきたんですが、企業の経理、監査に対する対応に割ける時間、それから会計監査自身のキャパシティーを考えても、ここから先は私の個人的な、あるいは断片的な意見になるかもしれませんが、全体的にはそんなことないんだということがあればそれにこしたことはないんですが、端的にいいますと、例えば時間がないものですから手を省かないといけないということで、サンプリング監査などというのが非常に多用されているように思います。このサンプリング監査というのは今始まったことではなくて、友永委員のこれによると、実証手続に入るのか、分析的手続に入るのかわかりませんが、非常に大事な、例えば企業自身がこれは問題だということで、コンピュータでポジションをきちんとつかんでいるような案件についても、また改めてサンプリング監査するとか、つまり内部統制といいますか、あるいは内部管理の資料を十分使わないまま、そういう形式的な監査に流れている面がありはしないか。現実に私もある関連会社でそういう経験をしたものですから申し上げているんですが、このサンプリング監査というのはもっと多用していいと思うんですが、もっと科学的なというか、サンプリングのあり方というのをもっと考えたらどうか。それがまさに全体的なコストを下げてベネフィットを高めるという意味で、サンプリング監査というのをもう少し整理したらどうかと思います。ひどいケースだと、企業にセレクションまで、チョイスまで、サンプリングの調査までゆだねてしまって、全く企業から問題のない案件だけを見繕って出るとかといった本末転倒のやり方もございますので、そのあたり、もう少しサンプリング監査のやり方を整理してもらったらどうかと思います。

以上です。

○脇田部会長

ご指摘、ありがとうございました。

伊藤委員、どうぞ。

○伊藤委員

私は藤田さんと若干違うかもしれませんが、同じ経営にタッチしていて、今、監査役になっていて、監査という面でもちょっと見ているんです。

要するに、私が思うのは、日本は内部コントローラーというのがきちんとした会社は、人数からいうと相当充実しているんです。我々は、海外に180ぐらいの拠点がありますが、経理の人間は余り出していないんです。拠点はあちこちに、ヨーロッパだとロンドンとか幾つかに置く。それから東南アジアだとシンガポールとかタイとかに置いて、そこで周辺を見させるとか、アメリカの場合も拠点を幾つか持って、そこで見させる。そうやって、大きな会社には出す。いろいろなやり方をするんですけれども。

よく見ますと、アメリカなどでも、アメリカの会社は、実は私は3Mの監査役などと関係して取締役などをやっているんですが、経理マンというのは意外に少ないんです。コントローラーというのはいますし、ファイナンスのところはいますけれども、いわゆる経理業務、会計、アカウンティングのところはほとんどが公認会計士さん、CPAの人がデータもつくっているんです。だから、彼らはレビューじゃなくてオーディットだと言っているわけです。それを自らがつくるわけです。ところが日本の場合は、会社がまずデータをつくって、そして公認会計士さんがそれをさっきのサンプリングじゃないけどチェックされる。もちろん、期末のああいうものも立ち会ってでもチェックされると、多少違うわけです。

そういう点では、私は内部コントローラーが日本ができていないとは必ずしも思わないんです。つまり、会計士さんが一からつくるか、会社のデータをきちんと信用して、あるいはその中から内容をチェックしてやるという点において、私はちょっと違うと思うんです。そういう点で、日本の公認会計士さんがやっていないとは僕は決して思わない。非常に立派にやっているし、日本の会計士の方々が何もアメリカのあの細かい細目どおりやる必要はないんじゃないか。それは企業がある程度やっている。したがって、内部コントローラーをきちんと評価して、それが充実した会社なのか、充実していない会社なのかを何らかの形で判断できて、それに応じてCPAのオーディットがもっと効率的にやるということが重要ではないかと思うわけです。

例えばリスク・アプローチ一つにしても、その高いというリスク・アプローチの中身は半年あったら変わるんです。例えばITビジネスのこの前の大混乱のときにも、私の記憶では12月ぐらいまでは非常によかった。3月ごろから急速に悪くなって、6月はバーッとどしゃ降りだと。つまり、リスクが半年の間にがらっと変わるわけです。昨年の10月とか11月ごろにアメリカに行ったときは、ITはまだ非常に調子がよかったわけです。そのときにはアメリカの例ののれんの問題だって余り問題は出なかった。そういう状況で、半年ごとにガーッと変わって突如出てくるというバックグラウンドがあったわけです。したがって、要するに突然高いリスクが変わってくるので、半年ぐらいでこの高いところは変わるんです。だから、同じものが出てこない。そこはよく考えておかなければいけないです。それは、さっき奥山先生もおっしゃいましたけれども、企業を絶えずチェックしていないと、会社のリスクは絶えず変わっていっているわけです。企業の経営者はわかっています、もちろん。わかっているから、それは公認会計士さんとよく話をしているかと言えば、公認会計士さんは、例えば我々のCFOとは話をします。しかし、我々の中の常務クラス、専務とか、ほかの社長などと会っているかといったら、そうは会っていないんです。しかし、これは本当はそういうところに踏み込んでリスク・アプローチのディスカスをしていけば、わかるわけです。したがって、会社がCPAの方々を信頼し、CPAが思い切って会社の中に入って絶えずやるということは、何も細かいデータを見るんじゃなくて、2つあって、細かいデータを見るのは半年に1回とか、あるいは期末にかなり見れば、あとは大きなリスク・アプローチというのは、経営者と話をしたり、あるいはそれから糸口を持ってやれば、そんなに問題ではないと私は思います。つまり、企業のコーポレート・ブランドが傷つくような大きな問題が非常に会社としては重要なんであって、多少そこで細かい出来事があったとしても、それは大きな意味でのリスクに対する信頼性を損なうものではない。ましてやゴーイング・コンサーンに影響するものではない。

それから、あえて言いますと、ゴーイング・コンサーンというのは、ここに先生がたくさんおられますけれども、大体この会社は危ないとかというのはわかるはずなんです。1年先は危ないということが1年たってわかるということはあり得ない。もう2、3年前からわかっているはずだと思うんです、そういう会社というのは。ただ、それをあえてその会社のトップに言えるかどうかということはあります。これは常任監査役だって同じことです。あるいは非常勤取締役だって同じなんです。どこまで信頼関係があって、どこまでやれるかというところの問題です。それから、社会的地位の立場の問題とかということがあるんだけれども、大体問題はわかっているわけです。したがって、そういう点ではサンプリングも重要性の原則に基づいてやれば、いけるんじゃないかと。

それから、私は日本の先ほどちょっと会計の基準を言いましたけれども、アメリカ式のような細かい、ものすごく細目をつくって、細目だけを追って、監査のある種のマニュアルですか、そういうものをつくって、それを○×でやっていくというやり方ではないわけです。アメリカはそれがベースになっているわけです。というのは、彼らは自分で数字をつくってやっていますから、あとは毎月それをチェックしていくようなもので、日本はそうじゃないというところもよくご理解いただいて、現実的な議論で推し進めていただけると大変ありがたいなと思います。

以上です。

○脇田部会長

ありがとうございました。

ほかにご発言はございませんでしょうか。渡辺委員、どうぞ。

○渡辺委員

私は、中間もフルの監査ができるようにした方がいいという意見を申し上げておりますが、もう少し話させていただきますと、全部の会社にフルの監査というのは、それは対応ができないとか、そういうことはあるかもしれないので、それは別にそうしなくてもいいと思うんです。ですから、中間監査基準が要らないと言っているわけではなくて、多分大多数の会社さんは中間監査基準の少し緩いもので対応されるということになるのかなという気はいたしますが、そうではなくて、対応できるんだという会社さんには年度と同じレベルの監査をして、その監査を見ていたという報告書がきちんととれるような仕組みにするのがいいのではないかと思います。ですから、昔といいますか、時々使われる護送船団で言えば、一番遅い船がついてこられる基準もあるんだけれども、速く走れる船は、そうではない、もっと立派な基準といいますか、特別な基準でないものでやれることにしたらいいのではないかと思います。

○脇田部会長

ありがとうございました。

友永委員、どうぞ。

○友永委員

今の渡辺委員のご発言もあるんですが、このリスク・アプローチの適用を中間監査にした場合にどういうことになるかといいますと、非常にハイリスクな会社はフル監査に近くなると思うんです。ローリスクの会社、余り変化の乏しい会社においてはレビューに近い手続になるんじゃないかと。そういう意味で、先ほどのご発言の中で藤田委員でしたか、企業ごとに違うんじゃないかとおっしゃった、まさにそうなるのではないかと思っております。

渡辺委員の今おっしゃったことは、フル監査は非常に会社のためになるからやってほしいという会社はやればいいと。ただ、リスクに関係なく、コスト的に対応できない会社は一番緩い基準でいいということではなくて、監査人の立場からすれば、ハイリスクの会社は年度監査とほぼ同様にしたいと必ず思うと思います。その辺が若干違うかなと思って発言させていただきました。

○脇田部会長

はい。ほかにご発言はありませんでしょうか。伊藤委員、どうぞ。

○伊藤委員

たびたびしゃべってしまいますが、ハイリスクというか、2つあって、もちろんハイリスクの会社は先生のおっしゃるとおりだと私は思います。それと、変な話、会社のブランドをものすごく重要視するところは、リスクは余りないんだけれども、1点のリスクでもあると、それが困るんです、会社としてみれば。それは、だからある程度我々としてみればやってもらいたいという気持ちがあるわけです。そういうことがありますから、ではその会社はリスクがものすごくあるかというと、そうではないんです。リスクはないと思うけれども、しかし一たんリスクがあって、もし何か起こったときには致命的だと思うか思わないかという、経営者のブランドに対するというか、会社に対する意識が違うということで、だけれども、必ずしもそうじゃないんです。そうすると、日本は一体何をするのか。ある程度任せると。任せるけれども、セーフティーネットのところだけははっきりしておかないといけないです。そうしないと、自由に独立させたら、皆さん、節約のためにできるだけ簡素にしてくださいということになると、日本の監査基準がかえって誤解を与えるから、セーフティーネットのところはある程度必要だと思います。そうすると、この監査基準論というのは、セーフティーネットだけをやるのか、セーフティーネットプラス自由にさせるというところまで踏み込むかというところは検討していただきたいと思います。

○脇田部会長

では、若杉会長、どうぞ。

○若杉会長

いろいろご意見を伺っておりまして、非常に頼もしく感じております。特に企業のサイドからのご意見ですと、むしろ積極的に厳しい監査を中間監査としてやっていただきたいというご意見なわけで、もちろんここにいらっしゃる委員の皆様方、特に産業界からの委員の方々は、エクセレントカンパニーの方々ですから特にそうおっしゃるのかもしれませんけれども、企業によっては、なるべく簡単にやってもらいたいとか、余り厳しい監査をやってもらいたくないという気持ちもあると思うんです。しかし、我々としましてはやはり、証取法の第1条の規定にありますように、投資者の保護というのがまず絶対的な目的で、ただそれだけで、ほかの監査人とか企業がどうなってもいいというわけではなくて、投資者の保護を図りながらも、監査人や企業がちゃんとうまく調和のとれた形で社会が発展し動いていくことが望ましいと思いますので、その意味では、今の監査の中間監査に対する皆様方のご意見は、非常に頼もしく感じております。

要するに、中間監査の場合にリスク評価というのが非常にポイントになるわけです。そこでのリスク評価が正しく適正に行われれば、危険性の高いところは実証手続で、低いところはもっと簡便なレビューのような手続でもいいということになるわけで、その場合の決め手はやはり中間でのリスク評価そのものにかかっているんじゃないかと思います。

医者だって見立て違いというのは年じゅうやっておりますので、会計士、監査人というのは全く同じような専門家としてのお立場にありますので、共通する面があると思います。

何かこれからの作業を進めていく上で、中間監査基準を改訂する上でかなり明るい見通しを私は感じたような次第ですので、簡単ながら感想を申し述べました。どうもありがとうございました。

○脇田部会長

ありがとうございました。

ご発言はほかにございませんでしょうか。伊藤委員、どうぞ。

○伊藤委員

これは、ここにおられる奥山先生と皆さん関係するんですけれども、つまりそのように我々は充実してもらいたい。もちろん、そのためには企業の内部統制を充実させなければいけない。これは両方あると思うんです。その場合に、例えば企業の中にもそういう公認会計士のような者がいて、これは全く意見として私は聞きたいんですけれども、そういうことを義務づけるわけではないんですけれども、ある程度の規模の会社になってくると、あるいは大変リスクのあるような業界に関しては、そういう人たちを義務づけるというか、そういうのがあったら望ましいと。そのためには、公認会計士をもっと増やさないといけないと思います、質量ともに。そうすると、それはもちろん今は別の会議でいろいろご検討いただいているんだと思うんですが、ちょうど会社の中に、私どもの会社も社内で弁護士になった者は置いてあるわけです。そのように、そういう人たちはアメリカの会社には結構いるんです。先ほど申し上げましたように、人数は少ないけれども、そういうのがいて、社内で一生懸命それをつくっているわけです。それは会計士としてつくっているわけなんです。ですから、そういうことも本当はあればいいんだなという思いがするわけです。ところが、今の会社ですと、そういうのを養成していくとやめてしまうんです。どこかの事務所へ引き抜かれてしまって、なかなかいづらいんで、これは会社の中の制度としてもそれに対して余り報いていないものですから。弁護士資格を取った者にはそれなりに給料を出してやる。ところが、公認会計士の場合は意外になかなか会社も給料を面倒見てやらないけれども、本当はそれもしてやらないといけないんじゃないかということも考えているんです。そのようにして社内の中にそういう人たちを充実させていくとか、本当を言えばそういうことを義務づけるぐらいのことにしてやれば違うんじゃないかということ。

それから、先ほどちょっと私言いかけましたけれども、アメリカの会計基準のやり方と日本のは少し違ってもいいんじゃないかと、私はかねてからそういう主義なんだけれども、余りそういう細目主義で、細かく全部、箸の上げ下ろしまで会計基準で縛ってしまう、監査についても、そういうものよりも、ある程度経営の自主性を考えつつ、公認会計士さんの事務所との間においての信頼関係のもとにやらせる。大枠はきっちりと決めるという方がいいのではないかという感じも持っているんですが、そのあたりについてはどのような考えなんでしょうか。時間がありませんから、何かあれば……。

○脇田部会長

山浦委員、この点についていかがお考えですか。今の伊藤委員のご発言で、ついご指名してしまいましたけれども。前にご苦労になっていましたから、別の場で。

○伊藤委員

いや、何かちょっと今言われたので、会長のそれに従ってちょっと申し上げたんですが、今でなくても結構ですけれども、回答の方はまた別のところでいいですが。

○山浦委員

別の会議でやりますので、その席で十分検討させていただきます。

○脇田部会長

私もそのように思います。

○伊藤委員

そういう疑問点を持っているということだけちょっとご記憶いただければ。

○脇田部会長

ほかにご発言はございますでしょうか。

それでは、特にご発言がございませんようでございましたら、意見交換はこのあたりで終了させていただきたいと思います。

本日は、中間監査基準の検討点について、事務局からの論点の整理、そして友永委員からのリスク・アプローチ、ゴーイング・コンサーンと中間監査とのかかわりについてご説明をいただいてまいりました。そして、その後いろいろとご意見を伺ってまいりましたけれども、今回の改訂の大まかな方向が示されてまいったのではないかと思います。ただ、年度と中間の法制度的な面からの問題は、今直ちに取り組むことができないものもございますが、中間監査基準としましては、現在の中間監査の位置付けを根本的に変えることはしないものの、これにリスク・アプローチを導入し、またゴーイング・コンサーンについて対処を図ることによりまして、監査基準の改訂による年度監査の充実強化を踏まえて、そして中間監査の充実を図っていくという方向であるかと思っております。

そういたしますと、具体的な改訂案を作成いたします場合には、今般改訂されました監査基準を下敷きにして進めることができるのではないかと思います。これから起草メンバーの委員の皆様方のご協力を得まして具体的な改訂案を起草させていただきまして、次回の部会からはそれに基づきましてご検討をいただくような方向で努力したいと思っておりますが、よろしゅうございましょうか。

それでは、そのような方向で、これからの起草案を起草させていただきますし、皆様方にご審議をいただきたいと思っております。

なお、次回の部会でございますけれども、3月28日木曜日の午後4時からを予定しております。いつもと違いまして、曜日が木曜日になりまして、時間が午後4時ということになりますので、3月28日の木曜日の午後4時でございます。どうぞお間違えのないようにお願いいたしたいと思います。詳細につきましては、改めて事務局からご案内をさせていただきます。

本日はこれにて閉会させていただきます。委員の皆様にはありがとうございました。

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