【金融ここが聞きたい!】


 このコーナーは、記者会見における質疑・応答(Q&A)などの中から、金融を巡る時々の旬な情報をセレクトしてお届けするものです。もっと沢山ご覧になりたい方は、是非、金融庁ホームページの「記者会見概要」のコーナーにアクセスしてください。
 


:まず、2002年の経済を振り返りたいと思います。まだ2002年度は正式には終わっておりませんけれども、2002年度は終盤を迎えている。2002年度を迎えるに当たって、政府は経済見通しを立てました。予算の編成に合わせて、この経済見通しを立てたわけですが、2002年度の政府経済見通しは0%成長ということでありました。丁度1年前、こうした見通しを政府が出した時に多くの方々から批判を受けました。政府の見通しは甘すぎると。日本を代表する約20社の大手シンクタンクの予測は、丁度1年前にその予測の平均値を取りますと、2002年度の経済はマイナス0.4%成長、マイナス成長になるという厳しい見方をしておりました。だから、0%の見通しを出した政府は非常に甘いというふうに言われた。しかしながら、まだ今年度は終わっておりませんけれど、今のところの見通しでみますと、2002年度はプラス1%近い成長が可能であるということが見込まれております。政府の実績見込みは0.9%であります。したがって経済は一般の論調では、不況、不況といわれておりますが、もちろん1%成長程度でありますから大変厳しい状況には間違いありませんけれども、楽観的といわれた政府の見通しよりも高いところに実質経済の成長はあった。これは客観的事実として、ぜひやはり確認をしておかなければならないのだと思います。現実問題としまして、昨年2002年度の第2四半期の成長率は、年率に直しますと4%成長であります。第3四半期の成長率は年率換算で3.2%成長でありました。これはいうまでもなくアメリカ経済に引っ張られる形で、特にアメリカ及びアジア向けの輸出が非常に大幅に増加したということに基づいて、そのような経済が実現したわけでありますが、しかし、正直いって株価が低迷し、経済が良いという実感は残念ながら持てなかった。この点は否定するつもりは全くありません。最大の問題は、実質経済成長率は予想よりむしろ高かったのだけれども。物価の下落がさらに続いて、結果的に名目成長率に関してみると非常に厳しい状況であった。そういうことなのではないかと思います。したがって、我々としては、実質成長率を高めるということもさることながら、やはりデフレを克服するということに関して、より踏み込んだ政策が必要になってくるというふうに判断しているわけであります。

 それを受けて、2003年の経済はどうなるか。今年の経済に関しては、非常に注意を持って慎重に、慎重に見ていかなければいけない難しい問題がたくさんあるというふうに思っております。しかし、これもぜひ客観的な事実だけを把握しておきたいと思いますけれども、2003年アメリカ経済はどうなるであろうか。アメリカでブルーチップスの予測のコンセンサスというのがございます。それによりますと2002年の成長見込みの2.4%に対して2003年は3%成長になるというのがブルーチップスの数字でございます。もちろんこれは刻々と変わりますから、今後イラク等々の状況によって数字は変わってきます。しかし、アメリカの経済は成長率からみると悪くなるよりもむしろ良くなるということをブルーチップス、アメリカの専門家が予測しているという事実があります。
しからばヨーロッパについてはどうであろうか。これもヨーロッパは広いですから、いわゆるユーロ圏についてIMFが予測しておりますけれど、2002年の成長率が0.9%に対して2003年は2.4%になると。ドイツの経済は大変厳しい状況におかれているようでありますけれど、ユーロ圏全体については、やはりこれまた成長率は高まるというふうに見ている。これも客観的な事実であります。要するにこういうことです。2002年から2003年にかけて、まず経済そのものは今まで家計部門がすこし引っ張ってきたところが、企業部門に火がつく可能性があるから、そういう基本シナリオに従えば、2003年の経済はむしろ少し良くなる。そんなに悪いことにはならないはずだというのが、あくまでも基本シナリオであるということだと思います。

 問題は、基本シナリオはそうであるにもかかわらず、今、私たちの目の前に非常に大きな不確実性のかたまりが存在しているということではないかと思います。リスクと不確実性は違います。リスクというのは分散でありますから、この分散をコントロールするある程度の手段を私たちは持っております。しかし、不確実性、uncertainty というのはこの分散そのものがわからない状況、つまり何が起こるかわからない状況。そうすると、どうするか。立ち止まるしかない。立ち止まって、投資を手控えたり、消費を手控えたり。そういうことになると、やはり経済は停滞する。ないしは投資を手控えて、非常に薄商いな状況になってしまうと、ちょっとしたことで価格が乱高下して経済が混乱する。私たちが対処しなければいけないのは、基本シナリオは決してそんなに悲観的なものではない。しかし、目の前にある不確実性を着実に、この不確実な状況に対応していくというそういうことに尽きるのではないかと思います。

 不確実な要因の最大のものは、言うまでもなくアメリカです。アメリカのイラクに対する攻撃がどのような形になるのか。北朝鮮の問題も、もちろん大きな、私たちにとっては不確実性になります。国内に関していえるのが、やはり何といっても不良債権の処理、これを加速しなければならないというのは総論としてはみんな認める。しかし、その不良債権処理を加速する中で、一体どのようなことが起こってくるのかということが非常に不確実であるということに対する問題。これは今後起こるかもれない色々なことについて、やはり政府も民間企業も家計も着実に冷静に、その一つ一つに当たっていくしかないということなのではないかというふうに思っております。

 たまたま昨日、1月7日、シカゴの講演において、ブッシュ大統領は非常に大きな規模の減税を発表されました。これは前からいわれていた減税の前倒しをさらに政治判断で規模を大きくする。金額に直しますと、10年間で80兆円の減税を行う。80兆円というと、実は日本政府の予算の規模、一般会計予算の規模が丁度80兆円くらいでありますが、日本の一般会計予算くらいの減税を10年間かけて行うということでありますから、これは今後様々な評価が出てくると思いますが、大変大きな減税の前倒しをやるということは、これは大統領自身が表明したわけでありますから、かなりの確度をもって実現していくのだと思います。重要な点は、アメリカがこのような形での政策展開をする限り、むしろ短期的にアメリカの経済が腰折れするということは非常に考えにくいのではないかと思います。今のアメリカの財政部門の変化を見ますと、GDP比で3%から4%悪化させるようなことを年間を通じてやるわけですから、これは大変大きな経済に対する刺激を行っているといえるわけです。短期的に考える限り、こういう大きな刺激を行っているアメリカの経済が短期的に悪化するということは考えにくい。むしろ、懸念される問題があるとすれば、中長期的な観点からのアメリカの双子の赤字問題である。アメリカの経済がこのような形で非常に大きなリスクを取り込んで今の経済を良くするという形で、そのリスクに対するサステナビリティーが確保されるかどうかという点、この点こそ私達は慎重に対処して、注目していくべきなのではないかと思っております。

 いずれにしても、2003年度日本経済、政府は0.6%という成長見込みを立てております。2002年度実績見込みが0.9%でありますから、0.6%というのは引き続き我々は慎重に見ている。多くの方々の希望としては、一刻も早く景気が良くなって欲しいということであると思いますが、これは小泉総理が就任の時から仰っているように、私達は残念だけれども90年代を通して不良債権、財政赤字といった負の遺産を抱えて走らされている。この負の遺産をやはり処分してしまうまでは、残念だけれどもそんなに高い成長は望めない。この2年ないし3年を集中調整期間として、集中的にこの負の遺産を解消するために努力をする。その間はやはり我慢すべきところは我慢して、しかしその先にある日本経済の潜在成長が発揮されるような姿を信じて、やはりやるべきことを着実にやっていく、それがやはり今年度の引き続き大きな課題ではないかと思います。ただし、2003年は改革の進行が着実に実感出来るような年に是非ともしたいと思っております。改革の成果がきちっとした形で、国民に還元されるには、残念だけれども5年、10年というような期間を待たなければならないと思います。アメリカもそうでした。イギリスもそうでした。そういう所で80年代、90年代を通してアメリカやイギリスの経済は再生したわけで、そういう非常に一種のペイシャンスと言いますか、忍耐を持ちながらも、やるべきことをしっかりやっていって、確かにまだ苦しいけれども、日本は着実に変わってきているということが実感出来るような年にしなければいけないのではないかと思っております。
  (平成15年1月8日(水) 日本証券経済倶楽部における竹中大臣講演より)

 


:昨年末から複数の銀行が新しい経営改革を自主的に公表したと、こういう新しい動きが出て来たということについては前向きに受けとめたいと思います。しかし同時に、それぞれが今後具体化されていく中で、その計画の詳細、更にはそれが結果に結び付くようにという観点から、3つの視点でそれらを見ていきたいと思います。

 たまたま頭文字にSがつくんですけれども、一つはそうした計画がstrategicかどうか、つまり戦略性を持っているかどうかということであります。やはり経営計画には明確な戦略的意味付けが必要だと思います。単なる数字合わせのための組織変革とか合併であるならば、それはやはり評価することは出来ないわけで、本当の意味での戦略性があるかどうかということをきっちりと見ていく必要があると思っております。

 2番目が、soundかどうか。つまり、健全かどうか、健全性があるかどうかという視点であります。健全な財務基盤の維持が大変重要であって、貴重な原資をなし崩し的に使ってしまうというような経営計画であってはいけないわけであります。そういう意味での健全性というものにもやはり注目したいと思います。会計面では、その意味では投資家、預金者を保護するための現行の会計基準が厳密に適用されることが大変重要であって、この点では監査法人のパフォーマンスにも大いに注目をしなければいけないと思っております。監査法人の責任において、いわゆる継続性が厳しく審査される必要があるわけで、そういった点についても注目をしたいと思います。

 3番目は、sincereかどうかという点。つまり誠実かどうか、という点だと思います。貸し手としての優越的な地位を乱用して増資の引き受けを迫ったり、互いに増資を引き受け合って自己資本をかさ上げするようなことがもしあれば、これはやはりフェアではないわけで、そういうことが起こらないように、やはりしっかりとした視点を持っていきたいというふうに思います。公的資金を受け入れた際に提出した各種の計画は、これは約束であってやはりsincereに実行されなければいけないということにもなろうかと思います。
  平成15年1月7日(火)竹中大臣閣議後記者会見抜粋)

【金融便利帳】


 このコーナーは、とかく専門的でわかりにくい金融に関する用語や様々な疑問について、わかりやすく解説するものです。
今月のキーワードは「ペイオフ」です。


 ペイオフは、二つの意味で使われることがあります。
 狭い意味では、金融機関が万が一破綻した場合に、預金保険機構が決済用預金を除く預金の元本1,000万円までとその利息額を保険金として預金者に直接支払うことを言います。金融機関の破綻処理方法の一つである「保険金支払(ペイオフ)方式」という場合には、この意味です。(これと対になる用語は資金援助方式です。)
 もう一つは、預金全額保護の特例措置が終了するということ、すなわち、万が一金融機関が破綻した場合に、決済用預金を除く預金のうち元本1,000万円とその利息を超える部分が一部カットされることがあるという意味で、「ペイオフ解禁」といったように使われることがあります。

 これを図に示すと次のようになります。
 
 
制度(広義)を表す言葉 ペイオフ解禁
処理方式(狭義)を表す言葉 保険金支払
(ペイオフ)方式
資金援助方式


 ペイオフ方式では、預金者に対して保険金は支払われますが、破綻金融機関は清算処理されますので、これまで破綻金融機関が果たしてきた預金受入・払出、貸付、決済といった各種金融サービスは消滅してしまいます。これでは、これまでこの金融機関を利用してきた預金者や債務者にとって大変不便なことになってしまいます。金融機関の破綻処理に当たっては、破綻に伴う混乱を最小限にとどめることが重要であり、破綻処理方法としては、ペイオフ方式よりも資金援助方式が優先的に採用されます。


 資金援助方式では、破綻金融機関を健全な金融機関(譲受金融機関)に譲渡し、破綻金融機関が持っていた預金受入・払出、貸付、決済といった各種金融サービスを譲受金融機関に引き継ぎます。破綻金融機関を譲受金融機関に譲渡するに当たっては、破綻金融機関に生じた損失を、破綻金融機関の預金者などの債権者の負担や預金保険機構からの資金援助によって埋める必要があります。預金全額保護の特例措置の下では、預金保険機構からの資金援助によって損失を全て埋めてきました。その資金援助の財源として多額の税負担がかかっております。


 他方、金融機関の健全性に問題があり、金融システムが不安定な状況では、人々は安心して金融機関にお金を預けることができません。大切な預金が破綻によって戻ってこなくなってしまうかもしれないと不安にかられた預金者は預金の引き出しに走り、取り付け騒ぎが起きてしまうかもしれません。このような事態を避けるためには、金融機関が万が一破綻しても預金は全額守られるので引き出しに走らなくても大丈夫ですよ、という安心感を預金者に与える必要があります。このような観点から、「金融機関が多額の不良債権を抱えており、信用不安を醸成しやすい金融環境にある」(平成7年12月22日金融制度調査会答申)ことなどを背景として、平成8年から預金全額保護の特例措置が取られてきました。


 しかし、先にも述べましたように、金融システム全体の効率化のためには、環境が整い次第、ペイオフを解禁することが重要です。そして、昨年4月以降、流動性預金を除きペイオフ解禁となりました。すなわち、定期預金等については、元本1,000万円までとその利息が最低保障として預金保険の適用を受けることとなり、他方、当座預金普通預金そして別段預金流動性預金は全額保護が続くという形になっております。 


 このように、定期預金等についてペイオフが解禁された今も、流動性預金が全額保護されているのは、当座預金や普通預金等の流動性預金は定期預金等と違って、決済サービスを提供しているからです。決済とは、商品やサービスの取引において、代金の支払いを行い、取引を完了させることです。コンビニで雑誌を買い、レジで現金を払って取引が終わるのも決済です。しかし、決済の多くは、現金のやり取りではなく、金融機関の預金口座を通じて行われます。例えば、電気やガスなどの公共料金の口座引落しも預金口座を通じて行われる決済です。


 決済機能は、金融仲介機能とともに金融機関が担う基本的な機能です。金融仲介機能とは、金融機関が預金者などから集めたお金を企業や個人などに貸し出し、お金を借りた企業などは、そのお金で事業を行い、儲けたお金で金融機関に利息を付けて返済し、預金者は金融機関から利息を得る、というような形で、経済がうまく回っていくように金融機関がお金の出し手と借り手の間を仲立ちすることです。金融仲介機能では、金融機関は預金者から預かったお金を安全かつ効率的に運用することが求められます。定期預金をする預金者は、預金したお金がちゃんと戻ってくるという安全性は勿論求めますが、その一方で、できるだけ有利に運用したいという気持ちもあるでしょう。お金の運用手段としては、預金以外にも株式債券投資信託など様々な金融商品があります。そして、これら様々な金融商品の安全性と有利性を比較して、自分のニーズに合ったものを選択することになります。お金の運用手段としては、定期預金も他の金融商品も、その求められる安全性には程度の差はありますが、本質的な違いはありません。


 少額預金者の保護という観点から、預金については、預金保険制度による最低保障が付いておりますが、最低保障を超える部分については、預金者にも自己責任が求められ、預金以外の金融商品と同様、一定のリスクが伴うべきものです。そうすることによってはじめて、他の金融商品も含めた金融システム全体が市場原理の働く効率的なものとなるのです。金融仲介機能の一旦を担う預金のセーフティーネットとしては少額預金者保護の原則に戻り、昨年4月、定期預金等についてペイオフが解禁されました。


 これに対して、決済機能の場合には、安全かつ確実に決済が行われるということが何よりも重要です。そして、決済は金融機関の間にネットワークとして張り巡らされた決済システムを通じて行われるので、万が一、ある金融機関が破綻した場合に、決済不能が他の金融機関にも連鎖的に波及するというシステミック・リスクの問題が生じるおそれがあります。


 決済機能を担っている普通預金、当座預金、別段預金の流動性預金については、昨年4月の定期預金等についてのペイオフ解禁以降も全額保護が続いていますが、平成12年の預金保険法改正では、流動性預金についても本年4月にペイオフが解禁されることとなっておりました。しかし、決済機能のセーフティーネットが万全かどうか、解禁前に今一度しっかり検証する必要があるとの観点から、昨年7月30日、小泉総理大臣から、ペイオフは予定通り実施すべきであるが、一方、決済機能の安定確保のための方策を検討し、必要な改革案をとりまとめるよう指示がなされました。これを受け、金融審議会の金融分科会の下に決済機能の安定確保に関するプロジェクト・チーム」(座長:蝋山昌一金融分科会長)が設置され、集中的に検討がなされ、9月5日、金融審議会答申として決済機能の安定確保のための方策について」がとりまとめられました。
 
 (注)  金融審議会答申PDF「決済機能の安定確保のための方策について」は、金融庁ホームページの「審議会など」の「金融審議会」からご覧になれます。


 同答申においては、決済のセーフティネットとして、現金以外に安全確実な決済手段を確保し、それを誰でも容易に利用できるようにする必要があるとして、具体的には、(1)要求払いであること、(2)決済サービスを提供できること、(3)金利を付けないこと、の3つの条件を充たす預金については、「決済用預金」としてペイオフ解禁後も全額保護するとともに、金融機関の破綻時に仕掛かり中の決済を完了させるために必要な手立てを講じるべきであるとの提言がなされました。


 更に、10月7日には、竹中金融担当大臣より、「ペイオフについては、決済機能の安定確保のための制度面での手当てを行い、解禁の準備を整えるが、その実施は金融システムの安定確保の観点から、不良債権問題が終結した後の平成17年4月からとしたい。そのための所要の法律案を臨時国会に提出すべく、早急に調整を図ることとする」との「金融担当大臣談話−ペイオフ問題について−」が出されました。
 
 (注)  「金融担当大臣談話−ペイオフ問題について−」については、金融庁ホームページの「報道発表など」からご覧になれます。


 そして、これら金融審議会答申や金融担当大臣談話を踏まえ、10月25日、預金保険法等一部改正法案が臨時国会に提出され、12月11日に成立しました。この預金保険制度の改正により、預金の保護については、以下のような取り扱いとなります。
 
(1)  当座預金、普通預金、別段預金については、平成17年3月末まで全額保護が続きます。
(2)  定期預金等については、これまで同様、預金者1人当たり1金融機関毎に元本1,000万円までとその利息額が最低保障として預金保険の対象となります(最低保障を超える部分については一部カットされることがあります)。
(3)  平成17年4月以降は、当座預金等の利息の付かない預金(無利息、要求払い、決済サービスの提供という3 要件を充たす「決済用預金」)については、全額保護されることになります。
 

 (注)

 ペイオフや決済機能の保護など新しい預金保険制度について、もっと詳しくお知りになりたい方は、金融庁ホームページの「新しい預金保険制度について」のコーナーにアクセスしてください。また、預金保険法等一部改正法について、詳しくは、アクセスFSA本号の【トピックス】「預金保険法及び金融機関等の更生手続の特例等に関する法律の一部改正について」をご覧ください。

【竹中大臣に質問!】
 
Q:  現在、株式の配当については、郵便為替で送られてきて、いちいち郵便局に取りに行かなければならないという面倒な取扱いになっております。個人投資家を増やすためには、株式の配当についても、預金の利子と同じように、自動的に口座に振り込まれるようにすべきではないでしょうか?なぜ、それができないのですか?間接金融偏重の日本の金融をもっと直接金融にシフトさせていくためには、個人投資家を増やす必要があり、そのためにも、配当の口座振込を検討してみてはいかがですか?
 
 
:ご質問のありました、株式の配当の支払方法につきましては、「会社の配当する利益又は利息の支払に関する法律」によって、会社が株主に支払う利益の配当、利息の支払、中間配当は、株主名簿に記載した株主の住所、又は株主が会社に通知した場所において、これを支払わなければならないこととされております。
 そして、ご指摘の配当金の口座振込についてですが、これは株式の発行会社、または信託銀行等、発行会社の証券代行機関に対して、原則として決算期末(又は中間決算期末)までに、配当金振込先の銀行預金口座等を指定していただければ、配当金を口座振込で受け取ることが可能となっております。詳細につきましては、発行会社又は発行会社の証券代行機関にご照会いただければと思います。
 いずれにしましても、日本の金融システムが銀行等の間接金融に偏り過ぎていて、直接金融へのシフトを進める必要があるとのご指摘は全くそのとおりです。金融庁といたしましても、日本の証券市場を幅広い投資家の参加する真に厚みのあるものとし、市場機能を中核とした日本の金融システムの中心を担うものとしていく必要があると考えておりまして、昨年8月に発表した「証券市場の改革促進プログラム」に沿って、銀行と証券会社の共同店舗の解禁などの各種施策を順次実施してきたほか、証券税制を簡素かつ安定的で、投資を優遇する税制へと大幅に改革することが、昨年末に決定されたところです。
 本年におきましても、「貯蓄から投資へ」という流れの加速に向けて、証券の販売チャネルの拡充・多様化、内外取引所の連携・統合、公認会計士制度の見直し、ディスクロージャーの充実等について、今通常国会への法案の提出を含め、証券市場の構造改革を一層推進してまいります。
 また、今回のご質問のように、制度的には配当金の口座振込が可能になっているにも拘らず、そのことが必ずしも利用者の皆様にきちんと周知されていないがために、不便な取り扱いがなされているということもあるものと考えられます。配当金の口座振込を利用されていらっしゃらない方は、今回ご質問いただいた方に限らずかなりいらっしゃるようです。金融庁といたしましては、今後とも証券市場の構造改革を進めていく中で、今回、ご指摘いただいた点も含め、証券業界とも連携しながら、改革の成果のPRに努めてまいりたいと存じます。
 
 
※ 大臣・副大臣への質問募集中
 
 【竹中大臣に質問!】【伊藤副大臣に質問!】のコーナーでは、読者の皆様から寄せられた金融を巡る大臣や副大臣へのご質問に、大臣・副大臣が直接お答えします。
 「金融庁のやっている金融行政って、よくわからないんだけれど、大臣・副大臣にこんなことを、是非、直接聞いてみたい!」というご質問がございましたら、金融庁ホームページの「ご意見箱」にお寄せください。
 その際、ご意見箱の件名の欄には、必ず「大臣に質問」あるいは「副大臣に質問」とご記入ください。また、本文の欄にご質問の内容をご記入下さい。ご意見箱のコーナーには、「45行以内」とありますが、「大臣に質問」、「副大臣に質問」の場合には、ご質問の趣旨を明確にさせていただくために、恐縮ですが100字以内に収めていただきますようお願いいたします。
 お寄せいただきましたご質問の中から毎月1問を選定させていただき、「アクセスFSA」において大臣または副大臣の回答を掲載させていただきます。なお、採用させていただきましたご質問につきましては、ご質問者のお名前とお歳を(ご意見箱の住所の欄にもご記入いただいた場合にはお住まいになっている都道府県も合わせて)ご紹介させていただいてよろしい場合に、本文の欄にご質問内容を記入された後に「氏名等掲載可」とご記入ください。
 大臣・副大臣へのご質問がございます方は、「ご意見箱」へどうぞ。

【お知らせ】

〇金融庁ホームページに「証券税制の大幅な改善について」のコーナー開設

 昨年12月、財務省において「平成15年度税制改正の大綱」が決定、発表されました。これを受けて、金融庁ホームページでは、「証券税制の大幅な改善について」のコーナーを開設しました。同コーナーでは、新証券税制について、図表などにより分かり易く解説しております。どうぞアクセスしてみてください。
 
  ◎  アクセスFSA本号の【トピックス】「新しい証券税制について」においても解説記事を掲載しております。


〇新着情報メール配信サービスへのご登録のご案内


 金融庁ホームページでは、新着情報メール配信サービスを行っております。皆様のメールアドレス等を予めご登録いただきますと、毎月発行される「アクセスFSA」や日々発表される各種報道発表など、新着情報を1日1回、電子メールでご案内いたします。ご登録をご希望の方は、「新着情報メール配信サービス」へどうぞ。


【12月の主な報道発表等】
 
2日(月)   中小企業金融の円滑化に関する意見交換会開催
  金融先物取引法施行規則の一部を改正する内閣府令(案)の公表について(パブリック・コメント)
       
3日(火) 官民合同ミッションの米国訪問について(米国サーベーンズ=オクスリー法への対応)
  証券会社に関する内閣府令の一部を改正する内閣府令(案)に対するパブリック・コメントの結果について
       
4日(水) 社団法人不動産証券化協会の設立認可について
       
5日(木) 投資信託及び投資法人に関する法律施行令等の改正案に対するパブリック・コメントの結果について
  短期社債等の振替に関する法律施行規則等の一部を改正する命令等(案)に対するパブリック・コメントの結果について
       
6日(金) 事務ガイドライン(「証券会社、投資信託委託業者及び投資法人並びに証券投資顧問業者等の監督等にあたっての留意事項について」)の一部改正について
  中部銀行の再継承先に係る営業譲渡契約の締結について
  ビー・エヌ・ピー・パリバ証券会社東京支店に対する行政処分について
  金融庁広報誌「アクセスFSA」創刊及び大臣・副大臣への質問募集について
    企業会計審議会第23回第一部会開催
    企業会計審議会総会開催
  企業会計審議会の意見書の公表について
       
9日(月) 保険監督に係る要員の募集について
       
10日(火) 事務ガイドライン(第一分冊:預金取扱い金融機関関係)の一部改正について
    第3回金融審議会公認会計士制度部会開催
       
11日(水) 金融機関等の組織再編成の促進に関する特別措置法」の施行に伴う政令・省令・告示の整備について(パブリック・コメント)
       
12日(木) 中国建設銀行東京支店の免許について
    第18回金融トラブル連絡調整協議会開催
       
16日(月) ろうきんアセットマネジメント株式会社に対する投資信託委託業の認可
    第8回金融審議会金融分科会第一部会開催
       
17日(火) 公認会計士監査制度の充実・強化(金融審議会公認会計士制度部会報告)
       
19日(木) 資産の流動化に関する法律施行規則の改正案に対するパブリック・コメントの結果について
  「預金保険法及び金融機関等の更生手続の特例等に関する法律の一部を改正する法律」の施行に伴う政令・府省令の整備について
      (パブリック・コメント)
    第11回金融審議会金融分科会第二部会開催
       
20日(金) 株式会社静岡中央銀行に対する行政処分について
  株式会社八千代銀行に対する行政処分について
  証券に関する税制が大幅に改善されることとなりました
    第16回金融審議会総会開催
       
24日(火) 平成15年度機構・定員及び予算について
  「再建計画検証チーム」の設置について
       
25日(水) 経営健全化計画フォローアップ(平成14年9月期)について
       
26日(木) 「金融商品販売法の施行状況の調査、点検」の結果について
  再就職状況の公表について
  「平成13年度実績評価書」及びその要旨の公表について
  金融再生プログラム関連等に係る検査マニュアルの改訂について
      (パブリック・コメント)
  「システム統合リスク管理態勢の確認検査用チェックリスト」(案)に対するご意見等の公表について
  「システム統合リスク管理態勢の確認検査用チェックリストについて」通達の発出について
  金融持株会社に係る検査マニュアルWGの検討状況について
       
27日(金) 石川銀行の再承継先に係る営業譲渡契約の締結について
  石川銀行に係る預金保険法第90条に基づく期限の延長について
  「銀行等の株式等の保有の制限等に関する法律施行令の一部を改正する政令案」、「銀行等保有株式取得機構に関する命令の一部を改正する命令案」等の公表について
  金融審議会第二部会におけるワーキンググループについて
  金融問題タスクフォースについて
       
29日(日) 朝銀千葉信用組合、朝銀東京信用組合、朝銀新潟信用組合、朝銀長野信用組合及び朝銀関東信用組合に係る管理を命ずる処分の取消しについて

 
マークのある項目につきましては、から公表された内容にアクセスできます。