アクセスFSA 第183号

アクセスFSA 第183号


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変革期における金融サービスの向上にむけて ~金融行政のこれまでの実践と今後の方針~


金融庁では、平成27事務年度より、金融行政が何を目指すかを明確にするとともに、その実現に向け、いかなる方針で金融行政を行っていくかを、毎事務年度ごとに「金融行政方針」として公表してきました。そして、PDCAサイクルを強く意識し、本方針に基づく行政の実績を「金融レポート」として公表した上で、これを翌事務年度の「金融行政方針」に反映させてきました。
本事務年度は、こうしたPDCAサイクルに基づく業務運営をさらに強化する観点から、標記のとおり金融レポートと金融行政方針を一体として策定し、9月26日に公表しました。
 
デジタライゼーションの加速、人口減少や高齢化の進展、低金利環境の長期化など、金融を取り巻く環境は大きく変化しています。こうした変革期において、金融行政の目的である「企業・経済の持続的成長と安定的な資産形成等による国民の厚生の増大」を達成していくためには、変化に適切に対応していくことにより、金融サービスを向上させていく必要があります。
そこで、金融庁は、本事務年度、
  1. デジタライゼーションの加速的な進展への対応 ~金融デジタライゼーション戦略~
  2. 家計の安定的な資産形成の推進
  3. 活力ある資本市場の実現と市場の公正性・透明性の確保
  4. 金融仲介機能の十分な発揮と金融システムの安定の確保 ~経営者の役割とガバナンス~
  5. 顧客の信頼感・安心感の確保 ~金融機関の行為・規律に関する課題~
  6. 世界共通の課題の解決への貢献及び当局間のネットワーク・協力の強化
  7. 金融当局・金融行政運営の改革
という7つの取組みを通じて、「金融育成庁」として金融サービスの向上を図っていきます。

※ 詳しくは、金融庁ウェブサイトの「政策・審議会等」の中の「金融行政方針・金融レポートについて」から「変革期における金融サービスの向上にむけて~金融行政のこれまでの実践と今後の方針(平成30事務年度)~」(平成30年9月26日公表)にアクセスしてください。

仮想通貨交換業者への対応について

1.「仮想通貨交換業者等の検査・モニタリング 中間とりまとめ」の 公表について
8月10日、これまで実施した仮想通貨交換業者等の検査・モニタリングで把握した実態や問題点について、中間的にとりまとめ、公表しました。
金融庁では、本年1月にみなし業者であるコインチェック社において、顧客からの預り資産の外部流出事案が発生したこと等を踏まえ、仮想通貨交換業者(みなし業者を含む。)の内部管理態勢の整備状況等を検証するために、全てのみなし業者及び複数の登録業者に対し、立入検査を順次実施しました。この結果、問題が判明した業者(みなし業者10社、登録業者7社)に対し、行政処分を行っています。
これまでの検査やモニタリングにおいては、主にみなし業者において、平成29年秋以降、仮想通貨の価格が高騰し、各社において急激に業容を拡大する中、内部管理態勢の整備が追いついていない実態が把握されました。なお、登録業者においてもいくつか同様の事例を確認しています。
本とりまとめの主な内容は以下のとおりです(「中間とりまとめ主なポイント」抜粋)。

検査・モニタリングで把握された実態1

検査・モニタリングで把握された実態2

仮想通貨交換業に係る全ての業者(登録業者、みなし業者、新規登録申請業者)におかれましては、事務ガイドラインで公表されている監督上の着眼点に加え、本とりまとめに掲載した事例を踏まえた内部管理態勢等の自己チェックを行うなど、有効に活用していただきたいと考えています。
さらに、利用者の皆様におかれましては、登録業者のサービスを利用するに当たって、本とりまとめに掲載した事例が業者選定等の一助(注意事項)となることを期待しています。

※ 詳しくは、金融庁ウェブサイトの「報道発表資料」から、「仮想通貨交換業者等の検査・モニタリング 中間とりまとめの公表について」(平成30年8月10日公表)にアクセスしてください。


2.仮想通貨交換業者に対する業務改善命令について
9月14日、テックビューロ株式会社(以下、「当社」)において、当社が保有していた仮想通貨が外部に送信され、顧客からの預かり資産を含む約70億円分の仮想通貨(10月10日現在、当社の発表による)が流出するという事案が発生しました。
本件を踏まえ、9月18日に資金決済法に基づく報告を求めたところ、発生原因の究明等に不十分なことが認められたため、9月25日、金融庁では当社に対して、以下の内容の業務改善命令を発出しました。

【業務改善命令】
・ 流出事案の事実関係及び原因の究明(責任の所在の明確化を含む)並びに再発防止策の策定・実行
・ 顧客被害の拡大防止
・ 顧客被害に対する対応
・ 3月8日付業務改善命令及び、6月22日付業務改善命令の内容について、流出事案を踏まえて、具体的かつ事項的な改善計画の見直し及び実行
(注)当社に対しては、資金決済法に基づく報告、金融庁の検査を踏まえ、3月8日にシステムリスク管理態勢等について、6月22日に経営管理態勢、法令遵守、マネー・ローンダリング及びテロ資金供与対策、分別管理等の内部管理態勢について、業務改善命令を発出し、その改善状況を確認しているところ。

また、改めて、昨年9月に金融庁・消費者庁・警察庁の連名で実施した以下の注意事項などについて、業務改善命令の公表に併せて周知しています。
・ 金融庁が仮想通貨の価値を保証したり、推奨したりするものではないこと
・ 仮想通貨は法定通貨ではないことや突然無価値になるリスクがあること
・ 仮想通貨に関する取引を行う際は、金融庁・財務局の登録を受けた事業者かどうかを確認すること
・ 仮想通貨の取引を行う場合、事業者から説明を受け、取引内容やリスク(価格変動リスク、サイバーセキュリティリスク等)をよく理解してから行うこと

※ 仮想通貨をご利用の皆様への注意喚起につきましては、金融庁ウェブサイトの「仮想通貨に関するトラブルに御注意ください!」よりご覧ください。


企業アンケート調査の結果について

金融庁では、顧客企業による金融機関の評価を明らかにするため、平成27年度より、地域銀行をメインバンクとする中小・小規模企業を中心に、アンケート調査への協力を依頼しています。
29年度においても、28年度までに明らかにした金融機関の取組みに関する評価の改善状況を確認する等の観点から、金融機関による企業の事業理解やサービス提供の効果等について調査を実施し、その結果を9月26日に公表しました。
主な調査結果は、以下のとおりです。

企業アンケート 主な調査結果1

企業アンケート 主な調査結果2

調査結果からは、地域金融機関による顧客企業の事業内容等の理解や顧客と向き合う意識・取組み姿勢に一定の改善の兆しが窺われます。一方で、担保・保証に依存しない融資について、未だ顧客企業への説明が十分ではない金融機関も少なくないと考えられます。
 
※ 詳しくは、金融庁ウェブサイトの「審議会・研究会等」の中の「金融仲介の改善に向けた検討会議」から、「「企業アンケート調査」について」にアクセスしてください。

「明治150年」関連シンポジウムについて

平成30年(2018年)は、明治元年(1868年)から起算して満150年に当たります。
明治以降、近代国家への第一歩を踏み出した日本は、この時期において、近代化に向けた歩みを進めることで、国の基本的な形を築き上げていきました。近年、人口減少社会の到来や世界経済の不透明感の高まりなど激動の時代を迎えており、近代化に向けた困難に直面していた明治期と重なるところもあることから、この時期に、改めて明治期を振り返り、将来につなげていくことは、意義のあることです。
こうした基本的な考え方を踏まえ、各府省庁、地方公共団体、民間団体は、具体的な関連施策に積極的に取り組んでいくこととされていることから、金融庁は、9月6日、明治時代の金融制度が果たした役割をテーマとしたシンポジウムを開催しました。
シンポジウムにおいては、冒頭に主催者を代表して越智前副大臣が挨拶した後、宮本又郎 先生(大阪大学名誉教授、大阪企業家ミュージアム館長)から「江戸から明治へ、商品・証券取引所の展開」について、米山高生 先生(東京経済大学経営学部教授、一橋大学名誉教授、金融庁金融行政モニター委員)から「明治期の近代化に果たした保険の多様な役割」について、小林延人 先生(首都大学東京経済経営学部准教授)から、「明治維新期の金融制度設計と商人の対応」についてご講演いただきました。
その後、吉野直行 先生(アジア開発銀行研究所所長、慶應義塾大学名誉教授、金融庁金融研究センター顧問)をコメンテーターに迎え、パネルディスカッションを実施しました。
  
冒頭挨拶する越智前副大臣
冒頭挨拶する越智前副大臣
 

多重債務者相談強化キャンペーン2018の実施について

内閣に設けられた「多重債務者対策本部」においては、深刻な社会問題である多重債務問題を抜本的に解決するため、平成19年4月に「多重債務問題改善プログラム」を決定し、相談窓口の整備などの「借り手対策」をとりまとめました。これに基づき、全国の地方公共団体における相談体制の整備・強化が進められています。
平成22年6月の改正貸金業法完全施行後、多重債務問題は一時と比べ落ち着きをみせているところですが、多額の借入残高を有する層は現在も相当数存在し、継続的に多重債務者対策を講じていく必要があるところです。
このため、潜在的な相談者の掘り起こし及び常設の相談窓口の認知度向上に加え、ギャンブル等依存症や生活困窮者の自立支援のための相談窓口との連携等を目的として、本年9月1日~12月31日までの4ヶ月間、「多重債務者相談強化キャンペーン2018」を多重債務者対策本部と日本弁護士連合会、日本司法書士会連合会及び日本司法支援センター(法テラス)との共催で実施しています(本取組みは、平成19年度以降継続して実施しています。)。

多重債務者相談強化キャンペーンポスター

キャンペーンでは、期間中に都道府県、当該都道府県の弁護士会、司法書士会、中小企業団体(全国の商工会議所、商工会、都道府県中小企業団体中央会)が共同で、消費者及び事業者向けの無料相談会等の取組み(電話による相談を含む)を行います。併せて、各地方財務局においても、無料相談会の開催等を行います。このほか、ヤミ金融の利用防止について、周知・広報を行うこととしています。
各地の相談窓口、キャンペーン期間中に各地で開催される無料相談会等については、下記の電話番号にてご案内します。
 
<法テラスコールセンター>

0570-078374(おなやみなし)
※受付時間 平日 9:00~21:00
      土曜 9:00~17:00
(日曜祝祭日、年末年始休業)
※法テラスは国が設立した公的な法人です。

※ 詳しくは、金融庁ウェブサイトの「報道発表資料」から「多重債務者相談強化キャンペーン2018の実施について」(平成30年9月3日公表)にアクセスしてください。
 
※ また、多重債務対策関連情報を提供している、金融庁ウェブサイトの「政策・審議会等」の中の「貸金業法が大きく変わりました!(改正貸金業法・多重債務者対策)」でも、無料相談会の予定を提供予定です。

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