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令和7年5月30日
金融庁

FSA Analytical Notes(2025.5)

「FSA Analytical Notes(2025.5)」を公表しました。 PDF全文

金融機関の経営環境や収益構造が変化していく中で、データに基づき、経済・市場動向を理解し、個別金融機関の経営状況や金融システム全体の強靭性・脆弱性を的確に把握することが重要です。金融庁では、こうした観点から、貸出データや企業の個社データ等の粒度の細かいデータ(高粒度データ)等を活用した分析に取り組んでおり、その一部は『FSA Analytical Notes ―金融庁データ分析事例集―』として公表する方針としています。

今回のレポートでは、『AI技術を用いたテキストデータの解析検証』及び『足元の預金動向の実態把握と金利上昇との関係にかかる分析』を掲載しています。

金融機関のディスクロージャー誌におけるテキストデータを大規模言語モデル(LLM)等のAI技術を用いて解析することで、大量の文章から指定されたテーマに関する記述を抽出し、記述内容の業態毎の特徴や時系列変化を把握することを試みた。不動産・住宅ローンに着目して解析を行ったところ、注目単語や記載内容の変化の傾向が業態によって異なることが確認された。本稿の解析手法を応用することで、各業態・金融機関の特徴把握など情報収集の効率化や新たな兆候の発見が期待される。引き続き、AI特有のリスクを十分踏まえたうえで、テキストデータ分析のモニタリングへの活用に取り組んでいく。

足元の金利上昇を受けた各金融機関の預金残高や預金金利の動向について実態把握を行い、預金残高は総体としては増加しているものの、業態や預金種類別等によって、その預金残高伸び率の分布には差異が見られることを確認した。預金金利と預金残高伸び率の関係にかかる検証では、キャンペーン等の影響が含まれる預金利回りと預金残高の増減には相関があることが示された。今後とも、金利環境や人口動態等のマクロ環境の変化を捉えつつ、預金動向についてデータを活用した適時のモニタリングを継続していく。

金融行政におけるデータ活用の高度化は、中長期的な課題です。金融庁としては、今後とも、金融行政を不断に改善していく観点から、組織としてのデータ分析力の向上及びデータ整備への取組みを鋭意進めていきます。

※なお、特段の注記がない限り、本レポートにおける図・表は金融庁作成です。

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金融庁 Tel 03-3506-6000(代表)

総合政策局リスク分析総括課マクロ・データ分析参事官室(内線3330、2797)
E-mail datastrategyoffice[at]fsa.go.jp

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