五味金融庁長官記者会見の概要

(平成18年4月3日(月) 17時02分~17時16分 場所:金融庁会見室)

【長官より発言】

皆様にご報告とそれからお詫びでございます。3月30日付の官報に掲載されました銀行法施行規則の一部を改正する内閣府令等の記載内容に誤りがございました。原因は、校正を終了した後の紙媒体による最終原稿と同時にフロッピーディスクも併せて担当の内閣府に提出を致しましたけれども、そのフロッピーディスクの方に収められていました原稿が最終の校正を反映しておりませんでした。そして、そのフロッピーディスクの原稿に基づいて官報が印刷されたことによるものであると承知をしています。今回の改正は分量で申しますとA4版の紙媒体の原稿で600ページ強にわたるものでございましたが、校正の終了前という事でございましたので、600箇所弱の誤りが残った形になっております。この誤りの内容でございますけれども、例えば「等」というのを漢字で「等」と表示すべきところをひらがなで「など」と書いてあったというものですとか、「書面」という法令用語で表示すべきものを「書類」と書いてあったり、或いは「何々となつた」という表現が出てまいりますときに、これを大きな字で「なつた」と法令用語としては表示しなければならないところを「なった」つまり促音の「つ」を小さい字で書いてある、或いは条文番号の枝番を漢数字で表示しなければならないところを算用数字で表示していた等でございます。こういう間違いですから、同じ間違いがたくさん出てくるわけでございます。こうした例でございまして、大部分がこうした形式的な誤りであったということでございます。官報の訂正は今週中には行える見込みでございますが、一昨日の4月1日に金融庁ホームページに訂正予定の内閣府令を掲載しております。また、念のため関係者の皆さん、業界団体などにも先週末必要な連絡を申し上げたところでございます。

今回の誤りは、法令作業工程の管理、マネジメントの中で生じたものでございます。関係者の皆様には、改めてお詫びを申し上げます。今後は法令改正作業を巡るマネジメント、工程管理の徹底をいたしまして、このようなことが起こらないように努力をしていきたいと考えております。私からのご報告とお詫びは以上でございますが、より詳細なご説明が必要ということでございますれば、本日この場に担当の大森参事官が参っておりますので、会見終了後にお聞きいただけたらと存じます。私からの発言は以上でございます。

【質疑応答】

問)

今の件で確認ですけれども、大部分が形式的な誤りと言われましたけれども、内容を誤って伝えた様な誤りはあったのでしょうか。

答)

形式以外の誤りは幾つかございます。後程大森の方から聞いていただけるといいと思いますが、例えば、ひとつふたつ、そんなにたくさんあるわけではありません。申し上げますと、例えば個人である銀行代理業の許可申請を行います際に、財産に関する調書をお出しいただくのですが、そのフォーマットについて、官報に掲載された府令においては申請書様式に氏名を記入する欄が欠けておりました。この点については、実際にこの府令が官報掲載される前に提出書類をお持ちになった方には事情を説明して氏名の記載をお願いすることとしたいと考えています。或いは、例えば保険会社の議決権を5%を超えて保有した者に対する届出書提出期限について、5%超保有したことを知ったときから5日を経過した日又は翌月15日から5日を経過した日の早い方という規定がございますが、この5日という期間の計算上日曜日を除くという記載が必要なところ、公布された府令には漏れております。この点については訂正が遡及されますので、日曜日を含めて6日後に提出した場合でも違法とはならないということになります。その様なところでございます。

問)

先週金曜日、ライブドアの監査を担当した公認会計士が、ライブドアの粉飾に協力したとして東京地検特捜部に在宅起訴されました。与謝野大臣はこの日の閣議後会見で監査法人のあり方を見直すお考えを示されましたが、具体的にどの様な検討作業を行うのか検討のスケジュール、検討課題等についてお願いします。

答)

ライブドア事件については個別事案でございますから具体的コメントは控えさせていただきますが、一般論として、公認会計士や監査法人というのは企業財務情報の信頼性の確保ということについて極めて重要な役割を担っておるわけです。これまでも金融庁は、例えば平成15年に公認会計士法を改正いたしまして、その施行を受けて公認会計士・監査審査会などの関係機関とも連携をして公認会計士監査の充実・強化に努めてきました。しかしながら、こうした中で今ご指摘がございました事案等監査法人や公認会計士の信頼を揺るがしかねない事態が引き続き生じております。このことについては、当局として真摯に受け止める必要があると考えておりまして、大臣のご発言にございましたように、監査法人のあり方などについて改めて総合的に検討していく必要があるのではないかと考えています。今後具体的にどの様な形で検討を行っていくか、検討の場なりスケジュール、検討課題といった点につきまして、現時点で確たることを申し上げられる段階にはございません。しかしながら、大臣からもご発言がございましたように、早急に検討を開始できるように関係方面とも調整を含めて準備を進めたいと考えております。

問)

今の話に関連してですが、長官御自身が今の監査法人の制度であるとか、会計士の制度であるとか、問題の所在はどういうところにあると認識されていますでしょうか。

答)

企業財務情報の信頼性確保ということに監査法人や公認会計士の皆さんは重要な役割を担っていると、この点について改めて関係者の皆さんが認識を強めていただくことが必要な状態になっているのではないかと考えます。職業専門家としての自覚、こうしたものについてもう一度、公認会計士の皆さん、或いは監査法人に携わる皆さんは、よく振り返っていただいて、特に、日本では貯蓄から投資へということで、証券市場などの資本市場における取引が非常に活発化してきているわけでございますから、従来にも増して、こうした市場での正確な情報の開示の重要性は、増してきているわけでございます。また、この点が十分確保されないと、昨今の市場の活況というものもいずれ幻ということになりかねません。私は改めて、公認会計士の皆さん、そして監査法人の皆さんに強い自覚を促したいと思いますし、当局としてもこうした事態を深刻に受け止めて、必要な対応は遅滞なく取る必要があると考えています。

問)

内閣府令の記載漏れについて、譴責など処分についてどのようにお考えでしょうか。

答)

現在、何が起こったのかということを詳細に調査しております。現時点での私の個人的と言っても会見で長官が言いますから、ただの個人的な印象よりは強くなるかもしれませんが、あえてそれを申し上げますと、元々この年末から年度末にかけての期間というのは、法令改正作業が非常にタイトな日程の中で、限られた人員で、その膨大な作業量をこなすということになるわけでございます。こういう状況下で、勿論十分な人的資源を確保すべく努力もしてはおりますけれども、日程が極めてタイトなものになることは避けられません。従って作業計画の管理に努めて、作業上問題が生じそうだという場合には、臨機に作業分担ですとか作業スケジュールですとかいうことを調整していく、そういった工程管理、プロジェクトマネジメント、これを行うことが不可欠であると考えています。こうしたマネジメント、管理ですね、現場で実際に作業をしている人達も勿論注意を払っていただかなければなりませんけれども、それとは全く別の次元で、こうした状況で作業が進んでいる以上、プロジェクトマネジメントというものが、的確に機能していたのかどうかという点が非常に重要でして、今後こうした観点から本件を十分に精査して、責任の所在などどうであったのかということも検討していきたいと考えています。

(以上)

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