五味金融庁長官記者会見の概要

(平成18年4月24日(月) 17時01分~17時08分 場所:金融庁会見室)

【質疑応答】

問)

先週金曜日に有識者で作る貸金業の懇談会で、グレーゾーン金利の撤廃等を盛り込んだ中間整理が出ました。この提言が実現すれば貸金業界への影響はかなり大きいと思われます。業界からは、業界の金融仲介機能について、ちょっと理解不足があるのではないかという不満の声も出ましたが、金融システムの中で同業界にどのような役割を期待するか、お聞かせください。

答)

お話がありましたように、「懇談会におけるこれまでの議論(座長としての中間整理)」というものが21日金曜日に出ております。これはこれまでの議論の内容や方向性を、座長として現時点で中間的に整理してまとめたという性格のものです。そういう性格のものですから、その中で貸金業制度等のあり方を議論するに際しては、多重債務者の発生や増大をいかに防止するかという観点が重要であるとの認識を共有したと、こういうふうに述べられております。その上で、個人や中小企業に対する金融仲介機能の健全な発展といった観点が重要であるとの意見もあったといった旨の記述もございます。金融庁としてはそうした点も含めまして、この中間整理で示されました意見とか、或いは提案、こういったものをしっかりと受け止めまして多重債務防止という観点から、どのような道筋で政策をとっていくのが適切であるかということについて検討を深めたいと、その際には勿論、最高裁の判決といったようなものについても念頭において検討を深めていきたいと、このように考えています。

金融システムの中で貸金業界の役割というお話がございましたけれども、これはいずれにいたしましても、貸金業者の皆様が法令遵守を徹底していただくこと、それから適正な与信管理を行っていただくこと、これが大前提であります。そうした大前提の上で貸金業界の皆様が、借手の皆様の健全なニーズを満たすという方向で経営をしてくださることを期待したいと、このように考えています。

問)

東京証券取引所は本日より、短縮していた取引時間を3カ月ぶりに正常化いたしました。今のところ取引は順調に行った様ですが、新システムの概要も先週発表になりまして、一連の出来事を踏まえまして長官に感想をお聞きしたいのですが。

答)

取引時間については、お話のように今日から午後の立会開始時刻を午後0時30分ということで、言わば正常化をしたということでございます。これは最近の注文や約定の件数の状況ですとか、或いはシステム能力増強対応の進捗といったようなことを勘案して、東京証券取引所において決定をなさったということでございます。当局としましては以前からこの点に関しましては、できるだけ早く正常化をしていただくということが望ましいということ、ただその際に時間短縮の解除というのであれば、様々な見地から十分な検証を行った上で御判断いただきたいと、こういうことを申し上げてきたわけですが、今回こうした当局の考え方も念頭に置かれて、十分な検証、検討をなされた結果の御決定であろうと思っています。いずれにしても取引時間の正常化というのは大変望ましいことであると考えております。

東京証券取引所の新システムのお話も出ましたけれども、証券取引所における取引が円滑に、かつ安定的に行われるということは、とにかく極めて重要なことでございまして、これは東京証券取引所に限らず各証券取引所におかれて、システム面での増強なり、或いはこうした新システムの導入なり、こういうことを含めて市場の運営ということに万全を期すということで、是非今後とも運営をしていただきたいと、このように考えております。

問)

先週の金曜日ですが、証券取引等監視委員会が監査法人に対する刑事責任の追及ができるようにということで、法改正を含めて建議をされたと思うのですが、この点について金融庁としてどのように対応されるつもりでしょうか。

答)

いただいた建議の内容は、概略を申し上げておきますと、監査法人による厳正な監査を確保していく観点から、民事行政責任のほか、刑事責任を含めた監査法人の責任のあり方について総合的な検討を行い、必要かつ適切な措置を講じる必要があると、こうした旨の建議をいただいております。大変重要な問題提起をいただいたと思います。金融庁といたしましては、今週の水曜日、26日に金融審議会の公認会計士制度部会、これを再開いたします。この中で今回の建議による問題提起も踏まえまして、これに限らず監査法人制度のあり方等について総合的な検討を行っていただきたいと考えております。その中で扱っていただくことになると思います。とりあえず現状ではそこまででございます。

(以上)

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